~アストラル・ライフ~『~天に召される瞬間、ガイコツ少女に異世界召喚されました~』   作:LUCIOLE

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第十三話 『実戦と買い物』 

 

 エリア達一行は予定を変更して夜の内にゴブリンの巣を目指して出発した。

 

 エリアこと、葛城涼は色々計画を考えたが暗くて洞窟の構造を把握出来なかった為、良いアイデアが出なかった。取り合えず煙攻めの用意だけして馬車を走らせる。

 

 森に入って直ぐの所に村人が使う小屋が有るので其処に馬車を止めて、奥へと進んだ。

 

 幾ら月と星の光が強くても森の中までは照らしてくれない。

 

 4人はエリアの光の魔法で足元を照らし進んでいく。

 

 そして、空が紫に染まり始めた頃、件の洞穴に辿り着いた。

 

 涼はもう一度エリアの体から抜け出し、洞窟内を探る。途中に横道等は無く、ゴブリン達も昨晩と同じでまだ寝ている。                                            

 

 部屋の奥もくまなく探したが、ゴブリン達が通れそうな横穴はやっぱり無かった。

 

 夜明けも近い。涼はエリアの体に戻ると早速準備に掛かる。

 

 洞窟の入り口は狭いので入り口に杭を立て其処にロープを張ってゴブリン達が簡単に出て来れなくして、煙の出易い木や草を洞窟の前に集めて火を着けた。

 

 アフィの選んでくれた草木は刺激の強い煙をモウモウと出している。その煙を風の魔法で洞窟の奥へと流し込む。

 

 エリアは入り口の直ぐ横で待ち構え、リリルルは少し離れた所で様子を見ている。最も離れた場所で見守るアフィの目に丘の向こう側に細く煙が上がるのが見えた。煙が洞窟内に充満した証拠だ。

 

 ただ、見逃した通路の可能性も有るのでリリに様子を見に行ってもらう。

 

 リリが裏に向かって10分と掛からず洞窟内からギャアギャアと云う声とドタドタと複数の足音が近付いてくる。

 

 (来た!)

 

 目でルルとアフィに合図して、双剣を抜く。

 

 エリアが覚悟を決めた瞬間洞窟から飛び出そうとした3匹のゴブリンがロープに行く手を阻まれ、先頭のゴブリンがブヘッ!?と間抜けな声を上げた。

 

 そして、状況を理解する事無く胸を突かれ首を切られて絶命する。その事を理解出来ず絶命した仲間を前へ前へと押していたゴブリンも首を貫かれ折り重なる様に倒れる。 

 

 「残り5匹」

 

 その直ぐ後、更に2匹が出て来たが倒れてるゴブリンに躓いてコケた所にロープが有って、顔と手がロープに引っ掛かり身動きが取れない所にエリアが刃を突き立てる。

 

 そして、もう1匹と狙いを定めた時これ迄とは違う大きな足音が迫ってきた。

 

 咄嗟に入り口から離れたエリアの目の前にホブゴブリンが現れた。ホブゴブリンは入り口でまごまごしているゴブリンを押し退けロープを切った。

 

 洞窟から出て来たのはホブゴブリン1匹と3匹のゴブリンだ。後から出て来た3匹は其々武器を持っている。

 

 外へ出て目を擦りながら周りを確認するホブゴブリンと、その周りでギャアギャア騒いでいる3匹のゴブリンが居る。

 

 エリアは走り出すと側に居たゴブリンの横を走り抜けながら頭を叩き割る。そのままホブゴブリンへと向かい側で喚いているゴブリンを足場にして飛び上がり、その勢いのままホブゴブリンの喉を襲った!エリアの力が加わった重い双剣の一撃は喉を斬り潰しながら首の骨を粉砕し、引き抜き様にホブゴブリンの太い首を斬り飛ばした。

 

 訳も分らず宙を舞うホブゴブリンの頭が地面に落ちる前に更にもう1匹、驚いているゴブリンを背中から貫いた。背中に肘打ちして、突き刺さった剣を抜きながら残った1匹を見るとお腹に大きな穴を開け倒れる所だった。

 

 戦闘は終了した。策を講じ不意を付いたとは言え始まってしまえば一瞬だった気がする。

 

 エリアは改めて自分が手に掛けた死体を見て渋い顔をした。

 

 「大丈夫?」

 

 ルルが心配そうに見上げてる。

 

 「うん、大丈夫。でもちょっとお願い」

 

 涼はエリアの体から出た。力が抜け倒れ込むエリアの体をルルが慌てて抱き留めると支えながら地面に寝かせた。

 

 涼はと云うと霊体の状態で吐いた。いや本当に何かを戻した訳じゃないのだが、そんな風に周りからも見えてしまう程に離れた所でオロオロオロ・・・とやっている。

 

 「なにやってんのよ?」

 

 突然後ろからした声に振り向くと様子を見に来たアフィが立っていた。

 

 「いや、エリアの体でこれは流石に不味いかと・・・」

 

 しかし「気を使って離れたのに」と言うと「どうせ見えないわよ」と、返して洞窟の中に入っていった。

 

 アフィの気遣いに感謝しつつ、気持ちを落ち着かせていると後ろで、あっ!?と驚く声がした。

 

 物陰から覗くと帰って来たリリがエリアに膝枕をしているルルに迫っていた。

 

 「なにしてるの!?」

 

 面白く無さそうに聞くリリに、「膝枕」とルルは楽しそうに答えた。

 

 「私が居ない間に・・・」

 

 ぐぬぬ・・・とこぶしを握り締める。

 

 そんな2人を見てふよふよと涼が戻って来た。

 

 「なにやってんだ?リリちゃん」

 

 後ろから戻って来た人魂モードの涼がリリの肩の上に乗る。

 

 「涼!?」

 

 自分の肩にいる涼に驚くリリ。それを見たルルが今度はぷくーっと頬を膨らませた。

 

 煙の退いた洞窟内を探索して、残ったゴブリンが居ないか確認後ホブゴブリン達の角と魔結晶を切り取って回収した頃にはすっかり日も昇り、村に戻ったのはお昼の少し前になった。

 

 因みにゴブリンの体内から魔結晶を取り出している途中でもう一度エリアの体から離れたのは言うまでもない。

 

 村長に報告してからベルタの街に着いたのは夜中の事だったのでその日は家に帰って休み、次の日ギルドで報告と報酬を受け取って、エリアの初仕事は完了した。

 

 テーブルで待っていたリリルルが「「おめでとう♪」」と言ってエリアの両腕を取るとテーブルに付かせ、既に注文していた飲み物で乾杯。その後、リリルルの知り合い冒険者達が集まって来て、エリアの初仕事の話に華を咲かせた。 

 

 それからも暫くはリリかルルの同行の下、依頼をこなし、反省点を洗い出し、改善をしていくという事を繰り返して1月程が過ぎた頃「少しは休みなさい」と、アフィに言われ、数日休息を取る事となったのだった。

 

 今日はリリルルを伴って街で買い物で有る。最初にカエンの店で双剣と防具の手入れを頼み、次にホウさんの店で消耗品を補充し、今は道の傍らの店でお茶を飲んで一息吐いたところだ。

 

 「これからどうしようか?」

 

 「う~ん」

 

 「美味しい物食べたい!」

 

 元気に手を上げたルルだが、まだ昼には早いので、後でとなった。

 

 「そう言えば、この世界に来て1ヶ月以上経つのにまだこの街を完全に散策して無いな。知らない場所も多いし、ぶらぶら街中でも散歩しようかな?」

 

 なんとなく、そんな事を思い付いて口に出た。

 

 「私も行く」

 

 リリはエリアだけで迷子になったら大変、だそうだ。

 

 で、当然ルルも付いてきた。目的は散歩後の3人でのランチである。

 

 リリとルルに両手を引っ張られ、かわいい2人のガイドに街中を案内されるエリア。そんな3人は街の外、外壁に沿って開かれているバザーへとやって来た。

 

 小さなテントがひしめき合って立っている中、テントとテントの間の道を商品を見ながら歩き回った。

 

 「これは何?」

 

 物珍しそうにエリアが指差したのは、真っ赤な果物だった。これはトロンの身とても甘い。こっちは?それハニブ、酸味と甘みが絶妙!とリリ。

 

 元の世界でも有った果物から、見た事の無い物まで色鮮やかな果物が並んでる。

 

 ハニブを食べながら、3人は甘い香りの漂う果物エリアから道具を売っているエリアにやって来た。

 

 「これはなんだろう?」

 

 「それは茶器だよ」

 

 「それは分るんだけど、変な模様がね・・・」

 

 「それは、祭礼用で古代語で家族の安寧を願うおまじないが書いて有る」と、リリが説明してくれた。

 

 古代語と云う言葉にエリアは興味を持って、あれは?これは?と茶器の文字の意味を聞きまくった。

 

 「これは何て書いてあるのかな?」

 

 屈んで指差した茶器は2つ揃えの綺麗な陶磁器に赤い模様と古代文字が書かれている。 

 

 「これは・・・その、ごにょごにょ」

 

 良く聞き取れない。なんて?と聞くと屈んだエリアの背中に張り付く様にして顔を出し「子宝成就だね」と、にまにましながらルルが代わりに答えた。

 

 しかし、エリアはへぇ~と答えるだけで次に興味を移して歩いて行く。

 

 次の区画には色々な食材が並んでいて、こちらは更に賑わっていた。

 

 野菜や魚、店先で肉を解体している店も有る。並べられた肉の中にはこれまで依頼で狩った猛獣やモンスターの名前まで有った。

 

 「あいつ食えたんだ・・・」

 

 元の姿を思い出してゲンナリする。

 

 「それ、凄く美味しいんだよね~」

 

 味を思い出す様に舌なめずりをするルルの表情にエリアも喉を鳴らした。

 

 そう言えばあの依頼も死体の回収をしたなと思い出す。

 

 更に店を回っていると、エリアは懐かしくも強烈な臭いに釣られ一軒のお店に辿り着いた。

 

 「これはお酢?」

 

 聞くと店主のおばあさんが、これは米酢だよと教えてくれた。

 

 「米?」

 

 おばあさんに因るとお酒を造る序に作っている所が有るらしい。ただ作っている家は少なく米酢自体とても珍しいのだそうだ。

 

 「だから、使い方を知らない人が多くて余り売れないんだよ」

 

 おばあさんの話を聞いてると、この辺じゃ果実酢が多いからね、と鼻を抓んでルルが教えてくれた。

 

 どうやら、この辺の人にはこの臭いと酸味は強過ぎるらしい。

 

 「興味が有るなら1本どうだい?安くしとくよ」

 

 おばあさんが言うのでエリアは取り合えず1本買う事にした。が本命は酢じゃない。

 

 「所で米は売ってないの?」

 

 「ほう、米を食べるのかね?」

 

 「大好きです!」と、エリアは身を乗り出して力強く答えた。

 

 この辺で食べる人は少ないのに、と嬉しそうにおばあさんは横に置いてある米袋を取り出し、マスに米を取ってどのくらい要るかね?と聞いてきた。エリアは米を手に取り確認すると、その袋そのままでと満面の笑みで答え、おばあさんをびっくりさせた。

 

 おばあさんに色々と聞いたが、味噌や醤油は無く、大豆の加工品がそもそも無いのだそうだ。

 

 日本酒とみりんも売っているとの事だったので、みりんと米酢を大瓶で、日本酒も大樽で1つ買って、更にオマケされたその他の食材を一度馬車に運ぶと他の食材も見て周り、油と塩は家に有るよね?と確認してから野菜やソーセージや肉の塊に魚を買い、最後にパン屋に寄ってバケットを買ってバザーを後にした。

 

 その帰り道もエリアはご機嫌で終始顔は緩みっぱなし、リリとルルが訊ねても後のお楽しみと教えてくれなかった。

 

 夜、密閉出来る瓶を複数借りた涼は部屋でこっそり何かを作るのだった。




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