前世の記憶を使って夏油傑を絶対に幸せにしようと思います! 作:秋元琶耶
会話のみです。頭を空っぽにしてノリで読んでください
「チキチキ! イケメンに云ってほしい気障なセリフランキングレーーーーース!!」
「うわウザ……」
「いつもよりテンション高いけど、どうしたんだい」
「私女だしイケメンじゃないから失礼しま」
「誰よりイケメン枠だよ硝子は。逃げちゃやだ」
「え、なんだこいつ呪霊に取り憑かれてんの? 怖いんだけど」
「さて問題です。三日前の深夜に帳を忘れて住宅街で【赫】をぶっぱなし、二日前の夕方にも帳を忘れてたまたまその場に居合わせた非術師に一部始終を目撃され、更に昨夜の報告書を誤字脱字しまくり肝心な部分を適当に書いてそのまま提出した馬鹿はどこの五条悟でしょうか? それにより私が全部の事務仕事と事情説明と弁解とアフターケアと報告書の書き直しをしたせいでこの三日間の合計睡眠時間が一桁なことについて五条くんはどう思う?」
「ばっかやろ、早くセリフ寄越せよ全力でやってやんよ」
「あんたのそういうところだけ好きだよクズ野郎」
「悟はやめときな私にしときな絶対損させないから」
「あ、そういうセリフそういうセリフ。さすがイケメンは気障なセリフが標準装備なんだねぇ」
「いやそうじゃなくて」
「夏油面白すぎるからちょっと黙ってなブフッ」
「おい硝子笑うな俺までつられるブフッ」
「ふたりとも表で話そうか?」
「今からお前らは心身ともに疲れている私のために気障なセリフを云うんだよ、表に出るんじゃない」
「はい」
「うっす」
「俺やっぱ時々こいつがこえーわ」
「まず五条部門」
「五条部門」
「コンセプトは『俺様が云いがちな気障なセリフ』」
「俺様が云いがち」
「ということではいこれ」
「………ナニコレ」
「読んで」
「や、やだぁ……」
「誰がヘタレのセリフを云えと云った。いいから黙って読むんだよ」
「頑張れ悟。いつも通りに読めばいいんだよ」
「そうそう、演技なんかしなくたって地で俺様なんだから」
「自分が読まないからってお前ら他人事すぎない?」
「まぁ他人事だし」
「他人事だしね」
「俺ってもしかして嫌われてる?」
「クズ野郎でも五条はちゃんと大事な私の友達よ。ほら早く」
「…………クッ殺せ!」
「思わぬ男前発言にときめきを隠せず悟が気高い女騎士もしくは姫騎士になってしまった」
「マジうける」
※独断と偏見で選んできた個人的五条に云ってみてほしいセリフたち
※五条の声でお楽しみください
「『俺が一生守ってやるよ、だから俺から離れんな。一生傍に居ろ!』」
「なんで全部上から目線? イラッとした」
「『僕がこの世に生まれたのは……決して忘れられないような豪華なディナーを君におごるためさ』」
「五条が云うと本当に金に物を云わせた感じになってときめきより先に苛立ちが来る」
「『どうしてきみはいつも、僕との関係を否定しようとするんだ? 複雑にしているのはきみだ。僕はきみが欲しい。そしてきみは僕が欲しい。そうだろう?』」
「なんか人の話全く聞いてない人なんだなって感じがして駄目」
「『そのうちお前が俺の事しか考えられない位に惚れさせてやるよ』」
「任務のたびに何かやらかしてないか心配になってすでに五条のことで頭がいっぱいになってるから今さら感」
「『お前に涙は似合わねぇ。ずっと笑って傍にいろ』」
「じゃあ二度と問題起こさないくれる?」
「『君から目をそらすことができなくなっている』」
「私じゃなくて起こした問題としっかり向き合ってほしい」
「うわぁ」
「全部駄目出しじゃん。つっら」
「あれ? おかしいな……漫画とかドラマで観た時は五条みたいな顔だけ国宝級イケメンに云わせたら絶対格好いいと思ったのに、なんか実際云わせてみたらコレジャナイ感すごかった」
「云わされただけなのに俺が大怪我したじゃん。何これつらい」
「ねぇ、なんで五条は本当に顔だけだったらどこに出しても恥ずかしくないくらいイケメンなのに、中身が残念なの? 実家も旧家で大家でお金持ちで教育もしっかりされてるし実力もあって頭もいいのに、どうして中身だけそんなんなの? 折角私が癒されるために用意したセリフを台無しにしちゃう中身ってどういうことなの?」
「や、やめてあげて悟が可哀想だから」
「なんて真っすぐな目でなんて酷いこと云うのこの子……」
「悟、泣くな、この子は純粋に疑問に思っただけできっと悪意も他意もないんだよ……!」
「そっちの方が余計しんどくない?」
「え、何五条泣いてんの? へぇ~、青い瞳に浮かぶ涙って綺麗だね。空に海が落ちたみたい。さっきのがっかりが帳消しに出来るわ」
「……今って悟に気障なセリフ云わせるターンじゃなかったっけ?」
「そうだよ? 全部空振りだったけど」
「夏油、夏油。この子こういうところあるから」
「天然って怖いね」
「俺のことほったらかしにするのやめてくれる?」
「じゃあ次、夏油部門。コンセプトは『女誑しの気障男が云いがちなセリフ』」
「すでに酷くて笑うんだけど」
「怖くなってきた」
「骨は拾ってやるから頑張んな」
「俺以上に怪我しやがれ」
「親友に対してそれは酷くないかい」
「傑、さっき俺のこと笑っただろ」
「気のせいだよ」
「気のせいじゃねーし表出ろや」
「だから今から夏油は疲れた私のために気障イケメンなおもしろセリフを云うんだよ、デートならあとにして」
「おもしろって云った。おもしろって云った!!」
「まずデートを否定しろよ」
※独断と偏見で選んできた個人的夏油に云ってみてほしいセリフたち
※夏油の声でお楽しみください
「『寂しくなったらいつでも言ってね? 夢の中まで抱きしめに行くからさ』」
「不法侵入なんだよなぁ」
「『世界中が君の敵になったとしても、僕だけは裏切らないよ』」
「は? それ私のセリフだから」
「『君は僕に舞い降りた天使だよ』」
「視力検査行ってきな」
「『完全犯罪を遂行しよう。僕は君のハートを盗むから、君は僕のハートを盗んで』」
「うーん、ときめくより先にとっつぁんが出てきちゃったから減点」
「『道を教えて欲しいんだ。君のハートに続く道を』」
「グーグル先生に訊いてみな」
「『君ってマジシャンなの? だって君を見ていると他の人が目に入らなくなるんだ』」
「視野狭すぎない?」
「ひーっ、ひーっ、ひーーーーっ」
「気色悪い笑い方やめな悟」
「笑いすぎて腹筋攣った。お前のつっこみひっでぇの!」
「思った以上に……なんか違うんだよな……どうして……」
「気障っていうか恋狂いの馬鹿男のIQ5くらいのセリフだよね」
「それだ硝子」
「云わせたくせに酷い」
「ちゃんと夏油っぽいセリフ選んできたのに、実際云われるとやっぱり違うもんだね。仕事の合間、睡魔に負けないように頑張って気を逸らせようとしていっぱい調べた成果がこれとは我ながら情けない。リスト作ってるときはめちゃくちゃテンション上がったんだけどなぁ……」
「眠い時に余計なことすると碌なことにならないってよくわかったね」
「うん。おかげで学長が帰ってくるまで起きてなきゃいけないのに眠くなってきちゃった。本当は気障なイケメンセリフにときめいて眠気なんてふっとばす予定だったのに」
「それはがっかりだね。じゃあほら、私の分も用意してるんでしょう? こいつらとは一味違うってところを見せつけてやるから、早くセリフ寄越しな」
「ひゃ、ひゃぁ……イケメェン……」
「毎度思うんだけど、どうして女子ふたりはいっつも俺らを置き去りにするの?」
「男どもがだらしないからだよ」
「辛辣ぅ」
※独断と偏見で選んできた個人的家入に云ってみてほしいセリフたち
※家入の声でお楽しみください
「『そんなしかめっ面しないで。誰が君の笑顔で恋に落ちるかわからないよ』」
「ぉゎっ……」
「『君と出会った時、私は運命的な何かを感じたんだ』」
「おっふ……」
「『君がどんなに美しく見えるか表現する言葉が辞書にはないね』」
「うひゃ~ぁ!」
「『あんたが困ってる時、守ってやりたいって思ったんだよ』」
「ま、守られたい~~~!!!」
「『私たちが出会ったのは運命だと思う、運命にしたいな』」
「やっほーこれがデスティニーってやつなんですねわかりました!!」
「ね、私の目を見て。この目に映ってるあんたが一番可愛いって知ってた?」
「うっは、これは照れ……ん? 」
「照れてるの? はにかんだ笑顔も最高に可愛いね」
「あれ? 待って硝子、私そんなセリフ書いてない……」
「男どもが頼りないからね。何かあったら一番に私のところに来なよ、あんたのためならこいつら二人くらい東京湾に沈めてやるから」
「ほ、ほぁ~~~~!?!? 硝子さん!?!?」
「ふふ、何その声。真っ赤になっちゃって、食べちゃいたいくらい可愛い」
「ストップストップ、れ、レフリー!!!」
「はい、レフリーストップです。硝子アウト」
「なーんだ、まだ候補あったのに」
「お前生まれたての仔馬みたいに震えてんじゃん……硝子のセリフの殺傷能力えっぐいな」
「や、やばい……なにこれ…ナニコレ……? ドキドキが止まらない……新しい扉開いちゃう……」
「し、しっかりするんだ! 確かに今のは後ろで聴いていた私たちですらドキドキするようなセリフだったけど、云ってることは私たちと大して変わらなかっただろう!?」
「そうなんだよ、例によってほぼ悪ノリで考えてきたセリフだったはずなのに、五条と夏油の時みたいに笑って終われると思ってたのに、どうして硝子はこんなにも……」
「俺らにはあんなにも駄目出ししたのに硝子には終始歓喜してたな……別に羨ましかねぇけど男として複雑な気分だぜ」
「だけど硝子は私たちと違って真顔でも照れもせず堂々としてたから、それもプラスポイントだったんじゃないか? ほら、私たち、どうしても羞恥心に勝てなかったから」
「私に羞恥心がないみたいに云うなクズども。こういうときに開き直れないのがお前らのちっさいところだよ」
「男相手に小さいは暴言だぞ硝子」
「そうだ、それに私は小さくない」
「俺だって小さくない」
「何の話だようるさいよ」
「え、身長の話だけど」
「そうそう身長。お前何の話だと思ったの?」
「お前らの器の大きさの話でしょ」
「この子に何云わせようとしてんだクズども。そういうところがクズなんだよクズ」
「硝子は私たちに辛辣すぎでは……?」
「相応だろ」
「で、結局君は満足出来た?」
「うん、みんなありがとう。死ぬほど眠かったし死ぬほどイライラしてたんだけど、このクソみたいな気障セリフ聞いてたら全部どうでもよくなったしちょっと楽しかったです」
「よかった。私たちの羞恥心と引き換えに君が楽しかったならそれでいいよ」
「…………うん」
「え、なんだい今の間は」
「いや、用意したセリフより不意に飛び出てくる気障セリフのほうが威力あるんだなって。でもきっと夏油の顔だからだよね……夏油、その顔に生まれて本当によかったね」
「ありがとう……?」
「……天然怖ぁ」
「それ、あいつと傑、どっちに云ってんの?」
「どっちもでしょ」
「確かに」
一方そのころ教室前の廊下。
「…………。」
「七海、何やってるの? 先輩に伝言預かったんだから、早く伝えないと」
「何かとても嫌な予感がするのでこの教室に入りたくありません」
「えー、何それ。いいよ、じゃあ俺が行くから」
「あっちょっと灰原、せめて私がいなくなってからにしてください私は巻き込まれたくない!」
「しつれーします、せんぱーい! 学長が呼んでますよ~!」
「お、灰原くんに……ナーナミン! いいところに来たねっ」
「え、なんですか? 何か楽しいことですか?」
「うん、私が個人的にとても楽しいことなんだけど、よかったら二人も付き合ってよ」
「もちろん! ほら七海、先輩が呼んでるよ!」
「嫌です私は報告書をまとめなければならないので灰原置いて行きますからそれで勘弁してください」
「先輩命令だナナミン、こっちおいで」
「くっ……!」
結局灰原と七海も巻き込んで気障なセリフを云わせ、七海の精神をズタボロにしたところで主人公は漸く学長のところに。予定通り学長のサインをもらって書類を提出して、この三日分の睡眠欲を取り戻すためにゆっくりと寝たとのこと。
ちなみにこの後しばらく七海は主人公に近付かなかったらしい……