蓮とましろが小さい頃に別れた幼馴染だったら   作:レオ2

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こんばんわ!
今回のお話は前回蓮が月の森に行ったので今度は逆にましろが大学に行く回です!

ましろって…大切な人相手には嫉妬とか独占欲強いと思うんですよ(白目)


[デュエット編] 嫉妬の黒炎

『ましろが鴨川大学に来た場合』

 

 デュエット大会まで残り1週間,蓮が月の森に来た日からもちょくちょくと2人は会ってカラオケや河川敷で練習を重ねていた。

 その為既に曲の完成度自体は高くぶっちゃけて言うのならもう本番の前日に合わせるくらいでも問題ない位には磨いていた。

 

「えっと……ここらへんだよね」

 

 しかし,2人は結局ほぼ毎日一緒に練習してましろがシェアハウスでご飯を食べるという光景も珍しいものではなくなってきた頃のお話。

 ましろは放課後,今日のモニカの練習はなかったので蓮にまた一緒に練習に誘ったのだがそこで問題が起きてしまった。

 

『ごめんしろちゃん,その日は4限目に補講があるから遅くなっちゃう』

 

 大学には授業を担当している教授が何らかの理由で休講になってしまった時,別日に補講をするというシステムが取られているのが大概である。教授によって補講の内容はネットで課題を出されてそれを出すだけで良いものだったり,逆にいつもの対面授業のように大学に行かなければならない場合も存在する。今回の蓮は後者,法学部の専門科目の補講がいつもはない4限の時間に入ってしまっていた。

 

「じゃ,じゃあ私が蓮君の大学に行こう」

 

 だけどましろは逆にチャンスなのではないかと思った。今まで大学生をしている蓮を見たことが無かったし,蓮の大学にも行った事がなかったのでこの機会に見ておこうと思った。……ちょっとこの前の蓮が月の森に来てくれたのが嬉しかったから今度は自分が蓮のお迎えをしてみたいと思ったのは秘密だ。

 そして,あの時の蓮のように実はサプライズしようとましろは蓮の予定がないのをきっちり結人達に確認してからやって来たのだが……

 

「あ,着いた」

 

 学校終わりに来たので制服のましろは実は少し浮いているのだが,蓮の大学に来たと言う事実の方がましろには嬉しくてつい内心ではしゃいで気が付かなかった。

 

「わぁ……大学っておっきい……」

 

 月の森女子学園もそれなりに大きい……というよりもここら辺の中では結構な面積を誇る高校の為最初は月の森位の広さなのかなと思ったましろだったが,鴨川大学の広さはましろが想像するよりも広かった。

 

「あの子月の森かな……?」

「可愛い……!」

「……!!」

 

 大学の正門前で大学の大きさに驚いていたら,正門から出てくる女子大生に黄色い声を出されて我に返ったましろは恥ずかしそうに目を伏せて大学の中に入って行った。

 月の森では来校者は必ず警備員に来校証を貰わないと入れないし,そもそも来る人間なんて業者やお偉いさんが殆どなのでましろは内心こんな簡単には入れて良いのかな? とか思ってしまった。

 

「えっと……蓮君は法学部だから……。あ,皆凄く大人っぽくてちょっと憧れちゃうな」

 

 正門の所にある大学のマップを見た後に道行く生徒達を見ていると,自分の身の回りにいる同級生に比べてやっぱり大人っぽい雰囲気を感じて少しの憧れを感じたましろ。

 まだ自分は就職するのか,大学に進むのかは分からないけれど大学に来て見ると自分が大学生になった所をついイメージしてしまう。

 そう,例えば蓮と授業終りに合流して一緒にお昼食べたり一緒の授業を受けたり空きコマにカラオケに行ったり……

 

(全部蓮君がいる……)

 

 大学生活をイメージしたところ,何故か全てのシーンに蓮がいてましろは自分の蓮への想いを再確認して少し恥ずかしそうに頬を紅くした。

 この前少し蓮に会えなくなっただけで寂しくて仕方がなかった……11年間も離れているのは何だかんだ想うだけだったのに蓮が東京に来てからはもう週に1度は蓮に会わないといけない身体になってしまった気がする。……まあ実際は偶に2週間以上会わなかった時もあったのだが。

 

「蓮君どこかな?」

 

 そこでましろは今日の自分がやって来た目的を思い出し,取り合えず大学のマップをスマホに撮ってから歩き出した。

 やはり月の森の制服は目立ってしまうのか,少し好奇な眼で見られる事が多く中にはセーラー服の生徒を初めて見たのか

 

「セーラー服って初めて見たばい!」

 

 というオレンジ色の髪の長崎弁の人とかもいた。

 そしてましろは私服に着替えてから来ればよかったと思う反面,そうしたら今度は授業が終わる時間までに大学にいけなくなってしまうのでやっぱり蓮の方が大事だと自分を奮い立たせ曲がり角を曲がろうとした瞬間,ましろの視界が黒く染まり仰け反ったのを感じた

 

(あ,人とぶつかって……!)

 

 相手の体格と体幹がよほど良かったのか,ましろの方が簡単に弾き飛ばされてしまいこのままでは後ろに倒れてしまう時にその相手がましろの手首を掴んで転倒を阻止した。

 

「すまない,大丈夫だったか?」

「あ,はい。ごめんなさい……あ」

 

 ましろは顔を上げて助けてくれた人を見ると……知っていた人だった。

 眼鏡をかけ蓮とほぼ同じ慎重でその雰囲気はどこか冷たさを感じさせるようでしかし同時にその胸の中に熱い魂のようなものを感じる人物で……どこかArgonavisの航海に似ていた

 

「GYROAXIAの……」

「……? 知っていたのか,里塚賢太だ」

「あ,ありがとうございます。倉田ましろです……そ,それじゃあ!」

 

 ましろは何とも言えない雰囲気に耐えられなくなり,つい逃げるように去ろうとしたのだが

 

「七星君はそっちにはいないぞ」

「……?!」

 

 その何故か余りにタイミングよく自分が探している人物について言い当ててみせられたことにドキリとし,恐怖の意味で心臓をバクバクさせながら賢太の方を見ると航海と似てるようで似てない笑みを浮かべていた。

 

「君はMorfonicaのボーカルだろ? この前Argonavisの配信で見たよ」

「え……あっ」

 

 実はあのArgonavisとMorfonicaのライブは配信をされていて,ライバルバンドの動向は常にチェックしている賢太はその配信も勿論見ていた。そう,決して航海の様子が見たかったから見ていた訳じゃない。

 

「ど,どうして私が蓮君を探してるって……」

 

 しかし,配信を見ただけで何故自分が蓮の事を探しているのかと言う事は分からない筈だ。実際は結人や航海に凛生,それに万里を探していると言う可能性も無きにしてあらずなのに。

 だけども答えは思っていたよりも簡単だったようで

 

「君が七星君を好いているのは配信を見れば分かったからだが?」

「~~ッ??!」

 

 そんな当たり前のことを何故聞くんだとでも言いたげに賢太が言ったが……ましろはズバリと言われた事と不意打ちだったのもあり一瞬でオーバーヒートし始めて真っ赤になった。

 今まで結人達にさりげなく蓮と2人きりの状況を作ってもらった事はあるが,『蓮の事好きだろ?』的なセリフを明言されたことは無かったのでこれで自分が分かりやすい人間と言う事が既に決定してしまっていた。

 

「本当に分かりやすいな……。まあ,七星君ならもうそろそろ授業が終わる頃だ。俺も彼らの教室に向かう所だったから良かったらついて来ると良い」

 

 そう言って賢太は歩き始め,ましろは一瞬追いかけるかどうか悩んだが嘘をついている様には見えなかった為信じてついて行くことにした。

 賢太は黙々と歩き迷路のような校舎の中である教室で立ち止まった。

 

「ここが七星君が授業を受けている教室だ。まだ授業をしているから静かにしておくんだな」

 

 ましろはその言葉に頷いた後,ゆっくりと教室を覗いてみた。目の前では教授が今のましろには全く分からない言葉の羅列を話していて一瞬眩暈がしたが,直ぐに蓮を探す事にして辺りを見渡してみると開始1秒で見つけた。……ましろの蓮レーダーは進化していた。

 

(蓮君……お友達と受けてるのかな?)

 

 想い人が見つかった事にテンションが上がるましろだが,その隣にいる白色の男子生徒の事が少し気になった。

 

「——ッ!」

 

 そしてその予感は当たってしまった

 

(蓮君,あの人とあんなに楽しそうにしてる……)

 

 教授が隣の人と何かを話すように言った後に蓮が隣の生徒にましろにも見せた事がない……というよりもましろといる時とは別ベクトルの笑顔を見せて話している姿を見て……名も知らない男に嫉妬した。

 

(私にはそんな顔してくれないのに!)

 

 自分と話している時も蓮は笑ってくれている。心の底から楽しんだって伝わってきてましろも嬉しくてつい話し込んでしまう事もしばしばある。

 だけど,謎の白髪の彼と喋る蓮は自分といる時とは違うベクトルでとても楽しそうで……胸の内に黒い炎が出ていた。

 そんな時,授業の終了を知らせるチャイムが鳴り響き,教授が次回からはいつも通りと言う事を言い放ってから生徒達は各自解散し始めた。

 蓮と白髪の男も早々に席を立ち……というよりも蓮が男について行っている。まるで迷子になってしまった子犬が道行く人に尻尾を振ってついて行くようにましろは見えた。そんな彼が出てきたとき,自分でもびっくりするくらい少し低い声で

 

「れ,蓮君!」

 

 彼は教室から出てきたとき,そのいつもとは違うましろの声にビクッとして白髪の男性の後ろからひょこっと顔を出してその顔を驚きに染めた。

 

「しろちゃん?! なんでここに?」

 

 一方,白髪の男性はましろを興味なさげに見た後に賢太の方を見た。

 

「里塚,他の奴は?」

「あいつらは先にスタジオに行った。俺達もすぐ行こう」

「チっ……おめえも一々迎えに来なくていい。母親かてめえは」

 

 舌打ちした白髪の男性はそのままましろに背を向けて正門へと歩みを進めた。賢太も一瞬蓮とましろに目を向けた後,直ぐに男性の後を追った。

 そんな白髪の男性を蓮はとっても嬉しそうにお見送りした。

 

「那由多君! 今度のライブ,楽しみにしてるねー!!」

 

 とっても浮ついている声で,よく聞けば普段自分と話す時とは違う感じの蓮の笑みにましろの黒い炎は徐々に肥大化していた。

 嬉しそうに右手を振っている蓮の左手を,自分のことを認識させるためだけにそっと右手で握った。

 

「……? しろちゃん,どうしたの?」

 

 蓮は満足そうに白髪の……GYROAXIAボーカルの旭那由多を見送った後に繋がれた手にビクッとしながらましろを見ると,ましろは少しプルプルと頬をほんのり紅く染め上目遣いで蓮の事を見ていた。

 そしてましろは蓮に何か言おうと口を一瞬開きかけたが,直ぐに思い直したのか

 

「何でもない。蓮君,今日も練習しよ?」

 

『私だけを見て』……そんな独占欲全開の台詞を口走ってしまう所だったなんて口が裂けても言えなかった。

 だから今日本来の目的,デュエットの練習をしようというましろ。

 

「うん! 僕も那由多君と話してたら歌いたくなったんだ!」

 

 しかし,そこは鈍感な蓮。今のましろにとってNGワードとでも言うべき那由多の話をしてましろの眉は一瞬ピクリと動いた。

 蓮はそんなましろの表情に気が付かずに,そっとましろの手を握り返しゆっくりと歩き出しましろも蓮の隣を歩き始めた。

 

「さっきの人って……」

 

 ましろは内なるどす黒い感情が溢れてしまうかもしれないと分かっているのに,つい那由多の事を蓮に振った。

 それが失敗だったのか,蓮はある意味ましろと話す以上に楽しそうに

 

「さっきのは那由多君! LRフェスに一緒に出てたGYROAXIAのボーカルで凄いんだ!!」

 

 LRフェス……途中で中止になってしまったある意味伝説のフェス。全国から5つのバンドが世界への挑戦をかけて雌雄を決するこの大会の地はこの東京だった為,大学生組は東京の大学への編入を余儀なくされた。

 しかし,蓮からしてみれば今まで大学は別だったGYROAXIA……那由多と同じ大学になれ,2人とも同じ法学部で受ける授業も似たようなもの。2人が受けている同じ授業はもう2人で1セットみたいな感じで周りからは見られている。

 

「那由多君とは函館で初めて会ってね──」

 

 そこから始まる蓮の怒涛の那由多トーク,那由多本人はもはや相槌を打っているだけなのだが蓮との会話は何故かそれで成立してしまう。

 好きな事となると途端に凄まじく早口且つ要所を纏めたトークを展開する。

 

(蓮君……楽しそう……)

 

 普段なら……普段ならとっても楽しそうに話す蓮に自分まで嬉しくなって話が盛り上がって時間を忘れると言う事が出来るのに……。

 ましろはそれ所じゃなかった。

 

(私の事話す時……こんな蓮君じゃないもん)

 

 この好きなものを怒涛の勢いで話している蓮の姿こそ,本当に好きなものに対しての姿。つまりましろの考えではましろの事を話している蓮もこの那由多トークと同じ位の熱量で話して欲しい……というのが考えであるのだが。

 

「それでね僕が那由多君の歌で初めて聴いたのはREVOLUTIONで──」

 

 ましろは蓮が自分のことでこんなに早口と熱量で語っている姿を見た事が無かった。

 

 分かっている。那由多が男なんて事は。

 分かっている。蓮が那由多の歌が大好きなんて事は

 分かっている。蓮が那由多の事を好敵手(ともだち)として好きなんだと

 

 だけど……だけど……何となく癪だった。

 

「しろちゃん……どうしたの?」

 

 ましろが内なる黒い炎と戦って劣勢に追い込まれていた時,ましろの様子が可笑しい事にようやく気が付いたのか蓮は気遣うように声をかけた。

 既に大学を出て駅前のカラオケに近づいている所だった

 

「蓮君あの人……旭さんの事話す時凄く楽しそうだね」

 

 ましろは全く意識していないが,さっきの彼女よりも更に低い声で蓮は本能的に背筋にゾワリとした。

 ここで普通の人なら彼女の機嫌が悪くならないように気の利いた言葉を言えるのかもしれないが生憎蓮にそんな語彙は無かった。

 

「そ……そうかな……?」

「うん。私の事話す時よりも……ううん。何でもない」

 

 既に胸の内の8割は言葉に出してしまっていたが,何とか胸の内に抑え込み2人はカラオケに入店し2人で今回の曲を歌った。

 

 

 

 ──2人の音程が全く合わなくなっていた




お疲れさまです。
書いてて思ったけど凄い打ち切り感半端ない終わり方にしてしまった笑。

という訳で,何気に那由多と賢太初登場です。ここで出したのはましろが那由多に嫉妬させる為でもありますがGYROAXIAと面識を作る為でもありました。
まあ賢太は作中言った通り配信見てましろの事は知ってるんですけどね(というか配信でもましろの好意駄々洩れってもうやばいな色んな意味で)。因みにちゃっかり風太も出てました。

ましろ,嫉妬やらの様々な感情のせいで蓮と音程合わなくなってしまいました。デュエットって信頼関係大事だと思うのでそりゃ嫉妬とか色々考えてたら合わなくなるよねっていう。
初手から合わせた蓮と那由多は普通に凄いな。お互い認めているが故かな。

全然本編と関係ないですが,アニメのバンドリシーズン2からRASだけじゃなくモニカも出てたらどうなってたのかなーとか,もしましろが月の森じゃなく花咲川に入学してポピパに入ってたらどうなってたのかなー?とか色々考えてました。誰か書いてくれないかな笑。一応くっつける話で完結にしてその後の話は番外編みたいにしようかな思ってますからその後書いてみようかなー…と思った作者でした。

次回短編していよいよ本番です!
では。

恋人になった2人の関係性どんなのが良い?

  • 今まで通りましろから蓮に激攻め
  • 逆に蓮がましろに激攻め
  • 寧ろお互いがお互いに激攻め
  • というか全部やれ
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