色々とありふれないカズマの大冒険   作:ナハト・リコリス

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今回はユエが仲間になるまでの話と、和真とクスハとの再会になります

そしてここからは少しだけオリジナルをいれていきます


第10話 新たな出会いと再会

魔物肉を食べて肉体が変化した二人は拠点で鍛錬をしていった。

 

特にハジメにとってこの場所は凄く当たりと言える場所で、何と派生技能が付いたのだ。

しかもそれは【鉱物系鑑定】と呼ばれるもので、王都の王国直属の鍛冶師達の中でも上位の者しか持っていないという技能だった。

 

通常鑑定系の魔法は攻撃系より多くの式を書き込まなければならず、必然的に限られた施設で大きな魔法陣を起動して行わなければならない。

 

しかし、この技能を持つ者は触れてさえいれば、簡易の詠唱と魔法陣だけであらゆる鉱物を解析できるのだ。潜在的な技能ではなく長年錬成を使い続け熟達した者が取得する特殊な派生技能なのだ。

 

ハジメは周囲の鉱石を片っ端から【鉱物系鑑定】を使って調べていくと、その中でハジメはとんでもない物を見つけた。

 

 

燃焼石

 

可燃性の鉱石。点火すると構成成分を燃料に燃焼する。燃焼を続けると次第に小さくなり、やがて燃え尽きる。密閉した場所で大量の燃焼石を一度に燃やすと爆発する可能性があり、その威力は量と圧縮率次第で上位の火属性魔法に匹敵する

 

 

タウル鉱石

 

黒色で硬い鉱石。硬度8(10段階評価で10が一番硬い)。衝撃や熱に強いが、冷気には弱い。冷やすことで脆くなる。熱を加えると再び結合する

 

 

 

ハジメがこの説明を見た瞬間、脳内に電流が走ったような気がした。

 

燃焼石は地球で言うところの火薬の役割を果たせるのではないか?だとしたら、攻撃には使えない錬成で最大限の攻撃力を生み出せるかもしれない!と思い至ったのだ。

 

 

 

ハジメは興奮し、作製するには多大な労力と試行錯誤が必要だろうと考えた。

 

ここに来る前に兄の和真との話し合い、この世界での戦争被害拡大化を防ぐ為に火縄銃的な感じの武器開発を考えたのだが、火薬に近い系列の材料が見つからないので、魔石とボーガンの応用で開発はできたのだが、今度は本体の強度不足が判明し、強度不足を解消する素材が見つからなかったのだ。

 

なので王国でいた時にはボーガンの矢を改良して威力を少しだけ底上げした程度で終わっていたが、今は完成させる為に必要な素材があるので、ハジメは香織にも少しだが手伝ってもらいながら、何千回という失敗の果てに、ハジメは遂にとある物の作製に成功した。

 

 

音速を超える速度で最短距離を突き進み、絶大な威力で目標を撃破する現代兵器

 

全長は約三十五センチ、この辺りでは最高の硬度を持つタウル鉱石を使った六連の回転式弾倉。長方形型のバレル。弾丸もタウル鉱石製で、中には粉末状の燃焼石を圧縮して入れてある、すなわち大型のリボルバー式拳銃を完成させたのだ。

 

 

しかも、弾丸は燃焼石の爆発力だけでなく、ハジメの固有魔法【纏雷】により電磁加速されるという小型のレールガン化する能力も付加され、ハジメはこの大型リボルバー式拳銃に《ドンナー》と言う名前をつけた。

 

 

まず最初にハジメはドンナーの試射の相手に蹴りウサギを選び、更に罠を仕掛けて倒した。

 

スタート地点の川から水を汲んできて蹴りウサギを誘導し、爆進して来た蹴りウサギが撒き散らした水の上を通った瞬間【纏雷】の最大出力で感電させ、全身から煙を噴き上げながらも、突進してきたので、電撃で鈍ったところを正面からドンナーで撃ち抜いた。

 

この時ドンナーの弾丸を喰らった蹴りウサギの頭は木っ端微塵に砕けてしまうほどであった。

 

そして二人は蹴りウサギの肉を喰い、ステータスの上昇とウサギの技能を手にしたのだが、初めて使った際にはハジメが壁に激突する事態となり、ウサギの技能は移動系技能であったが、要練習の事案となった。

 

 

同時に二人は爪熊と戦うことを覚悟した。

何しろ爪熊に与えられた恐怖を乗り越えて行かなければ、この先の迷宮を進めないと二人共判断していたからだ。

 

 

二人はウサギから得た技能を十二分に使えるようになると同時に、ハジメが香織専用に造っていた拳銃も完成した。

 

香織のはドンナーよりも一回り小さいが、ドンナーと同じ能力を保持したリボルバー拳銃で、更に後々でドンナー用の練習も考えて弾込めを素早く行うスピードローラーも造った。

 

名前に関してはハジメも色々と考えていたのだが、香織は《ガンナー》と言う名前をつけ、ハジメもその名に納得した。

 

 

そして二人は爪熊を見つけ、二人は戦闘を開始した。

 

同時にこの爪熊との戦いがターニングポイントとなり、これから前に進む為の儀式でもある爪熊との戦い、二人は爪熊との戦闘に勝利した。

 

戦闘後に二人は爪熊の肉を喰らい、そして今回の戦いで同時に【生きたい】と言う生への意思と、地球へ帰るという意思を更に固めるのであった。

 

 

爪熊を倒してから三日程が経ち、二人は8割近くこの場所を調べたのであるが、上階に行く為の階段を見つけられなかった。

 

下に行く道なら二日前に見つけたのだが、上に行く道は見つけられず、更に錬成魔法で上に行こうとしても、途中から錬成魔法が作用しなくて行けなくなると分かり、二人は爪熊の毛皮をハジメが錬成魔法を使って作った針金を使って作った即席のリュックサックを背負い、下に降りていくのであった。

 

 

それから二人は下に降りて行ったのだが、当初は一階層を降りるだけで色々と困っていたが、途中何度か休憩も兼ねた魔物肉の食事とステータスチェック、そして補充品でもあるドンナーとガンナーの弾丸作製の為でもある。

 

何しろ弾丸はハジメの錬成魔法で創り出した特注品で、一発造るだけでも30分ほどかかるのだ。

 

その分威力は折り紙付きであり、ハジメ自身の錬成技能も上がり、鉱物から不純物を取り除いたり成分ごとに分けたりする技能が簡単にできるようになったし、逆に融合させるのも容易になった。実際、今のハジメの錬成技術は王国直属の鍛治職人と比べても筆頭レベルに値する程になっていたのだ。

 

因みに香織もハジメが弾丸作成の間は瞑想をしたり、ハジメの作業の邪魔にならない程度での魔法の練習をしており、これまでよりも即座に防御や少しだが回復ができるようになっていた。

 

 

魔物肉を食べて得た技能も使って二人は休憩時以外は迷宮探索を行い続けた。

そのせいで時間の感覚が完全に麻痺し、今が何時なのかも分からないが、それでも二人は歩みを止めることは無かった。

 

 

二人は階層を降りて行きながら色んな地形や魔物と交戦し、魔物達は全て喰らっていき、五十層までやって来たのであった。

 

 

二人はこの五十層で作った拠点で銃技や格闘術、魔法等の鍛錬を積みながら少し足踏みをしていた。というのも、階下への階段は既に発見しているのだが、この五十層には明らかに異質な場所があったのだ。

 

それは、なんとも不気味な空間だった。

 

脇道の突き当りにある空けた場所には高さ三メートルの装飾された荘厳な両開きの扉が有り、その扉の脇には二対の一つ目巨人の彫刻が半分壁に埋め込まれるように鎮座していたのだ。

 

二人はその空間に足を踏み入れた瞬間全身に悪寒が走るのを感じ、これはヤバイと一旦引いたのである。もちろん装備を整えるためで避けるつもりは毛頭ない。ようやく現れた【変化】なのだ。調べないわけにはいかない。

 

 

同時に二人は期待と嫌な予感を両方同時に感じていた。あの扉を開けば確実になんらかの厄災と相対することになる。だがしかし、同時に終わりの見えない迷宮攻略に新たな風が吹くような気もしていた。

 

それはこの階層に来るまで和真とクスハの二人の痕跡や、出会わなかったのもあり、分かれ道で二人は死亡したのだと思ってきていた二人にとっても、感じている予感が当たっていて欲しいとも思えるものだったのだ。

 

 

そして二人が扉の前に行き、ハジメが扉にある魔法陣を見ると、流石のハジメは困惑してしまった。

 

周りから無能とされていたのと、兄である和真と一緒に生き残る為の戦略として座学には力を入れており、魔法陣の術式等も全てでは無いが、王国での座学や自主的な図書館での勉強も込みで勉強してきたのだ。

 

だがしかし、この魔法陣に刻まれた術式を読み解くことができず、同時に相当古い系列なのだと理解した。

 

そこでハジメは錬成魔法で扉を開けようとすると、扉から赤い放電が走りハジメの手を弾き飛ばした。ハジメの手からは煙が吹き上がっており、香織が素早く回復魔法で傷を癒やした。

 

突然、野太い雄叫びが部屋全体に響き渡ったのだ。

 

二人はバックステップで扉から距離をとり、腰を落として手をホルスターのすぐ横に触れさせいつでも抜き撃ち出来るようにスタンバイする。雄叫びが響く中、遂に声の正体が動き出した。

 

扉の両側に彫られていた二体の一つ目巨人が周囲の壁をバラバラと砕きつつ現れた。いつの間にか壁と同化していた灰色の肌は暗緑色に変色していたが、一つ目巨人の容貌はまるっきりファンタジー常連のサイクロプスだ。

 

だがサイクロプス二体は、すぐさま二人の射撃によってあっさりと倒されるのであった。因みに現れて僅か5秒程なので、余りにも哀れ過ぎる二体であった。

 

 

そして二人はサイクロプスの中にある拳大の魔石を取り出し、それを扉にある窪みにはめ込むと、扉に魔石からの魔力が流れて扉が開き、同時のこの周りに明かりのようなものが灯された。

 

扉の中の部屋は真っ暗であったが、二人共ここに来るまでに【夜目】と言うスキルを習得しているので、手前の灯りで部屋の中が少しずつだが分かってきた。

 

 

聖教教会の大神殿で見た大理石のように艶やかな石造りで出来ており、幾本もの太い柱が規則正しく奥へ向かって二列に並んでいて、部屋の中央付近に巨大な立方体の石が置かれており、部屋に差し込んだ光に反射して、つるりとした光沢を放っていた。

 

その立方体を注視していた二人は、何か光るものが立方体の前面の中央辺りから生えているのに気がついた。

 

二人は近くで確認しようと扉を大きく開け固定しようとする。いざと言う時にホラー映画のように、入った途端バタンと閉められたら困るからだ。

 

しかし、二人が扉を開けっ放しで固定する前に、それは動いた。

 

「……だれ?」

 

かすれた、弱々しい女の子の声で、二人はビクリッとして慌てて部屋の中央を凝視する。

すると、先程の《生えている何か》がユラユラと動き出し、差し込んだ光がその正体を暴く。

 

「人……なのか?」

 

《生えていた何か》は人だった。

 

上半身から下と両手を立方体の中に埋めたまま顔だけが出ており、長い金髪が某ホラー映画の女幽霊のように垂れ下がっていた。

 

そして、その髪の隙間から低高度の月を思わせる紅眼の瞳が覗のぞいていた。

 

見た感じの年の頃は十二・三歳くらいだろう。

随分やつれているし垂れ下がった髪でわかりづらいが、それでも美しい容姿をしていることがよくわかる。

 

 

流石に予想外だった二人は硬直し、紅の瞳の女の子も二人をジッと見つめていた。

 

「お願い・・・助けて・・・」

 

掠れて呟きのようであるが、必死さは感じる声を彼女は発した。助けを求める声を

 

二人は罠等を警戒しながら封印されている彼女に近付きながら、彼女から話を聞いた。

 

「私、先祖返りの吸血鬼……すごい力持ってる……だから国の皆のために頑張った。でも……ある日……家臣の皆……お前はもう必要ないって……おじ様……これからは自分が王だって……私……それでもよかった……でも、私、すごい力あるから危険だって……殺せないから……封印するって……それで、ここに……」

 

枯れた喉で必死にポツリポツリと語る女の子の話を聞きながら二人は呻いた。

 

なんとまぁ波乱万丈な境遇かと思うと同時に、ところどころ気になるワードがあるので、湧き上がるなんとも言えない複雑な気持ちを抑えながら二人は尋ねた。

 

「君はどっかの国の王族だったのか?」

 

「……(コクコク)」

 

「殺せないって、何で?」

 

「……勝手に治る。怪我しても直ぐ治る。首落とされてもその内に治る」

 

「……そ、そいつは凄まじいな。……すごい力ってそれか?」

 

「これもだけど……魔力、直接操れる……陣もいらない」

 

彼女から話を聞いて、二人は『なるほど』と納得した。

 

二人も魔物を喰ってから魔力操作が使えるようになったからで、身体強化に関しては詠唱も魔法陣も必要ないし、香織ですら今では詠唱を使わなくても回復や妨害系魔法を使えるようになっている。

 

封印されている彼女の話が本当なら、敵味方の両面から最大の脅威になれる。

何しろ魔法適性があれば反則的な力を発揮できるのだろう。

 

何しろ周りがチンタラと詠唱やら魔法陣やら準備している間にバカスカ魔法を撃てるのだから正直いって勝負にならないし、しかも不死身である。

絶対的なものではないだろうが、完全にいって勇者すら凌駕しそうなチートである。

 

 

ハジメと香織の二人は彼女を助けることにし、ハジメが錬成魔法で彼女を封印している立方体の封印を解こうとしたのだが、まるで迷宮の上下の岩盤のようで錬成魔法が効きづらいが、完全と言うわけでは無いのが分かり、自分の保有する魔力と錬成魔法をの最大に使い、封印していた立方体から彼女を救い出すのであった。

 

 

それなりに膨らんだ胸部が露わになり、次いで腰、両腕、太ももと彼女を包んでいた立方体が流れ出す。

 

一糸纏わぬ彼女の裸体はやせ衰えていたが、それでもどこか神秘性を感じさせるほど美しかった。

そのまま体の全てが解き放たれ、彼女は地面にペタリと女の子座りで座り込んだので、封印されていた弊害でどうやら立ち上がる力がないらしい。

 

同時にハジメも座り込んだ。

肩でゼハーゼハーと息をし、すっからかんになった魔力のせいで激しい倦怠感に襲われる。

 

荒い息を吐き震える手で神水を出そうとして、その手を女の子がギュッと握った。弱々しい、力のない手が小さくて、ふるふると震えている。

 

「……ありがとう」

 

ハジメをしっかりと見て言われたお礼の言葉に、軽く返事をした。

 

 

そして裸の彼女にハジメが外套を渡し、二人の名前を聞いて来たので、二人は彼女に名前を教えると、彼女は自分の名前は無いと言った。

理由として前の名前は嫌だとし、ハジメに名前をつけて欲しいと言ってきたのだ。

 

これには二人も彼女自身が新たに前を進む為の儀式なのだろうと思いつつ、ハジメは《ユエ》という名前を彼女につけた。

名前の理由が月と知り、彼女はその名前を気に入ったのか、自分の名前を《ユエ》としたのだ。

 

そしてハジメが神水を飲んで体力等を回復させたと同時に二人の【気配感知】の技能にとんでもない魔物の気配が引っかかり、しかもその場所は真上で、ハジメがユエを抱き抱えてその場から二人が素早く移動すると、ちょうど真上から降りてきた魔物の正体も判明した。

 

 

魔物は体長五メートル程で、四本の長い腕に巨大なハサミを持ち、八本の足をわしゃわしゃと動かしている。オマケに二本の尻尾の先端には鋭い針がついていたサソリで、同時に二人は先程まで【気配感知】に反応しなかった事から、この魔物はユエを逃さないための最後の仕掛けでもあるのだと理解した。

 

 

サソリもどきと言える魔物が尻尾の針から噴出した紫色の液体を放つと、二人は液体に触れる前に素早くその場から回避すると、液体の当たっていた床部分が溶けたので溶解液だと認識し、香織は捕縛魔法を使うのだが、力の差があり過ぎるのか長時間の拘束は無理だと宣言した。

 

ハジメはそれを聞いてドンナーで攻撃をするのだがダメージを受けた様子は無く、現状ここに来るまでに開発していた【焼夷手榴弾】やゼロ距離でのドンナーのレールガン射撃でもダメージを与えられず、拘束は力尽くで破壊され、更に尻尾から針を飛ばす攻撃や溶解液の2つを上手く使われ、二人は現状自分達が保有する火力でサソリもどきにダメージを与えられないのでどうしようかと思っていた。

 

 

そこにユエが声をかけてきた。『どうして逃げないのか?』と。ユエ自身もあのサソリもどきが強いのを理解しており、足手まといの自分を置いて逃げれば大丈夫だと言うのは、ユエ自身が一番理解していた。

 

だが二人はそれを拒否した。

これから先の戦いを考えれば、目の前のサソリもどきレベルの敵と出会うだろうというのは分かっているし、それ以上に助けたユエを見放すという真似は最初からする気が無かったからだ。

 

 

その事を話すと、香織はサソリもどきの攻撃を防いでいる間に、ユエは自分を事を信じて欲しいと言って、ハジメの首筋にキスと思いきや、噛みついたのだ。

 

流石の事態に防御していた香織も唖然とするが、少しして二人はユエが吸血鬼だと言うことを思い出し、ハジメも力が抜き取られる違和感を感じたが、これはユエが何かしらの準備をする為に必要と判断し、二人でユエの準備が完了するまで耐える事にし、ハジメの錬成魔法で造り出した自分達3人を守る壁を作り、それを更に香織の結界魔法で強固にした。

 

そしてユエがハジメから口を離したのだが、その姿はどこか熱に浮かされたような表情でペロリと唇を舐め、その仕草と相まって、幼い容姿なのにどこか妖艶さを感じさせた。

 

しかもどういう訳か、先程までのやつれた感じは微塵もなくツヤツヤと張りのある白磁のような白い肌が戻っていて、頬は夢見るようなバラ色になっていて、紅の瞳は暖かな光を薄らと放っていて、その細く小さな手は、そっと撫でるようにハジメの頬に置かれている。

 

「……ごちそうさま」

 

そう言うとユエは、おもむろに立ち上がりサソリモドキに向けて片手を掲げた。

 

同時にその華奢な身からは想像もできない莫大な魔力が噴き上がり、彼女の魔力光なのだろうか、黄金色が暗闇を薙ぎ払い、神秘に彩られたユエは魔力色と同じ黄金の髪をゆらりゆらゆらとなびかせながら、一言、呟いた。

 

「【蒼天】」

 

その瞬間サソリモドキの頭上に直径六・七メートルはありそうな青白い炎の球体が出来上がり、直撃したわけでもないのに余程熱いのか悲鳴を上げて離脱しようとするサソリモドキ。

 

だが、奈落の底の吸血姫がそれを許さない。

ピンっと伸ばされた綺麗な指がタクトのように優雅に振られる。青白い炎の球体は指揮者の指示を忠実に実行し、逃げるサソリモドキを追いかけて直撃した。

 

「グゥギィヤァァァアアア!?」

 

サソリモドキがかつてない絶叫を上げる。

明らかに苦悶の悲鳴だ。着弾と同時に青白い閃光が辺りを満たし何も見えなくなり、二人は腕で目を庇いながら、その壮絶な魔法を唯々呆然と眺めた。

 

やがて、魔法の効果時間が終わったのか青白い炎が消滅すると、背中の外殻を赤熱化させ、表面をドロリと融解させて悶え苦しむサソリモドキの姿があった。

 

 

その姿に二人は唖然とした。

 

何しろハジメが造った【焼夷手榴弾】でも溶けず、ゼロ距離からレールガンを撃ち込まれてもビクともしなかった化け物の防御を僅かにでも破ったユエの魔法を称賛すべきか、それだけの高温の直撃を受けて表面が溶けただけで済んでいるサソリモドキの耐久力を褒めるべきか、二人としては悩むところである。

 

トサリと音がして二人が驚異的な光景から視線を引き剥がし、そちらを見やると、ユエが肩で息をしながら座り込んでいる姿があった。どうやら魔力が枯渇したようだ。

 

「ユエ、大丈夫なの?」

 

「ん……最上級……疲れる」

 

「助かったよ。後は俺達がやるから休んでいてくれ」

 

「ん、頑張って……」

 

二人は未だ健在のサソリモドキに向き、外殻の表面を融解させながら、怒りを隠しもせずに咆哮を上げ、接近してきた二人に散弾針を撃ち込もうとするが、香織の魔法で動きを封じられ、ハジメが融けた装甲にドンナーで穴を開け、その穴の中に特性の手榴弾を埋め込んでその場を離れると、サソリもどきは内側からの爆発で地響きを立てながら倒れた。

 

そこに香織が念の為として魔法で拘束し、ハジメが香織から借りたガンナーでサソリもどきの口に二・三発の弾を叩き込み、二人も確実にサソリもどきは死んだとして安堵した。

 

 

流石にこれで終わったと思っていたら、この部屋の入口付近に薄青色の光の鏡のような物が現れた。

突然現れたそれを見た三人が警戒していたら、その鏡のような物から謎の生物が現れた。

 

本体と思われるのは厳つい顔をした存在で、その頭の上と腹部分にも顔のような物があり、しかも身体の筋肉をみたら肉弾格闘戦が得意だろうと思われる魔物が現れた。

(現れた魔物の見た目に関してはウルトラマンZに登場したトライキングです)

 

 

ハジメは素早く相手にガンナーのレールガン状態で攻撃をしたのだが、相手は着弾したにも関わらず全く効いていない様子で、香織がすぐさま捕縛魔法を使うが、少し動いただけでアッサリと破壊されてしまった。

 

流石の事態に三人はどうしようかと思っていたら、頭の顔付近にある額部分?と言える場所から光線が発射され、更には腹から無数の光弾とも言える攻撃が行われた。

 

 

三人はユエの魔法にかけようとハジメの錬成魔法で造りだした土壁を香織の魔法で強化し、先程のサソリもどきでも破壊する事ができなかった物よりも更に強化したのを造りだしたのだが、それもアッサリと破壊されてしまった。

 

 

嫌な予感がして三人も破壊される前に回避したのだが、これ以上はどうしようかと思ってしまっていたら、魔物の両肩部から翼のような物が展開し、空を飛んで爆撃のような攻撃を受ける羽目になった。

 

流石の攻撃を回避していたのだが、その際にハジメのドンナーと香織のガンナーも破壊され、三人は生きてはいたが息絶え絶えの状態になり、周りの地面も凸凹にされ、まともに逃げる道すら潰されてしまった。

 

空を飛んでいる姿を見れば、完全に悪魔とも言える魔物相手に、三人もここまでかと思っていたら

 

「俺の弟に、何しやがる!!」

 

魔物の上から魔物が現れたのと似た鏡が現れ、そこから持ち手も含めて三角形のような形をした剣を持った和真が落ちながら現れ、手に持った剣で魔物の片翼を切り裂き、和真の後から現れた不思議な姿をした存在が振るった棒により反対側の翼の膜に穴を開けられ、魔物は地面に落下し、和真と謎の存在は着地し、三人の下にやって来た。

 

ほんの少しだけの話をしただけであったが、ハジメは目の前にいるのは自分の兄だと確信し、和真も姿が変わったハジメと香織に声をかけた。

 

そして謎の存在に関しては、青い東洋の龍のような意匠を模した鎧を纏った上に、黒髪から青い髪に変わっていたがクスハの姿で、流石の姿に二人は驚いていた。

 

 

ユエを除いた面々が再会を喜んでいたのだが、魔物の雄叫びが再会の喜びを引き裂き、和真はハジメと香織に近くにいたユエと一緒に休んでいるように言って、クスハに三人を守ってほしいと頼むとクスハは頷いた。

 

和真はハジメに預かって欲しいとして、龍の模様のあるアクセサリーをハジメに預けると、手にしていた剣を持って敵の魔物に身体ごと向けた。

 

「行くぜ、ゲキリュウケン!」

 

『あぁ!』

 

そう言うと和真は六角形の物を取り出した。

 

「リュウケンキー、発動!」

 

『チェンジ、リュウケンドー!』

 

「激龍変身!」

 

そう言うと剣《ゲキリュウケン》から青く輝く龍が現れ、和真の身体に現れた龍が入って光が周りを照らした後、和真のいた場所に特撮ヒーローのような存在の姿があった。

 

「光と共に生まれし龍が、闇にうごめく魔を叩く!魔弾剣士、リュウケンドー!ライジン!」

 

今この異世界トータスに魔弾戦士の一人《魔弾剣士リュウケンドー》が現れた瞬間であった。




香織用の使用する拳銃に関しては《ガンナー》以外は無いです。

それと今作品での香織は多分他の作者の作品ても見ないキャラにするつもりですので、楽しみにしてください

クスハの現在の姿に関しては龍人機をイメージしてください


あと最後に出てきたトライキングですが、とある理由で使わされた存在で、元々が怪獣ではなく、トータスにいる魔物のような扱いになっています。

ですが、トータスの魔物とは違って人工生命体のような扱いになりますが、系列的にはトータスでも中位の魔物になります


ここまで強かったのは、この時の初期とも言える装備のハジメ達では対応不可の相手だっただけで、原作でもウルの町に来た時のレベルなら三人で余裕で倒せる扱いですので、装備不十分が原因と思ってください


ゲーム的には時間制限まで耐えれば勝利するみたいな扱いの敵と思ってくれれば分かりやすいかと
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