Muv-LuvのAlvis   作:naomi

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第陸話 派兵

1998年。真壁史彦達の所属する日本帝国本土防衛軍第11戦術機大隊は大陸派遣軍として経験を積んだ衛士が多く所属していることから、国連軍と大東亜連合軍の朝鮮半島撤退支援を目的とした作戦に参加していた。

 

「この緊張感・・・・・久しぶりだぜ」

 

「随分楽しそうだなティターン3」

 

「なんせここ数年後方任務だったからな。ようやく本職で働けるってもんよティターン2」

 

「全く・・・・・お前という奴は」

 

(・・・・・部隊の半数が今回急遽補充された任官して3年は経つが小規模戦闘しか経験の無い大陸派遣軍の衛士・・・・・上は教育も兼ねているんだろうがそんな余裕など・・・・・・)

 

「自分!ティターン中隊に配属されて光栄です」

 

「大陸帰りの実力。学せてもらいます」

 

「貴様達・・・・・」

 

「ティターン11ティターン12!・・・・・俺達が語ることは何もない」

 

「えっ」

 

「そういうのは背中を見て学べ」

 

「了解!ティターン3」

 

「ティターン3。浮かれ過ぎだ」

 

「すまんすまん。・・・・・ただよ~久しぶりに『(TSF-TYPE77/F-4J)撃震(げきしん)』乗ると違和感がスゲーな。せめて『(TSF-TYPE89/F-15J)陽炎(かげろう)』は手配出来なかったのかよ」

 

(溝口の不満は無理もない。最近は計画の関係で『(TSF-TYPE94))不知火(しらぬい)』に乗ることが多かったからな。不知火と撃震の挙動さに俺も戸惑ってはいる)

 

「ティターン3。文句言わないの!私達はこの機体でこれまで戦果を挙げてきたのよ。それに今回の作戦は国連軍と大東亜連合軍の撤退支援・・・・・まだ配備も少ない不知火を他国軍と比べ損耗率の低い作戦で大量投入するリスクは犯せないのよ。きっと」

 

「失礼しました!ティターン1」

 

(大陸帰りと言っても俺達が最後に戦ったのはもう7年前だ・・・・・常に最前線で戦っていたわけじゃない俺達に不知火を優先して配備出来ないのは致し方ないのだろうな)

 

真壁史彦は秘匿回線を繋ぐ。

 

「ティターン1。大丈夫か?」

 

「ティターン2。どうしたの?」

 

「・・・・・・」

 

「正直不安よ。私・・・・・こんなに平和ボケしてたのかって、震えが止まらない」

 

「心配するな。必ず俺が守る」

 

「あら上官に向かって随分大きく出たわね」

 

「・・・・・・」

 

「ありがとう史彦。少し気が楽になった」

 

「なら良かった。」

 

「ティターン5よりティターン中隊。14時の方向1000に大陸派遣軍総司令部を確認」

 

「了解。ティターン中隊はこれより大陸派遣軍総司令部に着任する続け!」

 

大陸派遣軍総司令部に到着し真壁紅音と真壁史彦が挨拶に赴く。待機中のティターン中隊は2人の話題で持ちきりだった。

 

「2人の馴れ初め?」

 

「はい!…………正直。副隊長って堅物で女性との交友が全く無い印象なので、どのようにして隊長と結ばれたのかと」

 

「………お前真壁にあとで叱られっぞ」

 

「!?内緒でお願いします!!」

 

「まぁいい。そうだな…………俺達が出会ったのは10年以上前だ。まだ今みたいに大陸派遣を軍として組織的では無く要請のたびに旅団規模で派兵していた頃だ。俺と副隊長が所属していた部隊の教官として富士教導団から出向してきたのが…………我らが隊長だったのさ」

 

「隊長が元富士教導団出身というのは本当だったんですね!」

 

「うん?」

 

「いえ。あのお年で富士教導団にいらっしゃった事があるのがにわかに信じられなくてですね……·…」

 

「無理もねーな。あの当時はまだ女性が軍人として活動してることすら珍しかったからな。俺達も当時似たような反応だったよ…………副隊長以外はな」

 

「!?」

 

話しを聞いていた一同はそれぞれ驚きの表情を見せる。

 

(まぁ俺は後々紅音ちゃんが分家とはいえ親藩武家の名家『真壁家』の生まれって事を知ってその出自に納得しちまうんだけどな)

 

「ほら、副隊長って良くも悪くも堅物で実直だろ?それがこれまで真壁商社の令嬢としてしか見られてこなかった隊長には魅力に感じたんだろうな。」

 

「そうなんですか?」

 

「少なくとも隊長の方から副隊長に声をかけてたよ。副隊長はというと余程経験が無かったんだろうな。最初はスゲー困ってたよ。まさか話しかけられるとは思って無かったんだろうな。よく相談されたものさ」

 

「どんな相談されたんですか?」

 

「真壁隊長が俺に職務以外の話しを聞きにくるんだがどうしたらいい…………ってさ」

 

「…………確かに副隊長なら言いそうですね」

 

笑いに包まれる一同。溝口恭介が懐かしむように話し続ける。

 

「いやぁ〜あまりにギコちないものだからよく冷やかしたもんだよ…………隊長も面白かったのかよく笑ってた」

 

「なんだか想像出来ますね」

 

「やがて派兵される機会が増えて隊長は…………副隊長の危うさに気がついた」

 

溝口恭介の言葉に首を傾げる一同。

 

「副隊長はよ…………自分を勘定に入れないんだ」

 

「どういう意味です?」

 

「愚直に忠実に任務を遂行しようとする。軍人としては素晴らしい事だ…………けどなどんな時も仲間優先で、自分の事をなんとも思わないんだよ」

 

「……………」

 

「隊長は必死に宥めたね。それ程の力を持っているなら全てを手にしなさいって…………自分を含めてな」

 

「……………」

 

(まぁ、それは紅音ちゃんにも言えることなんだけどな)

 

「そうして互いに死なせたくない想いが重なって、結ばれたのさ」

 

笑いながら聞いていた馴れ初めの話しはいつしか重苦しい雰囲気に包まれていた。

 

「なんだよ皆シラけた面してよ〜」

 

「…………人の話しで勝手に盛り下げるな」

 

「ゲッ!?真壁!!…………隊長も!!」

 

話しに夢中だった一同は2人が戻っていることに気がつかなかった。

 

「溝口君…………今回の作戦の貴方のポジションは、CP(コマンドポスト)ね」

 

「真壁隊長!?戦術機乗りにそれはねーぜ〜」

 

再び笑いに包まれる一同

 

「さぁ、明日の動きについてミーティングをするわよ」

 

「了解!」

 

こうして配属して間もない新入り達と親睦を深めるのであった。

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