他の作品とかの影響で《月下の告白》だとばかり思ってましたので
明日からオルクス大迷宮に行くことになった俺達であるが、事前に完成させた馬車の改良版での試乗テストも兼ねてのオルクス大迷宮がある冒険者達の宿場町でもある【ホルアド】へと移動とした。
馬車の改良といっても、スプリング部やブレーキ部等を良くしただけであるが、移動等に関してはスムーズになったとメルド団長からこの宿に泊まるまでにハジメにはお褒めの言葉をもらった。
まぁ檜山のバカと天之河のバカは理解してない様子だったので、俺が改良したことでの利点を言って、メルド団長から今後の戦いので有利になると言われ、何も言えないようにはさせておいた。
こういう目に見えにくい部分から、今の俺達の文明の有り難みが分かるというのに、分からない時点で歴史の何を学んできたんだろうと思う程度である。
そして俺達はホルアドにある新兵訓練等でメルド団長達もお世話になっている王国直営の宿屋に泊まるのであった。
因みに何故ここまでホルアドに対しての対応があるのかと言うと、俺達が明日実践訓練を行う予定の場所である【オルクス大迷宮】が理由なのだ。
オルクス大迷宮は全百階層からなると言われている大迷宮で、この世界にあるとされる七大迷宮の一つで、階層が深くなるにつれ強力な魔物が出現する。
にもかかわらず、この迷宮は冒険者や傭兵、新兵の訓練に非常に人気がある。それは階層により魔物の強さを測りやすいからということと、出現する魔物が地上の魔物に比べ遥かに良質の魔石を体内に抱えているからだ。
魔石とは、魔物を魔物たらしめる力の核で、強力な魔物ほど良質で大きな核を備えており、この魔石は魔法陣を作成する際の原料となる。
魔法陣はただ描くだけでも発動するが、魔石を粉末にし、刻み込むなり染料として使うなりした場合と比較すると、その効果は三分の一程度にまで減退する。
要するに魔石を使う方が魔力の通りがよく効率的ということだ。その他にも日常生活用の魔法具などには魔石が原動力として使われる。魔石は軍関係だけでなく、日常生活にも必要な大変需要の高い品なのである。
だがしかし、良質な魔石を持つ魔物ほど強力な固有魔法を使う。固有魔法とは詠唱や魔法陣を使えないため魔力はあっても多彩な魔法を使えない魔物が使う唯一の魔法である。
一種類しか使えない代わりに詠唱も魔法陣もなしに放つことができる。魔物が油断ならない最大の理由でもあるのだ。
そしてホルアドでの部屋割りは俺はハジメと同室で、部屋の内装が王宮で自分達に当てられている物凄いとしか言いようがない部屋と違い、自分達が知る平凡と言えるものなので、色々と心が休まると言えるものであった。
「兄さんの方はどうなの?」
「保存食とか水とか生活品も含めてだが、一応俺達二人で何とか1週間分は確保してる。つうか、このブレスレットにアイテムボックスみたいな能力あって助かったぞ。しかも入れた物は時間停止状態みたいな機能付きだからな」
「今までは壊れてたから使えなかったも知れないけど、完全に他の皆にバレたらヤバい品物だよね、それ」
「まぁ俺が持ってる魔力?でこのブレスレットが直ってるのか分からないが、これでこの実践訓練が終わったら、俺達は他のクラスメイト達とは別行動をとれる準備はできてきたな」
俺とハジメはこの実践訓練の後は愛子先生の支援をする側になりながら、ハジメの錬成で使えるような鉱物等を採取する旅に出ようという話を最初から計画していたのだ。
同時にこの世界の神であるエヒト様の御力以外で地球に帰れるかも知れない道を探す旅をするつもりだったのだ。
因みにこれはメルド団長にも内緒で、俺達2人だけで計画しており、最悪の場合を想定し、クスハを含めた3人で旅をしようと思っていたのだ。
クスハを含めるのは簡単で、彼女の天職である【巫女】がこの世界の神であるエヒト様のモノでは無いかも知れないと思っているからだ。
何しろ文字化けもあるので、エヒト様ではなくて精霊だとかの他の存在の可能性もあるのだが、もしもエヒト様以外の名前が出たら、確実にクスハは殺されてしまう可能性が高いのだ。
「確かにクスハは殺されてしまう可能性が高いものね」
「巫女なんて役職をトータスの人達が知ってないからうまくいけたけど、問題は文字化けでクスハが誰の巫女か分かってないからな。下手な方面に巻き込ませるわけには行かないからな」
クスハにはまだ話していないので、彼女を護る為にも明日の実践訓練以降に話をする予定にしてある。
それともう一つ、クスハは地球でも最初から看護師になりたいと言っていたので、例えこの世界にいる魔物の生命(いのち)を奪う事すら後々で話を聞いた際に嫌な思いをしてるのも聞いていたからだ。
そんな風に話をし、明日の訓練の準備として魔物図鑑を見直したりし、明日を考えて寝ようとしていたら部屋の扉を叩かれた。
流石に時間的には地球でも大半の人が寝てる時間に近いのだが、誰か分からないので警戒しながらいると
「南雲くん、起きてる? 白崎です。ちょっと、いいかな?」
香織だったので俺は鍵を外して扉を開けると、そこには純白のネグリジェにカーディガンを羽織っただけの香織が立っていた。
俺はすぐさま香織を中に入れ、少しだけ扉の外を確認してから扉の鍵をかけた。
そして椅子に座っている香織に声をかけた。
「おい白崎、今の自分の格好の意味、分かってやってるか?」
俺がそう言うと、当初は不思議そうにしていた香織であったが、自分の今の格好を見直し、言われた意味が分かったのか顔を真っ赤に染めるのであった。
「ハジメと一線超えたのは知ってるが、流石にその姿を他に見られてたらヤバいぞ。特に檜山の野郎からしたら、ハジメを殺す口実つくるぞ」
俺がそう言うと二人は納得し、俺は二人きりにさせようと思っていたら、香織から俺にも残ってほしいと言われた。
流石にこんな格好で来た香織がそう言うので、香織から話を聞くと、香織はハジメに宿に残って欲しいと言ってきた。
その理由は香織が少し眠ったらしいのだが、その際に夢を見たのだが、その夢でハジメがいるのだが、返事などはせず、最終的には消えてしまうという不吉な夢を見たらしいのだ。
流石にそれを聞いた俺達も、ただの夢とハジメはしたのだが、俺は予知夢かも知れないとした。
「でも、これまでそんなのは視たことがないよ?」
「この世界に来た影響で視れるようになったって可能性もある。だが、心配するな。そんな夢なら、俺達でハジメがそうならないようにしよう」
そして俺は後はハジメと香織の2人だけにし、その際に釘を差してから先に部屋を出てる事にした。
まぁ言った内容がアレなので、2人は顔を真っ赤に染めていたが、これくらいは良いだろうと思うのであった。
俺は外にある広場のような場所でこの世界と月を見ていた。
地球と違ってこの世界とは星座等は無いが、ハジメと香織の2人が部屋にいる間、ほんの少しの時間潰しにはもってこいだと思ったからだ。
「・・・月、か」
同時に空に浮かぶ青白く光る月を見ながら、地球でもみていた不思議な幻覚をみるのであった。
地球でも満月をバックに、無数の大きな蝶々が空を舞ったり、緑色の龍のような存在、白い身体をした獅子のような存在に、ピンク色の小さな身体と同じ位の長さの尻尾をもつ不思議な生き物が自由に空を舞い、俺はそれをみているという不思議な幻覚なのだ。
他にも色んな所で不思議な生き物達の幻覚をみていたりもした。
何処にもいない不思議な生き物達なのに、両親はそんな存在しない生き物達の事を話す俺を気持ち悪い存在としてみず、逆に自分達の作品に反映させていった。
まぁそのせいで可愛いモノ系から怖い系、カッコいい系と、色んな姿をした俺の幻覚である不思議な動物達は、両親の作品を彩るサブキャラのような存在となり、同時にヌイグルミ等の玩具側で販売される事になり、見た目も相まってか僅か数年で世界中で大人気となり、両親と同等レベルの資産を手に入れる事になってしまった。
因みに地球では黄色いネズミぽい存在、白いリスのような存在、卵のような姿をした存在、大きな円形のお腹をした存在、蝶々のような存在、西洋の竜のような存在が結構人気だったりする。
「何なんだろうな、お前達は」
名前も分からず、ただ姿だけしか知らない不思議な生き物達の幻覚をみながら、俺は自問自答した。
このトータスにいるとされた魔物図鑑にものっておらず、何故自分だけがこんな不思議な生き物達の幻覚をみるのかも分からず、苦しく思うこともあったが、両親やハジメ、俺の周りの優しさには助けられているとしか言いようがなかった。
「何してるの?」
声をした方に振り向くと、雫がそこにいて、手には国から貰った武器を持っていた。
「香織がハジメを悩殺するような格好で来てな。今は部屋で二人きりにして時間潰しにいるんだよ」
俺がそう言うと香織のした案件に雫は頭を抱えるようにしていたが、俺は今の雫の姿をみていた。
「・・・雫は寝られなかったのか?」
「・・・えぇ。それに、人型の魔物を斬った時の感覚が、ね」
「・・・仕方ないさ。本来俺達は【生き物の生命を奪う】行為は忌避とされてきた生活をして来たし、TVとかで報道される野生動物事案も、ある意味他人事に近い生活だからな」
俺はそう言いながら、月を見ながら雫の語る不安を聞いていた。同時に俺はこの世界で生きるためには、最終的には人を殺すことも踏まえる事も説明した。
「・・・やっぱり、それは避けられない、よね」
「・・・あぁ。この世界は地球でも危険な紛争だとか、ヤバい系列のモノがあるような場所みたいな世界だからな。下手に相手に対して仏心を出せば、女子は最悪の場合は人権も何もかも無視した玩具扱いにされる。俺達男子は使えないとして速攻であの世に行かされるだろうがな。まぁ天之川は絶対に最後まで人殺しはしないだろうな。逆に他の奴等とかがしたら、あいつは批判するのが目に見えてる」
そう言うと雫も納得したように答え、俺達はその後は話をすること無く、ただ無言で月を眺めていた。
俺としても雫のような美人と月見をするのは良いと思いつつも、声をかけて部屋に戻ることにした。
そして雫を部屋にまで送った。
「お互いに明日は頑張ろうな」
「そうね。ありがとう。少しは気分がマシになったわ」
「そうか。それじゃ、お休み」
そして俺は部屋に戻ると、ハジメは香織と二人きりにしたことに対しての恨み言を言ってきたが、少し笑い合いながら眠るのであった。
そしてこの時は思いもしなかった。
オルクス大迷宮での実践訓練であんな事になるとは、この時の俺は想像すらしていなかったのだ。
カズマはアニメ【ポケットモンスター】の主人公だったマサラタウンのサトシだったので、ポケモンネタを入れてみました。
恐らくですが、人気のある存在は皆さんも分かりますよね?