蓮とましろが小さい頃に別れた幼馴染だったら   作:レオ2

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こんばんわ。
デュエット編もいよいよ佳境,ましろは再び自分の歌を取り戻す事は出来るのか。
己に課した限界を突き抜けられるのは何時だって自分だけです。

それからホームファミリーさん高評価ありがとうございます!!評価バーの色が付くだけでやる気が出る現象に誰か名前を付けてください笑。

では参ります!

あ,因みに今回1万5000時位なので休憩しながら見る事推奨します笑。


[デュエット編] STARTING OVER!!

 光が差し込まない闇の中に瞬いたスマホの光が消えた時……私は力なくそのスマホをもう取らないようにクッションの所に投げつけてもう……見ないようにした。そうした瞬間,私の身体を熱くしたのは強烈な吐き気と自己嫌悪の塊だった。

 何も考えられない位の自分が嫌いって感情が溢れて止まらなかった

 

「最低……わたし……ほんとうに……」

 

 勝手に涙が溢れて止まらなくなって……それでも本当に泣きたいのはきっと蓮君の方……わたしがミッシェルさんのぬいぐるみが欲しいってただそれだけの理由で蓮君をデュエットに誘って……わたしが蓮君について行けないって勝手に思って……一緒に歌えないって一方的に切った。

 

「蓮君はわるくないのに……ほんとうに……わたしひどい」

 

 蓮君は中学の時の合唱部の事を話してくれた。自分のレベル程本気にしてくれる人がいなくて合唱部を辞めた事,それで自分一人でもディスフェスに出るために努力した。それが実って蓮君は東京に来てくれた。

 それで勝手に私が舞い上がって,勝手に会いに行って……それなのに私はそんな蓮君のトラウマを思い出させるように勝手に解散した。

 自分で出来事を羅列しただけでも酷い事しかしていない。

 

「うぅ……あぁッ……」

 

 そう認識した私の身体は自分の身体を痛めつけるように苦しくなった。吐き気も……体の温度も高くなって……頭も痛くなって来た。私はベッドにいるままじゃダメって本能的に思って鈍い身体を起こして部屋を出てトイレに駆け込んで内側に溜まった嫌悪の塊である生暖かいものを吐いた。

 

「はぁ……あぁ……」

 

 わたしは自分が凄く惨めに感じた。蓮君の方がきっと苦しんでいるのに……そうさせた私はこんな所で蹲ってるんだから。

 私の酷い声が聞こえたのかな……リビングの方から私が降りてくるのを待っていたであろうお母さんがトイレに駆け込んできた。鍵かけるの忘れてたなぁ

 

「ましろちゃん!」

 

 はは……お母さん……凄く顔色悪いよ。……しょうがないかな,こんなこと初めてだもんね。

 お母さんはトイレで蹲って……身体が思うように動かない私の身体を支えてリビングまで連れて行ってくれた。虚ろな眼で見てみたらこんな顔してるお母さん初めて見たかも。

 

「凄い熱……待っててね」

 

 リビングのソファーに私を寝かしてくれたお母さんは冷蔵庫に向かった。きっと……冷えピタをしてくれるんだろうなって思ったけど……私はそれを待つ前にもう意識が持たなかった。

 またやって来た暗闇の中で,私はまた蓮君との思い出のギャラリーにやって来た。もう全部……蓮君の偽物に変わってしまった思い出たち。

 

「そうだ……全部忘れよう」

 

 きっとそうしたら私はまた元気になれる。蓮君との思い出がなくなったらきっとまた元気になれる! 

 あの日,つくしちゃんに見せられた蓮君の映像を見た事

 蓮君を探す為に何十件もライブハウスを探し回った事

 蓮君と再会した時の事,スターティングライブの帰り道の事

 

 全部……全部……蓮君との思い出も全部忘れようって思った

 

 初めてデートした時の事も,香澄さん達のライブに一緒に行った事も

 あれも(カップルメニューの事も)……これも(試着室の事)も……,蓮君の事を好きになったあの日の事も。

 全部忘れて明日から私はただの倉田ましろとして生きようって……そうやってまたMorfonicaの一員としてまた月の森の生徒として過ごそう

 そうしたらこんな事で悩まなくて済むんだ。蓮君の事を忘れたらきっと私は前の私に戻れるから……。

 

 

 

 ──出来る訳ないよ

 

 

「そんなの……出来ない……!!」

 

 

 そんなこと……出来ない。だって……もう私は出会っちゃったから。心の底から好きになった人の事を……11年間蓮君の事を忘れられなかったのに今更そんな事出来ない。

 だって……きっと忘れたら今の私はいなくなっちゃうから。

 

「あぁ……あ……うぅ」

 

 蓮君の事を……忘れたくない,一緒にいたい,一緒に歌いたいって想いが身体を貫くみたいに私の胸を苦しませる。抑えようとしても止まらない。

 あぁ……わたし,もう蓮君がいないとダメな身体になっちゃったんだ……。蓮君に会いたいのに……私は会いたくないって嘘をつく。蓮君と歌いたいのに私じゃ歌えないって言う。だから酷い事を言うとしても伝えたのにそれでも身体はこんなに蓮君を欲して勝手に依存してる。

 私の意識は……自己嫌悪という名の深海の暗闇に落ちて行った

 

 


 

 

 ましろが蓮にデュエットの解散を一方的に告げた翌日の木曜日からましろは学校を休んだ。事情を知っているつくしは教室で今週の週末にあるイベントの為に1人決意を固めていた。

 

(勝負は来週……今日は皆と合わせるんだ)

 

 昨日の夜,結人からの連絡があった。曰くましろがああなったのは蓮の歌が凄すぎて自分が蓮と一緒に歌うのに値する人間ではないと勝手に思ってしまっているから。つくしや透子たちからすればそんな事ないというのが総意だ。確かに蓮の歌は凄い。プロに誘われたことがあるとだけでその凄さは一目瞭然だ。

 だけど,それでましろが蓮に劣っているかと言われたら絶対に違うと答える。メンバーだからじゃない,ましろの書く歌詞を……そしてましろが歌う歌が好きでここまで一緒にやって来ているのだ。そう,二葉つくしとして自分はましろの歌が好きなのだ。

 

「……」

 

 つくしは彼女にしては珍しく授業中に鞄の中に入っているスマホに目を向ける。結人が今のましろの事情を話した後に提案してきた事……ましろの為だけのライブを蓮がしたいと言ってきた。結人のスマホ経由で蓮と話したことを思い出した。

 

『僕は歌以外で気持ちを伝える方法を知らない』

 

 イメージと打って変わって力強い意志を伴った言葉につくしの心は動かされた。自分達も協力を申しこみ,2バンドによる共同戦線が築かれた。

 そして先程,結人からライブの日程が送られてきた。場所はCiRCLE,本来なら既にライブが埋まっていたのだが急なキャンセルが入ってしまい30分だけスケージュールを抑える事が出来たとの事。そして日程は来週の平日……既に1週間を切っている。

 

「やらないと……私達の未来の為に……限界なんて超えちゃえばいいんだ」

 

 密かにノートの下にある楽譜を見ながらつくしはイメージ練習を行った。

 

 ★

 

 大学生とは割と自由な時間を過ごせるものである。自分である程度好きな時間割を作れるというのもあるし,最悪自主休講と言う事も出来るからだ。

 七星蓮はそんな自主休講とは無縁な大学生活を送っていたのだが……今日初めて午後の授業を自主休講し和泉多摩川のましろの家へと向かっていた。その手には一枚のCDと歌詞と楽譜が握られていた。

 あの日は2人で歩いた道を今度は1人で歩いていく,その事に一末の寂しさを感じながら蓮は家に着くと深呼吸してインターホンを押した。

 しばらくするとましろ母が出て来た

 

「蓮君……」

「こんにちは。しろちゃんいますか……?」

 

 蓮のある種の覚悟を感じさせる声色に,ましろ母は何かを感じて彼になら今のましろをどうにか出来るかもしれないと思い家の中に引っ込み10分ほど経った時扉が開いて顔を出してきたのは,土曜日にあった時に比べて髪もぼさぼさで顔色も青いましろが扉に顔を半分隠すようにして現れた。

 本当はこんな姿すら蓮には見せたくなかったのかもしれない。そう感じさせる位にはましろは蓮の顔を見ようとしていなかった。

 

「れん……くん」

「しろちゃん……」

 

 蓮はそんなましろを苦しそうに見た後,ゆっくりと彼女に近づこうとした。しかし一歩近づいただけでましろはおびえたように直ぐにドアを閉めようとしてしまい蓮は慌てて立ち止まった。

 

「……! 僕はしろちゃんと歌いたい!」

 

 だから手じゃなく,言葉で伝える事にした。蓮はそう言ってその手に持つ自分が持って来たものを一式最低限の距離を保ちながらましろに渡した。

 ましろは何かを堪えるようにして蓮を見た後,こちらに差し出されているものを見た。ましろの大好きな小説,フェアリーレジェンズの小袋に入っているのは丁寧にファイリングされた何かの紙2枚と,CDだった。

 

「だ……め。うけとれない」

 

 胸の奥で必死に涙を堪えてましろは力なく受け取りを拒否する。その声は変わり果てたように掠れていて,蓮の瞳が大きくなった。

 

「だって……わたしはもううたえない」

 

 もうここ数日はまともにボイストレーニングなんてしていない。歌おうと思って勝手に喉がそれを拒否する。出来ないのだ。

 

「わたしは蓮君と……うたえない。わたしなんかじゃ足を引っ張るだけ……」

 

 ましろが己に対した失望に絶望……自分と蓮との差を既に受け入れてしまっていた。

 この世には2種類の人間がいる,絶望に直面して諦めて足を止めるものか……止めない者か。

 七星蓮はどちらの人間か……そんなのは後者である。蓮は知らない内にましろに近づいてそっとそのドアに隠れている彼女の右手を握った

 

「……! いや!」

 

 このままじゃ自分が壊れる……そう直感したましろは拒絶の言葉を上げて家の中に戻ろうとするが,蓮はその手を決して離さずましろの事を真正面から見た。

 あの日のような蓮の真っすぐな瞳に何かを悟ってしまったように呟いた

 

「あぁ……だめ……だよ」

 

 そう力なくいって左手で蓮の手を離させようとするが,身体がそれを拒むように力が入らない。初めて蓮のこれほど真剣な顔を見て……その瞳の奥に覚悟の塊を間近で見て既に自分の身体のどこかで”歌いたい”って気持ちが出てきているのに自分自身が気が付いているから。

 でももう碌な声も出せない……それ以上に裏切った罪悪感でもうどうにかなってしまいそうだった

 

「しろちゃん……」

 

 蓮は優しい声色でましろの左手に小袋をゆっくりと握らせた。きっとこれを落とせば……そうすれば蓮は諦めてくれるのに……そう分かっているのにましろはその子袋を勝手に手が動いて大事そうに掴んでしまう。

 そして,真剣さ全開の蓮の言葉も続いた

 

「しろちゃん,僕はしろちゃんの歌が僕に劣っているだなんて僕は思わない」

「……」

「僕はしろちゃんと離れてからずっと歌っていた。ずっとずっと!」

「……ッ」

「だけど,僕がディスフェスやLRフェスに行く事が出来たのは僕だけの力じゃない! Argonavisの皆が……ライバル達に出会えたからなんだ」

 

 LRフェスを通しての蓮の成長はましろとて知っている。最初は戦う理由を悩み,それでもあの大舞台で歌い続け戦う意味を見出した蓮は東京に来た頃よりもさらにレベルを上げている。

 いつしかそれが劣等感へとなり……そんな塵が重なった事でこんな事が起きた。

 

「でも……僕が小さな時から歌い続ける事が出来たのは……しろちゃんのおかげなんだよ?」

「……え?」

 

 その時の蓮はどこか穏やかな表情を見せていた。いつもとは違う,どこかお兄さん味を感じる蓮にましろはドキリとした。あの日々のような蓮の表情を久しぶりに見たから。

 

「しろちゃんとの約束がなかったら……きっと僕は中学の時に挫折していた……。しろちゃんとの約束があったから僕は1人でも頑張ろうって歌い続ける事が出来たんだ!!」

 

 そうして歌い続けなければ,蓮は結人や航海と出会う事もなくきっとただの七星蓮として生きていただろうと……蓮はそう言っているのだ。

 

「そんな……こと……」

 

 どこからか差し込んできた……自分を許すための一筋の光が深海に落ちたましろを照らし始めた。

 

「僕は嬉しい! しろちゃんとまた歌えることが!」

(やめて……)

「僕は嬉しい! しろちゃんの隣でまた歌える事が!」

(おねがい……わたしは……)

 

 自分勝手な夢で……自分勝手な想いで周りを引っ掻き回した自分は許されてはいけない。

 その為に何度も周りを傷つけて……自分が許される事なんてあって言い訳がない。あの悪夢の蓮? が呼び起こされる……黒く塗り替えられた2人の思い出が……光を取り戻していく。

 それを拒むようにましろは泣いて内心でやめてと懇願するが……勝手に涙が溢れて止まらなくなった。

 

「これは運命だ!! 僕がしろちゃんにまた会う事が出来たのも……こうしてまた一緒に歌えるのも全部運命なんだ!」

「うん……めい」

「うん! 運命は裏切らないって,僕はそう信じている。自分に課した限界も乗り越える運命を手にするのは自分だけなんだ」

 

 誰に何を言われようと,例えそれが自分で限界だと悟ってしまってもその天井を突破する事が出来るのは自分だけだ。自分の限界だと……そう諦めてしまったら何も届かなくなる。蓮はそれをましろに伝えたかった。

 持たせた子袋を蓮はましろにもう一度そっと握らせ,右手を離し離れた。さっきまで繋がれていた手を一瞬名残惜しく見たましろは,次に蓮を見る。

 

「しろちゃん,僕は君の歌が好きだ」

「~~ッ?!」

 

 そして不意打ちに気味に「好きだ」と言われたましろは胸が勝手にときめいてドクンッと心臓を高鳴らせた。

 

 

「だから……僕達は待ってるよ」

 

 

 最後に優し気な笑みを浮かべた蓮はましろから離れた。それで蓮から何かを言う事はもう何もないと察したましろはぐちゃぐちゃになった胸の高鳴りを悟らせたくなくて飛び込み気味に家の中へと入って行った。

 いつもはしていた手を振って別れる……って事をしていなかったがそれすらも忘れて早く蓮に顔を見せないようにしたかった。何故なら……

 

「ぜったい顔……変になってるよぉ」

 

 玄関の扉を背もたれに,座りこんだましろの顔は嬉しいのか悲しいのか寂しいのか……自分でもよく分からない感情のせいでぐちゃぐちゃになっていたから。

 そして……さっきから眼に溢れて止まらない涙の存在も。

 

(……あ)

 

 さっきの蓮の事を思い出していた事で渡された小袋が目に入り,中身を取り出した。思った通り何かの紙は楽譜と……歌詞だった。それも彼らの既存曲,ましろも何度か聴いたことがある。

 なぜこんな事をしてきたのか……分からなかったけれどましろは導かれるようにリビングへ向かい,付属で付いていたCDをプレイヤーで再生した。

 

 数時間後——同じ曲を何度も何度も聞いて……いつしか口ずさむようになっていた娘を母親は微笑んで見ていた。

 


 

 週末の土曜日,ましろの姿はCiRCLEにあった。既に目的のライブの受付は始まっているが……どうしても最後の一歩を踏み出す気にはなれなかった。

 

(うぅ……どうしよう。やっぱり帰った方が良いかな……でも……)

 

 それはこの1週間色々な人を引っ搔き回してきた罪悪感からなのか,自分の感情がよく分からなくなってしまったからなのか。

 ましろの足はCiRCLEに向いたり向かなかったりを10分位ずっと繰り返していた。結局今週の残りの学校は休んでしまったし体調に関しては少し心が軽くなったのか分からないがマシにはなっていた。

 そして……あの小袋に入っていたもう1つのもの……それを握りしめてここまで来たのにこの1週間の事をずっと思い出してしまい……怖くなってこうして足踏みをしていたのだ。

 

「ましろちゃーん!!」

「……!」

 

 しかし,そんなましろに超スピードで接近する1人の少女。ましろはこの声はと振り返ってみると,いつものように元気溌剌な星形の髪の先輩が突撃を噛ましてきて抱擁された。

 

「か,香澄さん!?」

「ましろちゃん元気だった? 私心配したよーっ!」

 

 力強くましろを抱きしめた彼女は特上の笑顔でましろを見つめた。

 ましろはここ数日誰ともまともに連絡を取っていなかった……それは香澄に対しても同じだった。だからこそ少し気まずくなり一歩足を下がろうとしたが,それを直感で悟ったのか香澄はましろを逃がさまいと更にきつく抱きしめた。

 

「香澄……さん?」

 

 そのどこか様子が少しおかしい香澄にましろは疑問が止まらなかった。そんなましろの耳元で香澄が呟いた

 

「歌えなくなってたんだよね?」

「——ッ! どうして知って……」

「ごめんね,つくしちゃんに聞いちゃったんだ」

 

 そういって香澄はましろから身体を離し,自分の手をましろの首から耳元のほっぺに髪をかき上げながら本当に心配気な……姉みたいな表情でましろの顔を覗き込む。

 

「ましろちゃん,3分だけ時間良いかな?」

「え……?」

 

 2人はそのままCiRCLEに併設されているカフェでお互い甘いものを頼み席に着いた。そして時間が余りないからかさっそく切り出した。

 

「私もね,歌えなくなっちゃったときがあったんだ」

「……え,香澄さんが?」

 

 倉田ましろにとって戸山香澄は自分を導いてくれた先導者であり,目標の1人でもある。いつも笑顔を絶やさない彼女が歌えなくなっている所なんて想像出来なかった。

 しかし香澄は言っている事とは裏腹に穏やかな表情で続けた

 

「うん,あの時はね──」

 

 そうして香澄は語った,まだ自分が高校一年生の時でバンドを作った時のお話を。今まで聞いたことが無かったバンド結成のちょっと後のお話。

 SPACEというライブハウスのオーディションで自分が一番出来ていないと言われ……ショックで歌えなくなってしまった時の事を。

 余りにも似ていた……今の自分に。

 

「香澄さんは……どうやって乗り越えたんですか?」

 

 そう,だから……同じ経験をした香澄だから送れる言葉がある。

 

「私はりみりんにおたえ,さーやに有紗! ポピパの皆のおかげで私はまた歌えるようになって……前に進めたの」

 

 きっかり3分,香澄には珍しく時間を守って立ち上がった。不安そうに香澄を見上げるましろに手を差し伸べて手を取って立ち上がらせた。

 

「行こ,ましろちゃん。ライブに!」

 

 そう言った香澄に引っ張られるがままましろはCiRCLEに入り,持っていたチケットでスタジオの中へと入って行った。やはり今日出るバンドは注目されていたからか,既に超満員でその熱気は既に爆発寸前のエネルギーに蠢いていた。

 人に紛れてましろは香澄と一緒に開演を待っていたら……ましろはステージの異変に気が付いた。

 

「どうしてドラムが2つも……」

 

 ステージ上には何故かドラムが2つ,だけどキーボードは1つだしステージのちぐはぐさが目立って……ましろの心のどこかにほんの少しの期待が渦巻いた。

 

「——ッ!」

 

 それを感じたましろは,次に周囲の観客が放った歓声にステージの中央に目を向けると……

 

「蓮……君」

 

 LRフェスで着ていたあの白を基調としたステージ衣装でArgonavisの面々が現れたことによる歓声が,ましろの心の中に入ってきてライブが始まる前の独特の緊張感が身体を満たし始めた。

 周りでメンバーがそれぞれの楽器の準備をしているのを横目に見た蓮はマイクを持ってMCを始めた。

 

「こんにちは,Argonavisです。今日は皆さん,僕達のライブに来てくれてありがとうございます」

 

 蓮がそう言うだけでまた一つ,会場のボルテージが上がるようなヒリヒリした感覚が起こる。

 

「初めてこのCiRCLEでするライブをこんなにも沢山の人に聴いてもらえるのは,とっても嬉しいです。僕達もこのライブを最高のものにする為に……そして伝えたい事を伝えるために……聞いてください,『Pray』」

 

 そうして始まったArgonavisのライブ,最初の曲はPray……万里が入院してしまった時に作った曲で今でもArgonavisの中では万里を象徴する曲でもある。

 

「祈るようなこの想い君に届いていることを 信じるこの歌 信じる」

 

 多分……蓮にこの歌が出来た時の事を聞いていた時のましろならそのまま万里の事を思い出していただろうPrayの曲は……蓮が誰に向けた歌なのかが何となく分かった。

 分かったからこそ……胸の中で感情の濁流が起こり勝手に眼に涙が溜まり始める。しっとり目の曲は本来初っ端からするのは観客の気持ちが最初に固定されてしまうからダメなのかもしれない,けれどそのリスクを承知でもこの曲を歌った事に蓮達の覚悟を感じていた。

 実際,既に観客はジンッとした空気にへと変貌してここから盛り上げるには相当なものがないと厳しいと思ったけれど……。

 

「ありがとうございます。Prayでした。次は──」

 

 そこから蓮達はこの30分という短い時間をジンっと来る系の曲と身体が少し乗ってしまいそうなアップテンポの曲……「AGAIN」,「Y」をそれぞれ披露した。

 どの曲もこのライブが決定したのが3日前なんて嘘みたいな完成度で……ましろは自分の中にあった罪悪感や葛藤が少しずつ浄化されているみたいに涙腺が止める事が出来なかった。

 AGAINは文字通り”限界”を越えてまた進もうというテーマでここしばらく抱えていたましろ自身の限界の事を歌っているように聞こえたし,Yはありふれた日常の中で一緒にいてほしいというテーマの歌……木曜日に来た蓮のことそのままの事だとましろには感じた

 

(このセトリ……もしかして全部……)

 

 そこでようやくましろは気が付いた。今日のライブのセトリ……全ての曲が自分を元気づける為の曲なんだと。これ聴かせるためにやったライブなんだと。

 

「皆さんありがとうございます,Yでした。次が最後の曲になります。ここから始まる航海の歌,聞いてください──『ゴールライン』」

 

 最後の曲はゴールライン,ましろは初めてテレビで眼にした蓮の姿と目の前でライブをしている蓮の姿が何かの始まりを予感させるあの音楽と共に重ね……心臓の鼓動が熱を思い出したように……蓮の歌を聴いてうずうずし始めた。

 

 ──いつか見た希望には 辿り着いたかい? 

 

 そこから始まる蓮とArgonavisの今のましろ達からすれば圧倒的な演奏と歌唱……きっとあの悪夢を見たころの自分なら気圧されて自信を無くしていたけれど……

 

(身体が……勝手に……!)

 

 身体は正直にリズムを取り始め,口元には笑みを浮かべているのをましろの隣にいた香澄が見ると,概ね彼らの作戦が成功したのだと察した。

 ゴールラインを終え……会場に立ち上る熱気が炎とへと変化した。それは見ていたましろ達にも分かり──こんな炎を立ち上らせるステージで何が起こるのかをましろは知っている。

 それは──アンコールだ。

 恐らく……今歌い終わった蓮がステージから離れようとする時,アンコールの炎が立ち上りこのステージはまたキラキラし始めるのだ。

 

「……蓮君?」

 

 だけど蓮の様子は可笑しかった。最初はゴールラインを歌い終え,清々しいまでの表情を見せていた彼が……次の瞬間には何かを待っている──そんな印象を受ける挑戦的な眼を浮かべていたから。彼は一度メンバーに目配らせを送り,そしてメンバー全員が彼に答えるように力強く頷いた。

 それを受け取った蓮は力強く観客の方を……そして吸い込まれるようにましろの方へと目線を向けた

 

「まだ……まだ終われない」

「……え?」

 

 芯の籠った蓮の終われない宣言が,熱気に包まれた会場に浸透していき少しのどよめきが起こった。まさかアンコールする前からまだ終われない宣言するとは誰も思わなかったのかもしれない。

 だけど,ましろにはこの真剣な蓮の表情を見た事があった。

 

「僕にはまだ一緒に歌いたい人がいるんだ!」

(おねがい……蓮君待って……それは……)

 

 だからましろには蓮が今から何をしようとしているのか分かり思わず一歩,後ろに下がろうとしてしまう。それを優しく止めたのは隣にいた香澄だった。

 ビックリしながら彼女を見ると,慈愛の眼差しでましろを見ていて首をゆっくり振った。まるで『逃げちゃダメ』と言っているように。ここで逃げたらきっと……もう戻れなくなるから。

 ほんの少しの期待と不安が押し寄せてくる中で……蓮はましろの予想通りにして予想外の事を叫んだ

 

 

「倉田ましろ!!」

 

 

 呼ばれた自分の名前は会場に浸透しながら波紋を呼んだ。偶に『誰?』と言った人達もいるがそれは当然ではある。LRフェスに出場した蓮と比べてまだ自分達はアマチュアで知名度がないのは納得できる。だけど──

 

「倉田ましろってMorfonicaの?」

「え,あのモニカ?」

 

 不意にそんな自分達の事を知っている人達がいて……嬉しくて胸がギュッとした。ステージにいる蓮はこちらを見て続けた

 

「しろちゃん来てるんでしょ?! 来てるのならステージに上がってきて!!」

 

 こんな盛り上がっている中で名指しでステージ指名なんて並みのメンタルではズタボロになる。ましろもきっとバンドを始める前ならきっと逃げていたかもしれない。

 だけど……彼が自分のましろを呼んだ途端,いけないと分かっているのに心が嬉しいと叫んでいた。

 

「いるんでしょ? 倉田ましろ!!」

 

 彼の咆哮が波のように自分に襲い掛かってきて……その熱い波はましろの心にも確かに届いた。

 身体は今すぐ行きたいと,身体が震えているのにまだあった罪悪感という理性もまだあった……だけど

 

「ましろちゃん」

「香澄……さん」

「ましろちゃん,行って?」

 

 全てを察しているような香澄にましろは勝手に身体が頷きながら……涙しながらステージに向けて走り始めた。ただでさえ超満員の中で進むのは至難の技。だからこそ声は必然かけなければならずましろは人垣の中をかき分けながら一番後ろから一番前まで全力で走った。

 

「すいません,通ります! ごめんなさい!」

 

 その声は蓮の元へも届き,ましろが人垣を抜け出してまるで蝶が羽ばたくが如く飛んだ。蓮がそんなましろを見て嬉しそうに右手を差し伸べ,ましろは涙を見せながら左手で握り──ステージに降りた。

 振り返ったステージから見る景色はとてもキラキラしていて……このCiRCLEで初めてライブをした時の事を思い出した。演奏が始まる観客たちの期待の視線と爆発寸前のエネルギーが……ましろの中に入っていく。

 隣で左手を握ってくれている蓮がマイクを持って言った

 

「彼女は倉田ましろ,Morfonicaのボーカルです。次のPoppin'Partyさんのステージのオープニングアクトとして……僕達ArgonavisとMorfonicaのコラボ楽曲を披露します」

 

 蓮のその言葉は会場にどよめきと驚きをもたらし,それはましろも同じだった。

 

(そ,そんなの聞いてないよ?!)

 

 まあここ最近蓮に会ったのは木曜日の時だけだし打ち合わせなんて全くしていないのだからそう思うのは当然である。だけど,いつもはない強引さで蓮はそっと自分のマイクをましろに渡した。

 まだ少し自己嫌悪と罪悪感が胸にあるけれど……

 

(あ……)

 

 ステージの上で……蓮と眼が合った。まるで『大丈夫,僕がついている』,そう言ってくれているみたいでましろは勇気を貰った。自分の中にあった罪悪感が……消えたのを感じた。

 マイクを受け取って……自分でも透き通っていると思った声で観客に言った

 

「その……倉田ましろです。一生懸命演奏するので私達の音楽を聴いてください!!」

 

 左手に感じる確かな熱が,ましろの中に勇気を灯してくれた。自分の中の壁を越える為の何かを見つけた気がした。

 観客はましろの言葉に歓声をあげ,ましろは嬉しくなった

 

 


 

 

 まだ胸に灯る暖かい火は深海の底にあった私の意識を覚醒させてくれた。昨日まで胸が苦しくて仕方がなかったのに……蓮君に握ってもらった手がとても暖かくて……安心した。

 

(蓮君の手……暖かいな)

 

 一度楽屋へと戻りながら私は自分の左手の先を見ると,とっても嬉しそうな蓮君がいた。

 

「しろちゃん,良かった。来てくれてありがとう」

「うぅ……あんなにいるお客さんの前であんな事言っちゃった……」

 

 胸の中に絡まっていた罪悪感が消えたら……今度は浮上するみたいに羞恥心が溢れてきて今更私はドキドキし始めて来た。きっと他のお客さんから見たらいきなり目当てのバンドのライブに飛び込んできた女で……凄く不味い気がしてきたけれどもう後の祭りだった。

 

「そんなの気にすんなって,ディスフェスの時の蓮を見てるみたいだったぜ?」

 

 結人さんがフォローしてくれたのか周りも少し苦笑い気味だったけれど,少し胸が楽になった気がする。そして楽屋に戻って来た私を迎えてくれたのは……

 

「みんな……」

「シロー! 会いたかったぞ~!!」

 

 モニカの皆が……私達の最初の衣装を着て私を待ってくれていた。何が何だか全然分からないけど……心の奥から何かが込み上げてきて目が滲み始めていた。

 

「もうましろちゃん,また泣いてるの?」

「はは,つーちゃんも少しお化粧崩れてるよ~?」

「も,もう七深ちゃん!!」

「倉田さん,もう大丈夫みたいで何よりよ」

「瑠唯さん……」

「ま,励ましたのがあたし達じゃないってのはなんか来るけどな! シロが元気になって良かったぜ!」

 

 つくしちゃんは私が戻ってきたことに心の底から安堵してくれたみたいにちょっと泣いてくれて七深ちゃんもつくしちゃんをいじってはいるけれど声が少し涙声になってる。

 瑠唯さんはいつも通りみたいだけど,どこかほっとしたみたいにしてくれているのは嬉しかった。透子ちゃんはいつも通りだったけれどいつも以上にテンションが高い気がしてきた。

 皆を見て……私はここ数日に皆にしてきた事を思い出した。碌な練習も出来なかった事,それでも無理を通してしようとして行ことを……。皆に心配をかけて何も連絡をせずに歌う事を辞めようとした事。色々な思いがごちゃ混ぜになってもう何から謝れば良いのか分からなかった。

 途中で蓮君の右手が離れてそっと背中を押してくれた。私はその導きのままモニカの皆に囲まれて必死に謝った

 

「ごめん……ごめんね皆! 迷惑かけて……つくしちゃんにも酷い事言って……」

「そんな事どうでも良いんだよ! 私はまたましろちゃんと一緒にステージに立ててうれしいの!」

「そうだよしろちゃん,しろちゃんがいなかったら私達はモニカじゃないんだよ!」

「うぅ……うわああん!!」

 

 涙腺が決壊し,メンバーの中で泣きじゃくるましろを見た蓮は安心したように自分達のメンバーを見た。皆優し気に蓮へと頷き返し,1件落着と言ったように安心した。

 

「良かったな,蓮」

「うん。でも僕一人じゃ無理だったと思う」

 

 ライブで気持ちを伝える……簡単なようで難しい事だったのは100も承知。今回ましろが落ち込んでしまう原因となった蓮の歌を聴かせるのは逆効果だと言う声もあった。現実を更に叩きつけられて這い上がれる人間は限られているからというのも……ましろの精神状態も悪化する可能性もあったから。

 だけど,それでも蓮は歌う事にした。

 

『僕は那由多君と歌う事で自分以上の力を引き出してもらった。今度は僕がしろちゃんの限界を超える為の手伝いをしたいんだ』

 

 それがあの晩,蓮がメンバーに言った言葉……1人のボーカル人生に関わる言葉だ。そして今ましろの中にあるわだかまりはその”限界”という1点のみ

 罪悪感は消えた,赦しを貰った……後は突き抜けるだけだ。

 

「皆……しろちゃんの為にありがとう」

 

 だけど,それが出来たのは決して自分だけの力じゃない。Argonavisのメンバーにも……そしてMorfonicaのメンバー……今回の枠を譲ってくれたPoppin'Partyの人達やライブハウスの人達……色々な人の助けがあったからだ。

 蓮の真っすぐな言葉に万里が照れくさそうに返した

 

「気にしないでよ。結構練習は楽しかったし」

「ああ,ヴァイオリンが入っているバンドとやるのは俺達も良い経験になる」

「それに,蓮の頼みなんだ。やらない訳がないだろ」

「そうだよ蓮,蓮の問題はArgonavis皆の問題なんだ」

 

 蓮がきっとましろの事を諦めていたら蓮の歌唱力は落ちて……人の心に届かないものになる。航海は漠然とそう感じていた。自分と結人が最初に感じたものが感じられなくなるとそう確信していた。

 だからこそましろを助けるために動くことを決めた蓮を止めなかったし,それが回り回って自分達の為になると信じていた。

 

「皆,ありがとう」

 

 蓮の飛び切りの笑顔はいつも希望の星の如くメンバーの士気を上げてくれる。全員気にするなと首を振り,新たな旅立ちを切ったMorfonicaの事を見守っていた。

 

 ★

 

 CiRCLEのステージの上,2つのバンドが豪華コラボとして並んでいた。ガールズバンドとボーイズバンド……全くタイプが違う2つのバンドは念入りに準備を進めてその時を待っていた。

 原始の衣装を身に纏った蓮とましろは,今か今かと待っている観客の視線を一身に浴びる。

 

「準備,OKだよ」

「わ,私も大丈夫です」

 

 万里とつくし,2人のドラマーが準備完了の証として会場を煽るようにドラムを叩く。ギター組の透子と結人がギターをかき鳴らすと会場のボルテージがさらに高まり,ArgonavisとMorfonicaのイメージカラーの青色のサイリウムがキラキラと輝いている。

 

「皆さん,今日は楽しんで行ってください!」

 

 ましろが透き通るような声でそう言うと会場のテンションが爆発寸前まで上昇した。それをピリピリと感じながら蓮とましろはギター組,ドラム組,キーボードの凛生とヴァイオリンの瑠唯を順に見た。

 全員の準備が……覚悟が決まった顔を見て蓮は最後にましろの方を見た。ましろも蓮を見返し,その瞳の奥にまだ不安があるのを見たけれど,それ以上に2人で歌いたいという気持ちが溢れていた。

 

「うんっ!」

 

 ましろのその返事に力強く頷いた蓮は,勢いよく観客の方へ向いてその名を叫んだ

 

 

「STARTING OVER!!」

 

 

 スポットライトが蓮とましろに光を指して……2バンドによる音楽が始まった

 

「さあ 行こうぜ! 限界なんて言葉振りほどいて今 その先へ」

「Stand up! 走れ! 何度でも」

「「Starting over!!」」

 

 2人の声が完全にハモリ,いつもとは違う感覚をましろは感じた。悪夢で見た……自分の声が蓮の歌に消されるわけでもなく,逆に自分の歌声が蓮の歌に邪魔をする訳でもなくただ2人の歌がまるで初めから1つのものだったが如く溶け合ってステージに広がっているのを。

 STARTING OVERは普段のモニカとは違う方向性の曲でこんなハモリ方は普通ならあり得ない。ましろが普段歌わないような曲というのは確かにある。だけど,蓮に引っ張り上げられるように自分の歌声が……悪夢を見る前よりもずっとのびのびと歌えている。

 自分と蓮が……そしてArgonavisとMorfonicaの作る音楽の妖精たちがステージに広がっているのがましろの眼には見えた。

 

(私……歌えてる……! 蓮君と……歌えてる!)

 

 ただそれだけの事実がましろの劣等感という悪魔を退ける事実となった。

 出来ないと思っていた……蓮の隣で歌う事が出来ている事実はましろに今まで以上の勇気をもたらしてくれた。そしてそれはモニカのメンバーも感じていた

 つくしは万里と一緒にドラムを叩きながら自分達の前で最近は見せたことがなかったましろの何かから解放された表情で,普段は歌わないジャンルなのにも関わらず蓮に引き上げられるように歌えている。

 

(凄い! 凄いよましろちゃん!!)

 

 結人とのツインギターをしてる透子もましろの明らかな変化に気が付いて,笑みを抑えられずましろ達に負けないようにピックを走らせる

 

(なんだよシロの奴絶好調じゃん!! あたしも負けてらんねー!!)

 

 七深もいつものモニカだけで演奏する時よりも楽しそうなましろの笑顔に自分のベースも乗り始めているのを自覚していた。

 

(しろちゃん凄いよ! 私達まで演奏が引っ張られちゃう!!)

 

 だけどそれが悪いことのはずが無く,ライブの盛り上がりは既に最高潮へと向かっていた。そして,Morfonicaの唯一無二特徴と言っていいヴァイオリンの瑠唯は淡々と演奏をしながらもましろの変化を嬉しく思い,口元を笑みに変えてこの今回2つのバンドの合同曲として凛生と共に再構成し,アレンジを加えた自身のパートを全く間違えず演奏する。

 演奏も佳境に入り,最後のサビの前奏に入った蓮はましろの方を向いて歌詞を紡いだ

 

「誰かはきっと笑うだろう ”かっこ悪い”と きっと笑うだろう ”やめておけ”って誰かが言うだろう」

「それでも叶えたい 何かが それでも信じたい 何かが あるなら何度だって手を伸ばして届くまで」

「さあ行こうぜ! 限界なんて言葉 振りほどいて今 その先へ」

「まだ やれるんでしょう?」

 

「「行こうぜ(よ)!」」

 

「「運命未来を全て撃ち抜こう 君がいてくれる もう一度Starting over!!」」

 

 お互いの事を見て,蓮はましろに,ましろは蓮にお互いがいてくれるから……何度でも始まれることが出来るんだと伝える唄。

 蓮に引き上げられた2人の歌は……2つのバンドの演奏は今日のCiRCLEのライブを一番盛り上げましろはまた新しい自分として新たな一歩を踏み出す事が出来たのだった。

 

(皆……蓮君……ありがとう。大好きだよ)

 

 キラキラしてる会場の事を見渡しながらましろは胸の中でそう言って飛び切りの笑顔で

 

「「ありがとうございました!」」

 

 蓮と一緒に観客にお礼を言うと割れんばかりの歓声と拍手喝采が2人を包んだのだった。




お疲れさまでした。以下本編で書く暇がなかったあと書きなので興味ないよって方はスルーで構いません。

という訳で,ましろは蓮に引き上げられる形で自分の歌を取り戻しました。
STARTING OVERは直訳するとやり直しとか再出発とかそう言った意味で今回のましろにピッタリな曲かなと思いこの選曲にしました。
また,ましろは本編には書いていませんが所々自分なりのアレンジを加えています。…まあ瑠唯のヴァイオリンがある時点でオリジナルのSTARTING OVERではないんですけどね。因みにAGAINとどちらをトリにしようかと思ったけどやっぱツインボーカルの方が都合が良かったのでスタオバにしました。

それから,モニカとアルゴナは短い期間ですけど合同練習を行っていました。じゃないと流石に初手から合わせられるのは限度があったので最初らへんのつくしが見ていた楽譜とかはモニカの楽器組に配られていたスタオバの楽譜ですね。(このネタでまたなんか作れそうと思ってしまった作者だった)。
ましろがスタオバを歌えるのはLRフェスとかで見たと言うのと,蓮から渡されたのがスタオバの楽譜と歌詞,CDだったからです。


はい!そういう訳でデュエット編はついに最終章,大会編でございます。…まあ次回息抜きしてその後直ぐに終わらせられる…筈!
その後もう1話くらい息抜きしてくっつく話に突入すると思います。

今回歌詞を使わせてもらったので歌詞コード記載してます。

では次回またお会いしましょう!


恋人になった2人の関係性どんなのが良い?

  • 今まで通りましろから蓮に激攻め
  • 逆に蓮がましろに激攻め
  • 寧ろお互いがお互いに激攻め
  • というか全部やれ
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