基本的にましろは恋愛脳になってますのでご了承ください。
では!
僕達の夏が終わり,また新たな季節へと進もうとしている今日この頃。もう恒例となっている僕達の大学でのランチ会は大学の中で有名になったみたいで少し注目を浴びている。
1人で歌っていた頃からは考えられない事で少し驚いている。最近は何だか応援をされることも多くなった気がする。そのきっかけはディスティニーロックフェスティバル……通称DRFでGYROAXIAのボーカル,旭那由多君から僕への指名,そして僕達がした演奏で知名度が最近上がっているみたいだ。
正直僕はそのDRFの倒れてしまったドラムの万里君の事が心配でそれ所じゃなかったけど,万里君が奇跡的な回復を見せ復帰してからそう言った事を感じる余裕が出来た。
「LRフェス?」
そんなある日,僕達の船,Argonavisのリーダーでもある結人君がある知らせを持ってきてくれた。ライブとバイト以外ではいつもつばの広い帽子を被っている結人が嬉しそうに話しを続ける
「ああ,この前東京へメジャーデビューの話が出ただろ?」
「そうだったな,万里の事があったからちょっと頭から抜けてたけど」
そう言って結人君の右腕とも言えるベースの航海が万里を見ると,万里は少し笑いながら頭を掻いた。
「あの時は騒がせて悪かったね」
「でも万里も良くなって良かったよ」
「その通りだ! この5人がいてArgonavisだからな!」
結人がとっても嬉しそうにはにかむと僕まで嬉しくなってくる。
そう,この5人がいて初めてArognavisで誰か1人でもかけてしまったらそれはArgonavisじゃない。僕達の船は,誰かが欠けちゃダメなんだ。
「それで,そのLRフェスというのは?」
最初の話と違う話に変わりかけたのを見て,このバンドの作曲とキーボードを担当してくれている凛生が話を戻した。結人君は「そうだそうだ」と言って椅子に座りなおしてタブレットのページを見せてくれた。
「メジャーデビューの先駆けにどうだってあっちの人が言ってくれてな」
LRフェス……正式名称ライブロワイヤルフェス,世界への挑戦を駆けて日本各地から集められた5バンドがお客さんの投票式で戦うバンドの祭典。とても規模が大きいフェスみたいだ。
そしてその5バンドの中に決定しているだけでも大きく注目されているのは
「GYROAXIA」
航海がその名前を見つけ呟くと結人が少し瞠目したように眼を閉じたけど,次の瞬間には何事もなかったように頷いた。
「ああ,GYROAXIAもこれを機に東京へ進出する」
GYROAXIAのボーカル,旭那由多君。燻る事しか出来なかった僕を,ディスティニーロックフェスティバルのステージに引き上げてくれた。火をつけてくれた。
世界を目標にしている那由多君がこのLRフェスに行く事は必然だったのかもしれない。
「良いね,行こうよ! こんなチャンス滅多にないよ!」
万里がワクワクを押さえつけられないみたいな顔で言うと,それが皆にも伝わったのか凛生も航海も,そして結人も大きく頷いた。
「ああ,今の俺達がどこまで通用するのか試してみたい」
「あのね,もう少し不安とかないの?」
「とか言って航海,お前も今凄い楽しそうな顔してるぞ」
確かにこんなチャンスはもう2度と巡ってこないのかもしれない。世界で歌う事が出来るのならとっても凄い事だと思う。
だけど……僕はこんな楽しみそうにしている皆の前で決して言えない事を思っていた
──音楽で戦うって……意味が分からないよ
[newpage]
羞恥の熱は確かにまだ私の中に灯ったまま帰路についていた。その熱がまた燃えるだけだって分かっているのに,帰りの[[rb:宇宙船 > 電車]]の中でつくしちゃんが教えてくれたあのGYROAXIAの動画を見ながら私はこの心臓の鼓動をまた確かめようとしてた。
『七星蓮!!』
ボーカルの人……旭那由多って人が名前を呼んでその声に答えるように飛び出してきたブルーオーシャンみたいに綺麗な青髪の人,その人がステージに振り返るシーン。
今日だけで5回くらい見た場面だけど,彼の顔を,声を,心の底から何かを伝えたいと伝わる言葉に胸が嬉しくてぴょんぴょんしてる。
こんな気持ち……香澄さんの歌を初めて聴いた時みたいで……
「あ,降りないと」
動画とそれから感じる事に夢中でいつの間にか最寄り駅についていた事に慌てて気が付いて降りる。少しだけ小走りして息が少し荒くなったのを整えた後,お家まで歩いてく。流石に歩きながら動画を見る訳にはいかないから頭の中に刻まれた彼の顔を思い浮かべる。
幼い頃の蓮君と,今の蓮君を重ねる。
「蓮君……みつけた」
その事実が嬉しくて頬の力が緩んでいるのが自分でもよく分かる。今日の練習も,この事が気になって少し集中できていないって瑠唯さんに言われたけれどしょうがないもん。
だって……初恋の人が見つかったんだから,私と同じようにバンドで,同じボーカリストとして。
「ただいま」
今の私変な顔になってないかな,恋とか私にはまだ分からないけれど七深ちゃんには「恋する乙女の顔」って言われちゃったし……この事がお母さんにばれたらきっと聞かれるよね。
「ましろちゃんおかえりなさい」
玄関に入るとお母さんがエプロン姿でひょこっと顔を出してきた。もう30歳は超えて40歳位はいくはずなのに我が母ながらいつまでも若々しいなって思う。
秘訣みたいなことを気になって聞いたことあるけどその時は「お父さんにいっぱい愛してもらうのよ♡」みたいな事を言われた。……恥ずかしいから余り家の外では言わないでほしい。
「お父さんは?」
「んー,今日はちょっと遅くなるみたい。ましろちゃんが着替えたら先に食べましょ」
「うん」
私のお父さんは結構お仕事が忙しいみたい,けれどもよく夜になったらちゃんと帰ってきてお母さんとよくお話してる。
部屋に戻ってきた私は制服を脱いで,私服に着替える。
「愛して……か」
好き……っていうのは何となく分かると思う。私はモニカの皆が好き。バンドのメンバーとして,お友達として好き。でもそれは友愛の好きで……恋の好きじゃない。
たったの4歳,されど4歳,物心ついた時から一緒にいてくれたのが偶々男の子だったからかな。それが蓮君だったからかな。もしも蓮君以外の男の子でもこんな気持ちになったのかな……。でもあの時は多分友愛の好きだったと思う。じゃあどうして今は友愛の”好き”じゃないんだろう。
「う~」
蓮君の事を思い出していたら何だか恥ずかしくて,マシュマロみたいに溶けてしまいそうになって部屋の中なのにうずくまる。
私がモニカでボーカルをしたいと思った理由,香澄さんみたいなキラキラした歌を歌いと思ったのは確かにある。けれど,それと同じくらいあった理由は
『ら~ら~♪』
思い出すのは,あの野外フェスが終わった後に2人で歌を歌っていた時の事。私と蓮君がまともに知っていた歌が特撮の曲だけだったから2人でそれをずっと歌ってた。それだけだったのにとても楽しかった。だからバンドをする時,ボーカルがしたいって言ったんだ。も,もちろん香澄さんに憧れたのも大きな理由だよ。
「いかなきゃ」
いつまでもうずくまってたらお母さんが様子を見に来てしまうから,鏡に映る自分がいつもの私の表情になるようにしてリビングに戻った。……元の顔に戻ったかは自信がない。
でも幸い? お母さんは気が付かなかったのか晩御飯のおかずを並び終えてたところだった
「あ,ましろちゃん。ちょっとテレビつけてもいいかしら?」
普段は余り見ないテレビを見たがるなんて少し珍しいなって思ったけれど断る理由もなかったから頷くと,席に着きつつリモコンでテレビのスイッチを入れた。今日お母さんが好きな番組とかあったかな……?
お母さんがつけた番組はよくあるようなエンターテインメント番組で,それも終盤の所だった。
「いただきます」
今日の晩御飯は焼き魚と玉子焼きに大根をすりおろし……私が食べられる数少ない食べ物が並べられていてどこかの定食屋さんみたいな綺麗な食卓。でも,一品一品がとっても美味しくてお母さんの作る物が私は大好き。……野菜とかいっぱいはちょっと嫌だけど。
『ライブロワイヤルフェス特集~!!』
お母さんの料理に舌鼓をうっていたら,テレビの方から新しい番組が始まった事を知らせるアナウンスが飛び出てきて私はなんとなしに目を向けた。
『皆さんこんばんわ,司会の——です』
そこからは出演者の人達が順に自己紹介をしてる。その中には有名なアーティストもいたりしてびっくりした。フェスって事は結構大きなライブとかするのかな。こういうフェスに一番出そうなのはRoselliaさんだと思うけれど最近はそう言う話は聞いてない……。
番組の内容は,もう直ぐ始まるライブロワイヤルフェス……通称LRフェスって言う世界3大レーベルでもあるダックリバー社が行う祭典,舞台は東京で全国から来た5バンドがお客さんの投票数によって競う対バン形式の催しみたい。そこで優勝したバンドに与えられるのは
「世界への……挑戦」
世界……まだ日本から出てことが無いからとてもふわふわしてるイメージしか出てこないけれど,果てしない場所で,まだ見ぬお客さんの前で歌うなんてとても緊張しそう。この感想が私の中から口に出る事はなく続いて開催期間についてのアナウンス
「結構長い……」
一般的なフェスの期間はそれこそ1週間とか,もっと短いフェスもあるのに対してこのLRフェスの期間はとても長くて本戦のライブの順番を決めるスターティングライブから1年間を通してライブを行うってとても規模が大きいフェス。これ沖縄とかの人達ってどうするんだろうっていう純粋な疑問が出てくる。
次に,直近にあるスターティングライブについてのアナウンス。さっきも話された通り,このスターティングライブで本戦のライブ順が決められる前哨戦みたいなもの。でも,きっと戦う本人達にとっては前哨戦以上の意味を持つライブ。うう……見てる私まで何故か緊張する。
『それではこの栄えあるフェスへ挑戦する5バンドを各々の曲と共に見ていきましょう!!』
基本的な説明が終わったのかな,司会の人がこのLRフェスに出場する5つのバンドをVTRで流すみたいで画面が切り替わった。先ず画面に出て来たのは……
「す,凄い」
最初に紹介されたバンドは長崎出身のスカ? バンドってとっても元気な印象を受けるイメージの大学生の5人組バンド,『風神RIZING!』というそのバンドはとにかく元気,ライブを楽しんでいる……ポピパさんみたいなバンドだった。まるで太陽の申し子みたいな……そんなバンド。
「わぁ~,とっても個性的ね」
同じものを見ているお母さんが次に出てきたバンドをにこにこで感想を言っているけれど私はびっくりした。出てきたリーダーを務めている人がメイクをした男の人でその装いがどこか吸血鬼に似てたから。まるでどこかの古城で,人間との共存をする為に歌を奏でているみたいだった。
Fantome irisというそのバンドが生み出される世界観はとても万人受けしないんじゃないかなって思った。
「この子……凄い」
次に出て来たのはぱっとみ中学生くらいの男の子で,εpsilonΦってバンド。出身は京都らしくてメンバーはほぼ全員が中高生っていう今回のフェスで最年少バンド。だけれど,周りを嘲笑うような嘲笑を込めたボーカルの子がちょっと苦手だなって思う。
「あっ」
そして次に出てきたバンドは私も知ってる。紹介映像の中でも力強いサウンドと歌唱を奏でているのは今日つくしちゃんが見せてきたバンド……GYROAXIAだった。今日初めて聴いた怖そうなボーカルの人の歌は,とても熱く、周りを圧倒する歌声で雰囲気は少しRoselliaさんに似ていた。
息の合った演奏で他を圧倒する姿は今回のフェスの優勝の筆頭候補って触れ込みだった。
『次のバンドはGYROAXIAと同じく北海道,函館の大学生バンド!』
GYROAXIAの紹介が終わって司会の人が次のVTRへと移動する際の紹介文,何気ない紹介の筈なのに私の心臓がどうしてか分からないけれど勝手に高鳴り始めてくる。もしかしてって思う気持ちと,そんな事が本当にあるのかって困惑が一つの熱になって身体を駆け巡る
『北海道の音楽の祭典,ディスティニーロックフェスティバルにおいて、なんとあのGYROAXIAのボーカル旭那由多君からの指名を受けステージに立った新進気鋭のバンド……Argonavis!!』
けれどこの言葉を聞いた時には既に困惑は現実として変わり私は動かしていた箸の動きを止めて,テレビに目が離せなくなっちゃった。
そして……何かが始まるような爽やかなメロディーと共にVTRが変わり映し出されたのはそのディスティニーロックフェスティバルの時の映像。ぱっと見はRoselliaさんと同じバンド構成,ギター,ベース,キーボードにドラム……そして私をこんなにした青髪のボーカル。
蓮君が演奏が始まる時に少し観客の方を見て瞠目したように見えたのは気のせいかな? って思っていたら始まる蓮君の音楽。画面越しでも伝わる観客たちの爆発寸前のエネルギー,それをこの青空に解き放つように蓮君は語り掛けた
──いつか見た希望には 辿り着いたかい?
まるで待ち人が来訪者に語りかけるような歌詞,その歌詞の中にどうしてか幾つもの壁を越えてきた……そんな感じがした。
その語り掛けるような歌詞から始まる音楽は,その場にいる人たちに一斉に波紋のように広がって大歓声と共に蓮君の……Argonavisのライブ映像が流れた。ポピパさんのライブを見た時のような鳥肌と感情の塊が私の中に入ってきた。まるでこの青空をぷかぷか浮かぶ船で旅をしているような感じがした。
[newpage]
幸い,と言って良いのかましろの母親は件のボーカルがあの時の少年と言う事に気が付いていなさそうだった。けれどましろの様子が少しおかしくなっている事には気が付いたのでArgonavisの紹介が終わると心配気に問いかけた。Argonavisの紹介から箸を1mmも動かしていない我が子に
「ましろちゃん顔赤いけど大丈夫?」
「えっ……?」
ましろは箸を持っていない左手で頬に触れると心なしかまた熱くなっている事を意識して体内温度がまた上昇する。おまけに動揺もしまくり持っていた箸も落としてしまう始末。蓮の正体については分かっていない母親だったがその過去の自分と似た……赤くなって硬直してしまっているましろの様子を見れば彼女に何が起こったのかは直ぐに分かった。
「ましろちゃんもしかしてさっきのバンドの誰かに一目ぼれしたの~?」
「ち,違うよお母さん!」
母親にこの事を知られたらとても面倒な事になると思っているましろは必死に誤魔化そうとしたが,自分とて過去に恋愛結婚した身だ,娘の初々しい反応を見ればその正体がなにかなんて分かるのは当然である。普段はふわふわしているましろ母だが,人を見る目は確かである。……蓮の事をまだ思い出していないのはノーカン。
「ふふっ」
ましろ母はライブロワイヤルフェスの各バンドの紹介が終わり,何かを話し始めたテレビの人達を見ずにこの場を早く逃げ出したくてご飯を急いで食べるましろを温かい目で見ていた。
結構残っていたはずのご飯は凄まじいスピードでなくなっていき5分もしたら無くなっていた。ましろ史上最速の食事スピードだった
「ご,ごちそうさま」
ましろは母親から追撃をされない内に食器をシンクに入れスタタ!! と自室へと戻って行った。
「逃げられちゃった」
言いながら未だにライブロワイヤルフェスについて話している番組を見る。今は各バンドの活動の遍歴について語っている途中で今は件のArgonavisについて話されていた。リーダーはギターを弾いている人らしく,ザ・大学生らしい明るい笑顔だと言える。他のメンバーもとても個性的で爽やかなイメージ,その中でも異彩を放っているなと思ったのは蓮だった。
カッコいい顔というよりかはどちらかというと可愛い寄りの顔,けれども歌う事になると引き締まった表情で歌う。そのギャップがとても印象に残った
「あれ,この子……?」
昔はよくましろと合唱会をしてくれたあの男の子……ましろの反応からましろ母は驚きの口から聖母のほほえみに変えた
「そっか……ましろちゃんは立派に恋してたのね」
LRフェスは東京で行われる。つまりこのArgonavisのメンバーもこの東京の地に来ると言う事だ。ましろが色々考えてしまっているのはもしかしたら蓮に会えるからではないかと考えているからじゃないかなと思ったのだった。
[newpage]
(あああああああああ!!!)
一方,ましろは母親からの温かい眼から逃げ出したくてドタドタとはしたないと分かっているけれども,それでも抑えられず飛び込みながら自室に戻りベッドにダイブした。そして近くにおいてあったぬいぐるみを抱きしめて自分の今日の行動を振り返ってみると
(蓮君の事しか考えていない!)
毎日蓮の事を想っていた訳ではない。偶に思い出してその時に感じるキュンとした思いに身を焦がす事がましろの習慣だった。その身を焦がす感情が生きる活力にもなっていたから。けれど,今日は本物の幼馴染が見つかった事によりキュンで止まっていた想いがいつのまにかドキドキに変わっていた。
(うー,こんな顔……皆に見せられないよ)
鏡を見るまでも分かる。今の自分の頬は紅く染まり,口元がだらしなくなっている事は。七深曰くの恋する乙女の顔。それが自分でも分かってしまうから。今時の高校生らしいとも言えるつくしと透子はきっと根掘り葉掘り自分をからかってくるだろう。七深もそれが普通だと知れば参加する事は想像に難くない。
「う~!!」
ぬいぐるみに顔を埋めて言葉にならない言葉叫びながら,行き場のない羞恥を足をぱたぱたする事で逃がそうとする。
高鳴る鼓動はそれで収まるかと言われたらそうでもなく,むしろ意識してしまって余計に心拍数が上がってしまう始末。
「こんなの……ドキドキで心臓が爆発しちゃうよ」
自分でも重いかもしれないとは思う。だけれどこんなにした蓮が悪いと開き直る事で最低限の情緒を保つ。でもそこでふと思ってしまった。
「私の事忘れてたらどうしよう」
今から約11年前の約束など,忘れているのは自分だけではないか,そう考えたら高鳴っていた心臓の音は急激にクールダウンしてしまう。
そもそも蓮だって今は大学生なのだ,それに顔立ちはとても整っていてバンドのボーカルと言う事はもしかしたら彼女がいるかもしれないのだ(偏見)。それも自分なんかよりも綺麗で優しくて家庭的で女性らしさ満点の人だったら自分が勝てる訳ないじゃないかと。この間高校1年生になった幼馴染の小娘の事なんて忘れてしまっていても可笑しくないのではないか。
(あああああああああ!!)
結果,いつものネガティブ思考が炸裂しましろは負のスパイラルに入ってしまったのだった
[newpage]
ANA554便,それが僕達Argonavisが搭乗する飛行機だった。函館空港から羽田空港まで直通の飛行機,僕があの子と別れる時にあの子が乗っていた飛行機と同じ会社ということに少なからず運命を感じた。
「東京,か」
結局僕は自分のふとした疑問を皆にする事が出来なくてこの函館の地を離れる事になった。LRフェスで歌う為に,だけど僕は音楽で戦う意味が分からなかった。
僕は自分の歌が好きだ。何にも勝る位好きだ。だからこそ,僕達の歌をお客さんに聞いてもらう事がとっても大事だ。そこに歌の優劣をつける事なんて考えたこともなかった。
「どうした七星」
そこで僕の隣に座っていた凛生が僕の様子に気が付いたのか,世間話でもするような調子で声をかけてきた。僕は首を振り誤魔化す事にした。
「うん,東京には幼馴染の子がいるんだ」
誤魔化しではあるけど,嘘ではない事実。
『蓮君……』
自分の名前を呼びながら後ろについてくる雪みたいに白い髪の毛の女の子,とっても不安そうな表情をずっと見ていたからか,それとも僕に兄弟がいなかったからかな。あの時は妹が出来たような気がしていた。だけれど,彼女のお父さんの転勤で僕達は離れ離れになった。
「そうなのか」
「うん。でも,東京に行ったのはとっても前の事だし今でも東京にいるのかは分からないな」
それに僕は彼女の連絡先を知らない。今どんな成長をしたのかを知らない。だから会う事は出来ないだろうなって思っている。
それに,別れた時はまだ彼女が4歳の時だったからそもそも僕の事を忘れている可能性すらある。
「だが,それが必要な縁ならまた会えるんじゃないか」
凛生がどこか微笑ましそうに言うと僕もなんとなくそんな気がして「そうだね」と言って空から見る函館を見て,窓に反射しているのはいつのまにか口元を笑みに浮かべてる僕の姿だった。
お疲れさまです。
という訳で蓮もましろの事は覚えています。
書いといてあれですけれど,実際4歳の時に会ったきりの人って覚えていられるのかなと思ってしまっている()。
また明日~
恋人になった2人の関係性どんなのが良い?
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今まで通りましろから蓮に激攻め
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逆に蓮がましろに激攻め
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寧ろお互いがお互いに激攻め
-
というか全部やれ