~アストラル・ライフ~『~天に召される瞬間、ガイコツ少女に異世界召喚されました~』   作:LUCIOLE

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エリアもやっと冒険者デビューです。


第十一話 『冒険者ギルド』

 

 情熱的な真っ赤な髪を揺らして、受付嬢メメイ・ベルフィノーラに案内されエリアとリリは奥の部屋へと通された。

 

 

 

 通常、冒険者になるには最低限の力が有る事を試験で示すか、Fランク以上の冒険者の推薦を得るか、この2つが主流である。

 

 

 

 エリアの場合はリリルルの2人の推薦が有る。

 

 

 

 これはエリアには知らされて無い事だが何よりリリルルが認めるという事はアフィも認めてるのと同義なので2つ返事で試験はパスされたのだ。

 

 

 

 「こちらに」

 

 

 

 案内された部屋にはテーブルが一つとその上に水晶玉が置かれていた。

 

 

 

 「懐かしい」

 

 

 

 リリとエリアがテーブルに近付く。

 

 

 

 「エリア様こちらの水晶に触れて下さい」

 

 

 

 向かいに立ち2人を誘うメメイ。エリアは頷くとそっと右手で触れた。

 

 

 

 ポゥ、と淡く光る水晶に文字と数字が浮かび上がる。アフィの家に有ったのと違う?とエリアも覗き込む。

 

 

 

 筋力、持久力、俊敏さ、魔力等が数値化されている。人の能力を数値化ってどういう技術なんだか?ゲームでは運なんて普通数値化出来なさそうな物まで数値化してたな、と思い出す。

 

 

 

 「凄い数値ですね、初心者とは思えません。職業の適性も多いですね。戦士、剣士、拳闘士、狩人、格闘家、シーフ、魔法使い、魔法戦士……あら? 神官系は無いんですね」

 

 

 

 メメイが少し不思議がる。

 

 

 

 「そうなんだ?回復魔法は使えるんですけどね」

 

 

 

 「回復魔法が使えるのですか?それなのに珍しいですね」

 

 

 

 う~んと少し考えていたが、分らない物は仕方無いと手続きを進めた。 

 

 

 

 「職種は何にします?」

 

 

 

 そう聞かれ少し悩んだが良く分らない。

 

 

 

 「リリちゃん、職種って何が良いのかな?」と聞くと「魔法戦士、かっこいい・・・」と、答えた。両手を握り締めてムンスと鼻息も強い。

 

 

 

 「じゃ、じゃあ魔法戦士で」

 

 

 

 「はい、魔法戦士ですね。まぁ、多少ペナルティも有りますが変更も出来ますから」

 

 

 

 カードを取り出し、水晶に何か操作をしているとものの数秒で冒険者カードが出来上がった。

 

 

 

 「これが、冒険者カード」

 

 

 

 クルクルと回して見る。紙では無い?何か硬い素材なのか、コーティングしているのか、名刺サイズのそれはまるでプラスチックの様だ。

 

 

 

 「あれ?これFランクって書いてあるみたいだけど」

 

 

 

 「はい、エリア様はリリ様ルル様の推薦も有りますし、それを裏付けるだけの能力もお持ちの様なのでFランクからとなります」

 

 

 

 「ふ~ん」と余り嬉しそうに無いエリアに「ほ、本当はEランクでもおかしくない数値は出ていたんですよ」慌てて取り繕う。

 

 

 

 しかし、エリアは「ああ、ランクに不満が有る訳じゃないんですよ」と、メメイの考えを否定した。

 

 

 

 「冒険者の価値は強さだけじゃないと思うんですよ。本来ならGランクの、敢えて言えば小さく地味な仕事をこなして冒険者としての地盤を築かないといけないんじゃないかなって。それなのに行き成りFランクからって良いのかな?って思っちゃって」

 

 

 

 そう話すエリアに驚いたメメイは、軟らかい笑顔でエリア様は真面目なのですね。と微笑んだ。

 

 

 

 「そこは大丈夫、私達が教える。実戦で」

 

 

 

 リリが親指を立てる。サムズアップってこっちの世界でも同じ様な意味らしい。

 

 

 

 「このカードは、ここファニール王国、クオリオン王国、デリフォス法国、海洋交易国エリトリア等近隣の国では普通に使えますし、他の国でもそれなりに信用してくれます。持ち主が魔力を流すと淡く光るのですが、本人以外では光りません。あと身分証なので無くさない様にしてくださいね」

 

 

 

 再発行が面倒なので、と説明を締めくくった。

 

 

 

 最後にエリアさんなら『龍帝』の様な凄い冒険者になるかもしれませんね。と言ってくれた。

 

 

 

 メメイの説明も終って、ロビーに戻ったエリアは依頼書が貼られている掲示板を見に行った。

 

 

 

 ゴブリンやジャイアントスネーク等の討伐クエスト、商隊の護衛、ゴミ掃除や尋ね人と行った冒険者のイメージからかけ離れた物まで有る。

 

 

 

 「色々有るんだな・・・」

 

 

 

 その依頼の種類の多さに感心してるとリリが説明を始めた。

 

 

 

 「依頼書の左上がギルドが依頼を受け付けた日付、右上がその依頼を受けられる最低ランク、真ん中に依頼内容で左下に報酬、右下が依頼者の名前になってる」

 

 

 

 リリが一つの依頼書を指差しながら教えてくれる。

 

 

 

 「依頼に期限が有る場合は左上に書かれてるし、人数や職種に注文が有る場合は右上に追記される」

 

 

 

 リリの説明を受けている間にも新しい依頼書を受付嬢が持ってくると我先にと今までくつろいでいた冒険者達が張り出された依頼書に群がる。

 

 

 

 エリアとリリは掲示板の前を離れて空いているテーブルに付いた。そして、掲示板前の冒険者達を眺めていると1人、2人と掲示板から離れ、誰も居なくなった。

 

 

 

 「誰も受けなかったね」

 

 

 

 「内容を見てくるから待ってて」と、リリは行ってしまった。エリアは通り掛かったウェイトレスに飲み物を2つ頼んでリリを待つ。

 

 

 

 「どうだった?」

 

 

 

 紅茶を受け取ったリリは「内容は難しく無い、けど何か変」と、言って1口飲んだ。

 

 

 

 そんなリリにさっきから熱視線を向けている、こんな所には場違いな子供がいる。年はリリと変わらないだろう。と言っても見た目の話だけど。

 

 

 

 「リリちゃん?」

 

 

 

 リリも気付いていたのだろう「多分さっきの依頼主。直ぐに冒険者が依頼を受けると思って待っている人は結構居る」と、説明してくれた。

 

 

 

 「もし、誰も依頼を受けなかったらどうなるの?」

 

 

 

 「緊急でなければ最低でも1週間は待つ、それでも誰も現れなかったら報酬を上げたり条件を変えたりする」

 

 

 

 「それでもダメだったら?」

 

 

 

 「更に報酬を上げたり、諦めたり」

 

 

 

 「国や行政は何もしてくれないの?騎士団とか」

 

 

 

 「最初に行ってると思う、国からは報酬の援助金が出る場合も有るけどそれ以上は難しいかも」

 

 

 

 「国や街レベルの危機なら動いてくれるけど、あれは冒険者の領分だし」

 

 

 

 そうしているとメメイさんがその子供に何か話している。子供は暫く食い下がったがしぶしぶギルドから出て行った。

 

 

 

 エリアは気にしながらも、何も言わないリリに視線を向けた。と、其処に1人の女性が声を掛けてきた。

 

 

 

 「はい、リリ♪」

 

 

 

 「クロウネ・・・」

 

 

 

 「この頃付き合い悪いじゃないどうしたのさ?」

 

 

 

 クロウネと呼ばれた女性がリリの側にやって来て隣から椅子を引っ張ってきて、座るとエリアを見た。

 

 

 

 「どうも」と、頭を下げる。

 

 

 

 「原因はこの娘?」

 

 

 

 リリは小さく頷いた。

 

 

 

 「彼女はクロウネ・ハイネス」

 

 

 

 紹介されてクロウネはエリアに向き直り手を差し出した。

 

 

 

 「クロウネ・ハイネス、勿論冒険者よ。拳闘士をしているわ」

 

 

 

 クロウネ・ハイネス。ウェーブの掛かった黒い髪に日に焼けた黒い肌が健康的な女性だ、要所要所は鉄を使っているが軽く動き易そうな革鎧に身を包んでいる。歳は20代後半だろうか?笑った時に見せる白い歯が印象的だ。

 

 

 

 エリアはクロウネの手を取って「エリア・アーハートです」と、答えた。

 

 

 

 そして、エリアが手を離そうとするとクロウネがそれを許さなかった。

 

 

 

 笑顔のまま徐々に力を加えてエリアの手を握り締めていく。チラリとリリの方を見ると小さく頷いたのでエリアも対抗して軽く握り返した。

 

 

 

 「イィッ!?」

 

 

 

 声を上げて弾かれる様に手を離したのはクロウネだ、握られた手を振りながらエリアを見たのでエリアもにっこりと笑顔で返した。

 

 

 

 そんなやり取りを見ていたリリが「気が済んだ?」と、聞くとクロウネは「ああ、あんたのお気に入りってのは分ったよ」と、笑って答え、エリアに向き直って「改めてよろしく」と、今度は普通に握手を交わした。

 

 

 

 「お気に入りって?」

 

 

 

 「何言ってんだい、そんな顔しておいて」

 

 

 

 クロウネはリリの頬を突っ突いてる。

 

 

 

 「アーハートって事はこの娘もアフィさん所の娘なのかい?」

 

 

 

 「そう」と、突かれた頬を擦ってる。 

 

 

 

 「なるほど、私はルルとも仕事してるしその内一緒に仕事をするかもね」

 

 

 

 クロウネは運ばれてきたエールを煽った。

 

 

 

 「よう!リリ、今日はルルは一緒じゃないのか?」

 

 

 

 エリアの後ろから男性の声がする。それを切っ掛けの様に冒険者が集まりエリアは1人1人と挨拶を交わし、ギルドを出た頃には挨拶だけでグッタリとしていた。

 

 

 

 

 

              ☆

 

 

 

 

 

 3日後、エリアはルルと一緒にカエンの工房へとやって来ていた。

 

 

 

 完成した双剣と防具を取りに来たのだ。

 

 

 

 「具合はどうだ?何か気になる事が有ったら言ってくれ」

 

 

 

 カエンは完成した装備の具合を尋ねる。

 

 

 

 既に着替えた防具は問題なくサイズもバッチリフィットしている。双剣を腰に装備してジャンプやステップ等体を動かしてみる。軽く屈伸をしてから伸びをして腕をブンブンと振る。そして、ふうと一息吐くと双剣を抜いた。

 

 

 

 「ちょっと離れててね」

 

 

 

 シュッっと抜いた双剣を振り回す。

 

 

 

 シュン!シュン!ヒュン!ビュッ!一通り振り回す姿はまるで剣舞の様だ。

 

 

 

 最後にクルクルと手元で回して鞘に収める。

 

 

 

 「どうだ?」

 

 

 

 「うん、良いね。使い易い」

 

 

 

 「そいつは良かった。作った俺が言うのも何だが、そんな重い双剣使えるのか不安だったんだぜ」

 

 

 

 余り顔には出ていないが、安心して胸を撫で下ろしてる。

 

 

 

 エリアは近くにあった木材を手に取ると、これ貰って良い?と聞いた。

 

 

 

 カエンが了承すると、後ろを向いて木材を放り投げた。

 

 

 

 シャシャン!

 

 

 

 居合いの様に双剣を抜き、一瞬で斬り付け鞘に戻した。

 

 

 

 ゴトゴトと3つに切られた木材が床に転がる。

 

 

 

 「うん、斬れ味も良い感じだ」

 

 

 

 エリアは満足気。

 

 

 

 「結構大変だったんだぞ」

 

 

 

 カエンも会心の出来に笑顔だ。

 

 

 

 エリアの注文した双剣は通常の倍以上の重さがある。頑丈な刃を作る為通常より分厚いのだ。更にショートソード並みに長く幅も有った。そして、握りの前にガードまで付いている。

 

 

 

 「もっと希少な素材が使えれば軽くて頑丈で斬れ味の良い物も作れるだろうが・・・」

 

 

 

 「それは、私が素材を集められる様になった時にお願いします」

 

 

 

 「その頃には俺よりもっと腕の良い鍛冶屋を紹介してやるよ」と、手をヒラヒラと振ってカウンターの奥に行ってしまった。

 

 

 

 「どうルルちゃん、似合ってる?」

 

 

 

 「ばっちり☆エリアは美人さんだから何でも似合うけど、その鎧も双剣も凄く似合ってる」

 

 

 

 ルルはエリアの周りをクルクル回って興奮気味に褒めた。 

 

 

 

 

 

      ☆

 

 

 

 

 

 「ただいま~!」

 

 

 

 元気に扉を開けるルルにララが返事をする。

 

 

 

 「ただいま、ララ」

 

 

 

 「二人とも、お帰りなさ~い」

 

 

 

 帰って来たエリアを見てララが目を輝かせて、まぁまぁまぁ!と近付いた。

 

 

 

 「これがエリアちゃんの装備なんですね~!」

 

 

 

 はしゃぐララの声にアフィも部屋から出て来た。

 

 

 

 「お帰り」

 

 

 

 「ただいまご主人」

 

 

 

 にこやかに手を振るルル。

 

 

 

 「ただいまアフィ」

 

 

 

 エリアも少し恥ずかしそうに手を振る。

 

 

 

 その姿を見てアフィが、へぇ!?と笑顔になった。

 

 

 

 「良いじゃない!似合ってる」

 

 

 

 腕を組んで満足そうにしている。

 

 

 

 異様な大きさの双剣に違和感は感じるものの、リリの勧めで白に統一された防具一式はエリアに良く似合っていた。

 

 

 

 「アフィのお蔭だよ、でも大銀貨5枚でも少し足りなくてサービスしてくれたみたいだけど」  

 

 

 

 「それは良かったわね」

 

 

 

 アフィは何時に無くご機嫌である。コンコンとエリアの胸を叩いて、特別な素材じゃないけど良い仕事してると満足気だ。

 

 

 

 「アフィが其処まで喜んでくれるとは思わなかったよ」

 

 

 

 そう言うと、そりゃそうよとニンマリした。

 

 

 

 その表情に流石に違和感を感じた。

 

 

 

 「どういう事?」

 

 

 

 「だって、これで当分新しい体を作れって言われなくて済むじゃない」

 

 

 

 本当に嬉しそうに言うアフィに、「あ~」と納得した。

 

 

 

 涼がこの家に来て直ぐ、アフィに男性のホムンクルスを作ってくれる様に頼んだ事が有ったのだが、頑なに断られた。

 

 

 

 理由を聞いたがなかなか答えてくれず、しつこく聞くとごにょごにょとまだ早いとか、良く知らないしとか、何か怖いしとかいって最後には怒って「兎に角作らないから!」と部屋に逃げられたのだ。

 

 

 

 それからこの話はしなかったのだが、アフィはまた言われるのではと気になっていたらしい。

 

 

 

 「なるほど、だから子爵に貰ったお金全部使っても良いって言ってくれたのか」

 

 

 

 「そうよ!でなければ初心者にそんな高級な防具勿体無いわよ」

 

 

 

 腰に手を当ててどうだ!といわんばかりに胸を張った。胸ないけど。

 

 

 

 「でも本当はねぇ、怪我しないか心配でせめて良い防具ぐらい用意したいって言ってたのよ~」

 

 

 

 「でもお兄ちゃんは防具より武器に使っちゃたみたいだけどねw」

 

 

 

 二人が口に手を当てつつもにやにやしてアフィに聞こえる様に話した。すると上機嫌でマウントを取っていたアフィの顔が見る見る赤くなり「ちょ、そんな事言って無いわよ!言って無いんだからね!」と、慌てふためくアフィを中心に、笑いが起こるのだった。

 

 

 

って、赤くなる皮膚無いんだけどね。




最後まで読んでくれて本当にありがとうございました。

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