第1話 指定依頼と再会
商業中立都市のフューレン
高さ二十メートル、長さ二百キロメートルの外壁で囲まれた大陸一の商業都市で、あらゆる業種が、この都市で日々しのぎを削り合っており、夢を叶え成功を収める者もいれば、あっさり無一文となって悄然と出て行く者も多くいるらしい
観光で訪れる者や取引に訪れる者など出入りの激しさでも大陸一と言える場所だと聞いた
その巨大さからフューレンは四つのエリアに分かれている
この都市における様々な手続関係の施設が集まっている中央区、娯楽施設が集まった観光区、武器防具はもちろん家具類などを生産、直販している職人区、あらゆる業種の店が並ぶ商業区がそれだ。東西南北にそれぞれ中央区に続くメインストリートがあり、中心部に近いほど信用のある店が多いというのが常識らしい。
メインストリートからも中央区からも遠い場所は、かなりアコギでブラックな商売、言い換えれば闇市的な店が多い。その分、時々とんでもない掘り出し物が出たりするので、冒険者や傭兵のような荒事に慣れている者達がよく出入りしているようだと、そんな話を中央区の一角にある冒険者ギルド:フューレン支部内にあるカフェで軽食を食べながら聞く俺達であるが、話しているのは案内人と呼ばれる職業の女性だ
都市が巨大であるため需要が多く、案内人というのはそれになりに社会的地位のある職業らしい。多くの案内屋が日々客の獲得のためサービスの向上に努めているので信用度も高いらしい
俺達はモットー率いる商隊と別れると証印を受けた依頼書を持って冒険者ギルドにやって来て、そして宿を取ろうにも何処にどんな店があるのかさっぱりなので、冒険者ギルドでガイドブックを貰おうとしたところ、案内人の存在を教えられた
現在は案内人の女性、リシーと名乗った女性に料金を支払い、軽食を共にしながら都市の基本事項を聞いていたのであるが、ここまで来ると少し前までの旅は滅茶苦茶とも言える内容であった
ここに来るまでは馬車で約6日間となっていたが、ここに来るまでの間の食料等は冒険者達は自腹で、周囲を警戒しながらの食事なので、商隊の人々としては一緒に食べても落ち着かないのだろうと、別々に食べるのは暗黙のルールになっていた
冒険者達も任務中は酷く簡易な食事で済ませてしまい、凝った料理を作ろうとして荷物を多くし過ぎると、不足の事態にあった際に身動きがとれなくなるので、結果的に持っていく荷物等は最低限度に近い状態にし、美味い飯を食いたいなら町に着いて報酬を貰ってから腹一杯食べるのがセオリーなのだと、冒険者の先輩達から聞いたのだ
ぶっちゃけた話、俺達の場合はハジメの持つ【宝物庫】や、俺の持つブレスレットのアイテムボックス機能により、美味い飯を食べるための道具や材料を大量に保存できるため、俺達の中で料理ができる香織・クスハ・シアの3人が交代で温かくて美味い食事を作ってくれたのだから、質素な食事をする周りの冒険者が色々とヤバいと思う顔をする程であった為、流石に女性陣が周りの冒険者達に食事提供をしたのだが、途中から遠慮がなくなり、女性陣を自分の嫁にとかみたいな話をしたので、俺達2人が威圧して黙らせたりしたのだった
因みに料理に関して、ユエは元々が王族なので料理系は香織などから現在は教わっている最中で、俺とハジメは料理はできるが、男飯に近いので大味になるため、美味い料理を作れる3人には逆らえなかったのであった
襲撃もあったのだが、ユエの魔法によって一撃で終わってしまった。そしてフューレンに到着して少しだけ問題はあったが、あっさりと解決したから楽であったと思ったくらいである
案内人であるリジーさんに俺達が泊まる宿を頼む際に、女性側の要望で、結果的に夜のお楽しみができる部屋があるみたいな感じの宿になったが、リジーさんも内容を聞いて顔を赤くしていたが、これに関しては仕方無いと思いつつも、俺とハジメは何にも言えなかった
そして他の地区に関しての話となったのだが、その際に気味の悪い、一番不躾ともとれる視線が女性陣に注がれ、女性陣も余りの視線の気味の悪さもあってか、心底嫌そうな顔になった
俺とハジメは視線を送ってきただろう方向に顔を向けると、そこにはブタがいた。見た限りでも体重が軽く百キロは超えていそうな肥えた体に、脂ぎった顔、豚鼻と頭部にちょこんと乗っているベットリした金髪。身なりだけは良いようで、遠目にもわかるいい服を着ている。そのブタ男が女性陣を欲望に濁った瞳で凝視していた
そして俺達の所に近付くやいなや、香織・クスハ・ユエを自分の嫁にし、シアを奴隷にすると一方的な言い方をしてきたので、ハジメと俺がこの豚にだけ殺気を叩き込み、豚はその場に倒れて失禁し、周りも殺気に巻き込まれて転んだりしていたが、案内人であるリシーは範囲に入れないようにしていた
リシーだけ完全に困惑した状態になっていたが、流石にこんな豚がふざけた言葉を言った程度で殺害みたいな事をしたら、流石にダメだよなと思う程度は俺達にも頭にあったので、場所を移動するとした困惑したリシーを除いた女性陣は移動しようとしたのだが、汚ない水を出している豚とは別の意味で、筋肉でどっしりとした体格の大男が現れた
そしてこの豚がキィキィとした声で、この大男に俺達を殺せと言ってきたので、俺とハジメの2人で何とかするかと思ったら、香織とシアの2人が大男、周りが言うには冒険者ランクは黒という、冒険者ギルドで上から三番目の存在で、レガニドという名前らしい
だがしかし、結果で言えばレガニドは手加減された香織の槍術の地雷閃で吹き飛ばされ、更に同じようにシアのハンマーで片腕を潰され、本人も意地で立っている様子であったがユエの魔法で倒された上に、気絶したのに股間を何度もヤられており、周りの男連中ですら戦慄していた
そして豚に関してはギャアギャアと喚いて五月蝿いので、地面に倒れていて、こんな豚を触りたくもないと思ったが、流石にウザかったので、未だに地面に座っている豚の高さに合わせてやった
「諸手頸動脈打ち」
そして両手の手刀で左右の頸動脈を同時に打ち付けるこの技で、豚の頸動脈を打ち付けて気絶させ、両手についた豚の気持ち悪い脂汗をクスハが手渡してくれた綺麗な布巾のような布で拭いて取り除き、俺達のいたテーブルに迷惑料込みでの代金を置いて出ようとしたら、やっと動いたギルド職員が現れて拘束されるみたいな状態になった
色々と面倒だなと思っていたら、ユエがキャサリンから渡されていた手紙の事を言ってくれたので、手紙をギルドの職員に渡したら、何故かこのフューレンの冒険者ギルドの支部支部長イルワ・チャングと言う大物との面談となってしまったので、あのキャサリンさんって何者って思ってしまった
あの手紙のおかげでこんな風になったので、それとなくキャサリンさんの事を聞くと、フューレン支部支部長が言うには、あのキャサリンさんは何と王都のギルド本部でギルドマスターの秘書長をしていた人物で、その後はギルド運営に関わったらしく、冒険者ギルドの五・六割はキャサリンさんの教え子で、結婚してブルックの町の冒険者ギルドに行ったと言うことで色々と納得してしまった
そしてキャサリンさんの手紙の力で今回の案件は終わりかと思われたのだが、この支部長から依頼を頼まれた。まぁ依頼を受けないと面倒臭い案件になる感じだったので面倒だった
依頼内容に関しては北の山脈地帯への調査依頼で行った冒険者グループが予定を過ぎても帰って来ず、冒険者グループの家族の1人が捜索願を出したらしい
支部長であるイルワの話を要約すると、つまりこういうことだ。
最近、北の山脈地帯で魔物の群れを見たという目撃例が何件か寄せられ、ギルドに調査依頼がなされ、北の山脈地帯は一つ山を超えるとほとんど未開の地域となっており、大迷宮の魔物程ではないがそれなりに強力な魔物が出没するので高ランクの冒険者がこれを引き受けたのだ
ただ、この冒険者パーティーに本来のメンバー以外の人物がいささか強引に同行を申し込み、紆余曲折あって最終的に臨時パーティーを組むことになったらしい
この飛び入りがクデタ伯爵家の三男ウィル・クデタという人物らしく、クデタ伯爵は家出同然に冒険者になると飛び出していった息子の動向を密かに追っていたそうなのだが、今回の調査依頼に出た後、息子に付けていた連絡員も消息が不明となり、これはただ事ではないと慌てて捜索願を出したらしい
だがしかし、最初の調査依頼に関しては元々かなりの手練れの冒険者グループが参加していたらしく、並みの冒険者ではダメとなり、俺達を選んだと言われた
流石に冒険者ランクは【青】の俺達にそんなことを言うのはと思ったら、実はキャサリンさんの手紙に俺達がライセン大峡谷を走破できると書かれていたらしく、俺とハジメはキャサリンさんにはこの事を言っていない筈なのにと思ったら、女性陣がキャサリンさんと話をしていた際にバラしてしまったらしい
当初はこの依頼は断わろかと思ったのだが、報酬として冒険者ランクを【青】から【黒】に引き上げ、依頼の金額にも色をつけると言われたので何故かと思ったら、本人が問題の三男坊が冒険者の恐ろしさを教えたらと思ったらしく、まさかこんな事態になるとは思わないから、色々と心配なのが目に見えた
「俺が出す条件を飲んでくれ。そしたら受けてやる」
「条件?」
「あぁ。そんなに難しいことじゃない。条件は2つ。まずユエとシアにステータスプレートを作って欲しい。だが、そこに表記された内容について他言無用を確約すること。次にギルド関連に関わらず、アンタの持つコネクションの全てを使って、俺達の要望に応え便宜を図ること、この2つだ」
「それはあまりに……」
「出来ないなら、この話はなしだ。もう行かせてもらう」
俺がそう言うと、色々と考えた顔をした後、コネクションを使う理由を聞いてきた
「何を要求する気かな?」
「そんなに気負わないでくれ。無茶な要求はしないぞ?ただ俺達は少々特異な存在なんで、後々で教会あたりにほぼ確実に目をつけられると思う。その時、伝手があった方が便利だなっと思っただけだ。面倒事が起きた時に味方になってくれればいい。ほら、指名手配とかされても施設の利用を拒まないとか、だな」
そう言うと流石に大都市のギルド支部長、頭の回転は早くイルワはしばらく考え込んだあと、意を決したように俺に視線を合わせた。
「犯罪に加担するような倫理にもとる行為・要望には絶対に応えられない。君達が要望を伝える度に詳細を聞かせてもらい、私自身が判断する。だが、できる限り君達の味方になることは約束しよう……これ以上は譲歩できない。どうかな」
「あぁ、それでいい。あと報酬は依頼が達成されてからでいい。お坊ちゃん自身か遺品あたりでも持って帰ればいいだろう?」
そう言って俺達はイルワ支部長と別れ、依頼の目的地である北の山脈地帯に向かうのであった
因みに北の山脈地帯に一番近い町までに関しては、俺・クスハ・シアの3人はGストライカーで、ハジメ・香織・ユエの3人はハジメの造ったバイクに乗って移動した
何しろ道に関してはライセン大峡谷の時のように魔力を阻害するものみたいなのも無いので、ハジメの造ったバイクは十全の性能を発揮し、更にユエの魔法でハジメ達は風圧を調整し、俺のGストライカーと並走しているが、お互いに時速80キロ近いスピードを出して移動していた
その結果、後1日でノンストップで行けば近くの町まで大丈夫みたいな状態となり、まぁ流石にノンストップで行くのはキツいので、何処かで1度休憩は入れる予定にはしておいた
序でに言うと地球出身の俺達にとって、今行っている場所は水源が豊富で大陸一の稲作地帯らしく、流石に俺のアイテムのおかげで何度か米料理は食べていたが、この世界でのお米も買えれば、後々で色んな料理に使えるかもと思っていたりしたので、その町に行くのを楽しみにしていたりしたのだ
そして俺達は北の山脈地帯に一番近い町、湖畔の町ウルに到着したのであった
だがしかし、この町に到着し、宿屋とレストランが併合してる場所をとり、序でに久々の米料理を食べようと思っていたら、この場所に愛子先生と一部の勇者メンバーがいたのであった
食事をしようとしたら、愛子先生が何故生きてると知らせなかったのかとなったが、俺達は依頼で丸1日以上ノンストップで来たとし、先に食事をさせてもらうように言った
「それに、ある人のお婆ちゃんが言っていた。『食事は一期一会、毎回毎回を大事にしろ。』と、そして『食事の時間には天使が降りてくる。そういう神聖な時間だ。』と。だから飯の時間ぐらいゆっくりさせて下さい」
「兄貴、それ、誰だ?」
「・・・覚えてないんだが、世界は自分を中心に回っていると思ったら楽しいみたいな事を平気で言う男のお婆ちゃんだ。因みその男は滅茶苦茶に強い奴だと認識している。何しろ世界中が敵に回っても、守るべきものの為なら戦えると言える男だからな」
そしてこの世界における異世界カレー(ニルシッシル)を食べながら、愛子先生からの質問に答えたが、『頑張った結果』としか言わなかった上に、戻らなかったのかと聞かれたので、それだけは別口で理由ができたとし、理由は話さないとした
まぁ流石にこんな返答なので、愛子先生が怒っていたが、それ以上に愛子先生達と行動をしていた騎士がキレ、兎人族のシアを馬鹿にしたが、ユエが『小さい男』と騎士に言うと、騎士は剣に手を掛けたので、俺は食事の手を止めた上に大きなため息をついたので、騎士はそちらに俺に顔を向けた
「ユエ、こいつの場合は小さい以前の問題だ」
ユエは???となり、周りも同じような感じになった
「さっき言った男のお婆ちゃんの言葉でな、『男がやってはいけないことが二つある。女の子を泣かせることと、食べ物を粗末にすることだ。』とな。シアの事を獣だ何だと言う以前に、男として最初から問題なだけだ」
流石の俺の言葉に完全にブチギレてた騎士が剣を抜こうとした瞬間、俺は食事用に出ていたナイフを騎士の眼球付近に突き刺すようにして構えた
流石の騎士も自分が剣を抜くよりも速く、騎士の顔面スレスレで食事用のナイフを投げ、近くにあった柱に刺さったナイフに恐怖し、周りも俺の対応に驚きながらも警戒だけはしていた。まぁ愛子先生や勇者メンバーは動けない様子なので放置した
「いい加減にしろよ?俺は3つのとあるお婆ちゃんの言葉を言った。その3つ全てを台無しにしているお前さんなんぞ、最早どうでも良い。こっちは元々仕事で来ているんだ。仕事の邪魔をすると言うなら、次は無いぞ。それと邪魔をするなら、他のお前等も分かってるな」
そう言って食事を再会させてもらうのであった
周りの事などこちらとしても知った事ではないからだ
愛子先生がハーレムメンバーにならない理由に関しては、今回のウルの町での話でだします