異世界から召喚した悪役令嬢?のお嬢様をメ○堕ちさせるだけの話 作:白樺の木
今年もこの季節がやってきたとばかりに、お馴染みのソングが耳を通り抜ける。この曲を聴くとクリスマスがやってきたんだなと実感する。
ちなみに巷で噂されているのはサンタクロースの正体である。たった一日の夜にだけ姿を現して世界中の子供達の好みを完全理解し、プレゼントを渡す。白髪で白髭を蓄えた赤服でガタイの良いお爺さんで目立つ筈なのにその日以外は全く噂にならない。SNSが世界に浸透しているのにサンタのオフの姿は全く目撃ないのだ。
それで俺は考えた。サンタが目撃されない理由は……普段は別の仕事をしてるからでは無いかと。思えば、たった一日だけ子供達にプレゼントを配るだけで一年間楽に暮らせるぐらいお金が稼げる訳が無い。配達業を仕事にしてる人達に一年間サンドバッグにされても良いレベルだ。
だったら普段は何の仕事をしているか。まぁ、白髪で白髭でガタイの良いお爺さんが出来る仕事。もしかしたら変装をしてる可能性もあるかも。眼鏡をしているかもしれない。
そう考えてみると似た様な人がいた。外見が一致していて尚且つ、結構儲かっていて名前も似ている。
もうお分かりですよね?あのフライドチキンの人です。もしかしたらサンタは貴方の近くで普段はチキンを揚げているかもしれない。
……こんなもんで良いか、前振りは。今日はクリスマスだ。誰が何と言おうとも。街もクリスマス色に染まっている。そうなってしまえば今日食べる物は決まっている様な物だ。フライドチキン以外あり得ないって言う風潮が日本には根付いている。
クリスマスにはチキン。何の根拠も無いのに、いつの間にか根付いている。まあ流されやすい人がいるからって言うのが答えなんだろうな。因みに漏れずに、俺もその中の一人だ。色々ゴチャゴチャ言って悪態つきながら、小さいクリスマスツリー飾ってチキンを食べるのが毎年の俺のクリスマスだった。あ、後勿論クリスマスはいつも仕事だったから仕事の帰りに店でチキンを買うのがいつもだった。
「いらっしゃいませ!ご注文を」
「……このニンニクの奴をください」
「畏まりました。何ピースにいたしますか?」
「よ、……6でお願いします」
「畏まりました。お会計は……」
「ありがとうございました!」
仕事は?って休みだよ。やってられっか仕事なんか。それよりチキンだ。チキンが冷える前に家に帰るか。
『お、帰ったか。お帰り』
「おかえりなさい!」
帰れば、二人の美少女が当たり前の様に家にいて、出迎えをしてくれる日常っておかしいよな。まるでハーレム物のラノベだ。
まあ、そんな事を気にしていたらチキンが冷めてしまう。俺はリビングのテーブルにチキンを置いておく。
『な、何ですか、これ箱にお爺さんが!見てくださいクルお姉様』
『ああ、芸術品の様だ、きっと有名な人なんだろうな』
そんな会話を聴きながら、自分の部屋で動きやすい服に着替える。やっぱり私服が一番。
「まあ有名っちゃあ有名だな。んじゃ開けるぞ」
箱を開けて、チキン達を出していく。うおっ、独特な匂い。しかも今回はやばい!ニンニクの匂いが部屋中に充満している。吸血鬼を倒す結界みたいのを貼られた?ってぐらい臭い。
まあ、まずはいつものチキンから食べてみるか。久々だからどんな味か確認しよう。
俺はチキンを一つ掴む。油が凄いな、美味そう。一口頬張れば、ジューシーな肉と油が激しく自己主張してくる。さながら、久しぶりに会った親戚の離してくれない会話と似ている。それなのに優しい柔らかさ。歯でちゃんと切れてパサパサしてない。やっぱり美味しいな。変わらない美味しさだ。
『お肉が柔らかくて美味しいです、この間食べたユーリンチーとも違いますがどちらも美味しいですね』
『確かに美味いが、手が汚れやすいな。何と言うか……』
「あーそっか。ごめん、そう言う配慮が足りて無かったな。取り敢えずフキンで骨を覆えばベタつかない筈だ」
箱に入っていたフキンをクロちゃんに渡す。
『おおっ……悪いな。文句みたいな事を言ってしまって、せっかく買って来てくれたのに』
申し訳無さそうな顔をしながら、受け取るクロちゃんに俺は気にするなと返す。いつも俺が好きな物を買ってくるだけだから、申し訳無いのはこっちだ。
なんか複雑な気持ちになってしまったので、気持ちを変える為にポテトを食べる。少し太めのポテトが芋を感じさせてくれる。
よし、ニンニク行こう。気持ちを切り替えて、色が濃いチキンを一本掴む。通常のに比べて色が濃い。と言う事は味も濃い。思わず笑みが溢れる。きっと美味いんだろうなぁ。
そして脳内を空っぽにして、何も考えずにチキンに齧り付く。瞬間、鼻を通り過ぎたのはニンニク、そして豆板醤。のダブルパンチ。先程のが自己主張だとしたら今回は自己アピール。いや事故アピールだ。トラックに吹っ飛ばされたかの様なインパクトで強すぎる。ただ味が濃いだけじゃない、ずっと味わっていたいと言う束縛感が強い。後喉が渇く。
満足感が凄い、凄い美味い。そこで思った。そう言えば……。
「なぁ、お嬢様」
『んっ、ゴクン。はい?』
飲み込んでこっちを見たお嬢様に俺はふと思った事をぶつけた。
「Vtuber……。アニメになったら何がしたいとかあるのか?」
『何か……』
「そうだ。やるなら多くの人に見て貰いたいって人が多い。それに見て貰えないと稼げないからな」
『えっ!?できたら勝手に見てくれるんじゃないんですか?』
「見てくれない。魅力的なアバター、オリジナリティ溢れたその子だけの武器が無きゃファンは付かない。だから、食レポなんかどうだ?」
『食レポ?』
不思議そうな顔をしているお嬢様に俺は詳しく説明をした。