Muv-LuvのAlvis   作:naomi

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第参話 護りたいモノ

「今、戻った。」

 

暫く皆城公蔵から『アーカディアン計画』の概要を聞いた真壁史彦はようやく帰路についていた。

 

「父さん。おかえり」

 

「ただいま一騎。母さんいるか?」

 

「うん。母さん…………」

 

息子の『真壁一騎(まかべかずき)』が母を呼びに駆ける。

 

「……………」

 

「おかえりなさい。お疲れ様」

 

「ただいま」

 

「どうしたの?そんな険しい顔して」

 

「そんな顔してるか?」

 

「…………一騎。少しだけお父さんとお母さんの2人きりにさせてくれる?」

 

「うん。わかった」

 

一騎は自分の部屋へと走って行く。

 

「それでどうしたのよ?史彦」

 

「すまん紅音…………すまん」

 

「ちょっと!?いきなりどうしたのよ!?」

 

突然涙を流す史彦に妻の『真壁紅音(まかべあかね)』は動揺した。

 

 

「落ち着いた?」

 

お茶を差し出す紅音。史彦は礼をすると1杯啜る。

 

「すまない。ありがとう」

 

「『アーカディアン計画』ね……………」

 

「君の夢を守ると誓ったのに…………すまない」

 

「……………5年」

 

「5年?」

 

「一騎を生んで5年。最前線で戦う衛士でもある私が我が子を育てる事に5年間専念させて貰えた。それってとても恵まれた事だと思うの」

 

「…………」

 

「一騎も1日中付ききっきりでなきゃいけない年頃は過ぎたし。私は私の夢…………いや私の我が儘を受け入れてくれたこの国に感謝してるし、また恩を返せるのなら返したい」

 

「我が儘って…………息子を育てる事のどこが我が儘なんだ!?」

 

「ありがとう史彦。いつも私の我が儘に真剣に向き合ってくれて」

 

「!?」

 

「家の役割に縛られ、求められた役割に縛られ、自分の思考を持つ事を諦めていた私を。貴方は受け止め、私が成りたいと思う私を見ようといつも向き合ってくれた」

 

「…………」

 

「だから私は夢を少し叶えられたし、今の私を認めて挙げられる。貴方がいるから」

 

「紅音…………」

 

紅音が史彦をそっと包み込む。

 

「1人で背負い込まないで史彦。また一緒に戦いましょ?成長した一騎が戦いと無縁の世界にいられるように」

 

「あぁ…………そうだな」

 

「…………さぁ、一騎を待たせてるわ。夕飯にしましょ?」

 

「わかった」

 

「一騎。ご飯にしましょ?用意するの手伝って」

 

「わかった。今日はなに?」

 

「今日はね。…………カレーよ」

 

「この前もカレーだったょ〜」

 

「あら?そうだったかしら」

 

「まぁいいや、母さんのカレー美味しいし」

 

「ありがと。一騎」

 

「そういうのいいから!?」

 

「あらあら、ついこの前まで嬉しそうにしてたのに」

 

「!?」

 

「フフフ」

 

最愛の妻と息子の仲睦まじいやりとりをじっと眺める真壁史彦。

 

この2人を必ず守ると決意を新たに『アーカディアン計画』と向き合った。

 

 

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