前世の記憶を使って夏油傑を絶対に幸せにしようと思います!   作:秋元琶耶

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五条さんは一人っ子だろうなぁという妄想爆発の産物
ふたりは(喧嘩してないときは)仲良ぴ


五条と私、もうひとつ

「ちょっと五条、雑誌片付けてって云ったでしょ」

 

両手を腰に当て、いかにも怒ってますなポーズで見下ろしてくる同級生に、これ以上文句を云われるのも面白くないので大人しく雑誌を元のラックに戻す。お菓子作りが趣味であるこいつがスコーンを焼いたから、任務でいない傑たちより一足先に食べさせてもらえることになっていたのだ。

前に一度プリン作りを手伝って以降、たまにお菓子作りを手伝うこともあるけれど、基本的には俺は食べる側だ。作るのは嫌じゃないけど、やっぱりこいつが作った方が美味しいし。

 

「ん、ありがと」

 

思わず首を傾げる。

自慢じゃないが、読んだ雑誌をそのままにしていたのは俺だ。それをスコーンを出すから食べたいなら片付けろとしばらく前に云われていたのに放置して、焼き上がってからもう一度云われてやっと片付けただけだ。

小言を云われるならまだしも、ありがとうはちょっと違うんじゃないだろうか。

そう思って素直に口にすれば、少し考えるように口に指をあてて、んー、と云ってからこいつは笑った。

 

「でも、なんだかんだちゃんと片付けてくれたでしょ。だから」

 

ますますわからない。

時々こいつは不思議なことを云うから混乱する。ちゃんと会話は成り立っているし、難しいことなんて何も云っていないはずなのに、結局何が云いたいのかわからないのだ。

おもしろくない。

ちゃんとわかるように話してほしい。

 

「いーの、ありがとうなの。ほら、冷めないうちに食べちゃいな」

 

そう云ってテーブルに並べられたのは、焼きたてのスコーン。プレーンと、チョコチップと、紅茶と、抹茶。

今までは高級店の高級菓子しか食べたことがなかったし、家にいても口に入るものは毒味やらなにやらが入って自分の口に入るころにはよくて人肌、悪くてすっかり冷めているのが当たり前だった。

だから高専に来て初めて寮で暖かい手作りご飯を食べたし、コンビニの安いお菓子とか、駄菓子とかを食べた。

なんだか少し悪いことをしているようで後ろめたいと思ったのは最初の頃だけで、今ではコンビニもスーパーも一人で行って好きな買い物をするし、毒味なんてされてない料理もお菓子も食べる。実家で食べる高級なものよりも、正直こっちのほうがずっとうまい。

それに、ここでは俺は一人じゃないから。

 

実家でも使用人やらなにやらと大勢の人には囲まれていたけれど、それでも結局俺は一人だった。

どんなに大勢に囲まれていてもいつも孤独で、それが寂しいという感情だと気付いたのは高専に来てからのことだ。

気付けなかったのではなく、知らなかった。

寂しいという感情をきっと生まれてから高専に来るまでの俺は知らなかったのだ。

それがいいことなのか悪いことなのか、正しいことなのか、間違いなのかはわからない。

ただ、あの家よりも高専のほうが居心地がいいのは確かだ。

特に、こいつがつんつん一匹オオカミ気取りを辞めてからは、毎日が妙に楽しくてしょうがない。まぁ、それは絶対に云ってやんないけど。

 

とにかく今は目の前のスコーンだ。

真ん中から半分に割って、まずそのまま一口。

外側はサクサク内側はふわふわ。程よい甘さと焼きたての温かさがホッとする。が、俺的には甘さが足りないので、もう半分にはたっぷりのクロテッドクリームとブルーベリージャムを乗せてみた。うん、甘い。うまい上に甘い。最高だ。

どうやら俺が大食いなのも見越したらしく、全種類二個ずつ用意されている。クロテッドクリームも山盛りあるし、ジャムだって何種類も用意したらしい。

うまくて甘くて焼きたてなのも手伝ってひょいひょいと食べてしまい、気付けば皿の上のスコーンはすべて平らげていた。ちなみに俺がもりもりスコーンを食べ続けている間に、焼いた本人はやっと一つ食べ終えたところだった。こいつの小食は今に始まったことじゃないけど、トージの特訓もこなしてるのによくこれだけで動けるもんだと逆に感心する。

用意してくれていたコーヒーに砂糖とミルクを落とし一息つくと、空腹も落ち着いた。これで夕飯までの時間は持ちそうだ。

 

「うまかった」

「ふふ、よかった。どれが一番おいしかった?」

「チョコのやつかな。最初に食った溶けてるやつもうまいけど、ちょっと冷めてザクザクんなったやつも食感が面白くてうまかったから」

 

それから、全部のスコーンの感想を云ってみた。

どれもこれもうまかったけど、全部違う感じにうまかったから、うまかった、の一言ではとてもじゃないけど云い表せなかったのだ。

プレーンはジャム次第で味も甘さも変わってうまいし、チョコはさっき云った通り。紅茶の控えめな香りは癖になりそうで、抹茶のほろ苦さはいいアクセントになってすぐ二個目に手が伸びた。ちなみに抹茶には餡子が合う気がするのであとで買って来ようと思う。あ、ついでに生クリームも。

どうだ、俺の感想。テレビの食レポもびっくりだろう。

 

そんな感じでふんぞり返ると、ぽふんと頭に何か乗る感覚。それから、次いでぐりぐりとかき混ぜられるような感覚。

何事かと一瞬惚けて、頭を撫でられているのだと気付いてポカンとしてしまった。

随分昔、小さい頃に実家のじいやにされた記憶はあるけれど、ここ数年は誰かに頭を撫でられた記憶なんてない。

だから、ちょっとどう反応するのが正しいのかわからず固まってしまった。

 

「ん、どしたの?」

 

何、今の。

なんかくすぐったかった。いや別に嫌じゃなかったけど、なんかこう、そわそわするというか、落ち着かないというか。

 

「あ、ごめん。なんか五条の髪、ふわふわだから思わず。もうやんないよ」

「嫌とは云ってない」

「え、あ、そう? まぁでも、気を付けるね」

 

ごめんごめん、と笑うのがちょっと腹立って、俺は思わず離れて行った手を掴んでいた。

驚いたように目を見開くこいつに何かを云わせる間もなく、その手を俺の頭に押し付ける。丁度、さっきこいつがそうしたように。

嫌だなんて云ってないんだから、好きなだけ撫でればいいんだ。

それになんかちょっと言葉にするのが難しいあったかい感情が湧いてきたし、そもそも、そう、嫌じゃないって云ってるだろ。

すると何度か瞬きをして、こいつはプッと噴出した。

は? 失礼かよ。

思わず睨み付けたが、俺の視線など気にならないように軽く笑い続ける。

 

「あはは、五条、猫みたい」

「猫より可愛いだろうが」

「っふふ、うん、そうだね」

 

おかしそうに声を上げて笑い、さっきのようにわしゃわしゃと頭を撫でる。

うん、やっぱり。

 

……嫌じゃない。

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

後日、ごく自然に彼女が頭を撫でやすいよう頭を下げ、彼女も当然のように五条の頭を撫でる光景が日常的に繰り広げられることになり、夏油は真顔で大パニックになったとか。

 

 

 

 




主人公(姉のようなものの姿)

前世も今生も一人っ子だが、前世の記憶があるおかげで少しだけみんなより精神的に大人。普段は年相応にしているしちょっと無茶をやらかすタイプなのでみんなに心配かけているが、ここぞという時の落ち着きと、何かあった時の精神的支柱になりやすい
特に五条とは姉弟のような関係になりがち。もし弟がいたらこんな感じにやんちゃで目が離せないんだろうな~と思う


五条悟(弟のようなものの姿)

一人っ子。姉がいたらこんな感じかな~と思って割と存分に甘えている。主人公に対して恋愛感情は微塵もないけど常に甘やかされたいし甘やかしてほしい。夏油や家入にばっかり構っていると拗ねる















【最近思うことなど】

評価・コメントしていただいてありがとうございます。
ほとんどの方はそれなりに好意的な気持ちで読んでいただいているのだと思いますが、稀に『じゃあなんであなたわざわざ時間を割いて私の作品読んでるんです???』っていう方がいらっしゃいます。一周回って私のこと好きなんでしょうか。そういう方は無理して読む必要はないのでそっとブロックするなり記憶から消してみなかったことにするのをお勧めします。
どういうご意見()をいただいてもすでに書きあがったものをここにアップしているだけなので、ご意見()を私の作品に反映することはないです。私はいつでも私が書きたいものを書きたいように書きます。ご意見()は余計なお世話です。不快・気持ち悪いと思うなら読まないでください。勝手に読んで勝手に不機嫌まき散らされても迷惑です。

普通に楽しんでくださってる方は本当にありがとうございます。
人間関係ごたごたしてるしわかりにくいこともあるかもしれませんが、最終的には円満に終わる予定ですのでもうしばらくお付き合いいただければ幸いです。
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