幼馴染が寝取られる小説書いたら売れたわwwwww 作:ナバラ
なんで???
"新しい環境でこれまでのことは一切忘れて、新たな人生を歩んでゆく。それが、俺の夢見る高校生活なのだ"
高校に入学して早1年。
新天地での生活はそれはそれは楽しいもので、いじめられない学校生活と気の通じ合うほんの少しの友人。
これだけで天国にいるかのような夢見心地を味わい、趣味も捗って我ながら順風満帆な高校生活を送っていたと思う。
しかし2年生。
文理選択のクラス替えがおこなわれ、そこに居たのはトラウマ幼馴染さんでした。
???
え、おかしくない?
なんで幼馴染いるん…?
なんで2年生まで気づかないん…?
あれもこれも全ては2ヶ月前…。
*****
「えー。それじゃあクラスも変わってはじめましての人も多いだろうから、1人ずつ自己紹介していくぞー」
春。
入学式や入社式など、環境が変わって新しいことが次々とやってくる季節だ。
「――――です!趣味は――」
例に漏れず、今年から2年になった俺も、クラス替えという新しい環境の訪れを現在進行形で体感しているところだ。
「次、河野――」
幸運なことに、1年のとき割と仲の良かった人たちは皆変わらず同じクラスのようで、そこは非常に安心している。
「――したいです。よろしくお願い―――」
けれど不安はある。
新しい環境でも上手くやっていけるのか。友達はできるのか。勉学が疎かにならないか。趣味と両立できるのか。などなど考えればキリが―――
「じゃあ次は、
!!!!!
ヤバ、何も考えてなかった…!
「は、はい」
「さ、坂本広斗です!趣味は …………えと…趣味は… 」
やばいやばいやばい。
何も出てこない。皆が俺を見てる。どうしよどうしよどうしよどうしよ…!
ええい、ままよ!
「趣味はっ…!お菓子を食べることです!!!」
「な〜んちゃって…」
う、うわ〜〜〜…!!!
やらかした〜〜〜!!!
バカみたいに無音の静寂すぎて笑うしかない〜!
いや、笑えねえよ。
なんだよお菓子を食べることって。もっと良いのあるだろ。
「よ、よろしくお願いしますぅ…」
クソが…俺の高校生活終わりだ…。
「「「「「はははははっ!」」」」」
ん…?
「坂本、お前緊張しすぎだろ〜!」
「自己紹介でこんなにテンパってる人初めて見たー!」
これは…。
なんかよく分からんけどウケたわ(笑)
「はーい静かにー。坂本ー座っていいぞー」
「は、はい…」
「えー、クラス中を包み込む大爆笑の次に自己紹介は可哀想だと思うが、次は―――」
ふぅ…何とかなったみたいだ。
「――が―――で、これからは――」
さっき、不安しかないって思ってたけど、もしかしたら意外となんとか―――
「よし、次"
は?
「はい!」
聞き馴染みのある名前。
しかしそれは、
とても信じられない
「須藤朝陽です! 私の夢は――
そこには
*****
そこから2ヶ月間、今に至るまで俺は朝陽と同じクラス、同じ授業、同じ高校生活を送ることとなった。
後から知ったことだが、朝陽は学校内ではちょっとした有名人のようで『学年1の美女』だの『学年1の秀才』だの様々な異名が付けられていた。
そんな学年問わず学校全体で有名な人物に、何故2年生になるまで気づけなかったのか。
そもそも平凡(いい意味で)極まりないこの学校に何故いるのか。
疑問は尽きない。
俺の人生とは切っても切り離せない関係ということなのか?
幸いにも、向こうが俺との過去を周りに打ち明けたという様子はなく、今はまだ安心安全なスクールライフを送ることができている。
しかし、先程のように朝陽の行く手を遮ったり、日直でペアになったり、クラスの人間から伝言を頼まれるなど、図らずして朝陽との接点が度々できてしまう。
その度に先程のような冷たい感情を向けられてしまうため、その時だけ中学時代に戻ったような錯覚に陥る。
あの軽蔑と怒りの籠った、冷たくて、重くのしかかるような―――
「…まぁ元気出せよ
「そうそう。いくら超絶可愛い須藤さんに嫌われたって俺達が慰めてやるから」
夢から覚めるような感覚を覚えながら、目の前にいる2人の級友に思考が傾く。
考えていたことが顔に出ていたのだろうか。
どうやら気を遣ってくれたようだ。
「ははは…。ありがとう…」
春に自己紹介したときも薄々感じていたが、この学校にいるのは人格ができた人ばかりだ。
特にこの2人は俺が入学した頃から何かと気にかけてくれるため、5年間友達がいなかった俺にようやくできた"友達"として、数少ない心の拠り所となってくれている。
彼らの存在が、この学校に入ってよかったと思える大きな要因であることは間違いない。
「それにしてもさ。あの誰にでも優しい天使と評判の須藤さんが露骨に嫌な態度で接するのって、広斗くらいじゃないか?」
「俺もそれ前から思ってたわ。 お前もしかして何かやらかした?」
誰にも分け隔てなく接する須藤朝陽が唯一冷たく当たる人物。
『ガンジーでも助走つけて殴るレベル』を体現したような存在が俺なのだ。
(こうやって内心で茶化すからいつまで経っても…)
「いやー…。ちょっと心当たりないなぁ…」
嘘を平気で吐く自分に嫌気がさす。
けれど真実を話せばこの2人も、これまでみたいに……。
「ふーん。じゃあやっぱアレか」
「アレだな」
アレ?
なんの話だ?
「アレってなんのこと…?」
「須藤さんの彼氏に嫌われてるとか」
え?
朝陽に…彼氏…?
あの朝陽に…?
いやいや待て待て。俺が知ってる朝陽といまの朝陽は全く違うんだから、そりゃあ高校生の多感な時期だし彼氏の1人や2人は…。
いやでも朝陽に限ってそんな…。
「へ、へー…す、須藤さんって彼氏いるんだ…」
心の中の動揺を気取られないよう、必死に表面を取り繕う。
可能な限り本心を押し殺して、間違っても真意を悟られることがないように冷静に問いかける。
「…ちなみに…お相手は…?」
「すげー食い気味だな…。…3年の野球部の部長だよ」
!?
「あの、都大会を優勝に導いた爽やかイケメンの!?」
「お、おう…。なんだ…?須藤さんのこと狙ってたのか…?」
「いや…」
学校のアレコレに疎い俺でも知ってる人だぞ…?
それまで弱小だった野球部を選手側にも関わらず、たった一人で県大会優勝レベルにまで導いたっていう意味のわからない経歴を持つあの?
そんな凄い人と朝陽が…?
いや、でも確かその人って…。
「野球部の部長って黒い噂なかった…?」
「あー…女癖悪いってやつ…?」
文武両道、イケメンで同世代から周囲の大人、後輩たちにも慕われる人望。
そんな完璧超人のような人間にはどうしても黒い噂が付き纏う。
やれ彼女を孕ませて、堕ろさせただの、他校の彼氏持ちを寝取って騒動に発展しただの、陰キャの俺にも噂が回ってくる程度には悪い噂が絶えない人物だ。
「うーん…。 まぁ須藤さんがOKしてるってことはただの噂だったってことじゃね?」
言われてみればそうだ。昔から賢かった朝陽が噂の真偽を確かめずに、外面だけで選ぶような人間であるはずがない。
それはつまり必然的に安心できる相手であることを指す。
「それも…そうだね…」
でも、朝陽に彼氏かぁ…。
*****
その日最後の授業が終わり、下校時間。
俺は部活はやっていないので、あとは帰宅するだけなのだが、不幸なことに校内に貼られている全ての月間ポスターを来月分に張り替えるよう担任に頼まれてしまった。
あいにく今日はバイトは休みだし、趣味の
(日頃先生にはお世話になってるし、断りづらかったからOKしたけど…)
(30枚以上ってのは骨が折れるぞ…)
***
(30枚目っと…)
この高校はそれなりの広さがあるため、全てのポスターを張り替えるとなるとそれなりに時間がかかってしまう。
夏が近づいていることもあってか日はまだ沈んでいないが、体育祭も終わり、校内には部活動に励む生徒しか残っていないだろう。
(貧乏くじ引いちゃったかなぁ…)
あと2枚張り替えれば帰れる。そう考えれば気持ちは楽になるし、実際終盤も終盤なのだ。
最後の2枚は同じ廊下のため移動も少ない。
さっさと張り替えて―――
「―――よ―――から―――」
ん?
いま声しなかった?
「……です………輩……」
やっぱりだ。
文化系の部室があるわけでもないのに、誰か居残りでもしてるのか?
一体誰が…。
(は…!?まさかカップル…!?)
放課後の誰もいない学校はカップル達にとっては絶好の環境だろう。
恋愛ものの漫画やアニメでも放課後の学校はド定番なシチュエーションである。
(気になる…)
疲れた体に放課後の教室。
謎の非日常感と普段では絶対訪れない場面も相まって、少しばかりの魔が差した。
(ちょっとくらいなら拝んでもバレんだろう)
絶対にいいことなど起きないと内心では理解しているのにも関わらず、二度とこのような場面は訪れないという思いが俺の足を一歩一歩進めていく。
なるべく音を立てないように、慎重に慎重に音の発生源へと近づいていく。
「いいじゃん。………なんだから……」
(ビビビ、ビンゴ〜!!!)
俺の読みは正解のようだった。
どうやらカップルが校内で
(あともうちょっと近づけば姿も見れるんだけどなぁ…。)
音の発生源となる教室まであと数歩進めば、窓から様子が伺える。
しかし―――
(よくよく考えなくても、この行動って不審者のそれだよな)
すんでのところで、ふと我に返ってしまった。
生の
どうやら勝者は自制心のようだった。
(はぁ…何やってんだか…。さっさと残り2枚片付けて帰ろう…)
「な?いいだろ?"朝陽"」
(―――――!?)
聞き捨てならない名前が聞こえた。
"あさひ"とはあの"朝陽"だろうか。
(朝陽に彼氏がいるのがどうって話したのついさっきだぞ…?)
心臓の鼓動が早くなる。
(そもそも付き合ってる話が本当かどうかも怪しいのに…そんなすぐに…)
嫌な汗が流れ出す。
(そうだ…。きっと唯の居残りか何かで友達とたわいない話でも―――)
「…もう。分かりましたよ。ほら、こっち来てください♡」
甘く蕩ける、媚びるような声。
「流石は朝陽!喜ばせ方ってのを分かってるじゃねえか…!」
(な…な…何…あ、朝陽…?今の声が…朝陽の…声…?)
耳から入ってくる情報を脳が理解するのを拒んでいる。
(…い、いや待て待て…落ち着け…。考える時間をくれ…!)
「あさひ」と言っても何も珍しい名前ではない。同じ名前の女子生徒がこの学校にいる可能性も否定できない。
"そんなわけない"
そもそも朝日があんな声で男に言い寄る訳がないのだ。
"認めたくない"
(あぁ…クソッ…!なにがどうなって…!)
頭の中に様々な想いが駆け巡る中でも時は進んでいく。
この先にいる人物が俺の知る朝陽なのかどうか。
そんなことを考えている時間は"ない"。
「…先輩♡…来て…♡」
この先で何が起きているのか。
進めばすぐに答えが分かる。
(朝陽だったら何だって言うんだ…?そんなもの本人の勝手だろう…?)
(今更俺が朝陽の人生に干渉していい訳がないんだ)
自分を言い聞かせるための嘘をつく。
気づけば一歩。
また一歩。
(こんなものただの―――)
『朝陽!俺たち、ずっと一緒だよな!』
『うん!』