和真とクスハに関しては少しの間だけ出てきません。出すのはユエとの出会いからにしようと思っておりますが、これには理由がありますので
ステータスプレートの内容まで出すのは色々と面倒なので、省略したりしたものにしますのでご了承ください
奈落へと先に落ちたハジメと香織の二人であるが、ハジメが先に意識を回復した。
周りは薄暗いが緑光石の発光のおかげで何も見えないほどではないが、視線の先には幅五メートル程の川があり、川辺の石に上半身が引っかかって乗り上げたようであった。
霧がかかったようなハジメの頭が回転を始め、橋の崩落から落ちている時に自分は香織と何とか手を繋ぎ、この場所に落ちるまでに何度か壁から出てきた鉄砲水を受け、最初の時に水を見た時にお互いが離れないように抱きしめながらここまで落ちたのだ。
香織を探すと自分の顔から少し下に香織の顔があり、香織も意識を取り戻すと、二人は一緒に川から上がり、二人は衣服の水を絞り、香織の火種の魔法で暖をとりつつ、衣服が乾かしていた。
男女の仲になった二人であるが、この場所が何処なのかは分からないが、恐らくは未だに迷宮の中である事は分かっており、お互い裸に近い姿な上に、このトータスに来てからは天之河が原因で一度もできなかったのをしたいと思う気持ちがあった。
だが魔物達の襲撃があるかもと思い、互いの身体を合わせ、下の下着一枚のみと言える姿で火種の魔法と合わせて身体を温めるのであった。
衣服を乾かしながら二人は後で落ちたはずの和真とクスハの二人がいない事に気づいたが、壁からの鉄砲水の出た場所の関係で、自分達とは別の場所に流れ落ちたのかも知れないとした。
温まりながら今の自分達の状況を確認したのだが、ハジメは保有していた武器やアイテムを全て損失し、香織も保有していたアイテムを全て紛失し、更に二人共が戦闘に関しての適性が無いに近いので、ここからは気をつけて移動し、できたら早めに和真とクスハの二人と合流し、四人でこの場所から脱出しようとなったのであった。
二十分程して二人は衣服があらかた乾いたので服を着た後、慎重に慎重を重ねて奥に続く通路に歩を進めて行った。
複雑で障害物だらけでも通路の幅は優に二十メートルはあり、狭い所でも十メートルはあるのだから相当な大きさであった。歩き難くはあるが、隠れる場所も豊富にあり、二人は物陰から物陰に隠れながら進んでいった。
そうやってどれくらい歩いただろうか。
二人がそろそろ疲れを感じ始めた頃、遂に初めての分かれ道にたどり着いた。巨大な四辻で、二人は岩の陰に隠れながら、どの道に進むべきか逡巡した。
しばらく考え込んでいると、視界の端で何かが動いた気がしたので、二人は慌てて岩陰に身を潜めた。
そっと顔だけ出して様子を窺うと、通路から直進方向の道に白い毛玉がピョンピョンと跳ねているのがわかった。よく見ると、見た目はまんまウサギだった。
ただし、その大きさは中型犬くらいあり、後ろ足がやたらと大きく発達している。
そして何より赤黒い線がまるで血管のように幾本も体を走り、ドクンドクンと心臓のように脈打っていた。物凄く不気味であった。
明らかにヤバそうな魔物なので、直進は避けて右か左の道に進もうと決める。ウサギの位置からして右の通路に入るほうが見つかりにくそうだった。
二人は息を潜めてタイミングを見計らうが、ウサギが後ろを向き地面に鼻を付けてフンフンと嗅ぎ出したところで、二人は今だ!と飛び出そうとしたが、その瞬間、ウサギがピクッと反応したかと思うとスッと背筋を伸ばし立ち上がった。
しかも警戒するように耳が忙しなくあちこちに向いている。
二人は見つかったのかと思ったのか、岩陰に張り付くように身を潜めながらバクバクと脈打つ心臓を必死に抑える。あの鋭敏そうな耳に自分の鼓動が聞かれそうな気がして、二人は冷や汗を流した。
だがしかし、ウサギは別の理由で警戒していたのだとその後で理解した。
獣の唸り声と共に、白い毛並みの狼のような魔物がウサギ目掛けて岩陰から飛び出したのだ。
その白い狼は大型犬くらいの大きさで尻尾が二本あり、ウサギと同じように赤黒い線が体に走って脈打っている。
どこから現れたのか一体目が飛びかかった瞬間、別の岩陰から更に二体の二尾狼が飛び出す。
再び岩陰から顔を覗かせその様子を観察する二人は、どう見ても、狼がウサギちゃん(ちゃん付けできるほど可愛くないが)を捕食する瞬間だ。
二人はこのドサクサに紛れて移動しようかと腰を浮かせた。
だがしかし、その場でウサギが可愛らしい鳴き声を洩らしたかと思った直後、ウサギがその場で飛び上がり、空中でくるりと一回転して、その太く長いウサギ足で一体目の二尾狼に回し蹴りを炸裂させた。
ドパンッ!
およそ蹴りが出せるとは思えない音を発生させてウサギの足が二尾狼の頭部にクリーンヒットする。
すると、
ゴギャ!
という鳴ってはいけない音を響かせながら狼の首があらぬ方向に捻じ曲がってしまった。
流石の光景に二人は腰を浮かせたまま硬直してしまった。
その間にウサギは魔物としての固有魔法も使ってもう一匹の二尾狼の頭を強烈なかかと落としで粉砕した後、二匹の二尾狼が仲間の敵みたいにウサギを襲ったのであるが、一匹は壁にぶつけられてオブジェにされ、最後の一匹も保有する固有魔法である電撃を使うも、ウサギには雷撃を回避した後、最後の一匹も顎をサマーソルトキックを叩き込まれ、首が折れて殺されていた挙げ句、戦いの後にウサギの可愛い鳴き声が出たのであるが、二人からすれば乾いた笑みを浮かべた挙げ句に、下手に動けなくなってしまっていた。
何しろ少し前までいた橋の上で現れて苦戦したトラウムソルジャー達が玩具レベルに近く、あの単調な攻撃しかしなかったベヒモスよりも数倍強いと思える程、圧倒的な差がありすぎるのを目の当たりにしてしまったからだ。
この時点で二人は【気がつかれたら絶対に死ぬ】と思い、無意識に後退したのであるが、その際に小石を蹴ってしまうという、ベタなミスをしてしまったのだ。
油の切れた玩具のようにギギギと、二人が蹴りウサギを見ると、二人は蹴りウサギにばっちりと見られ、首だけだったのが身体ごとになり、更に足に力を入れているのが分かった。
二人は何とか蹴りウサギからの攻撃を回避し、ハジメが錬成魔法で壁を作り、香織も何とか演唱を終えた防御結界を壁の後ろに展開するも、ウサギの一撃でまるで壁も結界も一緒に一撃で壊されるのであった。
だが破壊されるまで数秒を稼げ、その数秒のおかげで二人は蹴りウサギの攻撃を回避したのであるが、運が悪いのか、二人は壁の近くに転がるように倒れ、地べたに這いつくばるような姿になっていた。
この攻防でウサギは二人に自分を害する存在ではないと確信した上に、自分よりも大分格下の存在だとしたのか、二人を見下すような視線になっていた。
だがしかし、突然そのウサギが震えだし、まるで"怯えている"様子になった事で、二人は不思議そうに思うと、その理由が自分達が逃げようとしていた右の通路から現れた新たな魔物の存在だと知った。
その魔物は二メートルはあるだろう巨躯に白い毛皮、例に漏れず赤黒い線が幾本も体を走っていた。
その姿はたとえるなら熊だったが、足元まで伸びた太く長い腕に、三十センチはありそうな鋭い爪が三本生えていた。
その爪熊がいつの間にか接近しており、蹴りウサギとハジメと香織を睥睨していた。
辺りを静寂が包み、ハジメと香織は元より蹴りウサギも硬直したまま動かない。いや、動けないのだろう。爪熊を凝視したまま凍りついている様子であった。
ハジメは香織に恐怖に震えた小声で頼み、香織も爪熊に気づかれないように、小声で恐怖に怯えながら演唱をし、どうなるのかを見ていた。
その後爪熊は蹴りウサギを襲い、その死骸を自身の爪で串刺しにし、バリバリボリボリと言う音をたてながらウサギを喰らっていた。
そして三口程でウサギを食べ終えると、爪熊の視線がハジメと香織の二人に向き、次の獲物はお前達だと言わんばかりの視線で、捕食者と言える視線を二人は向けられた。
ハジメは香織の手を引き、爪熊とは反対側に逃げ出すが、二人に風が唸る音が聞こえたのだが、香織が演唱を完了していた【聖絶】の魔法により攻撃を防いだかと思われたが、攻撃の威力が高く、壊れた聖絶の衝撃で二人は壁に叩きつけられてしまう。
そして意識が混濁してきたハジメが爪熊を見ると、【何かを咀嚼】しているのが見えた。
それは腕のようで、ハジメが自身の左腕の方を見ると【そこには何も無かった】。逆にそこから血が吹き出していたのだ。
香織の悲鳴ともいえる叫び声が響き、ハジメは肘から左腕を爪熊の攻撃で失い、喰われた左腕を食べ終えた後は、自分達を生きたまま喰おうと思っているのか、ゆっくりと歩いており、自分達がただの食料としか見ていないという目を見て、ハジメは香織に捕まれと声を上げた後、自身の使える唯一の魔法である錬成魔法を使って壁の後ろに高さ50センチ程の穴を開け、その穴に二人は逃げ込んだ。
そこから食料を逃さないとばかりに、爪熊は自慢の爪と固有魔法まで使って二人を襲うのであるが、ハジメは自身の使える錬成魔法を使って爪熊の恐ろしい咆哮と破壊音から逃げた。
二人は恐ろしい破壊音が聞こえないところまでハジメの錬成魔法で来たのだが、左腕からの出血多量と魔力の枯渇でハジメは意識を失い、香織もハジメの左腕に回復魔法をかけるが、今の時点での香織の回復魔法では焼け石に水程度でしか無いのだが、それでも香織は魔法使い続けて魔力を失ってしまい、涙を流しながらハジメの胸に倒れ込むのであった。
ピチョン・・・ピチョン・・・
水滴が落ちる音が聞こえ、意識が戻ったハジメは、胸に意識を失った香織に声をかけた。
香織もハジメが意識を取り戻したことに嬉しくなり、抱きつこうとしたら頭を打ってしまい、ハジメも高さを50センチ程にしかしてない事を思い出し、先程までの死の経験で錬成魔法の力が上がったのか、錬成魔法で縦幅を大きくすると同時に、涙を流しながら香織はハジメに抱きついた。
そして失った左腕を見ると、断面の肉が盛り上がって出血を止めていたのだが、同時に今の香織の回復魔法でも大量出血で無理だと言える状態だったのに、何故自分は行きているのかと疑問に思っていたのだが、天井から落ちた水滴がハジメの口に入った瞬間、ハジメは身体に活力が漲るのを感じた。
そしてハジメが水滴が流れる場所を錬成すると、そこにはバスケットボールぐらいの大きさの青白く発光する鉱石が存在していた。
その鉱石は周りの石壁に同化するように埋まっており、下方へ向けて水滴を滴らせていた。
神秘的で美しい石で、アクアマリンの青をもっと濃くして発光させた感じと言えるほどであった。
「綺麗・・・」
「これってまさか、神結晶?」
香織が不思議そうに答えると、ハジメは和真と一緒に王立図書館で調べた中に、この石の事が書かれてあるとした。
【神結晶】と呼ばれるこの結晶は、トータスの歴史上でも最大級の秘宝で、既に遺失物と認識されている伝説の鉱物だったりするのだ。
その理由は神結晶ができる原理で、大地に流れる魔力が千年という長い時をかけて偶然できた魔力溜りにより、その魔力そのものが結晶化したものが【神結晶】なのだ。
直径三十センチから四十センチ位の大きさで結晶化した存在なので、存在そのものが有るのか不明に近い物だったのだ。
そして結晶化して更に数百年もの時間をかけて内包する魔力が飽和状態になると、液体となって溢れ出し、その液体を【神水】と呼び、これを飲んだ者はどんな怪我も病も治るという。
欠損部位を再生するような力はないが、飲み続ける限り寿命が尽きないと言われており、そのため不死の霊薬とも言われている。
図書館にある神代の物語が描かれている物の一つに、神水を使って人々を癒すエヒト神の姿が語られていると語ると話すと、香織もハジメが助かったのがこの結晶のおかげと知って感謝をするように石をみていた。
二人は死の淵とも言える状況から生きているとなったのであるが、今度は生存していると理解できた事で、二人は完全に精神的に追い詰められてしまった。
それは今自分達がいる場所に来る原因ともなった爪熊の目であった。
二人も敵意や悪意になら立ち向かえたかもしれない。後で助かったと喜んで、再び立ち上がれたかもしれない。
しかし、爪熊のあの目はダメだった。完全に餌としてしか見ていない捕食者の目。
弱肉強食の頂点に立つ人間がまず向けられることのない目だ。
その目に、実際に自分の左腕を喰われたことにハジメの心は砕け、香織も運良く五体満足であるが、もしもハジメと同じ目にあっていたらとなり、香織ですら心が疲弊していた。
そんな精神的に追い詰められていたのもあるのか、二人はたがを外したように互いを求めあった。
元々二人は男女の一線を超えていた上に、このトータスに来てからは天之河光輝が理由で一緒になれる時間は少なかった。
この場から出たら死ぬかも知れないとなった二人は、今いる場所を少しだけ広くし、そして色んな形で重なり合った。
何かあれば神水を口にし体力を回復させ、寝る以外はお互いを求めあい続けた。
だがしかし、二人から恐怖は消えず、更に神水で体力等は回復しても飢餓感が消えることは無く、オマケにハジメは幻肢痛に苛まれた。
二人がこの場所に来てから数日が経過した。
お互いに求めあい続けながらも、二人は何故自分達がこんな目にあったのかを考えてもいた。
そして二人は今後の事をお互いに話し合い、そしてこれから先を共に生きる為に、そして生きて地球に帰るために覚悟を決めたのであった。
それが後に魔王とも呼ばれる南雲ハジメと、その妻で魔王妃とも呼ばれる白崎香織の始まりの日でもあった。
二人は飢餓感をどうにかする為に色々と考えた結果、魔物を食べる事にした。
本来なら魔物を食べたら死んでしまうのであるが、偶然にも見つけた【神水】があり、オマケに効能もどんな怪我や病も治ると言われている程のものなので、食べても何とか大丈夫だろうとした。
香織は魔物肉を食べた事で何か起きたら、回復魔法でどうにかするとしたが、ハジメはそれを拒否した。
回復魔法をかけてもらえるのは現状自分だけで、香織本人が魔物肉を食べ、神水の効果で死ななくても、何かしらの身体的な異常になったらハジメは嫌だとし、それなら二人で一緒に魔物肉を食べ、身体に異常が起きたとしても、二人でなら大丈夫としたのだ。
それから二人はこの場所を拠点にし、そして奈落にいる魔物達に見つからないように上手く立ち回りながら対応し、ハジメの錬成も前以上に生きる為に練度を上げ、そのおかげか四頭の二尾狼をハジメの錬成を利用した落とし穴とドリルのような機構を備えた槍を使い、二人は食料を得たのであった。
念の為にとして拠点に戻った二人は死んだ二尾狼の肉を解体し、更に火で焼いてから食べた。
ただ焼いただけの肉であったが、数日ぶりの食料を口にした事で胃がキリキリと痛みを上げたが、二人は久しぶりと言える食事をした。
だがしかし、その姿に関しては野生児に近く、特に香織を知る人間からすれば、余りの姿に気を失ってしまうかも知れないほどの食べ方になっていた。
更に二人は教会の人間が知ったら卒倒するような贅沢極まりないやり方と言えるように神水を飲料水代わりにしていた。
不味くてたまらないと悪態をつきながら食べ終わるとすると、突然二人の全身を激しい激痛に襲われた。
まるで体の内側から何かに侵食されているようなおぞましい感覚で、その痛みは時間が経てば経つほど激しくなる程の耐え難い痛みであった。
自分を侵食していく何か、二人は地面をのたうち回り、特にハジメは幻肢痛など吹き飛ぶような遥かに激しい痛みであった。
そして二人の体が痛みに合わせて脈動を始めた。ドクンッ、ドクンッと体全体が脈打ち、至る所からミシッ、メキッという音さえ聞こえてきた。
しかし次の瞬間には、体内の神水が効果をあらわし体の異常を修復していく。修復が終わると再び激痛、そして修復と、神水の効果で気絶もできない。絶大な治癒能力がアダとなった形であった。
二人は絶叫を上げ地面をのたうち回り、頭を何度も壁に打ち付けながら終わりの見えない地獄を味わい続けた。いっそ殺してくれと誰ともなしに願ったが当然叶えられるわけもなくひたすら耐えるしかない。二人は痛みで意識がヤバいと思いながら、手を何とか重ね合わせ、握りしめながら痛みに耐えるのであった。
すると、二人の体に変化が現れ始めた。
まずハジメは髪から色が抜け落ちてゆく。許容量を超えた痛みのせいか、それとも別の原因か、日本人特有の黒髪がどんどん白くなってゆく。
香織も同じように髪の色がハジメと同じように色素が変化したが、ハジメのように白くなるのではなく、銀色に輝くようになっていった。
次いでハジメの筋肉や骨格が徐々に太くなり、香織も肉体が変化していき、もしも地球であるなら誰もが羨むような女性の憧れとも言えるような姿に変化しつつ、二人の体の内側に薄らと赤黒い線が幾本か浮き出始める。
超回復という現象がある。
筋トレなどにより断裂した筋肉が修復されるとき僅かに肥大して治るという現象だ。
骨なども同じく折れたりすると修復時に強度を増すらしいが、今の二人の体に起こっている異常事態も同じである。
魔物の肉は人間にとって猛毒であり、魔石という特殊な体内器官を持ち、魔力を直接体に巡らせ驚異的な身体能力を発揮するのが魔物と言う存在なのだ。
体内を巡り変質した魔力は肉や骨にも浸透して頑丈にする。この変質した魔力が詠唱も魔法陣も必要としない固有魔法を生み出しているとも考えられているが、トータスでも未だに詳しくは分かっていないのだ。
とにかく、この変質した魔力が人間にとって致命的で、人間の体内を侵食し、内側から細胞を破壊していくのである。
過去、魔物の肉を喰った者は例外なく体をボロボロに砕けさせて死亡したとのことだ。
実はハジメもこの知識はあったのだが、飢餓感がすっかりその知識を脳の奥に押し込めてしまっていたのだ。
二人もただ魔物の肉を喰っただけなら体が崩壊して死ぬだけだっただろう。
しかし、それを許さない秘薬が神水であった。
ハジメの予想通り魔物の肉を食べて、神水を飲めば大丈夫であったのは間違いないが、実際は体や細胞で壊れた端からすぐに修復していく。その結果、肉体が凄まじい速度で強靭になっていく。
肉体の再生と破壊を繰り返すその様は、あたかも転生のように、脆弱な人の身を捨て化生へと生まれ変わる生誕の儀式とも言え、二人の絶叫は産声に近いものであった。
やがて、脈動が収まり二人はぐったりと倒れ込んだ。
ハジメの頭髪は真っ白に染まり、香織は銀髪に変化してしまっていた。
そして二人の服の下には今は見えないが赤黒い線が数本ほど走っていて、その線はまるでこの場所に来た二人が見てきた蹴りウサギや二尾狼、そして爪熊と言った魔物と同じである。
二人は意識を取り戻し、お互いの顔や身体を見ると、ハジメは元の身長が165位であったが、そこから10センチ程大きくなり、腕や腹等の筋肉が発達していた。
香織は元々学校でも三大女神と呼ばれるほどの存在であったが、今は黒髪から銀髪となり、更に肉体も前よりも更にスタイルが良くなり、髪の色と合わせて完全に女神様と呼べる存在に変化していた。
そしてお互いの眼の色が赤に染まっていることも知るのであった。
(香織に関しては原作後半からのノイントの肉体を使っている状態をイメージしてください。序に現在の香織のスリーサイズはルパン三世に出てくる峰不二子と同じと思ってください)
流石に魔物の肉を食べて、ここまでお互いの見た目が変化するのを確認し、更には体の中から違和感を感じ、ハジメと香織は違和感の正体を知るために、ほとんど存在を忘れかけていたステータスプレートを確認した。
確認したステータスを見ると、二人は唖然としてしまった。
何しろいきなりから技能が3つも増え、全てのステータスが急増し、更にはレベルも上がっていたので成長限界もしていたのだ。
その中で【魔力操作】の項目があり、二人は自分達にある奇妙な感覚に集中して扱ってみると、ハジメは錬成魔法が、香織は回復魔法が詠唱がいらずで使えるようになった。
【胃酸強化】と言う技能も得たが、これは次から魔物肉を食べても今回のようにならなくなるのだろうとなった。
最後に二尾狼が使っている固有魔法の【纏雷】に関してはイメージが必要である事が分かり、電気を扱える能力なので、後は要練習とした。
結構話を飛ばして書こうかな?と思っておりますので