異世界から召喚した悪役令嬢?のお嬢様をメ○堕ちさせるだけの話   作:白樺の木

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5話

 

寒い。

 

ついこの間ハロウィンだ!と騒いでいたのが嘘みたいな寒さがやってきた。この寒さはおかしい。思わず布団を追加で出したのは良いが、逆に自分の首を絞めてしまった。

 

暖かすぎて出たくない。そんな中目覚ましは鳴るし、お嬢は来る。

 

『ほら、時間ですよ』

 

知りません、休みます。外出たくないし。

 

『外出ないとご飯ないですよ』

 

今の時代便利だから頼めば来るよ。

 

『それにはお金が無いとですよね?今日なんか言ってませんでしたっけ』

 

……何か。

 

そう言われて、起きた手の脳みそに早残業をさせる。可哀想、サービス残業だよ。

 

 

 

 

「はっ!今日、給料日じゃん!」

 

俺のスパコンがそれを導き出すのに数分かかってしまったが、しょうがない。どんなコンピューターだって起動するのには時間がかかるモノだし。

 

そして悲しいお知らせだ。どうやら俺は外へ出なければいけないらしい。更に最悪な事に休む選択肢も不可能だ。最近、全員取り憑かれた様に残業しているあの会社で休むなんて言えば何が起こるか。

 

明日行ったら席が無くなってるかもしれない。まだそれで済めば良い方だ。下手したら首も飛ぶかもしれない、恐ろしい。恐ろしいついでに一つ言わせて貰えば、この時間の間に俺は布団から引っ張り出されていた。成人男性の体重を引っ張るパワー、恐ろしい。

 

「はぁ……」

 

半ば諦めながら何かか無いか、脳内スパコンで答えを探るも成果は乏しい。終いにはショートしてしまった。型落ちした二十年代物のパソコンに富岳の代用は無茶が過ぎた様である。

 

『時間、大丈夫ですか?』

 

時計を見ると何故か遅刻ギリギリになっていた。はぁ、分かりましたよ。

 

渋々起き上がり、パパッと着替える。さあて、今日は何食おうかなぁ寒いから温かい物、ラーメン……ちゃんぽんも良いなぁ。具沢山のちゃんぽん。スープをよく吸った野菜と一緒に……。あ〜ダメだ。

 

「逝ってきます」

 

『いってらっしゃい、お気をつけて』

 

玄関に立つ眠そうなお嬢は欠伸をしながら手を振る、小走りで駅まで向かう。ちょっとまずいかもな。急行があるとは言え……

 

急いでるからこそ、目の前の事に集中している筈だった。なのに、だからこそなのか。通勤ラッシュで皆忙しそうに走る中、人々が固まって立ち止まっているその場所は嫌に目を引いた。

 

それを見て、俺の直感が騒ぐ。関わるなと。人に言えない厄介ごとはもう間に合ってるだろと。だが、好奇心が騒ぐ。もしかしたら電車に何かあるのかもしれない。そしたら遅延届を貰って時間を潰せば良い。都合良く前向きに考える事にした。

 

 

 

 

 

『くっ……殺せ』

 

野次馬の隙間を抜い、覗くとその声と共に俺をいや俺達を睨む目が向けられる。

 

うわ、ダルッ。帰ろうかな。いや帰ってくれそっちが。

 

ダメだよこれ、絶対関わっちゃいけない人だって。しかも既視感あるしふざけんなよ、非日常は間に合ってるんだよ。自分から呼んだとはいえ、一人いれば良いんだよ。

 

俺はその思いを込めて野次馬に紛れながら、()()()()()()()()()()()()を睨み付けた。

 

が、それは失敗だった様で。

 

『ん?クンクン……この匂い。ニアの匂いだ!妹の匂いだ。何処だ?おい、お前から微かに(ニア)の匂いを感じる!おい、待てそこの!』

 

 

 

電車まじで遅延しねえかな。(ニア)って誰だ!知らねえぞ⁉︎

 

 

 

嫌な既視感がする騎士を無視し、電車に乗り込む。はぁ、朝から何なんだよ。マジで。いや絶対アレ。アレだよな、"異世界召喚の書"。

 

いや確かに言ったよ?女騎士呼びたいって。今?今来る?確かに呼んでもないタイミングで来るのあるけどさぁ。よく考えたら妹って……。いやいやまさか。なぁ?

 

仕事前なのにどっと疲れた。最悪な日だ、しかもまだ何も始まっていない。泣きたくなってきた。

 

 

 


 

 

 

 

案の定と言うか、最早何も言われず残業をした。まぁ、やりますけど?何とか二時間半で済まし家へと向かう。

 

途中の電車内、何食べようかなぁと考える。疲れ切った為、なるべく歩きたくない。コンビニのATMで金を下ろすついでになんか買って帰ろう。そのまま電車に揺られ、駅に着いた俺はそのままコンビニに向かい、自動ドアを抜けた。

 

そして何かが匂う。何だこれ……。不快な匂いじゃない、良い匂いだ。

 

一瞬何か分からずそう思った後、懐かしい気持ちになる。おでんだ。そうかもうそんな季節か。横にあった肉まんのショーケースを見ながらそう思う。

 

決まった、今日の夕飯。俺の胃袋と舌は完全におでんに染まっている。さぁ、何の具にしようかなっと。

 

あっ、その前に金下ろさないと。小銭しか無いんだった。出口近くのレジに向かう体をUターンさせ、奥のATMに向かった。

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