テイムした魔物達を魔道具で武装させることにした俺達の話   作:電脳図書館

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第二話になります!本作に出て来るキャラ、設定は本家様は勿論二次、三次創作の作品でご自由にお使いください。


過去語りと旅立

私はレッドリザードマン。嘗てはとあるリザードマンの氏族に属していたがリザードマン時代に色々あって独立し今日まで生きて来た。

魔物らしく戦いに明け暮れた日々だったが私は同族よりも少しだけ知識欲があるらしく旅をしている間に色々知識も集めていた。言葉や文字を覚え学習を重ねて来た中で特に人類種の技術は興味深い、とはいえ私が再現出来そうなものは精々武術くらいなものなのだが。

 

そうやって戦いの合間に書物を読み、ときには人類種との戦いの中で技術を盗んで来た・・・当然そんな日々を送っていれば格上とも相対し死に掛けたこともあったがギリギリ乗り越えて来た。そのお陰かリザードマンからレッドリザードマンにランクアップすることができ、称号もこの世界より与えられ実力を付けて来たと感じた私は噂に聞くとある人間の王国の辺境に来ていた。

 

魔境と噂通り他の地域よりも魔物平均レベルが高く引っ切り無しに襲撃されるので常時気を張っていなければ私でも容易に命を落とすだろう。外周部でもこれなのだから中心部付近はどうなっているのか恐ろしくもあり、楽しみだ。

しかし今の私では力不足の可能性が高いのでしばらくは外周部で経験を積んでから挑もうと考えていた・・・そんな予定は一人の人間によってものの見事に粉砕されることになったのだが。

 

「魔道具による初見殺しを絶え間なく浴びせてHPを削り切るしかねぇ!うおおおおこの数年の研鑽の成果をみせてやる!!」 

 

「・・・それでいいのか人の子よ」

 

「キャーシャベッター!?!?」

 

一見するとただの人間の子供に見えるが、彼が身に纏う装備の質と身体から漂うゴブリン共の血の匂いからそんな可愛い存在ではないのが容易に分かる。

 

「剣を抜け・・・ただの子供ではないのだろ?」

 

「当然!」

 

まずは相手の出方を伺おうと待ちの姿勢を取る。男は腰の剣に手を伸ばして・・・!?

 

「くっ!?」

 

「反応は流石だな」

 

男は剣を取ると見せかけて3本の投げナイフを投げつけて来た!手首に仕込んでいたか!?咄嗟に回避行動を取ろうとするが男のもう片方の手に投げナイフを3本用意しているのが見える。

避けた先に当てるつもりか。投げナイフ数本で倒れる程軟では無いが毒の類が塗られていると厄介だ。ならば!

 

「弾き飛ばすまで!」

 

「うわ、カットラスとバックラーで全部弾くか、やっぱ素直に近接戦闘は避けた方がいいな!」

 

「ただ投げても結果は同じだ。この数年の研鑽を早く見せて見ろ!」

 

もう片方の手から放たれた投げナイフも弾き飛ばす。ここで目の前の男を挑発するムキになって接近してくれれば儲けものだろう。

 

「研鑽?そのうちの一つならもう見せてるぞ?」

 

「何を・・・!?こ、これは!」

 

研鑽の一つを既に見せている。その意味を問いただそうとしたが唐突に身体を刃物で刺される感覚に襲われ言葉に詰まる。

確認すると先ほど弾いた投げナイフが左肩、背中、右足に突き刺さっていた!

 

「馬鹿な、先ほど確かに・・・何をした!」

 

「だからその投げナイフも魔道具だって。『磁力の刃(マグネットナイフ)』って言ってなこの投げナイフ自体が磁力を発していて、その磁力を相手に伝染させることが出来るのさ、後は同じものを再度投げれば磁力同士が惹かれ合ってぶっ刺さってくれるという訳だ。刺さる位置を自由に設定できる訳では無いのが玉に傷だけど。ああ、安心しろそのナイフに毒とかはないぞ磁力といらん反応を起こしちゃうからな」

 

「なるほど、弾いたナイフも磁力で再度引かれ私の身体に刺さったという事か」

 

一度当たれば以降必中の投げナイフ、厄介だな。対処法としては磁力で引かれないほど深く何かに突き刺すかナイフ自体を破壊するかか。

試しに左肩に刺さったナイフを抜きカットラスで斬る。

 

「これは・・・なるほど安易に破壊されない様に頑丈に作っているのか」

 

「勿論、お前だとある程度意識を集中してないと斬れないくらいか。軽くてもそこそこ硬いライトメタル+『固定化』の魔法で耐久度が上がている。さて、今度は乱れ撃ちだどう対処する?」

 

男が言った通りまた同じナイフを投げて来るが先ほどよりも数倍数は多くまた移動しながら投げて来るため多角的にナイフが飛んで来る。

流石にこの量はカットラスとバックラーだけでは捌けん、仕方ないが魔法も使うか。

 

「魔法は武術ほど得意ではないのだがな!『ファイアーアロー』!」

 

3方向から来るナイフ群をカットラス、バックラー、そして数を出せるファイヤーアローで迎撃する。カットラスはナイフを斬り、バックラーは弾くのではなく受け止めてナイフを突き立てさせ、MPをつぎ込んでファイアーアローの数を増やし温度を上げてナイフを融解させる。

 

「流石に数本は通すな!だが急所は守って・・・やはり仕掛けて来るか!」

 

「ほぼ迎撃されている上に行動読まれてるか。というか平然と武器を操りながら魔法を並列思考で発動してんじゃね!!」

 

「仕方あるまい、これが私が歴戦個体と言われる由縁だ」

 

ナイフを処理しているとその隙を突く様に男が接近して来た。

武器と魔法を同時に行う並列思考は一般的には高等技能扱いされているから上位種とは言えリザードマンが行えるなど思わないだろうから致し方ない。

因みにこの技術はスキルではない、正確に言えばこの技術関係のスキルは存在するがそれを修得する為にはまずは技術としてこの並列思考が出来るようになり、他のスキル同様経験を積むことで初めて修得することが出来る。

残念だが私は魔法が少し苦手なこともあり、まだスキルは修得出来ていない。

実際私の並列思考は現状足をほぼ止めている状態で無ければ行えなかったりとまだまだ未熟なのだ。そして何故上位種とはいえリザードマン如きの私がこの技術を修得しているのかというと歴戦個体になったときに獲得した能力によるものだ。

 

歴戦赤蜥蜴人の学習

歴戦のレッドリザードの固有スキル。

スキル所有者の学習能力向上、戦闘技能に関することに限り更に学習能力大幅向上。

 

私の知識欲をそのまま表したようなスキルだ。恐らく他の歴戦個体の方がもっと派手なスキルを持っているだろうが私はこのスキルを気にいっている。

剣術、盾術、並列思考と今の私の強さの基礎となる技術の修得に大きく寄与してくれているからだ。だが恐らく目の前の男と私は相性が悪い。

 

「ならやっぱこういう手段で行くか!!」

 

私が全てのナイフを処理したときには既に男は剣の間合いに入っていた。

恐らく腰の剣を今度こそ抜くのだろう。カットラスとバックラーの防御は間に合わないが男が私の魔法による対応が予想外なら後方に下がって回避する時間はあるが・・・。

 

「がは!?・・・やはりそれも魔道具か」

 

「そりゃ投げナイフが魔道具なのにメインウェポンが魔道具じゃない道理はないだろ?」

 

確かに私は男の剣、刃渡的に小剣を躱した・・・しかし胸にハッキリと刃物による傷跡が出来ている。恐らくあの剣にカラクリがあるのだろうが・・・なるほど。

 

「眼には見えない刃・・・刀身に真空の刃を纏わせているのか!?」

 

「何で初見で分かるんです(白目)?」

 

「・・・嘗て戦った『カマイタチ』という魔物が同じような刃を飛ばして来たのを思い出しただけだ」

 

「こ、この世界にも鎌鼬っているのか!?」

 

男は悔しそうにしているが文句を言いたいのはこちらだ。

あの男が魔道具を繰り出す為に新たな対応方法を考えなければならないし、私の強みは固有スキルに後押しされた高い学習能力だが次々と手を変えられれば学習が進まないことに加え初見殺しに対してはほぼ役に立たない。

そして一番の問題なのは学習した所で守りによる対処は出来ても学習した内容だけでは攻めることが厳しい、私の今までの攻め方は相手の戦闘技術を学習し、それを取り入れつつそれの弱点や死角となる所を探し出しそこを突いていくという戦法だ。しかし私が学習で修得出来るのはあくまで技術。

他者のスキルや魔道具の力を学習して修得するなんて反則染みたことは出来ない。その為そういったものを主軸に攻められると技術として取り込むことが出来ないので弱点を探るのにどうしても時間が掛かってしまう。

そしてこの男はその間に新たな手を打ってくるので今探している弱点が意味の無いものに変わってしまう。

 

「なら威力も比べて見ろ!」

 

「く、今度は一時的な脚力上昇か!」

 

「おうよ、ステータス上昇系の魔道具も装備しているからそれらの合わせ技よ!」

 

私との距離を詰める為に男が接近するが明らかに今までより速度が速い!早速次の手か、恐らく男の靴や装飾品も魔道具だったのだろう。

躱す時間がない為バックラーで防御するがこの盾は軽くて取り回しが言い代わりに純粋な盾としての性能は低めだ。

 

「バックラー程度叩き切れるわ!」

 

「ぐううう!!」

 

バックラーは真っ二つに斬られ装備していた左腕も負傷してしまった。

カットラスで迎撃したいが相手の小剣の正確な間合いが掴めないのが痛い・・・少々きついが仕方あるまい。男が新たな手を打つ前に数合打ち合えるかが勝負!

 

「舐めるな!!」

 

「全然舐めてないんですけど!?」

 

一合、二合、三合と打ち合うが間合いを測り切れていないのでどうしても小剣によるダメージを負ってしまう・・・だがその甲斐はあった!

 

「急に当たらなくなったんですけど!?」

 

「その小剣の間合いは見切った!」

 

「はぁ!?数合打ち合っただけ何で分かるんだよ!」

 

「足運びだ」

 

「足!?」

 

「打ち合い時の足運びは主に自身の武器の間合い調整の意味合いが強い、ならば実際に撃ち合った感触と傷を受けた場所と角度、傷付き方と合わせて計算すれば男の武器の本当の間合いが割り出せるのは当然!」

 

「えぇ・・・」

 

男は露骨は引いている。今回の戦いはあまり学習出来ないと思っていたがこのやり方を学習することが出来たので無駄では無かった。

純粋な剣術では私の方が上な以上互いに至近距離にいるこの状況は私が優位。

確実に躱し、カウンターで勝負を決める!

 

「ここだ!もら「伸びろ(・・・)エアロエッジ!!」・・・こ、これは・・・真空の刃が伸びた・・・だと!?」

 

躱した刃が急激に伸び私の右肩に突き刺さった。刃は見えないが明らかに間合いが伸びていた。

 

「原理としては単純だ。ゴブリン達を吹っ飛ばした魔石手榴弾にやったように魔石に細工したんだよ。魔石の中の魔力が切れていない状態で魔力を注ぎ込むとそれを真空の刃の生成に回す様にして真空の刃が伸びるような!」

 

「魔石そのものに手を加えただと!?」

 

「あ、この技法って一般的じゃないんだ。まぁそこは良いとしてこれで左腕、右腕は動かせん。どうせお前の事だから足技も使えるのだろうが、雷より早いということはないだろう・・・ないよね?」

 

そう言ってあの男は自身の周りに『サンダーアロー』を展開し、更に懐からダガー型の雷属性の魔剣を取り出す。

男の言う通り足技も使うが流石に雷の速さを超えることは出来ない。

 

「そんなものがあるならもっと早く使えば楽だったのではないか?」

 

「いやお前みたいな学習能力が高い奴なら自分の弱点くらい対策立ててるだろ。手札だけ見せるのはごめんだし、今みたいに対策を実行出来ないくらいに弱らせないと」

 

「なるほど、近接戦に拘ったのが仇となったか」

 

「まぁエアロエッジにビビって距離開けたらバックラー無いし、今度こそ遠距離ですり潰すつもりだったから正解ちゃ正解だけどな」

 

「そうか・・・見事だ人の子よ。魔道具であろうがお前の力に変わりない、我が身体好きに使え」

 

戦った印象からして魔道具を作ったのは男自身なのだろう。

普通故郷を飛び出した果てが死後とはいえ身体を道具にされる結末など物語で言う所のバッドエンドなのだろうが自然と悪い気は起きない。

 

「え、いいの?」

 

「言葉だけで言えばおかしなことを言っている自覚はある。だが故郷に留まったままより満足しているのだ。理解は・・・しない方がいいだろうがな」

 

「そういうもんか・・・分かったならお前はこの俺のものだ『テイム』」

 

「は?」

 

「え?」

 

私に主従の契約を結ぶ『テイム』の魔法が掛かる。基本的にこの魔法はレベル的に格上の者に掛けても確実に失敗するのだが掛けられる側が了承していれば強さに関係無く成功する仕様だ。

そして先程私は男にこの身を捧げたので了承したと判断されたのかあっさりテイムされてしまった。

 

「な、貴様私を魔道具にするのではないのか!?」

 

「え、『レッドリザ―ドマンがおきあがりなかまになりたそうになりたそうにこちらをみている!』っていう展開じゃないの!?というか自分から魔道具になりに行く魔物とか予想できるか!!」

 

互いに致命的な勘違いをしていたようでしばらく言い争いになった・・・今思い返してみると正直私の言動の方がおかしい気がするが・・・まぁもう過ぎたことだ。

その後なんだかんだでリュウコ村にも受け入れられたことで件の人間の男ことスティーブン・クラフトに仕えることになった訳だ。

 

 

 

 

「あとはお前達も知っている通りだろう」

 

「はぇーあのとき兄ちゃんにそんなことが。急に蜥蜴の姉ちゃん(・・・・・)連れて来た時はびっくりしたなー」

 

「というか本来ならそのまま排斥されるところだろうに『テイムしたから!』の説明で納得して受け入れたこの村が相当おかしいのだが」

 

「「「「戦力をえり好み出来る程余裕ないからね!」」」」

 

「・・・そうだったな」

 

あれから二年ほど経ち今は数日後に迫った公爵領への出発の日に備えて準備をしていたのだが、旅立つ前に私と彼らの兄貴分との馴れ初めを知りたがったので教えたのだ。

 

「王都で集まる人達もいるけど直接公爵様の領地に行くんだっけ?」

 

「ここからだと王都より田舎の公爵領の方が近いからな。王都にもいずれ行ってみたいそうだが店を立てる以上いい土地は早めに抑えて置くのに越したことはない」

 

それに私がいたら面倒事が起こりそうだからな。『縮小』の魔法を使うか、『認識阻害の外套』という魔道具を使えば大丈夫だとは思うが。

 

「そうですね。でもご実家の店からのれん分けさせてもらえてよかったですね!」

 

「そもそも両親側も一度は辺境の外に出すつもりだったそうだからそれほど揉めなかったのはこちらとしても助かった」

 

偶には帰って来いと言われたが・・・何年後の話になるのかは分からんな。

寧ろこいつらが成長して私達の後を追っかける方が早いのでは?とも思う。

む、この気配は・・・。

 

「あ、こんな所に居たのか"紅玉"。亀吉に乗せる物品の梱包を手伝ってくれ、一人じゃ時間が掛かるわ」

 

紅玉、それが今まで名無しだった私の固有名詞となった。

因みに亀吉は一年ほど前にテイムしたウッドタートルのことだ。

木の実が取れるし荷物運びもしてくれる働き者。とはいえ本人は本当は鈍足なのに専用に作られた速度上昇の系の魔道具のお陰でそこそこ早く走れるのが好きなだけだったりするのだが。

 

「主か、分かった。それでは私は行くぞ」

 

「「「「蜥蜴の姉ちゃん(さん)ありがとうー!」」」」

 

子供達に見送られながら主人と共に帰宅する。あと数日後には出発か二年前に聞いてからあっという間の日々だったな。

 

「お、その顔。公爵領が楽しみか?」

 

「顔に出ていたか、まぁ期待はしている。あのときのこともあるしな」

 

「なら良かった!」

 

己が主の笑顔があのときの笑顔と重なる。本来格下であるはずの私が彼を主人と仰ぐのは彼に負けたからだけではない。あのとき彼が言った一言が最大の要因だ。

 

『お前の高い学習能力とお前をギリギリ負かした俺の魔道具を掛け合わせたらどこまで行けるのかめっちゃ気になるんだよ!お前も自分がどこまで行けるか知りたくないか?』

 

知識欲が人より大きい私がこんな事を言われて首を横に振ることなど出来なかった。

 

「そうそうお前の魔道具装備の更新が終わったから後で確認して置いてくれ!」

 

「出発前に終わらせられたか。感謝する後で是非確認させて頂こう!」

 

数日後村の皆から送り出された私達は亀吉の背中に乗りながらおよそ一月掛けて公爵領に到着したのだった。

なお平然と魔石手榴弾とかいう危険物が店頭に並んでいたりするので手にするときはどうかご注意を、うっかりピンを抜いても我ら『クラフト工房』は一切の責任を負いかねますので。

 

村出発時のレベル

スティーブン・クラフト Lv30

紅玉 Lv42

亀吉 Lv25




読了ありがとうございます!公爵領に付いた時期は割と初期くらいです。次回はお店が立って少しした所からですね、磁力の刃も店頭に並んでいますしオーダーメイドも受け付けています。

※歴戦個体についての捕捉
本家様で書かれている通り勇者の血を与えれば魔物の成長は促進されますが、それを起こった魔物が条件を満たしても歴戦個体となることはありません。
自身の力で成し遂げることが重要なので。ただ歴戦個体となったあとに血を与えても歴戦の称号は無くならず成長促進効果もそのまま受けられます。
スティーブンも特に本編で言及していませんが紅玉と亀吉に自身の血を与えたりしています。
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