Muv-LuvのAlvis   作:naomi

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第捌話 悲劇

「HQと繋がらない?」

 

「本当にか!?紅音ちゃん」

 

予想だにしない報告に思わず疑うティターン2とティターン3。

 

「・・・・・ダメどの周波数でもHQと繋がらない」

 

「・・・・・まさか、HQが落ちたのか?!」

 

「今回の指揮官は彩峰中将だろ?流石にそんなことは無いと思うが・・・・・」

 

ティターン3が珍しく動揺した表情を見せる。

 

「ティターン1。他の部隊に連絡を取ってみよう。…………繋がるならどこでもいい」

 

「!?そうね!」

 

すぐさまティターン1が他の部隊と通信を試みる。

 

「……………」

 

(HQどころか、他の部隊すら繋がらないなんて…………)

 

周波数の調整に勤しむティターン1

 

「…………こ………ちら」

 

「!?」

 

(繋がった!)

 

「こちら日本帝国大陸派遣軍第13戦術機大隊ティターン中隊所属真壁紅音少佐」

 

「…………こち………ら…………国連………」

 

(国連軍!?まだ撤退しきれてない部隊がいるということ?)

 

「周波数を合わせます。お待ちください」

 

「…………こちら国連第7方面軍総司令部。ティターン1、日本帝国大陸派遣軍総司令部と連絡が取れない。状況を報告せよ」

 

「!?ティターン1よりGHQ。こちらも連絡がつかず現状が把握出来ていない」

 

「…………GHQよりティターン1。一時的に部隊を国連軍に編入する。データリンクのデータを送る即時移動し任務にあたれ」

 

「一時的に編入とは…………」

 

国連第7方面軍総司令部よりデータが送られる。

 

「どっどういうこと!?」

 

「現在国連軍は日本帝国大陸派遣軍が担当していた全羅南道方面が瓦解し総崩れである。ティターン中隊にはそこのカバーに回ってもらう」

 

「……………了解」

 

(国連第7方面軍総司令部ってどういうこと?今作戦の司令部を通り越してなぜ大元の国連第7方面軍総司令部が?)

 

国連軍とのやり取りを部隊と共有するティターン1。

 

「嘘だろ…………HQが陥落!?」

 

「馬鹿な!?俺達は南下してくるBETAを排除したぞ!?」

 

「だが、他の部隊が全滅し別のルートから突破された可能性も」

 

情報を共有したティターン中隊で混乱が起こる。

 

「どうするティターン1?」

 

「…………現状を把握するにもまずは国連軍に指定された地点に行きましょう。」

 

「それしかないよな」

 

急ぎ、指定された地点に向かうティターン中隊。

 

「そんな・・・・・馬鹿な」

 

指定された地点に到着すると、瓦解した為急遽回された国連軍の戦術機部隊3個小隊がなだれ込む旅団規模のBETAを食い止めていた。

 

「こちらティターン1。ティターン中隊11機加勢する」

 

「こちらホーネット1。感謝する。ティターン中隊は我々の前方300m地点に展開してくれ」

 

「・・・・・了解」

 

「どういうことだよ!事前に通達されてた場所のHQがもぬけの殻ってよ!?冗談じゃねえぞ!!」

 

「口を慎めホーネット3!。・・・・・部下が失礼した」

 

「いや。そちらの言い分は最もだ。すまない。我が中隊もHQと交信できず、事態を呑み込めていない」

 

「・・・・・GHQによれば、あと120分で想定されている全部隊の撤退が完了する。それまで持ちこたえるぞ」

 

「了解」

 

国連軍の戦術機部隊の前面に展開するティターン中隊。

 

「弾道がズレる!こんな時に!!」

 

「・・・・・仕方がない。多少精密じゃなくてもいい!突撃級の足を止めろ!!そうすれば要撃級や戦車級は狩りやすくなる!」

 

「了解!」

 

「あっあぁ~~~~助けて~戦車級が!!」

 

「ティターン10!落ち着いて『緊急脱出(ベイルアウト)』を・・・・・」

 

「ダメです!戦車級にフレームを喰われて」

 

「クッ!!」

 

ティターン1の遠隔操作も受け付けなかった。

 

(すまないティターン10・・・・・)

 

「があああ!イダイヨ!!ゴンナドゴロデ・・・・・」

 

「怯むな!一瞬でも気を緩めれば次は自分だぞ!!」

 

「!?了解!!」

 

中隊の動揺を感じ取ったティターン2が檄を飛ばす。

 

(ありがとう史彦・・・・・)

 

「!?ティターン3よりティターン1。無数の揺音を確認」

 

「全機!全周囲警戒!!」

 

「クソ!このBETAどもをどうにかしなきゃいけないのに」

 

大きな地響きが辺りに響く。

 

「・・・・・増援らしきBETA群は見えねーぞ」

 

(この地点に来ての急な弾道のズレ、この地響きと矛盾したBETAの動き・・・・・まさか!?)

 

「ティターン中隊全機『噴射跳躍(ブーストジャンプ)』!!急げ!!!」

 

「!?」

 

慌てて『噴射跳躍(ブーストジャンプ)』をするティターン中隊の『(TSF-TYPE77/F-4J)撃震(げきしん)』

 

「なっ!なに!!ぐぁ~~~」

 

地中よりBETA群が溢れかえる。

 

「ティターン4!ティターン9!!ティターン11!!!」

 

『噴射跳躍(ブーストジャンプ)』の遅れた3機が真っ二つにされた。

 

「ティターン1マズいぞ!国連軍の戦術機部隊と分断された!!」

 

ティターン中隊と国連軍の戦術機部隊の間から出現した地中のBETA群はそのまま南下を続ける。

 

「地中からだと!?馬鹿な!!」

 

「ぐぁぁぁ~~~」

 

国連軍の『(F-15E) ストライク・イーグル』で構成されたホーネット小隊達もBETAの地中進行を想定しておらず、ティターン中隊の撃ち漏らしを対処する程度でよいと判断していた為に部隊が混乱していた。

 

「国連部隊と合流する!」

 

「ですが隊長!足場は・・・・・」

 

「なきゃ自分達で作るんだよ!!」

 

「いや・・・・・このまま南方1000まで後退だ。確実に着地し立て直す」

 

『噴射跳躍(ブーストジャンプ)』の勢いそのまま南下するティターン中隊。

 

「ティターン1!どういうつもりだ!!」

 

「ホーネット1。挟撃による我が中隊の全滅は阻止しました。徐々に後退したください。援護します」

 

「了解・・・・・ぐぁぁぁ!!」

 

「ホーネット1!!」

 

ホーネット1の乗る 『ストライク・イーグル』の信号が消滅する。

 

「隊長~~」

 

「ティターン1よりホーネット小隊各機。後退しろ!!援護する」

 

(ホーネット小隊との距離を放し過ぎたか・・・・・我々の武装でこの数のBETAをこの距離から攻撃するには限界が・・・・・)

 

「GHQよりティターン1。」

 

突如、国連第7方面軍総司令部より通信が入る。

 

「現存する国連軍及び大東亜連合軍の撤退を確認した。5分後に黄海及び日本海に展開中の国連軍、大東亜連合軍並びに日本帝国海軍の連合艦隊による艦砲射撃及び航空爆撃を実施する。速やかに順天まで後退せよ繰り返す・・・・・」

 

「ティターン1よりGHQ。日本帝国大陸派遣軍の生き残りは・・・・・・」

 

「日本帝国海軍より残存の日本帝国大陸派遣軍部隊の回収完了の報は受けている。」

 

「了解」

 

(5分か・・・・・)

 

「ティターン1よりティターン中隊及びホーネット小隊各機。間もなく艦砲射撃及び航空爆撃がこの地点に実施される。速やかに順天まで後退する」

 

「ぐぁぁぁ」

 

「・・・・・・」

 

「ティターン1。恐らくあそこの国連軍部隊は・・・・・」

 

「わかってる。急ぎ後退する」

 

「了解」

 

なんとか脱出に成功したティターン中隊は日本帝国海軍に回収され無事帰還を果たした。この作戦で日本帝国大陸派遣軍を指揮した彩峰中将は、脱出を拒否した現地住民の避難救助を優先する大東亜連合軍に同調し協力した。結果的にそれが今作戦の国連軍司令部が陥落した要因となり指揮系統の大混乱を誘発し国連軍は多くの損害を被った。後に『光州作戦の悲劇』と呼ばれるこの出来事は国連と日本帝国との間に遺恨を残すこととなった。

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