前世の記憶を使って夏油傑を絶対に幸せにしようと思います!   作:秋元琶耶

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※珍しくときめきたい人向け

だって彼は公式モテ男ですし主人公は夏油の顔が死ぬほど好きですからね、他意はないです、他意は。ンネッ
最近重めの話ばっかりだったし、本編進めるとどうしても重い話になるので、隙を見て学生らしい話を突っ込んでいきたいです。もしこの子たちのこういう話が読みたい~みたいなのがあればコメントとかツイッターとかDMとかで教えてもらえれば、書けたら書きます('ω')

夏油は頑張ってないときの方が格好いい気がする


勘違いしないでよね、別にときめいたわけではないんだからねっ!

お菓子を作ってたんですよ。

ジャムタルト。シンプルだけど見た目が可愛いし、一度にたくさん作れるからみんなにも配りやすいし。

今日は午後からフリーで、明日は一日事務室に詰めて書類仕事を片付ける予定だったから、今のうちに軽くストレス発散しとこ、みたいなもんで。

折角なので生地からタルトを作り、ついさっきまで冷蔵庫で休ませていたものを取り出して伸ばし、バンティンにセットして穴も開けたところだったんですよ。

で、肝心のジャムはみんなが買ってくるから結構たくさん共有キッチンに置いてあるから、それを使おうと準備をしたら、なんということでしょう。

 

「くっ……!!」

 

開かないんですよ。

どれ一つ、何一つ、ジャムの瓶の蓋が。

 

私これでも一応は甚爾さんに鍛えられてるし、そこそこ筋力はある方だと思ってたんだけど、しかし蓋はうんともすんとも云わない。さすがに瓶ごと握り潰すような力はないから全力でやってるのに、1㎜たりとも動かない。

しかも全部ってどういうこと。

一つくらいすんなり開いてくれてもいいじゃん、なんでものの見事に全部かったいのよ。

 

じゃあジャムタルトを諦めて他のタルトにすればいいんだろうけど、あいにく今の冷蔵庫には代わりになるようなものが何もない。

チョコレートもタルトにするようなタイプのものはないし、カスタードにしてもタルト生地を作ったときに卵を切らしているし、クリームチーズも他のことで使い切ったばっかりだ。

どうしよう。

生地だけ用意して中身がないとか間抜けすぎる。

 

「んぐぅぅぅぅぅ」

 

考えながらもどうにかして開けようと頑張っているのだけれど、やっぱりどれもこれもうんともすんとも云わない。

検索したら瓶の蓋の部分だけお湯につけたら取れるって書いてあったので試してみても、びくともしない。理論的には開くはずなんですけどどういうことなの。呪霊の仕業ですか?

 

こんなことならおとなしくクッキーにしておけばよかったんだ。

妙な冒険心を出してタルトなんて作ろうとしたからきっと罰が当たったに違いない。いやタルト作りたいだけで当たる罰って何よ。自分で云っててわけがわからない。

仕方ない、今からジャム買いに行くかぁ。

 

と、また中途半端に使いかけのジャムが増えていくなぁと考えていた時だった。

 

「ただいまー」

 

ひょっこりと共有キッチンに顔を出したのは、夏油だった。

今日は朝から任務に行っていたはずだったから、きっと早々に終わらせて帰ってきたところだったのだろう。

千葉の端の方が任務地だったから移動時間がそれなりにあったのに、この時間の帰還。さすが特級術師、2級呪霊ごときに手間取ることなんてないらしい。頼もしい限りである。

 

「おかえり、お疲れさま」

 

特に疲れた様子もないし怪我をしている様子もない。おそらく今回の呪霊は取り込むほどの価値もなかったから、普通にあっさりと祓って終了だったのだろう。うむ、良いことです。

 

直で寮に戻ってきたということは、授業に行くつもりはないということだ。まぁここ最近微妙に忙しかったし、それもありだろう。むしろ休めるときには積極的に休んでもらった方が補助監督としても気が楽だ。

普通の高校と違って、ある程度休みに対して自由度があるのが高専のいいところかもしれない。普通の高専は知らんけども。

 

眠そうに大きな欠伸を一つ零した夏油の顔は、欠伸をしても尚格好いい。

はー、本当に良い顔をしている男だなぁと改めて思いながらもう一度蓋を開けようと力を籠めると、私の手元に気付いた夏油が小さく首を傾げた。

 

「どうかしたのかい?」

「いや、蓋が開かなくて。多分五条あたりが何も考えないで閉めたんだと思うんだけど」

「ああ……」

 

悟ならやりそうだ、と困ったように笑った夏油は、それからひょいと私の手から瓶を取った。

あれ、もしかして食べたかった?

普段は甘いものあんまり食べないけど、疲れてるのかな。

でもこれ全然開かんのよ。

だから今から買いに行こうと思ってたんだよね。

 

「大丈夫大丈夫」

「え?」

 

何が、と問おうとした次の瞬間。

 

――カポッ

 

軽い音を立てたのは、ついさっきまで私が奮闘していたジャムの瓶。

「はい、どうぞ」

差し出されたのは、蓋の開いたジャムの瓶。

えっ。

嘘。

開いたの?

私があんなに頑張っても開かなかったのに、夏油、一瞬で開けたの?

呆然としている私には気付かない夏油は、同じ理由で台の上に並んでいたジャムたちの瓶をひょいひょいと開けていった。

 

「じゃあ私、一度寝るから。お菓子作ってるなら、悟に食べつくされないよう少し取っておいてくれると嬉しいな」

「う、うん」

「おやすみ」

 

そうして夏油はもう一つ欠伸を零しながら部屋に戻っていった。

その場に残されたのは、私と、夏油が開けてくれたジャムの瓶。

 

「…………。」

 

マーマレードにブルーベリー、ストロベリーにライムジャム。りんごに桃にぶどうジャム。

色とりどりのジャムを眺めて、ハッとする。

生地が温くなる前に焼かなければ。

慌ててスプーンを出して、用意してあった生地にそれぞれジャムを入れてく。

予め温めておいたオーブンで12~15分焼き、ジャムが少し固まるくらいまで冷まして完成だ。

 

今のうちに使った道具を洗って、焼き上がるまでお茶でも飲もう。今日はコーヒーじゃなくて紅茶な気分。

そうだ、読み途中になったまま時間がなくて放置してた本もこのタイミングで読もうかな。

じゃあ部屋に取りに行かなくちゃね。

 

そう、別に私は本を取りに部屋に戻るだけで、他意とかははないわけですよ。

だって本が部屋に置いてあるんだから、戻るでしょうよ部屋には。

というか自分の部屋なんだから理由がなくたって戻るでしょうよ。

 

なんで私自分に言い訳してるんだろう。

早足で部屋に向かいながら、今がみんなは授業中でよかったと心底思った。

 

でも、だって、こんな顔、きっと誰にも見せられない。

 

部屋に駆け込み、当初の目的だった本に手を伸ばす。

そうして私は顔を上げて、絶望する。

絶望するなら青くなればいいのに。

だいたい、なんで過去の私は本をこんなところに置いたんだ。

姿見の前に本を積むなんて、ずぼらにもほどがある。

ちゃんと本棚に戻すとか、せめて机の上に置いておくとかしておけばよかったのに。

 

だから嫌でも、さっきまで自覚していただけのものを目にしてしまうことになるんだ。

 

ああ、もう!

 

なんで私の顔は――こんなに赤いの!!

 

 

 

 




主人公

夏油の顔が好き。顔だけ好き。気持ちは彼氏から揺らいでいないと断言できる
いつものキメキメで露骨アピールな夏油には顔以外の要素で照れたりしないのに、こんな何気ないことで心臓痛くなるほどときめいてしまって死にたい。いや死ねない

主『ごめんなさい先輩絶対浮気じゃないんですあいつの顔が良いのが悪いんです』
先『僕も夏油くんの顔好きだからわかるよ、ずるい顔してるよねぇ』
主『!! ずるい顔、それだ!!!』


夏油傑(ずるい顔の男)

かっこつけたりときめかせようとしてないときに限って主人公がときめいていることに気付けない不憫ボーイ。頑張れ恋する男子、不毛な恋でも足掻けば足掻いてる間だけ夢は見られる

夏『先輩、どうしたらあの子は私にときめいてくれると思います?』
先『この世で一番僕にだけは訊くことじゃないよねぇ』
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