蓮とましろが小さい頃に別れた幼馴染だったら   作:レオ2

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おはようございます!
あとお久しぶりです,続きでございます。
ウェディングテーマの続きです。ガルパのブライダルイベントを見てやる気が出ました()。

あのイベントを通して思った事…あの世界ライブハウス男も入って良かったのか(おい)

文字数1万4000字位です,どぞ!


夫婦ごっこ

 七深の家のアトリエ…昨日のArgonavisとMorfonica合同楽曲が決まった翌日。休日の土曜日であったためモニカのメンバーは平穏が戻り始めていたこのアトリエに集合して…つくしが遠慮がちに瑠唯に昨日の事を報告していた。

 

「…という訳なんだけど」

 

 つくしが説明をし終えると,瑠唯は冷たい視線を透子に送る。

 

「あなたは何故そう言った話を勝手に受けてしまうのかしら」

「えー…だってシロも一緒に歌うんだぞ。あたしらも参加しないとダメっしょ!」

「その五十嵐さんと言う方は倉田さんと七星さん,Argonavisの皆さんに頼みに来たのでしょう?」

 

 ぐうの音も無い正論ではあるが…

 

「えー,でも結果的にOKされたんだから問題ないっしょ?」

「…はぁ。これ以上言っても時間の無駄ね」

 

 諦めたようにため息をつき,今度はましろの方に眼を向けた。

 

「それで今回はウエディングテーマ…という事だけど,歌詞はどうするのかしら」

「あ,うん。歌詞は私と蓮君で書くからもうちょっと待って欲しいな」

 

 1人で作るならばともかく,2人で作るとなれば時間を合わせる必要も出てくるしお互いの言葉を言葉にするのにも時間がかかる為のお願いだった。

 それに頷いた瑠唯はつくしに聞いた。

 

「作曲は私と桔梗さんが合同で行うと言う事でいいのかしら?」

「うん!前も一緒に編曲したことあったから大丈夫だよね?」

 

 以前ましろがSTARTING OVERを歌った際,元々ギター,ベース,ドラムにキーボードを前提に作っていたあの曲をツインギターにしたりヴァイオリンのスコアを作る為に桔梗と共にアレンジをした事がある為確かにいきなり見知らぬ人とやる訳でもなかった。

 

「ええ。それでいつまでに曲は仕上げれば?」

「3週間後には撮影するからそれまでにお願いだって」

 

 モニカも1週間前にGYROAXIAの対バンライブの前座がデカいライブだったのもあり直ぐにライブを入れていなかったのが幸いして準備期間はまだある。

 取り合えず,2週間で新曲とDJのように曲と曲を繋ぐあの技術を身に着けた時に比べたらまだマシかと考える事にした。

 瑠唯の頭を痛めたような顔をつくしは心配気に覗き込んだ。

 

「それで…大丈夫?」

「もう既に受けてしまったお話をお断りする訳にはいかないでしょう。早くArgonavisの皆さんと予定を確認するべきね」

「あ,ありがとう瑠唯さん!じゃあ航海さんに聞くね」

 

 つくしがそう言ってモニカの今月の練習日を航海に提示して,モニカは練習を始めたのだった。

 

 ★

 

 そうして,Argonavisとの合同曲が決まったので蓮とましろはいつかのようにシェアハウスに集まってさっそく歌詞会議に入っていた。いつもならただ幸せを謳歌しながらすれば良いだけの話なのだが,一応仕事としてもらった曲作りなのでそれなりに真剣に悩んでいて…

 

「今回は…やっぱり結婚をテーマにした方が良いのかな…?」

「う…うん。そうだと…思う」

 

 前は蓮とましろのこれまでとこれからを歌った曲だった。しかし今回はウエディングテーマというテーマを貰っているのでテーマにするのなら当然”結婚”をテーマにするべきで歌詞もそうした方が良いのが分かっている。

 だけども…

 

「その…何だかピンとこないね?」

「うん。ふわふわしてどんな歌詞にすればいいんだろう」

 

 恋人ではあるがまだ結婚して夫婦になった訳でもないので結婚と言われても2人には同じところに住んで子供がいてただ幸せそうなありきたりなイメージしか浮かぶことが出来なかった。

 この光景を見ているArgonavisも結婚なんて当然した事も無いわけでアドバイスなど出来る訳もなく傍観している。

 ただ,無責任なことを言っても良いのなら蓮とましろは親密度的なもので言って良いのならそこら辺の夫婦以上だろと言葉にしないツッコミがArgonavisの中にはあった。

 

「あ,それじゃあ結婚してる人に聞けば良いんじゃない?」

 

 そこで蓮が”閃いた!”とパーッと顔を明るくした。

 

「結婚してる人って…」

「えーっと,しろちゃんのお母さん…とか?」

「え…お母さんに聞くの?」

 

 露骨に戸惑った表情を見せるましろ。

 別に母に聞くのが嫌という訳ではない。でも,聞いたところであのふわふわしてる自分の母がまともなことを果たして教えてくれるのだろうかと一末の不安がよぎったのだ。

 でも身近な結婚している人と言えば母しか浮かばないのも事実。蓮の母と父は函館だから少し気軽に聞ける距離ではない。

 

「ここでずっと悩んでいるよりも行動した方が良いんじゃないかな」

 

 少し躊躇いを見せるましろの気持ちが何となく分かりながらも,分からない事を考え続けるのも時間の無駄だと思った航海が言うとましろも観念したのか頷いた。

 スマートフォンを取り出し,家にいるであろう母に電話をして事情を話した。

 元々今回の仕事の話していたこともあってましろ母は「良いわよ~」と真剣なのか分からないほんわかとした返事をして…

 

『あ,航海君そこにいる?』

 

 何やら”良い事を思いついた!”というテンションで言うと,ましろは何か予感を感じながらも航海にスマホを渡す。

 一言二言会話をした航海だったが,スマホ越しの会話は彼の予想外だったのか驚愕の声をあげ,次に心配気な声でなにやら話している。

 結局,ましろ母のほんわかペースに飲み込まれてしまったのか頷いた。スマホをましろに返しながら航海が蓮に向いた。

 

「蓮,少し部屋行こうか」

「…?分かった」

 

 そう言って2人は蓮の部屋に行ってしまって…ましろは不思議そうな様子でそれを見送って行ったのだった。

 

 

 ★

 

 

 不思議な様子になってしまった航海だったが,取り合えずましろ母に話は聞けるという事だったので翌日に大学を終えた蓮はボストンバッグを肩に掲げてましろの家にやって来た。

 インターホンを押すと,ましろ母が迎えてくれ――

 

「じゃあお母さん行ってくるわね~」

「「えっ?」」

 

 何故か蓮と入れ替わるように,話を聞こうと思っていたそのましろ母が小さなスーツケースを転がしていた。

 

「お,お母さんどういう事?!」

 

 あまりの展開にましろがあわあわと聞くと,ましろ母はいつものような飄々とした態度で指を頬に当てあざとく首を傾げた。

 

「どういう事って…言わなかった?今日から3日間パパと旅行行くって」

「聞いてないよ?!」

「そうだったかしら?それはごめんなさい。」

 

 全くすまなさそうに思って無さげな,悪戯心を前面に押し出したような母にましろが全く迫力の無い――厳密には顔を赤くしてもじもじしてる――様子で母に詰め寄るが,どこ吹く風という感じであしらわれた。

 

「あ,そうそう。冷蔵庫の中は好きに使って,買い物に行ったらレシートは取っておいてね」

「え…うん,ありがとう…じゃなくてお話してくれるって言ったじゃん!」

 

 一瞬ましろ母のほんわか雰囲気に飲まれかけたが,我に返るといきなり旅行に父親と出かけるとか言い始めることを問い詰めてもましろ母はその笑顔を崩す事はなくカウンターに

 

「あら,蓮君と”夫婦”出来るじゃない」

「~~っ??!」

 

 ましろはその言葉で母の目的が何なのかをようやく察し,顔がトマトの様に紅くなってしまった。

 そう,ましろ母の作戦は家を空け代わりに蓮とましろの2人きりで過ごさせるというものだった。

 そもそも一口に夫婦と言ってもましろ母のような既婚者からみれば,人によって様々な形がありもとより万人に共通するような事の方が少ない。

 その共通を歌詞にしても良いのだろうが,それではありきたりなものになってしまう。だからこそ,自分が話すような”結婚”ではなく,自分達で体験してみる方が良いと思ったのだ。

 どうせ結婚するのだからその予行演習のようなものだと割り切ってるのである。

 

「じゃあ行ってくるわね~」

「あ…行ってらっしゃい」

 

 1人だけ展開に置いて行かれていた蓮が送り出すと,彼女もニコニコと手を振って自分の夫との待ち合わせ場所に向かったのだった。

 絶句したように玄関に立っていた2人だったが…やがてましろが頬を赤くしながら振り向いた。

 

「えっと…その…どうしよっか…?」

 

 いきなりこの家で2人で暮らせと言われても余りに急展開過ぎて頭が少しぱあになってしまっていた。

 

「蓮君,それは…?」

 

 これから何をすれば良いのか,分からなかったましろはとりあえずの話題として蓮が持って来たボストンバックについて触れた。

 

「これは着替えと,…あと航海からはこれも貰ったよ」

 

 そう言って取り出したのはカレールーだった。

 なぜ?という考えが浮かんでしまったが,オーソドックスで逆にいいかもしれないと思い直して…急に恥ずかしくなった。

 

「えっと…蓮君は知ってたの?」

 

 圧倒的に言葉が足らないが,その内容が3日間一緒に過ごす事についてというのは蓮にも分かった。

 予定を知らなければ着替えとか持ってくるはずがないからだ。

 因みに当初蓮は一部のスターファイブグッズも持って行こうとしたが航海に止められた。

 

「うん。航海がしろちゃんのお母さんに提案されて…それで」

 

 この大荷物という訳だ。

 昨日の時に蓮が航海に部屋に連れて行かれたのは,泊まる事に対しての注意事項とかを吹き込む為だったのだろうと考えた。

 一応,外でのキス禁止令は続行中なので多分男女の付き合い云々も言われているのかなとましろは思った。

 

「そっか…蓮君と2人きり…えへへ」

 

 全ての謎が解けた後にましろが感じたのは,数日間だけとは言え蓮と誰の邪魔も入ることなく2人きりで家で過ごせることだった。

 彼女にとっては取り戻した日常であり,ただただ嬉しい事だった。

 

「えっと…夜ご飯,どうしようか?」

 

 ましろがいきなり幸せオーラをほんわかと漂わせたのでその様子を少し見ていた蓮だったが,時刻は既に17:30を少し過ぎた所で2人きりという事で当然夜ご飯も自分達の手で用意しなければならなかった。

 ましろも言われて改めて気が付き,少し悩むそぶりを見せて

 

「冷蔵庫…見よっか」

 

 取り合えず冷蔵庫の中身が分からない事にはどうにもできないので2人はリビングに入り,蓮はボストンバッグをソファーの隣においてキッチンに入ったましろの後を追った。

 既に冷蔵庫の中を見ていたましろはどうしようかと唸っていた。

 

「しろちゃんどうしたの?」

「蓮君はその…なに食べたいとかある?」

 

 冷蔵庫を覗く前に聞く質問じゃないかなとどこからか聞こえてきそうな問だったが,生憎今2人しかいないのでそんな神の声が聞こえる筈も無く蓮は首をこてっと傾け

 

「ハンバーガー?」

 

 函館にあるファストフード店,ラッキーピエロのハンバーガーが大好きな蓮らしいチョイスであるがましろは微妙な表情のまま

 

「ハンバーガーは…明日作ろ?」

 

 蓮が心底ハンバーガーが好きと知っているからこそ,ここで出来ないというのではなく明日作ろうと提案するましろ。

 それを聞いた蓮は子供のようにパーッと顔を明るくして勢いよく頭を上下させる。その明るさに蓮の背後から神々しく光る何かを感じてましろは

 

(可愛いなぁ蓮君)

 

 一体どちらが年上なのだと言いたくなる光景だったが,ましろはこの”夫婦”ごっことでも言うべき状況によってSAN値が激減している為本人達は思いもしなかった。

 

「じゃあどうしよっか」

 

 明日ハンバーガーが確定したからか気分を上昇させた蓮がウキウキで問いかけると,ましろはもう一度冷蔵庫を覗いて…

 

「あ…っ」

 

 そこにあったのはひき肉である。色々な使い道がある肉で料理初心者にも使いやすい。

 それを見たましろは,明日のハンバーガーにも使えると思って妙案を思いついたかのように蓮に振り向いた。

 

「蓮君,今日ハンバーグにしよ?」

 

 明日する事が確定したハンバーガー,その中身にもハンバーグを使う予定でありましろの脳内スケジュールではハンバーガーがお昼の気分である。

 しかし,ハンバーグをタネから作る手間や,そもそもバンズを買いにく必要があるのでその時短としてもハンバーグを多めに作っておこうと考えたのだ。

 

「ハンバーグ!食べたい!」

 

 無邪気な子供のように嬉しそうにする蓮を見ると,このチョイスが間違っていないのだと分かって訳も無く嬉しくなる。

 そうと決まれば,ましろはさっそく冷蔵庫からひき肉を取り出して冷蔵庫を閉めた。

 

 ましろはそのままキッチンにかけておいた自分のエプロン――青色に蝶の模様がある――を着て,次にピンで自分の前髪を上げる。

 そのキッチンスタイルのましろを初めて見たからか,蓮は見惚れたようにましろをジーっと見つめる。

 

「れ,蓮君どうしたの?」

 

 まじまじと見つめられたからか,ましろは恥ずかしそうに目を伏せる。だがそれは蓮も同じで少し恥ずかしそうにしながらもましろを見つめて答えた。

 

「えっと…その,いつもと雰囲気違って…可愛い…よ」

「~~っ?!そ,そう?ありがとう」

 

 思わぬところで可愛いと言って貰えて俄然やる気が出て来たましろは袖を捲り,懐から取り出したスマホからハンバーグのレシピを検索する。

 一番上位の某レシピサイトから飛び,それがシンプルなハンバーグの作り方というのを確認すると…付随していたページを見つけた。

 

「ハンバーグに合う…コンソメスープとコンソメ炒め…」

 

 それはハンバーグ単品では寂しい人向けの簡単なお供料理のレシピだった。コンソメ尽くしなのはどうかと一瞬思ったが,味付けがシンプルなのは料理初心者には有難いのかもしれない。

 それにこちらを手持無沙汰で見ている蓮もいるしと――蓮と2人で晩御飯を用意するシチュエーションを体験したいという邪な気持ちもあり気で彼にも手伝ってもらう事に下。

 

「蓮君はこれ作ってくれないかな?」

 

 そう言ってスープと炒めを指さした。

 

「うん!分かった!」

 

 役目を与えられたのがよほど嬉しかったのか,輝かしい笑顔で自分のスマホでも同じページを開きましろに許可を貰った後,冷蔵庫を覗いた音符が出そうな程ご機嫌な蓮を微笑んで見た跡ましろもハンバーグに取り掛かろうとした時…

 

「…誰だろう?」

 

 唐突に台所に置いていた――因みにましろと蓮が並んでも余裕なくらいキッチンは少し広かった――スマホがバイブを鳴らした。

 手を洗ってタオルで拭いた右手で電話に出る。

 因みに蓮は既に冷蔵庫からじゃがいもを取り出し,包丁で皮をむき始めようとしている所だった。

 

「もしもし?」

『ごめん倉田さん,航海なんだけど』

 

 どこか緊迫とした様子で航海が電話をかけて来た。

 彼が電話をかけてくることは大体蓮絡み,それも急なことが殆どなので何があったんだろうと不安な気持ちで返事をする。

 

「航海さん?どうかしましたか?」

『言うの忘れてたんだけど,蓮には絶対包丁を握らせないで!!』

「え?」

 

 その余りに必死な様子から一気に不安になったましろが隣を見ると…

 

「んっ…んん!わっ!」

 

 何を血迷ったのか,蓮がじゃがいもを片手で持って,そのじゃがいもが蓮の包丁によって真っ二つになって障害物が無くなった包丁が宙を凄まじい速度で斬っていた。

 一歩間違えたら大惨事になる所で顔を青くしたましろがどこからか湧いて来た馬鹿力とバカ速度で蓮の手から包丁を強奪した。

 

「え…?」

 

 涙目になってましろを見る蓮,いつもなら胸のハートが撃たれて悶えてしまうが今だけは心を鬼にして青ざめたままスマホの先にいる航海に報告する。

 

「包丁…取りました」

『蓮は…凄く不器用だから包丁とピーラー以外のものを使う作業をやらせてあげて』

 

 航海は内心「遅かったかぁ」と思いつつも,蓮が料理をする時にいつもさせている事を教える。

 ましろがシェアハウスに遊びに行ってご飯を一緒に食べる時は大体が凛生の当番なので知らなかったのだが,蓮は不器用で包丁を持つことをArgonavis内で禁止されている。

 蓮がましろに料理を頼まれた時にパーッと顔を輝かせたのは,普段は出来ない料理をやらせてもらえるというある種のチャレンジ精神が働いた結果なのだ。

 

「分かりました」

 

 何だかドッと疲れを感じながら航海にお礼を言うと,未だにおやつが貰えない子犬のような表情で此方を見ている蓮へ向いた。

 

「れ,蓮君はハンバーグ作ってくれる?」

 

 ハンバーグなら包丁もピーラーも基本使わないし,タネに入れる玉ねぎなら自分がコンソメ料理を作る時についでに切れるからという形の提案だったのだが…蓮は露骨にシュンと肩を落とした。

 

「僕…皆からも包丁使っちゃダメって言われてるんだ。皆の為に包丁位握れるようになりたい」

 

 それは蓮が常日頃から持つ,メンバーの役に立ちたいという想いだった。

 蓮がメンバーから包丁を持つことを禁止にされたのは,函館時代に風邪を引いた航海のお見舞いに行った際にりんごを切ろうとして今のように盛大に事故りかけたのが原因でそれ以来蓮はArgonavisで包丁を持つことが禁止された。

 でもだからと言って蓮はそれに甘んじる事は…メンバーに与えられている状態なのは嫌でましろの家でなら包丁を使えると思ったのだ。

 そのましろまで自分は包丁を持っちゃダメだと言われ,蓮は落ち込みを隠せていなかった。

 

「蓮くん…」

 

 蓮の包丁が握れるようになりたいという思いの裏には,メンバーの役に立ちたいという彼の優しさがある。

 彼にとってそれを実行出来ない事は悲しむに値する話で,ましてや彼女であるましろにも禁止されてしまったら落ち込むのは仕方がないとも言えた。

 

 そんな蓮を見て,ましろはスマホと奪い取った包丁を台所に置いて…そっと蓮に抱きついた。

 

「しろちゃん…?」

 

 蓮は戸惑いながらも反射的にましろの腰に手を回し,受け止める。ましろの頭が直ぐ近くにあって…そこからましろの匂いが鼻に飛び込んでくる。

 別に特別いい匂いという訳ではない,ただ蓮は優しい香りがすると思って…少し安心を覚えた。

 

「蓮君がそうやって…皆さんの為に頑張ろうとしてくれることはきっと皆知ってるよ。」

 

 ましろの香りや,彼女の身体の感触に蓮がドギマギしているとましろが顔を蓮に見上げながら…つまり上目遣いしながらそう切り出した。

 

「皆さん蓮君のそう言う優しい所を知ってるし,嬉しいと思ってくれてると思う。でもね,それで蓮君が怪我をしちゃったら皆が悲しんじゃうと思うんだ。」

「そう…かな?」

「うん。少なくとも…私は悲しいよ?」

 

 そう言って,先程蓮がミスして手諸共斬りかけた事を思い出しブルっと身体を震わせた。

 

「でも…それならしろちゃんだって怪我しちゃったら僕だって悲しい」

 

 蓮は遠回りに,ましろだって包丁で怪我してしまう可能性があると言う。それはましろの悲しいという感情を,自分も同じだからお互い様だと相殺する意味が強かった。

 実際ましろも蓮よりはマシというだけでプロでもないから怪我してしまう可能性は無きにしても在らず。というか実際何度か怪我した。ケアをしっかりしているから蓮には気づかれていないだけだ。

 だからぶっちゃけそんな事を言い始めてしまったら2人とも料理が出来ないのだが,ましろは蓮の胸の中でふるふると顔を横に振る。

 

「ありがとう。でも,私は大丈夫だよ?だって蓮君が隣にいてくれるもん」

「しろちゃん…」

 

 一体蓮が隣にいるから何が大丈夫なのかは傍から見ても分からないのだが,ましろにとって蓮が隣にいてくれると失敗する気がしない,ただそれだけの事だ。

 

「それにね,蓮君はちゃんと歌でArgonavisの皆を引っ張ってるよ。だから包丁が持てない位でそんな事思わなくてもいいんだよ。」

 

 それは本心だった。

 普段のArgonavisを引っ張っているのは間違いなくリーダーである結人だろうが,ステージにおいて彼らを導いているのは紛れもない蓮だとましろは思っている。

 きっと蓮は皆がいるから歌えるというだろう,だけどましろに言わせれば蓮がいるから皆演奏出来るとも言い換える事が出来ると思っている。

 その時点で蓮が役に立っていないなんて事は絶対にあり得なかった。それに比べたら包丁とかの刃物類が持てない位なんの障害もないと本気で思っている。

 そして,実際航海や結人達も同じ気持ちだからこそ蓮に怪我をして欲しくなくて包丁を持たせない。

 

「そうかな?」

「うん,そうなの!」

 

 力強く言うましろに,蓮はどこか安心を覚えたのか次第に笑顔になって頷いた。

 

「分かった!僕ハンバーグ作るよ!」

 

 蓮は納得し,ましろも一安心して…2人は今日の晩御飯の準備へ取り掛かったのだった。

 

 

 

 …因みに,末っ子属性2人組が台所に並んだ結果,ご飯を炊き忘れるわましろが玉ねぎに涙を流すわ蓮が作ったハンバーグのタネが歪な形になるわ,蓮が冷蔵庫からピーマンを見つけてスープに入れる?と聞いてましろが首をぶんぶんと横に振って拒否したり…様々な出来事が起きたが…普段はしない事に2人の間には常に笑いが絶えず,何も知らない人間から見たら本当の夫婦のようにしか見えなかったのだそうな

 

 

 ★

 

 

 2人で作った晩御飯を食べ終え,洗濯に風呂掃除と言った家事を役割分担しながら過ごしていると時刻は既に21:00を回っていた。

 ましろも蓮も,周りに甘えさせられながら育てらた弊害かドタバタ劇の方が目立っていたけれど2人にとっては新鮮な時間で夫婦というのがどういったものなのかを,身体を持って体験出来ていた。

 

「ふわぁ」

 

 ましろは蓮に言われてお風呂の湯船に浸かっていた。いつもはバンドの練習があったときに疲れた体を癒してくれるのだが,今日は思った以上に身体の疲れが溜まっていたようで湯船に浸かった瞬間に思わず声をあげてしまう。

 そもそも今日はましろも学校があったのだからその分の疲れもあって尚更に。

 

「疲れたけれど…凄く楽しいなぁ」

 

 家事などを共同作業にして,こういう楽しいという気持ちが真っ先に出る辺り寒冷期の夫婦よりもよっぽど夫婦をしているとも言える。

 最初はましろ母の思い付きによってする事になった夫婦ごっこだったが,結果的に好きな人とずっと一緒にいる事が出来るのでハッピーで…偶に聞く結婚は人生の墓場という言葉の意味が本当によく分からなくなった。

 ましろにとってはずっと蓮と一緒にいられる素晴らしい制度なのに,なぜ墓場などという酷い単語が使われるのか理解に苦しむとさえ思っている。

 

「ふふっ…蓮君可愛かったなぁ」

 

 2人で家事をしている時も,蓮は悪戦苦闘をしていてその様子はまるで小さな子供が母親の手伝いを一所懸命頑張っているような絵面だったのでましろからしたらただただ微笑ましい気持ちになるだけだった。

 完璧主義の女性なら蓮の作った歪な形のハンバーグのタネを見て激怒しそうなくらいだったが,ましろにはそう言うのがない(寧ろましろもどちらかというとミスする側の人間である)。

 何だかんだ足並みが揃う2人である。

 

「隣にいてくれるから…か」

 

 ふとさっき蓮に勢いのまま言ったキーワードを呟いてみた。

 ましろ自身,あの言葉にそれほど複雑な意味を持たせていない。ただ蓮が隣にいると思うだけで嬉しいし,怪我をした蓮が隣にいたら悲しいし…そう言った意味合いの方がずっと強い。

 大事な人が隣にいると思うと見栄も張りたくなるし,大事にしたいと思う。だから危険なことなんてさせたくないし,好きだから…愛してるから励ましたくなる。

 

 思えばデュエット大会の時も,その前のArgonavisとの合同ライブでもそうだった。自分が足並みを止めてしまっても,蓮は自分の手を引っ張ってくれた。

 無理やりでも隣に立たせてくれた。同じ立場で,同じ景色を見させてくれた。

 あの出来事があったからこそ,ましろは本当の意味で蓮が隣にいると安心するようになった。逆に自分も蓮を安心させていると思っている。

 

 夫婦も…きっと一緒じゃないのかなとましろは思った。ましろにとって夫婦は自分の両親,そして蓮の両親が真っ先に思い浮かぶ。自分の両親なんかは父親は未だに帰りが遅かったりするが,それでも母は特に気にしていないようで偶にリビングでもイチャイチャしてるのを見せつけられる。

 蓮の両親は,昔も今も自分の両親ほどイチャイチャしている訳ではないが,それでも言葉によって通じ合っているように感じる。2組とも通じるのは想いあっていること,隣に並んでいる事にちっとも違和感を持っていない事。

 

 ずっと一緒に住んでいたら,きっと今まで知らなかった事も見えるようになる。今日だって蓮が包丁を使えないのを,きっと一緒に夫婦ごっこをしないと分からなかったことだろう。

 だけどましろはそれを愛おしいと思ったし,蓮の優しい性格の新たな面も見られて嬉しかった。

 

「会いたくなっちゃった」

 

 蓮の事をずっと考え続けた結果,猛烈に蓮と触れ合いたくなったましろはお風呂を出た。身体を拭き,ドライヤーで髪を乾かし,パジャマに着替えるとリビングに戻った。

 テーブルでは蓮が何かを広げていた。

 

「蓮君なにしてるの?」

「あ,しろちゃん。えっとね,今日を通じて思った事を書き出してたんだ」

 

 言うまでも無く歌詞の参考にする為である。お風呂場で同じことを考えていたましろは,思わずクスっと微笑んで蓮の隣にすわった。お風呂上がりのましろを初めて見たからか,蓮は少し恥ずかしそうに眼を反らしてしまった。

 ましろの身体は火照って,まだ少し水気があるせいか普段よりも艶やかに見えたのだ。幸い,そんな蓮の反応は気づかれずましろは隣から蓮のメモを覗き込んだ。

 

「『2人』,『料理』,『心配』…色々書いたんだね」

 

 この3つの他にも蓮はましろと過ごしたことの端々に感じたものを書き出していた。『幸せ』や『嬉しい』と言った感情的なキーワードも記されている。

 結婚する事が幸せに必ずしもつながる訳ではないけれど,少なくとも蓮にとって結婚とは自分が,そして相手も幸せになる為に交わす誓のようなものとして捉えているようだ。

 そもそも結婚が幸せじゃないとか言い始めたらなんの為にするんだよという話になるので,蓮は測らずとも幸せ全開の体で行く事にしたようだ。

 

「うん。しろちゃんと結婚したらこんな感じなのかなぁって思いながら書いたんだ!」

「そ,そうなの…?えへへ…」

 

 蓮の中でも将来自分達が結婚する事が前提になっているのを聞いてましろは笑みが抑えきれずに漏れ出ている。

 まだ自分も蓮も学生だけれど,末永くお付き合い出来たら良いなと思ったましろは蓮からペンを借りると,自分もそのメモに書き込んで行った。

 

「えっと…『隣に並んで』,『末永く』」

 

 蓮がましろの書いたワードを読み上げ,ましろは恥ずかしそうに顔を赤にしながらもどこか嬉しそうに頷いた。

 2人にとって結婚とは添い遂げるものであり,離婚なんて一ミリも考えられなかった。そもそも人生の転機のおめでたい出来事のある日に離婚を仄めかすようなワードを入れるなんて論外だ。

 だからましろは,隣に誰かがいる事は凄い事なのだと…それが永遠に続くのはもっと凄い事だと,これを聞いてくれる沢山の新婚夫婦に伝えたいと思ったのだ。

 

「わぁ!じゃあ僕は――!」

 

 ましろの書いたワードとその意味に感銘を受けたのか,顔を輝かせた蓮がインスピレーション浮かべて更に書き込んでいく。

 それに対してましろは自分の独特な世界観を広げてワードを書き込んでいく。TIMES CiRCLEを作った時のように,打てば響くような会話でこれでもかとキーワードを出していく。

 

 そうやって色々書いていたら,2人のスマホがピコン!と鳴り響き2人の世界に漂っていた意識が覚醒して示し合わせた訳でもなく蓮がスマホを取り出して見ると,ましろにもそれを見せた。

 

「凛生さんに瑠唯さん…もう出来たんだ!」

 

 蓮が見せたのは,ArgonavisとMorfonicaの合同グループのチャットでそこには凛生が音楽ファイルを投下していた。

 現在は仕事を引き受けてからまだ1週間目の金曜日,瑠唯が仕事を知ったのは先週の日曜日であるので僅か1週間足らずで凛生と仕上げた事になる。

 妥協などしないあの2人がこの短時間ですり合わせたことに驚愕を禁じ得ない。

 

「聞こうよしろちゃん!」

「うん!」

 

 ワクワクを全開にした蓮が言うとましろも大きく頷き,蓮はスマホのスピーカーをMaxにして2人が作った曲を流した。

 

「「…!」」

 

 曲調はしっとり目,ドラムは今回は1つで1人はタンバリンの形式,だけどその代わりサビに入る直前にテンポが激しくなりギターとベースの音が忙しなく響く。

 その中でもキーボードとヴァイオリンというクラシックのような壮大さと曲全体のリズムを緻密な音の重なりが幻想的な雰囲気を作り上げていく。

 

「わぁ!」

「すごい…なんだか,飛び立った宇宙船に小人さん達が乗り込んできて…踊ってるみたい」

 

 ましろが脳裏に浮かべたイメージは,宇宙船に乗り込んだ2人が果ての無い旅をしながらも仲間や大事なものが小人という形で乗り込んで来て,2人の行く道を…門出を祝うかのようなポップなイメージだ。

 最初のサビから2番のサビまで,曲調としては楽しく小躍りするかのようなもの。

 だが,最初と最後は中間に反してしっとり目で…

 

「もしかして…これって人生なのかな?」

 

 曲の構成について考えたましろが突拍子もなく呟いて,蓮は言われてみればともう一度聴く。

 最初と最後がしっとり目,でも最後の曲調は中間のポップな曲調の後を引いているように感じるのは…最初はつまりまだ相手と出会っていない頃のもので,サビから2番のサビまでが軽快な曲調なのは2人と出会ってからで,最後は愛する人が一緒というのを表しているのではないかと思った。

 

「ほんとだ…!なんだかそれにしか聴こえなくなったよ!」

 

 ましろの気づきに蓮は興奮したように笑みを見せた。その事にましろは嬉しそうに笑い,自分のスマホで2人に感想を言って,蓮も自分のスマホで曲の感想として絶賛する。

 

「あ,しろちゃん!歌いだしなんだけど…」

 

 感想を言い終えた蓮が興奮冷めやらぬままそう言いだして,2人はそのまま歌詞会議に入ったのだった。

 凛生と瑠唯により持たされた新曲は,2人に確実なインスピレーションを起こしてこれまでのキーワードなども合わさってArgonavisとMorfonicaの色になっていった。

 

 

 

 …因みに,ましろがお風呂を出て直ぐに歌詞を作り始めたので一息つくまでガスをつけっぱなしにしてしまっていたのだった。

 

 

 ★

 

 

「蓮君,せ…狭くないかな?」

「だ,大丈夫だよ?」

 

 歌詞を半分ほど書き終わり,蓮もお風呂に入ると2人は寝る事にした。ここで問題になるのが,蓮がどこで寝るという事なのだが…ましろが頑固として自室と譲らなかった。

 言い分として,蓮にソファーで寝させられないしかと言って両親の寝室を使わせるのもなんだか嫌だった。

 そして何よりも…

 

(蓮君と一緒に寝たい♪)

 

 というましろの心理状態がそのまま反映された形である。なのでましろは蓮を説得する際に「前も一緒に寝てくれたじゃん!」と,少し強引に言って蓮を頷かせた。

 ましろの部屋で2人が寝る事は実際初めてではないのでそれを言われたら弱いのだが,一応蓮は航海に”節度を守って”と言われたので反論したが先程の一喝で降参してしまった。

 航海との口約束よりも,ましろの必殺上目遣いの破壊力の方がずっと高く屈服してしまった。

 しかし,そもそもましろのベッドはシングルベッドにしては少々広めというだけで女子高生と男子大学生が一緒に入るのは手狭とも言える。

 必然として2人は密着しなければならず,ましろは内心で計算通りと喜びながらわざと蓮に身体をくっつける。隙あらば蓮の胸に耳を当ててみて…心臓の鼓動を感じ取る。

 何だかヤバい性癖のようなものが垣間見えてしまっているが,一度世間によって引き剝がされそうになってしまった弊害かふとした瞬間にましろがこうすることはよくあることで蓮は特に気にも留めなかった。なんなら試着室からもうされているのでもはやただのディフォルトである。

 

「蓮君,起きてる?」

 

 2人してましろのベッドに入り数分,ましろは蓮の鼓動が早まって起きているのを知っていながらも”普通の青春”っぽいやり取りをしてみたくて顔を上げると蓮とパチリと眼が合った。

 

「うん,起きてるよ。」

 

 そうやって素直に理想通りの答えを返してくれる彼にキュンと心臓を高鳴らせながら嬉しそうに微笑みもぞもぞと動いて蓮の真正面に顔を持って行く。

 

「前はあまり余裕がなかったけれど…蓮君と一緒に寝られるの,凄く嬉しい」

 

 前…蓮がましろの元に全力で走って泣いて,このベッドで寝た時はましろはただ蓮がいなくならないでほしいという思いでいたから余裕はなかったが,こうして改めて一緒に寝ると前とは違ってこの時間の事を身体で感じられるような気がしていた。

 …因みに,2人が同じベッドで寝たという意味ではクリスマスもそうなのだがあれは色々あったのでましろの中では”余裕が無かった”になっている。もちろんあれも幸せな日々の1ページではあるが。

 

「僕も…嬉しい」

「蓮君,ちゃんと私の身体に腕回して?」

 

 今の蓮は右に身体を傾けながらも,腕も直線にしている形である。ましろは左手を蓮の胸元にそっとふれ,右手を腰に回しているが蓮はどちらもしていないのである。言うまでも無く恥ずかしいからである。

 しかし,これではただくっついているだけと思ったましろは,右手で蓮の左腕を掴み自分の腰に手を回させる。それにより身体を更に密着させる。

 前までのましろならしないような大胆さで,彼女の独占欲が出ている状態だが蓮は蓮で嬉しいと思っているのでこの彼女いてこの彼氏ありって感じだ。

 

「蓮君,今日どうだった?」

 

 それは言うまでも無く夫婦ごっこの事である。ましろにとっても蓮にとっても,ましろ母の悪戯心によってこうなってしまっていたが,これはこれで楽しい思い出だった。

 

「すっごく楽しかった!ハンバーグ作るのも楽しかったし,しろちゃんとお家の事をするの初めてだったけど…夫婦って,こんな感じなのかなって思えたよ」

「私もそうなんだ。蓮君と1日いて…まだ今日も明日もあるけど,それでも今日は凄く楽しかった。蓮君といられる事が凄く幸せだと思ったんだ。」

 

 濃密な時間を過ごしていた2人だが,ましろ母が帰って来るのは日曜日で日付を越えた今日もまだ2人は夫婦ごっこを続ける事になる。月の森は隔週土曜授業があるが,今日はない週なので1日一緒にいられる。

 一応明日は2バンドの合同練習だが,それを含めても蓮と長い時間一緒にいられる事はましろにとって幸せ以外のなにものでもなかった。

 

「蓮君,明日…じゃなくて今日は映画見よ?」

「良いけど…なんの映画…?」

「前蓮君と見た映画の続編だよ。今回は結婚式を終えるまでのお話なんだって」

「そ…そうなんだ」

 

 蓮は少し恥ずかしそうに眼を反らしてしまった。何故ならあの映画は当時微妙な雰囲気になってしまった2人を,元に戻すきっかけを与えてくれた映画ではあったが正直に言うと蓮は内容を殆ど覚えていない。

 何となく自分とましろとの境遇に似ているものを感じたくらいで…背後から聞こえたキスの音のせいで映画の内容が吹っ飛んでしまったのだ。

 だから続編が出ているなんて知らなかったが,ましろは思い出としてチェックしていたのかもしれない。

 

 そんな事を考えて…当時の事を思い出した蓮はほぼ無意識にましろの唇を見てしまった。カーテンから差し込む光によって唇がやけに照らされていて,てかっているのも合わさって妙に色っぽくて蓮は思わず眼を反らしてしまった。

 だが,蓮の視線には敏感なましろはそれに気が付き,ニマーと笑って…少し恥ずかしそうにしながら

 

 

「蓮君,キスしたい?」

 

 

 言葉の中から熱を感じて,蓮はボフッと顔を赤くしてしまった。その様子が可笑しいのと同時に可愛くて,ましろはいたずらしたくなった。

 グッと顔を近づかせて,どこか恍惚とした表情にも見える顔でもう一度

 

「キス,しよ?」

 

 ましろのおねだりに,蓮は抵抗出来なくてそっと…重ねるだけのキスをして恥ずかしすぎて暗い部屋の中でも分かる位顔が真っ赤になってしまっていた。

 だが,それは攻めた側のましろも同じで恥ずかしそうに,それでも嬉しそうにして…顔を引いた蓮を襲った

 

 結局,2人が寝る事が出来たのはキスをし始めて1時間が経った頃だった

 

 




お疲れさまでした!
という訳でましろ母の策略によって夫婦ごっこをする事になった2人,本物の夫婦に比べれば甘いと言わざるを得ない所も正直ありますが,体験する事に意味があるので特に気にしない。

蓮が包丁握られるのを禁止するきっかけになったのはぷちごナビスのお話で,今はpixivでも見る事が出来ますね。

それでは次回!

恋人になった2人の関係性どんなのが良い?

  • 今まで通りましろから蓮に激攻め
  • 逆に蓮がましろに激攻め
  • 寧ろお互いがお互いに激攻め
  • というか全部やれ
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