後ですがアンケートをとります
第1話 残念ウサギとの出会い
俺達はライセン大峡谷の樹海側に向かって移動していた。
トータスにおいてライセン大峡谷は魔法が使えない場所とされ、魔法が使えない理由は発動した魔法に込められた魔力が分解され散らされてしまうからである。
これは香織やユエの魔法も例外ではないのだが、ユエはかつての吸血姫であり、香織も魔物肉を食べた影響で、2人の内包魔力は相当なものであるうえ、今は外付け魔力タンクである魔晶石シリーズを所持している。
だがしかし、魔法による攻撃を得意とするユエ曰く、分解される前に大威力を持って殲滅すればよいということらしい。
「力づくって……効率は?」
「……十倍くらい」
初級魔法を放つのに上級レベルの魔力が必要らしい上に、射程も相当短くなるようである。ユエの発言で香織も防御面特化であるが、防御に関してはキツいかもとなってしまった。
因みに今のクスハが使うのは魔法ではなく、符術と呼ばれるタイプらしく、このライセン大峡谷でも使うのには問題が無いが、先に色々と準備が必要とのことであった。
ハジメは創り出した魔導二輪車を宝物庫から取り出して移動していた。地球のガソリンタイプと違って燃焼を利用しているわけではなく、魔力の直接操作によって直接車輪関係の機構を動かしているので、駆動音は電気自動車のように静かである。
ハジメとしてはエンジン音がある方がロマンがあると思ったのだが、エンジン構造などごく単純な仕組みしか知らないので再現できなかった。速度調整は魔力量次第であるが、ライセン大峡谷では魔力効率が最悪に悪いので、あまり長時間は使えないだろう。
因みにユエと香織のじゃんけん勝負に関しては香織の勝ちで、香織はハジメの後ろに座り、ユエは魔導二輪車に取り付け可能なサイドカーに乗り込み事になった。
俺に関してはオルクス大迷宮で自分の新たな力を知った際に知った大型バイク《Gスピーダー》にクスハを後ろに乗せて走っていた。
俺の方は魔力ではなくエンジンタイプで、ハジメもエンジン音を聞いて喜んでいたが、ガソリン等の燃料が必要としない半永久機関で、更にタイヤはパンクしても(させられても)全自動修復すると言う機能付で、流石にそれを聞いてユエを除いた全員が唖然としてしまった。
ライセン大峡谷は基本的に東西に真っ直ぐ伸びた断崖だ。そのため脇道などはほとんどなく道なりに進めば迷うことなく樹海に到着する。
俺達としても迷う心配が無いので、迷宮への入口らしき場所がないか注意しつつ、軽快にバイクを走らせていく。オマケにハジメのは車体底部の錬成機構で谷底の悪路を整地しながら進むので実に快適で、俺のはハジメと並走して走っているが、こんな悪路ですら平気で走れるのであった。
もっともその間も俺達の手は動き続け、基本的にはハジメと香織が魔物の群れを撃退し、俺はバイクにある武装で、ユエはサイドカーに搭載されている武装で撃退しながら進んで行った。
とは言っても俺達のは武装が前方に固定されているので、前から来ているのを迎撃するだけであるが
しばらく走らせていると、それほど遠くない場所で魔物の咆哮が聞こえてきた。
咆哮の感じからして中々の威圧であり、少なくとも今まで相対した谷底の魔物とは一線を画すようであり、後30秒程で問題の魔物の姿を確認できると言う感じであった。
お互いに走らせ突き出した崖を回り込むと、その向こう側に大型の魔物が現れた。かつて見たティラノモドキに似ているが頭が二つあり、双頭のティラノサウルスモドキだ。
だが、真に注目すべきは双頭ティラノではなく、その足元をぴょんぴょんと跳ね回りながら半泣きで逃げ惑うウサミミを生やした少女だろう。
俺達は一度バイクを止めて、胡乱うろんな眼差しで今にも喰われそうなウサミミ少女を見やる。
「……何だあれ?」
「……兎人族?」
「なんでこんなとこに?確か亜人は樹海にいるって話だったよな?」
「……聞いたことない」
「じゃああれって、もしかして何かしろの悪事を働いた存在ってことなのかな?」
「……どうなんだろう?」
俺達は首を傾げながら、逃げ惑うウサミミ少女を尻目に呑気にお喋りに興じる。
助けるという発想はないのは、ライセン大峡谷が処刑方法の一つとして使用されている事を俺とハジメが調べた結果で知っているからで、逃げている?ウサミミ少女が犯罪者である事も考えていたからだ。
本来の歴史であるならハジメはこの世界を見捨てる気があるので、この時のウサミミ少女が死のうと関係無いと言う思いであったが、この世界では兄であるカズマと幼馴染のクスハがいる事と、自身にとっての大切がユエだけでなく香織がいるのもあり、精神的な変貌の変化が少ないのだ。
だがしかし、今はこの世界における神の真実を知ったのもあり、このトータスに自分達を呼んだエヒト様を倒して地球に帰ると誓っている。
一緒に連れてこられたクラスメート達に関してはオマケで返してやるつもりであるが、一部の人間はこのトータスで残留させるつもりなのも決めているのだ
そんな風に様子を見ている間にも双頭のティラノサウルスがウサミミ少女に爪を振るって襲っていたら、ウサミミ少女は俺たちに気づいたのか、何故か俺達の方に逃げて来たのだ。
それなりの距離があるのだが、ウサミミ少女の必死の叫びが峡谷に木霊し俺達に届く。
「だずげでぐだざ~い! ひっーー、死んじゃう! 死んじゃうよぉ! だずけてぇ~、おねがいじますぅ~!」
滂沱の涙を流し顔をぐしゃぐしゃにして必死に駆けてくる。そのすぐ後ろには双頭ティラノが迫っていて今にもウサミミ少女に食らいつこうとしていた。このままでは俺達の下にたどり着く前にウサミミ少女は喰われてしまうだろう。
「うわ、モンスタートレインだよ。勘弁しろよな」
「……迷惑」
「どうする?」
だがしかし、俺達からしたら助ける気はない。
俺達を必死の形相で見つめてくるウサミミ少女から視線を逸らすと、俺達が助ける気がないことを悟ったのか、少女の目から、ぶわっと更に涙が溢れ出した。一体どこから出ているのかと目を見張るほどの泣きっぷりだ。
「まっでぇ~、みすでないでぐだざ~い! おねがいですぅ~!!」
ウサミミ少女が更に声を張り上げる。
それでも俺達は全く助ける気がないので、このまま行けばウサミミ少女は間違いなく喰われていたはずだった。
そう、双頭ティラノがウサミミ少女の向こう側に見えた俺達に殺意を向けさえしなければ。
「ハジメ、俺がするから手を出すな」
「分かった」
そう言って俺は乗っているスピーダーに搭載されているブレイクレーザーを発射し、双頭のティラノサウルスを一撃で倒すのであった。
そしてこのウサミミ少女からこの双頭のティラノサウルスの名前が《ダイヘドア》と言うことを知るが、俺達は恐らく犯罪者かも知れないウサミミ少女から離れようとすると、まるで逃がさないみたいな感じでしがみつかれた。
その気配を察したのか、今までゴロゴロ地面を転がっていたくせに物凄い勢いで跳ね起きて、「逃がすかぁ~!」と再び俺の腰にしがみつくウサミミ少女。やはり、なかなかの打たれ強さだ。
「先程は助けて頂きありがとうございました! 私は兎人族ハウリアの一人、シアといいますです! 取り敢えず私の仲間も助けてください!」
そして、なかなかに図太かった。
俺はしがみついて離れないウサミミ少女を横目に見て、俺達は奈落から脱出して早々に舞い込んだ面倒事に深い溜息を吐くのだった。
これが後に俺達の仲間になるシア・ハウリアとの出会いであり、同時にトータスで色々と恐れられる事になるハウリア族との出会いになるのであった
アンケートに関してはシアの扱いです
シアをカズマの嫁にするか、原作通りにハジメの嫁にするかになります。活動報告にもあげましたのでアンケートに協力お願いします
アニメ3期を観てて、シアをカズマの嫁にするのも良いかと思っていましたので