~アストラル・ライフ~『~天に召される瞬間、ガイコツ少女に異世界召喚されました~』   作:LUCIOLE

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新章、お祭り編の始まりです


第二十六話 『新たなる目標』

 

 王都から帰って来てからは、平穏な毎日が続いていた。訓練と冒険とパスタ作りだ。

 

 今回の一件でエリアは一気に2ランク上がってDランクに昇進である。

 

 「ボクと同じだね~」とルルが妙に喜んでいた。

 

 で、今朝は朝からマヨネーズ作り。アフィの家の鶏舎を増築してニワトリも増やしたのでマヨネーズの増産が可能になったのだ。と言っても今度の祭り用で商売にするつもりは今の所無い。

 

 その後パスタを作り、乾燥に入ったところで朝食。その後は訓練をしていた。

 

 今はララに付いてベルタに向かっている。ララは馬車に乗り、エリアは走りだ。

 

 どんなにエリアの身体能力が高くても其れを扱う涼の能力が追いついていなければ宝の持ち腐れだ。だから涼は毎日実戦訓練と全力での運動を行なっていた。 

 

 大丈夫ですか~?と心配してくれてるララに笑顔で答えたが、意外と云うか当然と云うかガタが来た。ホウさんの店で動けなくなったのだ。ホウさん見立てて過労だという。体への負担がピークに来たのだ。

 

 「兎に角ララが来るまで其処で休んでなさい。まったく・・・」

 

 奥の部屋を貸してくれたホウさんは飲み薬を飲ませてくれた後、大人しく寝てる様に言い付けて店に戻った。

 

 質素だが綺麗な部屋とベッドが有り難い。窓の外の喧騒も少なくカーテンで仕切られた部屋は暗くて直ぐに眠ってしまいそうだ。なので涼はホウさんが離れたのを確認して、エリアの体から抜け出していた。

 

 「俺自身は疲労とか感じて無かったんだが・・・」

 

 憑依されてる事自体が負担なのかも?と思った涼は兎に角離れる事で少しでも負担を減らしたら回復が早まるかもと思ったのだ。確証は何も無いけど。

 

 で、この状態でも出来る事を考える。そして、魔法を使う事にした。

 

 練習はしていたが、自分に使うのは最初以来だ。

 

 「アナライズ」

 

 

 

 『エリア・アーハート』 

 

 “ホムンクルス、体力32/325 魔力312/312 筋力422 素早さ401・・・”

 

 何か色々細かく分る!

 

 

 

 “疲労96%” 

 

 

 

 あ!? 体力が1割切ってるし疲労度が大変な事に。 

 

 

 

 “冒険者 魔法戦士 Dランク”

 

 

 

 この辺はどうなんだろう?全く知らない人だと名前も分らないし、結構いい加減かもしれない。

 

 観察力が凄い人なら見れば予想出来る事が、数値で思い浮かぶのかもしれない。

 

 

 “スキル ???”

 

 (スキルが表示されない?いや、???って事は何かは持ってるって事かな?)

 

 しかし、何故と考えて直ぐに結論に気が付いた。エリアが持っているのでは無く葛城涼が持つスキルだからエリアの体から離れると、当然スキルも無くなるのかと。

 

 (いや、離れたら表示されなくなるから違うのか?) 

 

 葛城涼のスキルは判明してるだけで4つ。憑依、カオスイーター、ソウルイーター、ポルターガイストだ。

 

 憑依はエリアに摂り付いてるし、この間は剣にまで乗り移った。リリ達には乗り移れなかったので魂のある物はダメという仮説を立ててたのだ、乖離剣の時は上手くいった。その後色々な物に憑依してみたがこちらもまだまだ調査が必要だ。そして、物が記録した記憶を少しばかり見る事が出来るのも特筆すべき能力かもしれない。

 

 カオスイーターはロウレン氏の所で経験した、呪いを吸収出来る力だ。呪いに込められた念が読み取れ、そこから術者も分る。

 

 ソウルイーターはザルザザでやった魂の吸収で、魂の開放と浄化その魂の持つ情報も得る事が出来る。このお蔭で涼はこの世界の文字と基本的な常識を得たのだ。ただ全ての記憶を得る訳では無いので、この辺もあやふやでまだまだ分らない事だらけだが、ソウルイーターはほいほいと使えないのが悩ましい。

 

 魂みたいな物に触れる力は、自身が基本霊体だからでスキルでは無いのかもしれない。

 

 そう言えば念動、ポルターガイスト?はスキルなのかな?

 

 自分自身にアナライズをかけても新しい情報は殆ど無かった。まぁ、自分の知っている知識を呼び起こす&予測する魔法なので当然と言えば、当然なのだが・・・。

 

 「ゲームやラノベの様にはいかないな・・・」

 

 ちょっと現実の不便さを感じる。

 

 少し色々な人で試すか?と姿を消して部屋の外に出る。屋根の上から道行く人にアナライズを掛け捲った。

 

 知らない人だと、やはり名前は出ない。体力とか云った数値は出るが、職業は出たり出なかったりはどういう事だろう?

 

 「冒険者は・・・」

 

 やはり基本は同じだが、冒険者である事、職種、ランクが追加されるだけだった。そしてこの数値やランクも予測値でしかない。

 

 練習したらもっと見える様になるのか・・・。

 

 そもそもこの世界は、神さまが勝手にスキルをくれたり、レベルを上げると勝手に魔法や技を覚えたり、強くなったりはしない。と言うか、そもそもレベルなんて概念が無いのだから当然と言えば当然である。

 

 だから日々練習して、上手くなるしかないのだ。

 

 だから、兎に角訓練有るのみ。

 

 魔法も同じ。魔法の具体的な練習が出来ない時は、取り合えず魔力を限界まで使ってる。そうすれば、仕える魔力の限界を知り、最大値の上昇が少しづつでも増えるのだ。

 

 「念動も日々使いまくれば、強くなるのかな?」

 

 もう一度アナライズをエリアの体に掛ける。

 

 

 

 疲労度62% 

 

 

 

 「もうこんなに回復している。ホウさんのクスリ凄いな!」と感心するのだった。

 

 そして、疲労で倒れたエリアの体を休ませている間に能力やスキルについて考えた涼は、序に色々やってみる事にした。

 

 目を閉じて・・・霊体の目?まぁ、視界を閉じて周りの空間に意識を集中する。心静かに周りの気配を読み取る様に・・・。

 

 読み取る様に・・・読み取る・・・。

 

 部屋の外の音や声が微かに聞こえるが、それだけだったが諦めず瞑想する様に心を落ち着かせ外に意識を向けた。だがこれが中々難しい。

 

 コトリ・・・。

 

 部屋の外で音がなる。無意識に意識が其処に集中すると下の階にララが居る気がした。

 

 慌ててエリアの中に戻って待つ。すると廊下を歩く音が聞こえドアがゆっくりと開いた。

 

 「エリアちゃん、大丈夫ですか~?」

 

 小声で声を掛けながらドアの隙間からララの顔が現れる。

 

 エリアは体を起こして「うん大丈夫」と笑顔を見せた。

 

 

 

     ☆

 

 

 

 「ホウさん、お世話になりました」

 

 2階から降りてきたエリアがカウンターのホウさんに頭を下げる。

 

 「ああ、まだ完全じゃないだろうに、本当に大丈夫なのかい?」

 

 メガネをクイッと上げてこちらを向いた。 

 

 「まぁ、たいぶ楽になりました。普通に動くくらいなら大丈夫だと思います」

 

 たはは・・・と恥ずかしそうに返す。

 

 ふむ、とエリアを見詰める。妖艶なホウさんの憂いのある瞳、色々見透かされてる様でむず痒い。

 

 「半分って所だろうけど、ララも居るし大丈夫かな」

 

 (ホウさん鋭い!?)

 

 「ではホウさん、ありがとうございました~。エリアちゃん連れて帰りますね~」 

 

 「気にしないで良いよ。こちらもマヨネーズとパスタを頼んでる身だしね」

 

 キセルを振って微笑み答える。

 

 「あ、そうだ!?ホウさんの店に世界の料理本とか有りませんか?あと世界地図とか旅行記とか、生物記とか、魔法の本とか神話とか・・・」

 

 取り合えず今思いついた内容を羅列する。

 

 「まてまて、エリアは一体何をする気なんだい?」

 

 少し呆れた様な感じでエリアを制する。

 

 「いえ、単に文献を広げようかと」

 

 「それは良い心がけだが、随分な乱読だねジャンルがバラバラじゃないか」

 

 立ち上がると本のある棚に視線を向ける。

 

 「何もかもが物珍しいので。本はその場に居なくても、実際に体験しなくても情報を得る事の出来るのでとても楽しいです」

 

 エリアは笑顔で答えた。

 

 「まったく、良い?本はとても貴重な物なの」

 

 アフィの家には色々なホムンクルスや死霊術の本があったし、ホウのお店にもそこそこの量の本が並んでいたのでそんな感覚は無かった。

 

 「もしかして、紙が高いとか?」

 

 「・・・それも有るけど、全て人の手で書き写してるからね。数が出回らないのよ」

 

 「手書き・・・」

 

 「当然さ、だからどうしても高くなる。それがどうかしたのかい?」

 

 顎に手を当て何か考え込むエリア。

 

 「エリアちゃん?」

 

 「それはこの国だけですか?」

 

 「いや、どうだろう?多分何処も変わらないと思うけど・・・ほら、これなら貸してあげる」

 

 ホウはカウンターの中から3冊の本を取り出した。この本はホウが暇な時に読んでいる自前の本だ。

 

 「ありがとうございます」

 

 「なに、私の為でもあるからね」

 

 見れば3冊の中に料理本が入っていた。 

 

 エリアはホウにお礼を言って、店を出た。出際にホウが貸してくれた3冊の本を抱きしめて。

 

 アフィに怒られた後、夕食、その後直ぐにエリアの体を抜けて本を読み漁った。

 

 翌日、パスタ作りの後の訓練を休んで木工作業に励んだ。エリアの体を休めつつポルターガイストで数十本の木片を完成させ、更に木枠も作る。

 

 「これは何だい?」

 

 様子を見に来たアフィが木枠と木片を見て首を傾げた。

 

 「活版印刷モドキかな?」

 

 木片を並べて其処に墨を塗り、紙を置いてお手製のバランでスリスリと擦った。そして、剥がした紙には文字が印刷されていたのだ。

 

 「へぇ!?」

 

 アフィが素直に感心の声を上げた。

 

 「この文字が彫られた木片を並び変えれば、自由に文面を変えられるって訳」

 

 「なるほどね、これおもしろいわね」

 

 「これの良い所は・・・」と、もう数枚刷って見せてる。

 

 「こんな風に手軽に量産が可能な点だね」

 

 「今回は木で作ったからその内壊れるだろうけど、鉄で作ると何度でも使い回せる」

 

 文字が掘られた木片を1本手渡し見せた。

 

 「で、このアイデアを国で買い取って貰うか、保障して貰うって事って出来ないかな?」

 

 「国で保障?」

 

 少し怪訝そうにエリアを見る。

 

 「そう、この世界には特許法なんてないだろう?」

 

 「トッキョホウ?」

 

 今度は言葉の意味が分らず小首を傾げた。

 

 「特許、法。特許の法律ね。様は新しいアイデアを他の人が勝手に使え無い様にする法律」

 

 「ふ~ん・・・確かにそんな法律は無いわね。だけどその法律に何の・・・なるほど!?」

 

 俯き考えてたアフィが顔を上げた。

 

 「新しい物を作ったり、考えたりしても直ぐに真似をされたら利益が減るからなのね」

 

 「技術の必要な物は兎も角、この程度の粗悪品なら私でも作れるくらいだからね。それは国の発展の妨げになるんだよ」

 

 「なるほどね。国の法律にして模倣犯を減らそうと」

 

 「それでも真似をする者は出て来るだろうし、況してや他国は・・・」 

 

 「だからさ近隣国を巻き込んで特許法を作って貰えないかと、国家相談役さんに」

 

 「ぐぬぬ・・・涼、私を馬鹿にしてるでしょ?」

 

 「全然!」と笑顔で答え、アフィのポカポカアタックを喰らうのだった。




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