懐かしきガンパレードな日々   作:雑草弁士

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掌編その5・○○は以後●●で働いてもらう事になる

 芝村舞は、張り切っていた。

 

 

(前回のループでは、どうにかこうにか戦死者なし、人類側優勢で夏の自然休戦期を迎えられた! そしてそれにより、今回のループでは能力の向上などの後押しも万全! 此度こそ、竜を探し出してループを解く!)

 

 

 そう、この舞はOVERSである。前回ループでは中村に憑依して靴下を集めていたのだが、前回の芝村舞がさっさと靴下を捨ててしまったため、ソックスハントに失敗してヤケクソで3番機パイロットになって、人類を優勢に持ち込んだのだ。

 そして此度は心機一転、舞に憑依してなんとか竜を探し出して打倒、ループを解くべく頑張る事にしたのである。いや、中村でソックスハントする前に、まず本題である竜退治しろよと言いたい。

 

 そして舞は、訓練に戦闘に駆け回った。ついつい速水と仲良くし過ぎて覚醒させ、彼を3番機パイロットから司令にさせてしまったが。幸いにも翌朝に自動情報収集セルが届いたので、早速使って発言力を稼ぎ、芝村準竜師へ陳情して手が空いていた茜大介を新たな3番機パイロットに異動させた。

 

 ……そこまでは良かったのである。

 

 

 

*

 

 

 

 更にその翌朝。

 

 

「森は以後2番機パイロットで働いてもらう事になる」

 

「……」

 

「以上、解散。……さあ、教室に戻って」

 

 

 3番機整備士の森精華が、唐突に2番機パイロットに異動した。舞は焦る。3番機の整備が1人欠けたとなると、敵中に飛び込まなければならない3番機の整備が厳しくなる。しかも森の整備の腕前は、原に続く2番目だ。

 だが、それだけでは済まなかった。

 

 岩田裕が2番機パイロットに異動した。これにより、森が押し出し無職。そして遠坂圭吾が3番機パイロットに異動。舞当人が押し出し無職に。次に中村光弘が3番機パイロットに異動。これにより茜が押し出しで再度無職に。

 まだまだ異動ラッシュは続く。狩谷夏樹が2番機パイロットに異動。これで3番機整備士が1人しか居なくなった。次にヨーコ小杉が3番機パイロットに異動。遠坂が押し出し無職になった上、3番機整備士がいなくなる。狩谷の陰謀で滝川陽平がスカウトに。本職スカウトの若宮康光が押し出し無職に。

 

 この調子で、次々に人事異動が続いた。舞は焦る。最終的に、1番機パイロットが壬生屋未央、2番機パイロットが田代香織、3番機パイロットが瀬戸口隆之と善行忠孝。スカウトが滝川と石津萌。司令が速水。オペレーターが東原ののみだけ。指揮車運転手兼事務官が欠員。指揮車銃手兼衛生官が欠員。

 ラインオフィサーは惨憺たる有様であったが、テクノオフィサーもまた惨憺たる有様である。整備主任が欠員。整備員が指揮車、1番機、2番機、3番機いずれも欠員。そして残るは無職の学兵が山の様に。

 

 舞はとことん焦る。なんとかして自身を3番機パイロットに、無職の面々を整備員やら何やらに押し込みたいところであったが、まったく発言力が足りない。金の延べ棒が届いたので、それを売り払ってレールガンやら展開式増加装甲やらを大量に買っては来たが、今必要なのは自動情報収集セルか電子妖精であった。

 

 

(まずい! まずい! このまま出撃があれば……)

 

『101v1、101v1、全兵員は……』

 

(……おうふ)

 

 

 人員が足りず指揮車が出撃できないため、指揮車の指揮効果は望めない。また航空支援、曲射砲支援、他部隊への支援要請も不可能。滝川と石津はスカウトとして素人。そして舞自身は現状無職である。

 

 

(どうせよと)

 

 

 そして壬生屋機が大破。田代機も大破。善行・瀬戸口機も大破。レールガンも大破。戦闘結果は、大敗。不幸中の幸いであったのは、奇跡的に5121小隊は戦死者なしで撤退できた事か。ただし友軍は大量死したが。

 

 

 

*

 

 

 

 その後、舞はコツコツと自動情報収集セルや電子妖精を作り発言力を貯め、必死で部隊の編制を立て直した。善行を整備班長に据える。3番機整備士に原素子、狩谷、森を押し込む。2番機整備士にヨーコ、田辺、新井木勇美を異動させる。1番機整備士に岩田裕、遠坂、加藤祭を就ける。指揮車整備士に中村を再度叩き込む。

 更に自分を3番機パイロットに異動。茜大介をオペレーターの空き席に座らせる。滝川を指揮車運転手兼事務官に据える。石津を指揮車銃手兼衛生官に返り咲かせる。スカウトに、本職の若宮と来須銀河を就ける。

 

 ようやくの事で、5121小隊が部隊の体を為した。機体も舞がコツコツ直したので、最低限ながら出動可能な状況だ。

 

 

(これで、やっと……。なんとかなった……)

 

 

 へとへとに疲労困憊したOVERS舞であった。

 

 

 

*

 

 

 

 そして翌日の朝の事である。

 

 

「狩谷は以後3番機パイロットで働いてもらう事になる」

 

「中村は以後2番機パイロットで働いて……」

 

「新井木は以後1番機パイロット……」

 

「滝川は以後ス……」

 

「うがあああぁぁぁアアアァァァッ!?」

 

 

 舞は咆えた。




オネガイします。下手な異動を陳情せんでください。2番機空いてると、(男女の話じゃなしに)争奪戦が起きるし。3番機から速水が降りると、そっちでもパイロットの座をめぐって争奪戦起きるし。
無職連中をどうにか職に就けるのって、大変なんですよホント……。しかも自分まで押し出し無職にされると……。
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