BanG Dream!短編置き場   作:桜花 如月

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を追い求めて。


『普通』

休日。

バンド練習も無く暇な一日を過ごそうとしていた私の携帯が鳴って出てみると七深ちゃんからで。

 

「もしもし七深ちゃん?どうしたの?」

『やっほ〜しろちゃん、突然だけどお出かけしない?』

「今ちょうど暇だったからいいよ、七深ちゃんの家に行けばいい?」

『うん、よろしく〜』

 

七深ちゃんからの呼び出しにすぐに応じて私は七深ちゃんの家へと向かった。

 

 

 

 

 

着くと七深ちゃんはいつも外出する時に着ている服を身にまとい家の前で待っていた。

 

「お待たせ……って、どこか出かけるの?」

「うん、しろちゃんと『普通』を探しに行きたいんだー」

「普通……?」

「とにかく出発〜」

「ちょっと、七深ちゃん!?」

 

普通、という単語は七深ちゃんがよく口にしている言葉で、いつもそれを探したりしている。

でも、急にわたしと2人で探しに行くと言われてもどこに行くのか全く分からないのに説明よりも先にどこかへ向けて歩き出していた。

 

凄くワクワクした顔で歩く七深ちゃんの横を歩いているとつくしちゃんがアルバイトをしている羽沢珈琲店へと辿り着いた。

 

今日はつくしちゃんもお休みみたいで、店員さんはつぐみさんとイヴさんの2人だけ。

店内に入った私たちに気づいたイヴさんが席まで案内してくれて注文も聞いてくれた。

 

「いらっしゃいませ!ブシドー……じゃなくてご注文をお聞きします!」

「えっと……私はカフェオレでお願いします」

「私もカフェオレでー」

「かしこまりました!すぐお持ちしますね!」

 

注文を聞いたイヴさんは伝票を持ちカウンターの方へ向かっていく。

すごい自然とお店に入ったけど、七深ちゃんの言う『普通』はどこにあるんだろう?

 

 

「しろちゃん、今私が探してるものがどこにあるかーって思った?」

「うん、そうだけど……」

「私的にはこうやってカフェに来るって行動が『普通』って感じするんだよねー、しろちゃんもそう思わない?」

「確かに……蘭さんとか、Afterglowの先輩たちとかよく来てるイメージあるよね」

「そうそう、女子高生と言えばカフェ!みたいな感じ、凄く『普通』だと思うんだ」

 

七深ちゃんの言ってること、少しわかる気がする。

月ノ森の生徒として、羽丘や花咲川みたいに普通の女子高生らしいことを(表向きに)制限されてる私達がこうやって楽しめるこの瞬間は『普通』っていうものを体験してる……のかもしれない。

 

カフェに入って友達とお話してコーヒーやカフェオレを飲む、それをやる当たり前だけど少し難しいことが楽しい。

 

「お待たせしました!」

「あ、ありがとうございま……あれ?ケーキ?」

「ツグミサンからのサービスです!」

「ありがとうございます〜」

 

カウンターの方を見るとつぐみさんがこっちに手を振っていた。

小さく会釈して手を合わせてケーキを食べ進める。

そんな途中、七深ちゃんが私の方を見ていることに気がついた。

 

「どうしたの?」

「しろちゃん、すごい美味しそうに食べるなーって」

「そ、そうかな?」

「うん、すごい幸せそうに食べてるよ」

「なんか、恥ずかしい……かな」

「そうなの?これも普通だと思ったんだけど……」

 

いきなりそんなことを言われてケーキと一緒に運ばれてきたカフェオレを飲んで気持ちを落ち着かせる。

呼吸を整えてからもう一度七深ちゃんが少し意地悪な顔をしてる気がする。

 

「ほ、ほら早く食べよ?」

「うん、他にも行きたいところあるからね〜」

 

そういうとケーキを食べてすごい幸せそうな顔をしてそれにつられて私も凄く幸せな気持ちになった。

 

 

その後も少しゆっくりした後お会計を済ませて次の目的地へと七深ちゃんが向かっていき、到着したのは羽沢珈琲店からしばらく歩いたところにあるショッピングモール。

 

「ここでお買い物しよ、しろちゃん」

「いいけど、何買うの?」

「それをその場で決めるのも醍醐味だーって聞いたよー?」

「そう……なのかな?」

 

誰に聞いたのか気になるけど……七深ちゃんが楽しそうなら、それでいいのかな。

 

 

ショッピングモールにはたくさんのお店があって、服屋さんとか靴屋さん、それから本屋さんに雑貨屋さん。

時計屋さんなんかは私達……私には手の届かない値段だから寄らなかったけど、色んなお店を見て回って、少しゲームセンターなんかで遊んだりして、休憩を挟んだ後にもう一度雑貨屋さんに寄った。

 

「しろちゃん、これ似合いそうだね〜」

「そうかな……私にはちょっとキラキラしすぎてる気がするけど……」

 

七深ちゃんが手に取ったのは白い星の付いた髪留め。

星、と言えば香澄さんを思い浮かべるし凄く綺麗なものだけど、私には似合わないような気がする。

そして何より、そんなお金払えない。

 

「んー……もうちょっと見たいからしろちゃん外で待ってて?」

「え、うん……待ってるね」

「はーい」

 

悩んでいたら外で待っててと言われて不思議に思いながらも七深ちゃんの言う通りにお店の外に出る。

別に一緒にお買い物すればいいのに、何かあるのかな……?

 

七深ちゃんを待つこと数分、お店の袋を持った七深ちゃんが手を振りながらこっちに歩いてきた。

レジが混んでてー、なんて言いながら袋の中身を取り出すと急に私の頭を撫でてニコニコと私の顔を見てくる。

 

「な、何?」

「今日のお出かけ、普通探しって言ったけど……本当は──しろちゃんを労うためのお出かけなんだ〜」

「私を……労う?」

 

普通探しのお出かけだと思っていたら七深ちゃんはそんなことを言った。

別に労ってもらうようなことはしてないし、私よりも労うべき人は沢山いる。

 

「しろちゃんはさ、モニカで沢山頑張ってくれてる」

「わ、私は別に……」

「歌詞作ったり、みんなのこと気遣ってくれたり」

「それは、透子ちゃんやつくしちゃんだって……」

「確かにリーダーはつーちゃんだけど、しろちゃんもしろちゃんの出来ることを精一杯やってる、私はそんなしろちゃんのことを労いたいんだよ?」

 

七深ちゃんは優しく微笑みながら私のことを沢山褒めてくれた。

当たり前のように、モニカのためにやっていたことだから、労われるようなことでは無いと思っていたけど、七深ちゃんはそんなことでも私のことを労おうとしてくれている。

 

「ということで、私からのプレゼント」

「これ、さっきの……」

「しろちゃん、これからも沢山色んなことしようね」

「七深ちゃん……うん、ありがとう」

 

また頭を撫でられながら七深ちゃんはさっきのお店で見てた髪留めを私につけてくれた。

 

少しくすぐったいけど凄く嬉しい。

私も、七深ちゃんを、モニカのみんなを……そして、月ノ森への感謝をいつか、伝えよう。

 

そんなことを胸に秘めながら帰り道は七深ちゃんと手を繋いで帰った。




ななましを推せ

(カプ厨ではありません)

お疲れ様って労ってあげればいいんだ。
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