~アストラル・ライフ~『~天に召される瞬間、ガイコツ少女に異世界召喚されました~』   作:LUCIOLE

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第十二話 『初仕事』

 

 リリルルのアドバイスで新しい装備に慣れる為の訓練を2日程してから、遂にエリアは初仕事を受ける事となった。

 

 

 

 今回はリリルルの2人にアフィまでが付き添いでパーティを組む事になったが、あくまでもエリアの仕事なのでエリアのランクに合わせた依頼を探す。

 

 

 

 エリアはリリルルの推薦も有ったのでFランクからのスタートとなった。そして依頼は自分のランクより1つ上のランクまで受ける事が出来る。勿論余りにも無謀な依頼を受ける様なら職員が止めたりもする。

 

 

 

 「何か良い依頼有った?」

 

 

 

 背伸びをしながら掲示板の上の方を見ているルル。

 

 

 

 「これ?」とリリが持ってきた依頼書をルルが覗き込む。

 

 

 

 「なになに?裏山に巣食うワイバーン2匹って、これDランクじゃん」

 

 

 

 「エリアならいける」

 

 

 

 グッと拳を握り力説するリリ。

 

 

 

 「ダメだって今回はFランクって決めたじゃん」

 

       

 

 「ねぇ、これは?」

 

 

 

 エリアが持って来たのはジャイアント・トードの討伐依頼だったがそれを見た2人は顔を見合わせ胸の前で×を作った。

 

 

 

 「なんで?そんなに強敵なの?」

 

 

 

 「危険と云うか何と云うか・・・」

 

 

 

 珍しく言い澱むルルの横で「主が嫌いだから」とリリが言い放った。

 

 

 

 「リリ!?」あわあわとしているルルを余所に「今回は主も来るから他のが良い、これだと主が瞬殺しちゃう」と、呆れた様に言う。

 

 

 

 「これは?」

 

 

 

 「東の森でジャイアント・スネーク退治か・・・」

 

 

 

 「蛇は平気なの?」

 

 

 

 ルルが見ている依頼書をエリアも覗き込む。

 

 

 

 「蛇はね、でも今回はパスかな」

 

 

 

 アフィの好みに配慮しつつ依頼を探しているとメメイが新たに1枚依頼書を持ってきた。

 

 

 

 張り出された依頼書を見に他の冒険者も集まってくる。

 

 

 

 “Fランク、パーティ3人以上、ゴブリンの群れ、6~10、報酬大銀貨1枚”

 

 

 

 誰かが依頼書に手を伸ばそうとしたが、それよりも早くルルが依頼書を奪い取った。

 

 

 

 「これにしよう!」

 

 

 

 この一言でエリアの初仕事が決まった。

 

  

 

 ベルタより南東にある平原の村、その村から更に南東にある小さな森にゴブリンが住み着き、困っているらしい。今は家畜だけで済んでいるが何れ村人にも被害が出るだろうとの事だった。

 

 

 

 

 

               ☆

 

 

 

 

 

 翌日、朝早くから4人は馬車に揺られて件の村へと向かっていた。道中リリルルからゴブリンの群れを相手にする時のアドバイスを受ける。

 

 

 

 「ゴブリンって弱いんじゃないの?」

 

 

 

 隣に座るルルに尋ねる。因みに手綱を取っているのはエリアだ。

 

 

 

 「単体ならね。でも群れになると結構怖いよ」

 

 

 

 ゲーム知識のエリアにとってゴブリンは初心者が一人前になる為の試験に出て来るか、それ以下の強さのイメージだ。

 

 

 

 「思ったより賢いし、狡猾」と後ろのリリ。

 

 

 

 「そうやって舐めて掛かって死んじゃう初心者も多いんだよ」とルルが窘める。

 

 

 

 「闘いはいつも真剣」

 

 

 

 リリが腕組して頷いてる。

 

 

 

 「いや、舐めてるつもりはないよ」と俯くエリア。

 

 

 

 「というかですね、私の居た世界は精々ケンカくらいしか無かったからね。これから命のやり取りをするって事に今更ながら正直少しビビッてるんだよ」と少しぎこちない笑顔で震える手を見せた。

 

 

 

 リリもルルもどう言おうか思案しているとアフィがポツリと話し出した。

 

 

 

 「それは慣れるしかないわ。この世界で、ましてや冒険者という仕事を選んだのなら慣れるしか無い・・・」

 

 

 

 「そうだね、うん頑張るよ。せめてアフィに心配されないで済むくらいには強くなる」

 

 

 

 エリアは改めて覚悟を決めた。

 

 

 

 「別に心配なんかしてないわよ」とアフィはフードを深く被った。

 

 

 

 

 

             ☆

 

 

 

 半日以上馬車を走らせ、その日の夜には依頼者の居る村に着いた。

 

 

 

 村長さんに挨拶を済ませ、夕食を頂いた後詳しい話を聞く事になった。

 

 

 

 「場所は森の中という事ですが?」

 

 

 

 情報を聞き出すのも冒険者の大事なスキルと、エリアが話を聞く事になった。

 

 

 

 「ここから南東に少し行ったところに小さな森が有りましてな、その森全体が丘になっているのですが、その丘の中心に土砂崩れを起こして出来た小さな洞窟が巣となってます」

 

  

 

 クフルの森と呼ばれる小さな森、この小さな村に森の恵みを与えてくれるとても大事な場所だったのだが、今は近寄る事も出来無い状態になって、困っているのだと。

 

 

 

 「近頃は夜、この村までやって来て家畜を盗んで行く様になりまして、このままでは村人に被害が出るのも時間の問題なのです」

 

 

 

 村長は不安で村人に被害が出ないかと心配で頭を抱えた。

 

 

 

 「では、今夜にも?」と外の様子を気にしたが「いえ、実は昨日の夜また3頭やられましたので、2~3日は大丈夫だと思います」と村長の息子さんが教えてくれた。

 

 

 

 「そうですか・・・ところでゴブリンの正確な数は分りますか?」

 

 

 

 「いえ、ゴブリンを見た村人の話から最低でも6匹は居る事が分ってますが、最近の家畜の襲われ方を見るに数が増えていってるのではないかと危惧している所でして・・・」

 

 

 

 「そのゴブリンの中に特に大きな固体とか変わった衣装を着た固体は居ませんでしたか?」

 

 

 

 これは来る途中ルルに教わった事だが、普通の人はゴブリンの見分けは余りしないらしく、ホブやシャーマンが混じっていても気が付かない事が多いらしいのだ。

 

 

 

 「特に変わったのは居ないと思いますが・・・大体粗末な腰布にボロボロの武器を持ったやつばかりで」

 

 

 

 顎に手を当て、思い出す様に語る村長の息子さん。

 

 

 

 「分りました。今晩も見張を立てます。で、明日朝早くに森に向かいますね」

 

 

 

 「よろしくお願いします。しかし・・・」

 

 

 

 何かを言い澱んで村長はエリア達を見回した。

 

 

 

 「なにか?」とエリアが聞くと「あ、いや・・・」と慌てて取り繕う。

 

 

 

 「その、あなた方の様な若い女の子ばかりで大丈夫なのかと・・・心配なんだと思います」

 

 

 

 言い憎そうな村長に代わり息子さんが素直な不安を代弁する。

 

 

 

 「まさか貴方方の様な可憐なお嬢さんが来るとは思わなかったもので、村人の代わりに貴方方にもしもの事が有ったらと思うと・・・」

 

 

 

 以外にも村長達は依頼の成否より、エリア達の事を心配してくれてる様だ。

 

 

 

 エリアはリリルルとアフィを見た。確かに自分を含め若い女性ばかり、しかもリリルルに至っては見た目完全に子供だ。

 

 

 

 アフィはローブで小柄という事しか分らないけど。

 

 

 

 「なるほど、確かに私はまだ駆け出しですがFランクの冒険者です。それに今回同行しているこちらの2人リリとルルは今回の依頼には十分過ぎるC、Dランクの熟練者なので安心して下さい」

 

 

 

 リリとルルは自分達のギルドカードを見せた。

 

 

 

 カードを見た2人は信じられないと驚いて2人の顔を見て一応納得してくれたが「それでも、気を付けて下さい」と言ってくれたのが嬉しく思った。

 

 

 

 

 

                ☆

 

 

 

 

 

 その日の夜、アフィと涼は家畜小屋の前に佇んでいた。アフィは本来寝なくても問題無いリッチで、涼は霊体だ。

 

 

 

 エリアの体はリリ達と一緒に寝てるので、体に問題も無い。(2人が悪戯してなきゃいいけど)

 

 

 

 2人並んで、ぼ~っと満点の夜空を見ている。この世界に来て最初に見た時も思ったが、天から光りが溢れ出し落ちて来そうな星空だ。そんな星達を従えた大きな金と銀の2つの満月が優しく下界を見下ろしている。

 

 

 

 「アフィはさ・・・」星を見ながら涼が呟く。

 

 

 

 「どうして、今回付いて来てくれたんだ?」

 

 

 

 アフィは何処と無く月と星明りに照らされた草原を見てた。

 

 

 

 「なぜ?」

 

 

 

 「この所忙しそうだったし・・・」

 

 

 

 「気まぐれよ、少し骨休めをね」

 

 

 

 実質見た目骨のリッチが言うと、冗談なのか分らない。 

 

 

 

 「冗談だったんだけど・・・」

 

 

 

 どう返そうか考えていると、恥ずかしそうに顔を赤らめてそんな事を言った。

 

 

 

 赤くなる皮膚無いけど。

 

 

 

 「ああ、ごめん。ありがとう」

 

 

 

 「なにが?」

 

 

 

 「ん・・・何と無く」

 

 

 

 暫く2人で夜空を見た後、涼は行動を開始した。

 

 

 

 「じゃあ、偵察に行って来るよ」

 

 

 

 ふよふよと家畜小屋の柵から離れ飛び立つ人魂。

 

 

 

 「分った、気を付けなさいよ」

 

 

 

 「そっちも、あとリリちゃん達とエリアの体の事頼むね」と言うと「あの娘は私のところの娘なんだから当然よ」と、そっぽを向いた。

 

 

 

 そんなアフィの態度をクスリと笑って涼は真夜中の森へと飛んでいった。

 

 

 

 

 

             ☆

 

 

 

 

 

 涼は上空10m程の所を進んでいた。途中ゴブリンの姿を見なかったがここからは見通しの悪い森の中、見逃さない様に注意しながらゴブリンの巣を目指した。

 

 

 

 魂状態の涼は自由に空を飛べる事が出来る。そのスピードはもっと速いのだが、今は暗い森の中でゴブリンを探しながらなので敢えてゆっくり飛んでいた。

 

 そして、この状態の涼は睡眠を必要としないし食事も要らないのだ。なので、これまで昼間はリリやルルと訓練やこの世界の常識を習う為の座学を、夜は魂の姿で自分に出来る事を色々探っていたのだ。

 

 

 

 流石に霊体なので、空を飛ぶ、物をすり抜ける事は勿論、ポルターガイストなのか物を動かす事も出来た。そして、特殊な力なのかエリアに憑依が出来る、このお蔭で昼間エリアとして活動も出来るのだ。

 

 ただ、これは魂の無いエリア限定なのかリリやルルで試してみたが一度も成功しなかった。

 

 

 

 更に悪霊や呪いと行った物を捕まえて吸収する事も出来る。実際ザルザザに取り付いていた悪霊を食べたし、ロウレン子爵の呪いも食べた。

 

 そして、特筆すべきは吸収した悪霊や呪いの記憶も吸収出来るのだ。そのお蔭で涼は最低限、この世界の日常会話程度の言葉と文字を勉強する事無く習得出来たのだ。日常会話程度なので今でも勉強は続けているのだが。

 

 

 

 更にこれは意外だったのが、神聖魔法が効かない事だ。最初霊体の涼にアフィは全力のターンアンデットを掛けたが全く効かなかった。その後色々な魔法を使ってみたが涼に影響を与える事が出来ず、最後には魔力を帯びた武器で魂の先っちょを突いたりもしたけど無理だった。

 

 

 

 アフィ曰く「普通の魔法は大丈夫そうだけど、暗黒魔法だけは気を付けて」だそうだ。

 

 

 

 何故?と聞き返すと悪魔や邪神の使う暗黒魔法の中には魂その物にダメージを与える、もしくは消滅させる魔法が有りその魔法は涼を傷付ける可能性が有るらしいのだ。

 

 

 

 「魂を消滅させる魔法は流石に試す訳にも行かないしね」

 

 

 

 全力でターンアンデットを唱えた本人が何か言っている。

 

 

 

 「浄化と消滅は別なの」とは本人談。

 

 

 

 兎に角、暗黒魔法にさえ気を付ければ無敵に近いらしい。理由が分らないから過信は出来ないけど。

 

 

 

 小一時間程掛けて涼は森の中心へと辿り着いた。歩きなら3時間以上掛かるらしいがこっちは霊体、全ての障害物をすり抜け真っ直ぐ飛んで来たのだ。

 

 

 

 「さて、洞窟はと・・・」

 

 

 

 中心の丘の北側に崖崩れを起こした様な場所に洞窟は有った。

 

 

 

 「これか」

 

 

 

 洞窟の周りを確認する。見張りも居なければ罠も無い。扉も無いので涼はゆっくりと中に入る。洞窟は狭くあまり深くも無く、直ぐに奥の部屋に辿り着いた。

 

 

 

 中にはゴブリンが8匹、その中に1匹大きな固体が洞窟の一番奥に座って眠っていた。部屋の横には喰い散らかされた羊だった物が転がっている。

 

 

 

 (あれって・・・ホブゴブリンってやつか?)

 

 

 

 他は特に変わった個体は居ないし、武器も聞いていた通りの粗末なものばかりだった。ただ気になったのは昨日奪われた羊が既に食い尽くされている事だ。

 

 

 

 ホブ意外は情報通りなのを確認して涼は洞窟を出た。ここで魔法を放って殲滅を試みても良かったが、今回はエリアとしての訓練の最終試験も兼ねてるのと、リリルルに基本剣で倒す様に言われている。

 

 

 

 だから今回の偵察も、何か問題が起こらない限り魔法攻撃無しの偵察に徹底となった。

 

 

 

 その帰り、村に近付いた涼は魔法の光りを見た。

 

 

 

 更に急ぐとアフィが2匹のゴブリンを倒していた。

 

 

 

 「アフィ!?」

 

 

 

 「あら?早かったわね。で首尾は?」

 

 

 

 何事も無かった様に尋ねてくる。

 

 

 

 「ああ、居たよ全部で8匹。ただホブが1匹混じってるけど」と、死んでいる2匹を見た。

 

 

 

 「合計で10匹、情報通りね」

 

 

 

 アフィは1匹のゴブリンに魔法を掛けると、死んでいた筈のゴブリンが動き出しもう1匹の死体を片付けた。




最後まで読んでくれて本当にありがとうございました。

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