『アーカディアン計画』始動から2年が経った1997年。『アーカディアン計画』の活動拠点は東京から北の大地北海道の釧路に移っていた。
皆城公蔵に呼ばれ、とあるドックに来た真壁史彦。
「驚いた。こんな所にドックがあったとは」
「我々の計画は極秘だからな。このくらいの手配は造作も無いさ」
「それに海上海中移動要塞艦『Alvis(アルヴィス)』。既に完成していたのか?」
「これは第5計画推進派が建造した移民船団の艦船の試作艦だ。廃棄になる予定の艦をこちらが働きかけ3隻提供して貰った。」
「…………この3隻で『Alvis(アルヴィス)』を建造すると」
「そうだ。これまで我々が設計した『Alvis(アルヴィス)』の設計図をこの3隻に反映し完成させる」
「なるほど。建造にかかるコストと時間はこれで短縮した訳か」
「だがそもそも宇宙艦を地上艦に改修する上人工島としての設備や考案した『G元素』由来の技術の導入など。第4計画が見切りをつけられ第5計画に移行するまで間に合うかは」
「…………正直に言えば間に合わない」
「恐らくな」
「その辺の事は俺にはわからん。皆城達を信じてその時に備えるさ」
「勝手を言ってくれるな。真壁」
「…………しかしだ。政府はよくこの計画を承認したな」
「第4計画がおとぎ話なのは計画の主導派も承知の上でなんだろう。上手くやり込めることで有名な榊首相が渋々容認するくらいなんだからな」
「それでも承認だけで、予算獲得には至らなかったか」
「あぁ、あくまでメインは第4計画だからな。それに我々は第5計画推進派がいる限りはその辺の心配は無用だ」
「確かにな」
「そういえば、近くまた大陸派遣が検討されていると聞いたが」
「うむ。朝鮮半島の情勢が思わしくないそうだ本土防衛軍からも一部選抜されるかもしれないとは聞いている」
「・・・・・可能性は?」
「わからん。まあ俺達としてはそっちが本分のようなものだ。準備はしておくさ」
「困るな、お前達には戦術機の開発衛士として働いてもらわねばいかんのだからな」
「最優先は『Alvis(アルヴィス)』だろ?それまで俺達は手持ち草だ」
「・・・・・それはそうとして、・・・・・すまんな」
「なんだ突然」
「息子達は元気か?」
「なんだそんなことか。気にするな2人とも元気だ。こちらとしても一騎は人見知りの傾向があったから助かってるよ」
「そうか・・・・・」
「・・・・・賢いよお前の息子達は。お前達が傍にいれない理由をなんとなくだろうが理解してる」
「・・・・・だとしてもな」
「悩む暇があるなら毎日じゃなくていい、時間の合間に会いにいてやれ。計画責任者だろうがそれくらいの権利はあるはずだ」
「・・・・・そうだな、そうしよう」
「あぁ、そうしてやれ。・・・・・今晩来るか?」
「!?・・・・・そうだな鞘と一緒にお邪魔すると紅音さんに伝えておいてくれ」
「わかった」
久しぶりに見る皆城公蔵の笑顔。ぎこちなさはあるものの真壁史彦はその姿に安堵した。