超絶美少女は夢を見る   作:秋元琶耶

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ウルトラ可愛いくて死ぬほど賢くて宇宙より広い心と非常識なほど愛嬌のある女 vs 隙あらばいちゃつきたい赤髪海賊団大頭 ファイッ


未来の海賊女王と星空

夜。

よく晴れた日で、星空がとても綺麗だったので、私は仕事の休憩がてら甲板に出てきてみた。

しばらくはぼーっと見上げていたのだけど、このままだと首が痛いなぁと思って、木箱にそのまま倒れて仰向けになった。うん、こっちのほうが楽。

すると。

 

「何してんだぁ?」

 

ひょこっと顔を出したのはお頭だった。てっきり今日はもう先に寝たのだと思ったのに、まだ起きていたらしい。どうして甲板に出てきたのかは謎だけど。

素直に疑問を口にすると、お頭は笑った。

 

「エンと一緒に寝てぇからな。さっきまでホンゴウたちと飲んでた」

「もうお開きにしたの?」

「お前の気配がこっちに来るのがわかったんで、追いかけてきたんだ」

 

なるほど、見聞色。便利だ。プライバシーもクソもないけど。

今夜の飲み会はホンゴウの他にはスネイクもいたようで、ライムは早々に潰れたとのこと。ガブはライムを運んで、バンチはモンスターが寝たタイミングで離脱。ちなみにルウはキッチンにいたし、師匠はルウと話しながらキッチンで飲んでた。結局私とベック以外はみんな飲んでたってことですね。いいわね楽しそうで。別に羨ましくなんてないやい。いいもん私もベックも仕事好きだもんね。

落ち着いたらまた宴をしようなんて云うお頭は、本当に宴が好きだと思う。ことあるごとに宴だなんだって大騒ぎで、食糧管理してるルウと仕入れのあれこれを調整してるベックが毎度唸ってるの知ってる? まぁ、あの二人はそういうお頭のことも好きなんだろうな。私もそうだし。

 

「それにしても星、綺麗だねぇ」

「お前のほうがずっと綺麗だぞ」

「そういうのいいから」

 

決め顔で云われてちょっとイラっとしちゃった。やめてよ。

すぱっと云い切ると、お頭は拗ねたように唇を尖らせてから、気を取り直すように息を吐いて云った。

 

「なんかあったか?」

 

私を覗き込むお頭に茶化している気配はない。

純粋に私を心配してくれているのが分かったからこそ、私は笑って身体を起こす。

 

「なんにもないよ」

「ほんとに?」

「本当。ただ、幸せだなって思っただけ」

 

そうして、木箱に座ったままお頭の胸に頭を預ける。私たちは結構な身長差があるので、普段は抱き着いてもなかなかこうはいかない。

耳に優しく伝わってくる、お頭の心臓の音。とくん、とくんと響く音色。

星空は綺麗で、私はお頭に抱きしめられて、たまらなく幸せだ。

 

落ち込むようなことは何もなかった。仕事は大変だけどやりがいがあって楽しいし、みんなのことが大好きだ。

それが幸せだと、この星空を見上げながらしみじみと思った、ただそれだけ。

 

少しの間、私たちはそうして静かな時間を過ごした。

風が凪ぎ、波の音がさざめき、遠くで誰かが笑っている声がする。

ずっとこうしていたいような気もするけれど、そろそろ戻って仕事を片付けなければ、と考えていたところで、ぎゅうと私を抱きしめたお頭が私の頭上でそっと口を開いた。

 

「……部屋行くか?」

 

あ。と思う。

これはお頭、そういう気分になったんだな、と。

心なしか体温も上がったような気がするし、何より私に押し付けられた下半身がその存在を主張をしている。

長年一緒にいるけど、相変わらずこの人興奮するタイミングがよくわからない。

そして、何もなければ流されてもいいんだけど、ごめんねお頭。

 

「んー、もうちょっとだけ仕事片付けてくる」

「え~?」

「すぐ終わるから、いい子で待ってたらいいことあるかもよ?」

 

腕の中から見上げてそう云うと、お頭はちょっと目を見開いてからじっとりと半眼になって私を見下ろした。

 

「子ども扱いされてる気がするぜ」

「そんなことないよ~よーしよしよーしよし」

 

むすっとしたお頭の頭を動物でも撫でるようにわしわしと撫でてやれば、お頭はますます拗ねた様子で唇を尖らせた。ほらみろ子ども扱い、と顔に書いてある。

可愛い人。

私はそのままお頭の頬を両手で挟み、ぐいと自分のほうに引っ張ってキスをした。

突然のことに驚いたお頭が開けた唇の隙間から、自分の舌を差し込んだ。いつもはあれよあれよという間に私が翻弄されてぐずぐずにされちゃうばっかりだけど、たまにはこっちだって主導権を取りたいわけです。

目論見は半分くらい成功と云えるだろう。

最初のうちは私が主導権を握っていたのに、いつの間にかいつものように私が翻弄される側になっていた。解せない。でもこのキスは別に勝負とかじゃないから。

味わうように私の舌を食んでいたお頭の唇が離れたところで、上がった息をなんとか落ち着けながら至近距離でお頭を見つめて私は云う。

 

「子供とこんなキスしないでしょ」

 

確かにたまに、子供より子供っぽいことを云うお頭を子供あつかいすることはあるけれど。そんなのただの戯れだ。本当に子供だなんて思ったことは一度もない。

お頭は初めて会ったときから私よりもずっと大人だった。あの頃の私、今考えても本当に無謀だし無茶だしちんちくりんだったと思う。まぁそれらを補った余りある可愛さがあったわけですけどね。過去形じゃなく今も私は可愛いですけどね。

 

「それじゃ、またあとで」

 

最後にそう云って額にキスをしてから、私は固まるお頭を置いてさっさと執務室に戻った。あれ以上一緒にいたら強制的に部屋に運ばれるに決まってる。

甲板から船内に続くドアを閉める直前にお頭の『あ、おいちょっと!』という焦ったような声が聞こえたけれど、聞こえないふりをしてドアを閉めた。ごめんね、本当にちょっと休憩な気分で出てきただけだから、仕事を中途半端にしてきちゃって気持ち悪いのよ。

 

それから三十分後。

仕事を終わらせて部屋に入った瞬間ベッドに押し倒されたのは、まぁ、しょうがないといえばしょうがないことなのかもしれない。

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