ウルの町に帰ってきた俺達は、町長に今起きている事実を話した
流石にたった1日の結果で、4万近い魔物の軍勢がこの町に向かっていると聞いて、本来ならとんでもない嘘だと思うのであろうが、ここには神の使徒の一員であり【豊穣の女神】と世間から呼ばれている愛子先生のお陰で色々と困惑しながらも納得してくれた
因みにここに来るまでの話し合いで、ティオの事と、今回の騒動を起こしている黒幕と思われる存在が現在行方不明である清水の可能性がある事は伏せてもらっていた
ティオに関しては竜人族の存在が公になるのは好ましくないので黙っていて欲しいと本人から頼まれたため、黒幕に関しては愛子が、未だ可能性の段階に過ぎないのと、俺達としても昔の清水ならやりかねないが、俺達と出会って変わった今の清水を信じたいと言う気持ちがあるからだ
竜人族は聖教教会にとっても半ばタブー扱いであることから、混乱に拍車をかけるだけということと、ばれれば討伐隊が組まれてもおかしくないので面倒なことこの上ないと秘匿が了承された
だがしかし、問題だったのはウィルで、俺達は町を見捨てるとした判断をしたのを驚き、元々ウィルがいたベテラン冒険者達を壊滅させた黒竜の姿でのティオをボコボコにした俺達なら、ヒーローのように町を救ってくれると思っていたらしいが、俺達からしたら全く違う
「元々俺達はウィル、お前の捜索の為にこの町に来ただけに過ぎない。お前が見つかった以上、この町でする事は無いし、できるとしたらこの町の人間を避難させるのを少し手伝うぐらいだな。いくら俺達が強くても、数の暴力に勝てると思ったのか?」
流石の正論として言われた事実に、ウィルは何とも言えなかったが、愛子先生が俺達ならあの魔物の軍勢に勝てるのではと言われた
根拠に関してはここに来るまでの移動途中で、ウィルがこれだけの魔物の軍勢相手でも俺達なら勝てるのではと言った際に、返答として起伏のある山道で、障害物が多い場所での殲滅戦なんてできるかと言ったのを覚えていたのだ
愛子先生は俺達に話をしてきたが、俺達の幸せや未来を願う言い方だったので、まだマシだと思った
「『優しさを失わないでくれ。弱い者をいたわり、互いに助け合い、どこの国の人達とも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。たとえその気持ちが何百回裏切られようと。それが私の変わらぬ願いだ』」
「えっ?」
「最近思い出したのもあるけれど、俺だけしか知らない英雄とよばれる存在の一人の願いの言葉ですよ。因みにこれはハジメ達には言っていますから、愛子先生の言い分は分かりましたよ」
俺はそう言った後にここにいる同級生でもある男連中だけを連れて、魔物の軍勢の進行を少しでも遅くするための準備をするとし、仲間であるハジメ達は俺の言ったことを理解してすぐさま行動を開始し、男連中は無理矢理Gストライカーに乗せて魔物の軍勢が来ている方向へと進ませた
敵の進行速度を考えて、ウルの町への進行を少しでも遅くするための準備として、まず最初に一番敵との距離が近い場所であるが、俺のブレスレット内にあった危険な液体火薬を元にして造った簡易的な地雷を設置する為の作業をする事にしたのだが
「し、死にたくないんだよ!!」
「そ、そうだよ。俺達はお前らと違うんだよ!!」
「あのな、ここでこの作業をしないとウルの町の人達や、愛子先生達が魔物の餌になるんだぞ?それなら俺はお前らを放って次の場所に移動するだけだぞ。お前ら程度でも魔物の餌になれば少しは時間稼ぎになるからな」
俺の発言に連れて来られた男連中は場所を聞いて涙を出したり、何もしないでいたので俺は切り捨てる発言をした上に、自分達を捨てる上に餌発言に怒ったが、俺はそれ等を無視して大地斬の一撃で地面に穴を空けたので、連れて来られた男連中は腰を抜かした
「お前ら一体何のためにここに来たんだ?まさか愛子先生と一緒にいたら、自分達が死ぬ可能性が減るとでも思っていたのか?全く違うぞ。今の愛子先生は世間から豊穣の女神と呼ばれ、色々な食糧事情を解決させられる力を持っている。敵である魔人族からしたら勇者である天ノ川以上の抹殺対象存在だ。今回みたいな真似をしても、愛子先生を潰せるなら構わないし、戦争をしている以上、戦略的に何の問題も無いからな」
俺の言う残酷とも言える真実に放心し、全員が死にたくないと言い、目に涙を浮かべていたが、俺はその姿にぶちギレた
「その顔は何だ!?その目は何だ!?その涙は何だ!?お前らのその涙で、今来ようとしている4万近い、いや、今ならそれ以上の数になっている魔物の軍勢が倒せるのか!?ウルの町の人達を、愛子先生や皆を守れるのか!?」
「お、お前は強いからそ『俺だって怖い』えっ?」
「俺だって怖い。ここは魔物の軍勢からそれなりに距離はとったが、悪ければ魔物の軍勢でも足の早い奴は悪ければ後少ししたらここに来るかもしれない。だがな、俺は守りたいからだ。弟のハジメを、幼馴染みのクスハを、愛子先生やウルの町の人達を。少しでも魔物の軍勢の進行を遅らせる、その僅かかも知れない時間が、人々の避難を終らせ、ハジメが今やっているだろう最終防衛の要を造る時間になるんだ」
「そ、それでも・・・・」
俺自身も怖いと言う思いがある事を言っても動こうとしないので、俺は自分でできる範囲だけでもと思って作業をするのであったが、途中から連れてきた全員が手伝ってくれたが、本来俺が思っていたのと違って半数くらいでしかなかったが、これでもマシかと思うのであった
設置をした後に全員を連れてウルの町に途中で背後から爆発音がしたのでスピードを上げてウルの町に急いで帰ると、ハジメの錬成魔法による防壁が完成していたが、町の人達は爆発音に皆が驚いていた様子だが、俺が敵の進行を遅らせるために敵の進行方向に特製爆弾を仕掛けたとし、その爆弾が爆発した音だとして何とか町の人達を納得させた
「ハジメ、悪いな。本来なら2割か3割ほど今来ている魔物を消し飛ばすつもりだったが、あいつ等の心構えが無さすぎる上に、使えないから仕掛けが半数以下に近くて、多分だけど1割にも満たない程の奴等しか倒せていない筈だ」
「うわぁ~。まさか愛子先生と同行しているくせに、覚悟もしてなかったのかよ」
「多分だが、お前が奈落の底に落ちて死んだと思ったのが理由で、死の恐怖から逃げる為だけに愛子先生と同行することにしたんだろうな。オマケに愛子先生も自分の価値を余り理解してなさそうだしな」
流石のハジメや他の面々も、俺がそう言うと納得するみたいな感じになった
因みに俺達が話をした後にティオが俺達の仲間になると言ってきたのだが、理由に関してなのだが、ティオは竜人族の中では一・二を争う程で、耐久力は群を抜いており、これまで他者に組み伏せられることも、痛みらしい痛みを感じることも、今の今までなかったのだが、俺とハジメがティオにとって初めてボコボコにした上に組み伏せられ、痛みと敗北を一度に味わった経験が原因でドMの変態になっており、本人的には俺よりかハジメが狙われてしまったのだが、流石に色々と何にも言えない案件になってしまった
「(・・・・何でだろうなぁ。ティオが俺の知る限りでも滅茶苦茶にヤバい変態だと理解してるのに、何でかティオ並にヤバい変態を知ってる感があるのは(汗)(汗))」
ティオの話を聞いて滅茶苦茶にヤバい変態だと理解してるのに、俺だけは何故かそんな感覚をもっていたので、何でだろうなぁと思ったが、周りには言わないでおこうと思うのであった
そしてハジメは豊穣の女神とも言われている愛子先生を旗印にし、このウルの町は助かるみたいにしていたが、愛子先生がハジメを滅茶苦茶に睨んでいたが、こればかりは仕方無いと思うしかなかった
何しろまず最初に、この先俺達の、特にハジメの活躍により教会や国が動いたとき、彼等がハジメに害をなそうとすれば、愛子は確実に彼等とぶつかるだろうが、その時に【豊穣の女神】の発言権は強い方がいいというものだ。
町の危急を愛子様の力で乗り切ったとなれば、市井の人々は勝手に噂を広め、【豊穣の女神】の名はますます人々の心を掴むし、その時は単に国にとって有用な人材というだけでなく、人々自身が支持する女神として、国や教会も下手な手出しはしにくくなり、より強い発言権を得ることになるだろう
二つ目は単純に、大きな力を見せても人々に恐怖や敵意を持たれにくくするためだ。一個人が振るう力であっても、それが自分達の支持する女神様のもたらしたものと思えば、不思議と恐怖は安心に、敵意は好意に変わるものであり、教会などから追われるようになっても、協力的な人がいるといいなというものだ
三つ目としては単純に、自分達を矢面に立たせたのだから《俺達の先生》なら諸共に矢面に立って見せろという意思表示である。
もっとも一番の理由は、単に町の住民にパニックになって下手なことをされたくなかっただけなので、ハジメと少しだが話し合って決めた事で、愛子先生に色々言われそうだが、愛子先生自身にもメリットはあるし、彼女自身の選択の結果でもあるので大目に見てもらうか、事が終われば俺達はすぐさまトンズラすればいいだけだからだ
そして俺達は戦闘をする準備もしたのだが、敵に関しては洗脳されて真っ直ぐに突っ込むしかない烏合の衆であるが、数の暴力はあるので、俺達は互いを見た後、戦うために意識を切り替えるのであった
因みにこの防衛戦後に、ハジメのハーレムメンバーが追加される扱いとしますので