東方拾憶録【完結】   作:puc119

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第15話~大和の中心で愛を叫ぶ~

 

 

 花束を持ち都へ行くと、門の前で人集りのできている屋敷を発見した。たぶん、此処がかぐや姫の居る屋敷なのだろう。

 

「おや、仙人さんじゃないか。今日はどうしたのよ? 貴方もかぐや姫を見に?」

 

 一人に声をかけられた。

 

「おい、変態だ。変態が来たぞ」

「まーた、何かをやらかすつもりだ」

「あの変態、今日は何をするんだ?」

「でも、今日はちゃんと服を着ているぞ」

 

 ざわざわしだす人集り。だから、その人を変態と呼ぶのやめてくれないだろうか。せめて仙人とか呼んでくれ。

 

「まぁ、ちょっとかぐや姫と結婚しようと思ってさ。んで、あんたらは中に入らないのか?」

 

 門の前にいたところで、かぐや姫を見ることなんてできないだろうに。何をやっているのやら。

 

「いやぁ、俺たちみたいな平民じゃ中へ入れなくてな。中へ入れるのは貴族様たちだけだよ」

 

 堅く閉ざされた門。そこには顰めっ面をした門番が二人。

 なるほどそういうことか。それは、ちょいと困ったな。いくら仙人呼ばわれしている俺でも、貴族のように身分が高いわけではない。此処で人集りを作っている有象無象と何も変わらぬ、平民の一人だ。

 

 まぁ、それでも俺は中へ入るが。

 

 毎晩毎晩、空を飛ぶ練習をしたおかげか、漸くまともに飛べるようになってきた。今なら霊弾っぽいやつだって放つこともできる。その威力は残念だが。

 

 そして俺は、地面を軽く蹴り空へ向かって飛んだ。

 

「飛んだ! 変態が飛んだぞ!」

「腐っても仙人だったんだな」

「流石、変態。俺たちにできないことを平然とやってのける」

「まぁ、どうせ。駄目だろうな」

 

 ギャーギャーと騒がしい人集りと門を越え、屋敷の中へ。どう見ても不法侵入だが、愛のためなら仕方が無い。愛はどんな壁でも超えて行けるのだ。

 

 屋敷の中へ入り、庭へ降りる。上からお邪魔します。庭から見える部屋の中には数人の貴族らしき人たち。そして、その奥に簾が降りているせいで顔は見えないが、一人の女性の姿が。俺が来たことに気づいた貴族たちは、一斉に此方を向いた。

 

「おい、何で変態が此処にいるんだ」

「門番は何をやっている!」

「まーた、あの変態か」

「……頼むから面倒は起こさないでくれよ」

 

 急に騒がしくなる貴族の皆さん。てか、何で貴族の奴らにまで変態って呼ばれているんだよ。絶対おかしいだろ。もう、商品売らねーぞ。俺のこと変態って言った奴、顔覚えとくからな。

 

 まぁ、そんなこと今はどうでも良いのだ。それもよりも大切なことがある。

 

 ゆっくりと歩を進めて部屋の中へ。

 そして、バラの花束を前に差し出し俺は言った。

 

 

「貴方が好きだ。俺と結婚しt「つまみ出せぇぇぇええ!!」

 

 

 つまみ出された。

 

 

「お、おかえり」

 

 同情の眼差しを向けてくれる有象無象の皆さん。笑っている奴らも何人かいる。この野郎、見世物じゃないんだぞ。

 しかし、いきなりつまみ出されるとは……いったい、何が行けなかったのやら。まぁ、今日のところは出直すとしよう。

 

 バラの花束は顰めっ面した門番さんに渡し、家へ帰ることにした。

 

「どう? 結婚できそう?」

 

 家へ帰るとのんびりお茶を飲んでいたルーミアが聞いてきた。

 

「あと一歩だったわ」

 

 あそこで邪魔が入らなければ、俺の勝ちは確定していただろう。

 しかし、今日と同じことをしてもつまみ出されるだけ。方法を変えなければいけない。

 はてさて、どうすっかね。

 

 

 

 そして、次の日。今日は赤いカーネーションを持ってかぐや姫の場所へ。花言葉は『真実の愛』。

 もう、うだうだと考えるのはやめた。突撃あるのみ。

 

 

「うおおおお、輝夜ぁぁあああ! 俺だ! 結婚してくれええええ!!」

 

 

 つまみ出された。出禁になった。

 

 ダメか。これでもダメか。何が不満だと言うのだ。全く理解できん。

 

 昨日のバラのように、カーネーションは顰めっ面の門番へ渡した。

 おい、なに顔を赤くしているんだ。巫山戯んな、お前になぞ全く興味ないわ。

 

 

「どうだった?」

 

 家へ帰るとルーミアに聞かれた。

 

「あと半歩だったわ」

 

 俺の未来は明るい。あ、これお土産の団子ね。

 

 

 

 その日の夜。ルーミアと一緒に黒色の頭巾と黒い服を着て、かぐや姫の屋敷へ乗り込むことにした。忍者ごっこ。忍者ごっこ。

 

「どうして私が……」

 

 そんな忍者ごっこに不満そうなルーミア。それでも俺に付き合ってくれるルーミアの優しさには感謝しよう。

 いや、だってねぇ。一人で忍者ごっことか莫迦みたいだろ。それに一人より二人の方が面白い。

 

「いいか、ルーミア。忍者ってのは語尾に『ニンニン』って付けるんだぞ」

 

 たぶん……というか絶対、付けないと思うが雰囲気は大切だ。

 

「わかった。にんにん」

 

 何この子。やたらと可愛いな。

 

 今回は桔梗の花束を持ち、かぐや姫の屋敷へ乗り込む。花言葉は『変わらぬ愛』。

 

 闇に紛れて夜の都を二人で駆ける。

 そして、かぐや姫の屋敷の前で一度止まる。周りに人はいない。絶好のチャンス。

 

「よし、飛んで中へ侵入するぞルーミア。ニンニン」

「了解。にんにん」

 

 

 ふわりと飛んで、屋敷の壁を越え中に侵入。やはり、どう見ても犯罪だが。愛のためなら仕様が無い。障害が多いほど燃えるのだ。

 

「貴方たちは誰かしら?」

 

 庭へ降りると、鈴の音のような声が聞こえた。その声の方を見ると、此方を見つめている一人の女性の姿。

 整った顔立ちに、真っ直ぐに伸びた綺麗な黒髪。月明かりしかないこの夜空の下でも美人だとわかる。なるほど、これなら貴族たちが夢中になるわけだ。

 

「今晩は、なよ竹のかぐや姫」

 

 黒色の頭巾を取り、夜の挨拶。挨拶は大切だ。

 それにしても、時刻はもう深夜と言ってもいいのに、まだ起きているとは……まぁ此方としても、起きていてもらった方がありがたいが。

 

「あら、誰かと思えば昼間の変態じゃない」

「……あんた、都でもそんなことしてたの? にんにん」

 

 いや、知らんぞ俺は。別に、そんなおかしなことはしていなかったと思うが……もしかして、俺って有名なのだろうか。しかし、ちょっとマズイ方向にベクトルは向いている気がする。

 あと、ルーミア? もう『ニンニン』は言わなくても良いんだよ? まぁ、面白いし可愛いからから何も言わないが。

 

「それで、今日はどうしたのかしら? 私に何か用事があるのでしょ?」

 

 ああ、そうだ。俺が変態かどうか今は別に良いのだ。それよりも、しなければいけないことがある。

 

 桔梗の花束を持ち、かぐや姫に差し出す。

 そして、俺は口に出した。

 

 

「貴方が好きです。結婚してください」

 

 

『おめでとうございます。これで課題2および課題3「花妖怪の淹れたお茶を飲む」はクリアとなります。霊力が上昇しました。現在の貴方の能力は「水温を操る程度の能力」です』

 

 

 何十年ぶりに、あの無機質な声が響いた。身体の軽くなる感覚がする。うん? 今、一気に課題を二つクリアしたか? ちゃんと聞いていなかったが、なるほどそういうのも有りなのか。これは運が良い。

 これで少しは強くなれただろうか。熊くらいには勝てると良いが。

 しかし、結局能力はほとんど使わなかったな。洗濯物と干し肉を作るときに使ったぐらいだ。

 

 課題をクリアしたことに酔い知れていると、クスクスと笑っているかぐや姫に気づいた。どうしたのだろう。

 

「どうかしたのかな?」

 

 なんだ? そんな変なことを言ったか? 俺は普通に告白したつもりだったが。

 

「ふふっ、いえ。そんな真っ直ぐに告白されるのは初めてだったから、つい。皆、回りくどい言葉ばかりで飽きていたのよ」

 

 なんだ、そういうことか。まどろっこしいのは苦手なもんでね。それに、気持ちは素直に伝えるものだろう。外連味や偽りなど必要ではないのだ。

 

「それで、お返事の方は?」

 

 まぁ、ダメだろうな。流石にそれくらいはわかる。それにかぐや姫は、もう数年したら月へ帰らなければいけない。俺も一緒に月へ行くというのもアリかもしれないが、俺にはやらなければいけないことがある。流石に月へ行っている時間等はない。

 

 ――悲しい恋物語だ。

 

「そうね……返事と言っても、私はまだ貴方のことを全く知らないもの。それだと返事をするのには早すぎるでしょ? また、夜に来なさいな。私も話し相手が欲しかったところだし」

 

 おや? もしかして、意外と好印象だったりするのか? 今までの東方キャラだと、第一印象が最悪な形になっていたばかりだと言うのに……まぁ、素直に喜ぶところなのだろう。

 これは、月行きも考えなくてはいけない。

 スマンな前世の俺。彼には悪いが地獄へ行ってもらおう。うん大丈夫、俺ならきっとわかってくれる。

 

 

 

「ところで、貴方の隣にいる子は?」

 

 たぶんルーミアのことを聞いているのだろう。

 それなら答えは決まっている。

 

「俺の嫁です」

 

 ぶん殴られた。こなるほど、これが噂の暴力系ヒロインか。

 

 

 

 

 とりあえず、その日はそれだけの会話をして、殴られ腫れている頬を押さえながら、かぐや姫と別れた。

 霊力が強化されたおかげか、以前よりも軽く空を飛ぶことができるように。これなら熊に襲われても逃げることができる。やったぜ。

 

 『水温を操る程度の能力』ということで、試しに風呂に溜めた水を温めてみたが、ちょうど良い温度になるまで一時間以上もかかった。これなら、今まで通り焼き石を入れた方が早い。

 なんだよこれ。がっかりだよ。まぁ、練習しろってことなのかねぇ。夜にやることがまた増えてしまった。

 しかし、今度の夜からは、かぐや姫とお喋りをしに行かなければいけない。やること沢山。全く、モテる男は辛いぜ。

 

 

 

 運良く、一気に2つの課題をクリアできた。これで3つ、残るはあと7つ。

 そんじゃ、次の課題でも聞いてみましょうか。

 

 

『課題4,「ねがはくは 花のもとにて 春死なむ そのきさらぎの 望月の頃」』

 

 

 …………うん?

 

 

 






割と話が進んだみたいですね


と、言うことで第15話でした

漸く課題3つクリアです
ちょっとずるいけれど、一気に二つクリア
5話で1課題くらいのペースでしょうか

まぁ、たぶんズレていきますが


次話は輝夜さんとのお話っぽいです
では、次話でお会いしましょう
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