テイムした魔物達を魔道具で武装させることにした俺達の話   作:電脳図書館

7 / 9
第七話になります!構成の初期に想定していた話より、はるかに壮大になることって割とよくあるんですけど他の作者様もそうなんですかね?


分霊転生

どうも皆さんスティーブンです。前回よりまた日が立ち、この領も更に賑わいダンジョン納税者ランキング、鉄道開通、大皇帝の赤ちゃん達が生まれたりなど祝い事が続いている。俺の場合ランキングは戦闘と生産の二足の草鞋ということと、ダンジョン内の素材は大体魔道具作りに使用したりしているので、それほど多く税を払っていないので順位的には中の上か上の下辺りにランクインしていた。

 

鉄道にもこの領の魔道具関係の第一人者の一人として、そこそこ関わったりして魔力の燃費を改善してたし、この前大皇帝に赤ちゃん誕生のお祝いとして魔道具のオルゴール(クラシックの楽団レベルの音楽が流れる)や飛び出す絵本3D(魔法的技術で本を開くとホログラムが浮かび上がり、登場人物や背景が動く)など贈ったりとお店とダンジョン探索も合わせるとそれなりに忙しかった・・・何かまた側室三人を孕ませたらしいが贈り物を送るこちらの身にもなって欲しい。

 

「ではヒムラー様の様に私を孕ま「はい、そこ黙れ!紅玉こいつを見張っとけよ!」こ、こいつ呼ばわり!?」

 

「毎晩主の寝室に突撃して、安眠を妨害されていたらそういう扱いにもなろうよ。私が何度助けに向かったことか」

 

「そういう貴女も被害者面していますが、警備上の理由として寝室をスティーブンと同室にしましたよね?私のことを利用して自分の利益にしてますよね?」

 

「・・・何のことだ?これは警備上必要な措置だ」

 

「最初の沈黙はなんですか?」

 

「この光景も見慣れたな」

 

俺にアプローチしてくるモルガンを紅玉がブロックするいつもの光景を軽く流すと、儀式の最終チェックを済ませる。色々忙しかったがそれと並行して、モルガンから魔女の魔法を叩き込められた。俺の家に伝わる錬金術と似ている部分も多々あった通り、うちの技術には元を辿れば魔女の魔法に繋がるのだろう。

 

「じゃれ合いもいいがきちんと採点してくれよ?」

 

「それは勿論。貴方の師ですから」

 

今からやる儀式は言わばモルガンから教えられたことの総ざらいのテストのようなもの。

魔女の魔法を用いての新たな魔法の開発を行ったので、その採点をして貰うのだ。

 

「それにしてもホムクルスの素体(・・)を用いるのか?」

 

「ホムンクルスを『俺達』全員に配備するらしいからな。俺にも回って来たんだが折角だし、素体だけ貰ったんだ。既に色々俺流に弄ってるしな」

 

「魔法陣の中心の台座にホムンクルスの素体を置くのは分かりますが、その目の前にある結晶体は?」

 

「6層で琥珀や骨が手に入ったろ?これはその琥珀もしくは同一の個体の骨を集めて、残留している魔力やDNA情報を抽出して濃縮、結晶化させたものだ。因みに骨はある程度の大きさなものがあれば一個でも構わない。単純に魔力やDNA情報を一定量取れればいいだけだからな・・・名前決めて無かったか、まぁ『DNA結晶』とでもして置くか」

 

「錬金術の応用か・・・前から錬金術を使った魔道具は売っても、錬金術だけで作り出した物は売っていないが理由はあるのか?」

 

「勿論、簡単に言えば住み分けだな」

 

前世の様に職人の専業化が進んだ時代なら兎も角それより昔になると、一定以上の力量を持った職人は、自分の仕事に使う道具を市販の物ではなく自作していたのだそうだ。

職人の腕によってはそれらの道具を専門に作っている職人達以上の質の物を作ってしまう者もいたそうだが、もしその道具を販売すればそれらの販売で利益を得ていた職人達の本業を奪ってしまう。

 

しかし本業でない以上需要を満たすことなど不可能だし、市販される道具を作る職人を減らしてしまえば並みの職人達の仕事がやりにくくなるし、新たに職人になろうとする者達へのハードルを上げてしまい結果的に門戸が狭くなり、職人業界全体の先細りに繋がってしまうので、職人間の不文律として自身の専門以外の品を販売しないことになっているのだ。これらは錬金術と錬金術師にも通じることだろう。

 

「なるほど合点が行ったぞ」

 

「それじゃ儀式を始めよう」

 

二人を過ごし下がらせ、両手を祈るように前方で組み詠唱を始める。今回の儀式は慎重にやらなければならないのでフル詠唱だ。

 

『冥途に旅立ちし魂からこぼれ出たものよ。存在の証に宿る魂の一欠けらよ。我が生命力を糧にし、依代に宿り今一度現世に再誕せよ!』

 

一呼吸置くと、両手の構えを解き片手を魔法陣へと叩きつけとそこから自分の生命力が魔法陣に流れていく。

 

『分霊転生!!』

 

結晶が光に変わりホムンクルスの素体に注がれる。そして少し経つと一人でに起き上がる。

 

「・・・奇妙なものですね。初対面でも貴方のことを知っているというのは」

 

「ふむ、その分だと基礎情報のインプットは問題無いな」

 

「どういうことだ主よ?」

 

「・・・」

 

ホムンクルスの素体だった女性が喋りだしたことに紅玉は困惑し、恐らく全てを悟ったであろうモルガンは何故か唖然としている。

 

「私のことよりまずはこの儀式のことを話した方がいいかと」

 

「ああ、そうだな詳しく話そう」

 

この分霊転生は琥珀や化石レベルの骨をどう利用しようかと考え、大皇帝の勇者召喚にインスピレーションを刺激され、前世の某忍者漫画の穢土転生を参考に生み出した儀式を前提とした魔法だ。

この儀式には事前準備が肝心で、魔法陣、DNA結晶、依代を用意しなければならない。

DNA結晶は琥珀や骨に残像する魔力とDNA情報を濃縮、結晶化させたものと言ったがその過程でそれに宿る残留思念、魂の一部と言えるものまでDNA結晶に含まれている。

この魔法はそれらを依代に注入、定着化させホムンクルスの様な人工的な魂を構築し、DNA結晶の元になった存在を新たな魔物として転生させるものだ。

 

一見シンプルな儀式に思えるが当然そんな訳がない。ただDNA結晶を依代に定着させるだけでは、魂を構築て来ても身体を動かしたり、魂を維持するエネルギーがないので何もできず霧散してしまう。

ここで魔女の魔法の出番となる。魔女の魔法の中には、自身の生命力を他者に分け与える秘術が存在する。これの魔力版は使える人物は少なくとも魔法使いなら割と知られているのだが、例え人類が使う魔法でこの魔法と同効果を作ったとしても魔力では、無く生命力を分け与える行為は自身の命を分け与えることに等しく、本来なら分け与える生命力の量に気を配ってキチンと休息を取れば減った分も後遺症無く回復出来ると知っていても生命維持の本能が働き上手く発動出来ないらしい。

 

魔女達は自身の魔石から供給させる魔力も生きる糧に出来るからかその本能が俺達人間より薄いので行使出来るらしい。え、お前に魔石はないだろって?俺の場合は魔女の魔法への深い理解と転生者故に一度"死"という概念を知っているので、生命力がどの程度減少すれば死に至ることを本能的に判別できるので、リミッターである生命維持の本能が働き難いのだそうだ。

この理論的に転生者なら出来そうだが、そもそも魔女の血を継ぐ俺にしか今の所魔女以外で魔女の魔法を行使出来ないので無理だそうだ・・・魔女達との次世代に期待と言った所だな。

 

そしてここまで言えば分かると思うが、身体を動かしたり、魂を維持するエネルギーとは生命力の事を言うのでそれを術者が分け与える必要がある。生命活動開始後は他の生物と同じ手段で生命力を産み出し循環させることが可能だ。因みにこの領や人物などの基礎情報のインプットはこの生命力の譲渡時に、術者の持つ情報の一部を生命力ごと送ることで、人工の魂にインプットしているのだ。

 

某忍者漫画の穢土転生を参考にしたと言ったが、依代に生きている生物を使用しない、いや使用出来ないなど差異はある。使用出来ないには元々魂がある存在に使用しても所詮は魂の一部を内包した程度のDNA結晶体では負けてしまい、無理に注入して魂が混ざり合い発狂する確率が、高く悲劇的な未来しか望めないからだ。其の為依代としてベストなのは、魂の無い生きている身体になるのだがそれを一番満たすのが、起動前のホムンクルスの素体となる訳だ。その代わり人間や人型の魔物だけでは無く、全く種族が異なり、人型でもない存在でも人型魔物として、転生可能になるのだ。

 

「まぁざっとこんな所だ。曲りなりにも魂が関わる儀式だから『俺達』の中でも俺が信頼できる奴らにしか実際にやらないけどな。それ以外にも琥珀と骨を通常よりも高く買い取るくらいはするけど」

 

「な、なるほど・・・色々な意味で凄まじいな」

 

「・・・一部ということは本来の魂自体は冥界に依然としてあるのですね?」

 

「ああ、冥界から魂持っていくとか、ヒムラー公爵が使う召喚魔法くらいだろ」

 

『俺達』に分かりやすく言えば某ノベルゲーの英霊とサーヴァントの関係に似ているだろう。

生前とは別物になっているので、本体からの干渉は余りないし、そもそも魂に干渉出来る存在は死者でも少ないしな。

 

「不思議ですね、勝手に蘇らせられたのに貴方に敵意を持てない。自動的に貴方にテイムされているだけではないですよね?」

 

「素体となったホムンクルスは使役者に絶対服従、奉仕精神にあふれるように作られているからだろうな。俺も単純に依代の適正だけじゃなくて安全性でも選んでるし。性能も色々弄ってるがな・・・特にメドゥーサなら尚の事だ」

 

「!?ではやはり!」

 

「ああ、お前の『石化の魔眼』はもう自由に使えるはずさ」

 

彼女の前世はメドゥーサという魔物だ。メドゥーサは種類は様々だが、例外なく魔眼を持つ強力な種族という魔物だ。しかし強力故完全にコントロールすることが出来ず普段は布などで顔を隠している。

だが、俺はホムンクルスの眼を弄ることで、その問題を解決した。

 

「それは、ありがとうございます」

 

「前世は、それで暴れていたのではないか?」

 

「・・・」

 

「紅玉さん、メドゥーサは他の魔物と勝手が違うのです」

 

「メドゥーサは、人から堕ちた魔物なんだ」

 

「な!?」

 

紅玉が目を見開きメドゥーサを見る。メドゥーサは全員女性という共通点はあるが魔物に堕ちた理由はさまざまだ。

 

「それは済まなかったな」

 

「いえ、当然の反応です。それに人間だった頃の記憶はほぼ曖昧ですし」

 

「残留思念だから、どうしても記憶の欠落や能力の劣化は避けられん。実際メドゥーサ時代よりもレベルは下がっているから魔眼が弱体化しない様に手を加えた訳だしな・・・さて、メドゥーサこれから働いて貰うぞ」

 

「怪物でも構わないのでし・・・たら」

 

部屋に遭った鏡で、自分の姿を見たときメドゥーサは固まってしまう。

 

「まるで人間だった頃のままの姿だったか?」

 

「これは・・・」

 

「メドゥーサに堕ちた者が、醜悪な姿に変わるのは文献で見たからな。当然元の姿の方いいだろ?まぁ『蛇化』のスキルで、蛇や半蛇にはなれるだろうが」

 

俺の説明が終わった後メドゥーサは膝を尽き、首を垂れる。

 

「お願いします!どうかこの儀式を上姉様、下姉様にして欲しいのです!!その代わり私はどんなことで消費しても構いません!!」

 

「というと?」

 

ステンノ、エウリュアレ・・・メドゥーサは双子の姉達の名前を憶えていた。記憶の欠損があろうと家族である姉達のことは忘れなかったようだ。自分の本名は忘れたそうだが、それほど思っている相手なのだろう。

 

魔眼を制御しただけでは無く、醜くなっていた姿を人間の頃の姿に戻れるのであれば、初対面の相手だろうと懸命に頭を下げて、姉達のことを頼んだとしても不思議じゃない。

 

「私が姉様達より前に死んだので確実なことは言えませんが、恐らく私が埋まっていた階層に私同様埋まっているはずです!どうか、どうか姉様達にも慈悲を「慈悲を与えたつもりはない」・・・!」

 

「だってそれホムンクルスの素体を後二体もいるだろ?DNA結晶なども含めて採算が合わない」

 

「・・・っ!」

 

単純な採算以外にも一度に複数のホムンクルスを購入すれば素体とは言え、恨みも買いかねない。

普通なら断るのが正しい。

 

「だが、俺は魔物相手でも契約は大切にしているつもりだ」

 

「紅玉には自身の努力と俺の作った装備を合わせればどこまで行けるか、モルガンには家族(親類的な意味で)となること、亀吉は毎日三食昼寝付きの生活、コロコロ鳥達は安全な繁殖場と餌場による一族の繁栄とかな?だから」

 

この部屋でカバーが掛かっていた一角のカバーを取ると、そこにはちょうど人一人入りそうな保存用の箱が二つ置かれていた。

 

「主、これは」

 

「なるほど、だから貴方の懐から先程転生に使ったDNA結晶に似た魔力の反応が二つ感じられたのですね」

 

「まぁこれ用意するのに幾つか経緯費以外ほぼノーギャラの仕事や研究の手伝い、あと転生させた個体の情報を定期的に共有するように言われて、面倒だったけどな」

 

「あ、貴方は・・・何故?」

 

「さっき言っただろう。これは契約だ。他の奴らの願いを聞き入れたのにお前の願いを聞き入れない理由はないだろう?」

 

懐から色は多少ことなるが、ほぼ同じ魔力の本能をするDNA結晶体を二つ懐から取り出す。

 

「契約だメドゥーサ。俺の為に働け・・・これを了承するなら俺はお前の願いを聞き届けよう。例えばそれが厳密には本人でない、残滓の願いだとしても」

 

「あ・・・姉様は了承して下さるでしょうか?生死の概念を歪めてまでも、本人ではない私が、本人ではない姉様を取り戻そうとすることを」

 

「さぁ?まぁ確かに何の思い入れが無い奴が、願ったら気持ち悪くてしょうがないだろうが」

 

一拍の間を作って、俺は彼女達を発掘した状況を思い出した。

 

「思い入れの無い奴の隣を自分が果てる場所に選ばないだろ?普通。ダメだったら謝って怒られればいい、兄弟姉妹ってそういうもんだしな」

 

「・・・そ、そうです、ね・・・ああ・・・上姉様、下姉様・・・!」

 

その後は語るまでもないだろう。こちらの想定よりも二人の儀式を執り行うまで、少し時間が掛かったくらいしか特筆することはない。叶えた願いもごくごく普通な平凡なものだったのだから。

 

 

 

「「あ、それなら私達の願いは『私達もダンジョン攻略の仲間に入れなさい』にするわね?」」

 

「「え゛」」

 

なお上姉様と下姉様は割と容赦なかったです。メドゥーサ(本人曰くこの名前は戒めらしい)、お前良くこの姉達相手に一番下の妹やれてたよな?尊敬するよ本当に。

 

 

あ、テストの結果は評価規格外だそうです。どうして(宇宙猫)???




読了ありがとうございます!おかしい、俺は精々カセキホリダーや武器に元の魔物の能力付加!とかを書く予定だったのに何でこうなったんだろう・・・因みにテストの評価が何故ああなったのかという理由としましては、本編でも出て来た某忍者漫画に例えると

「口寄せの術を教えてやるからあとは自力で修練するのだぞナ◯ト!」

「任せとけってばよ!エ◯仙人!よし、やってやら!!」

【少し時間が経過】

「くく、さてそろそろ口寄せの術も出来るようになったかナル◯!」

「応!口寄せの術を発展させて、死んだ人間を甦らす穢土転生ってすげー忍術を開発したってばよ!まだ改良の余地はあるけど、取り敢えずはこれで課題は達成でいいよな◯ロ仙人!!」

「(゚Д゚;)」

という感じになるからですね(白目)。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。