Muv-LuvのAlvis   作:naomi

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第弐話 アーカディアン計画

「『アーカディアン計画』?」

 

「そうだ。」

 

「アーカディアンという言葉は世界では理想郷や楽園と言った意味で使われている」

 

「かぁ〜。『楽園計画』ですか?BETAに蹂躙されて人類滅亡のカウントダウンが始まったなんて言われてる時代に随分と皮肉な名称をつけるんですな〜」

 

「…………溝口。」

 

「…………失礼致しました。」

 

「それで大佐。その『アーカディアン計画』とはどのような内容なのですか?」

 

「…………簡潔に言うと、【脱出と隠遁】だ」

 

「?」

 

大佐の言葉に首を傾げる真壁史彦と溝口恭介。

 

「この計画は第4計画が失敗し、第5計画に移行した場合を想定しているのだよ」

 

「第5計画?」

 

「そうだ。既に第5計画…………つまり米国主導の『オルタネイティブⅤ』も水面下で始動している」

 

「どういうことです!?まだ『オルタネイティブⅣ』は始まったばかりなんでしょ?」

 

「…………先程。真壁大尉が懸念したではないか」

 

「!?」

 

「『オルタネイティブⅣ』は実現可能なのかと」

 

「……………」

 

「『オルタネイティブ計画』の全容を知る者の大半は、『オルタネイティブⅣ』の実現可能性に疑問を抱いている。そこで予備案として米国主導の『オルタネイティブⅤ』も水面下で動いているという訳だ」

 

「『オルタネイティブⅤ』は現実的だと?」

 

「あぁ…………新型の戦略核兵器による全ハイヴへの集中攻撃と他星系への移住作戦だ」

 

「地球を棄てるんですか!?」

 

思わず溝口恭介が声を荒げる。

 

「新型の戦略核兵器…………米国は『G弾』と呼称しているそうだ。その兵器は1発で従来の核兵器の数十倍の威力を誇るそうだ」

 

「そりゃあ。えらい兵器ですな」

 

「…………しかし、そのような代物リスクも相当なモノということですか?」

 

「えぇ、我々のシミュレーションではこの作戦を実施した場合。地球の1/3が生物の住めない地域になります」

 

「!?」

 

淡々と語る皆城公蔵に息を呑む2人。

 

「これはあくまで最低限起きると予測される被害だ。実際の被害は此れとは比べ物にならないと皆城博士のチームは見ている」

 

「故に米国は『G弾』による集中攻撃とセットで他星系への移住計画を打ち出している…………選ばれた何万人という人類のみを逃がす計画をな」

 

「嘘だろ…………」

 

唖然とする溝口恭介。真っ直ぐこちらを見る大佐を見てこれが出任せでないことを悟る2人。

 

「そこで我々が実行するのがこの『アーカディアン計画』である。」

 

スクリーンが切り替わると巨大な艦船の図面が表示される。

 

「これは…………」

 

「海上海中移動要塞艦『Alvis(アルヴィス)』。この要塞艦が『アーカディアン計画』の拠点となる」

 

「デケェー…………その辺の小島より大きいんじゃないか真壁?」

 

「…………そうだな」

 

「全長66km、全幅は35km、全高15km。排水量現時点では不明。さらに左右が脱出船として運用可能で右翼艦『雷神』左翼艦『風神』は全長約35km、全幅約8Km、全高約8Km。」

 

「佐渡ヶ島サイズの巨大要塞艦ってか…………」

 

「尚、船体は約1000人が居住出来る人工島に擬装することとなっている」

 

「どういうことです!?」

 

「平たく言えば日本帝国版の『オルタネイティブⅤ』だ。『オルタネイティブⅤ』発動に備え一部の人間をこの要塞艦に移住させ来る時に備え戦力を整える。…………それが『アーカディアン計画』」

 

「………全国民ではない理由は何故ですか?」

 

「…………今の惨状を見ていればおおよそ検討はついているのだろう?この計画はただの移住計画では無い。人類がいずれBETAに反攻する為の軍事計画だ。ここに移住するのはこの計画で研究する内容に適した人材と軍人…………その関係者だけだ」

 

「何故、我々が?」

 

「この計画に適した人材として選ばれたからだ。喜ぶがいい」

 

「真壁君、溝口君。私は君達の大陸での活躍を高く評価していてね。私がお願いしたんだ」

 

皆城公蔵が2人の人選は自分の推薦だと告げる。

 

「皆城さん。買い被られては困ります。当時の部隊長が優秀だっただけで…………大佐まさか!?」

 

「……………」

 

「彼女は退役した身です!この計画に彼女も含まれているのですか?」

 

「勿論だ。」

 

「……………」

 

「真壁…………」

 

「軍は彼女を退役させていない。予備役として登録している」

 

「そんな!?」

 

「あれだけの戦果を残している衛士をこの時勢だ、出産を理由に退役させる訳にはいかんのだよ」

 

「……………」

 

「君自身から直接告げることを許可する。頼むぞ」

 

「…………了解しました。」

 

この日より真壁史彦と溝口恭介は『アーカディアン計画』の一員として活動を始めた。

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