~アストラル・ライフ~『~天に召される瞬間、ガイコツ少女に異世界召喚されました~』   作:LUCIOLE

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第二十九話 『お話作り』

 

 工場長の部屋で椅子に座る5人。お茶を持ってきてくれた女性が部屋を出てから一息吐いた。

 

 お茶を飲んで落ち着いた所で、今後の予定を話し合った。

 

 素材は専門家に白くて細くて軟らかい繊維の物を探して貰う事になった。うろ覚えの知識だが木の皮に拘らず、木材その物や草、茎、蔦など常識に囚われず何でも良いので探して欲しいと伝えた。

 

 (麻とか使えたんじゃなかったかな~?)

 

 「植物系モンスターが良かったりしてね」と冗談を言ったルルだったが、エリアに「なるほど、その可能性も有るね」と褒められ、頭を撫でられた。

 

 「出来れば入手が簡単で、大量に手に入る物が良いですね」

 

 大量生産が目的なので、モウラの意見は当然である。

 

 次に、植物繊維を軟らかくする方法で、繊維を煮込む時に灰汁アクを足して煮込む事を提案した。

 

 「灰汁・・・ですか?」

 

 ドムントは疑念の表情だ。

 

 「はい、アルカリと云う成分が食物繊維を軟らかくした筈です。灰を煮込んで、その上澄みを使えば良かった筈です」

 

 「なるほど、それは今からでも試せそうですね」

 

 モウラがメモを取り、話を進めるが難しい顔をしているドムントに「ダメそうならやめて下さい」と、フォローを入れる。

 

 何せうろ覚えの知識だ、エリア自身自信は無い。

 

 後は丁寧に繊維の中のゴミを取って、糊と合わせて漉き、最後に漉いた紙を平らな板で挟んで、重石を載せて乾燥させる事を提案した。

 

 「これにはどういう?」

 

 モウラが聞くが、アフィが圧力を掛けて紙を強固にするのか?と聞いてきた。

 

 「流石、アフィ。それも有るけど狙いは紙をつるつるにしたいんだよ」とアフィの頭を撫でたが「・・・やめなさい」と少し間が有ってから手を払われてしまった。

 

 ・・・照れてる?

 

 「つるつるにですか?」

 

 ドムントが問い返す。

 

 「そう、つるつるに」

 

 モウラの持つペンを指差し「今の紙はペンが引っ掛かったりしない?」と尋ねた。

 

 「確かに、しますね」

 

 何か嫌な物を思い出した様な顔。何かしら失敗した事があるのだろう。

 

 「せめてペンが引っ掛からない程度にする為に圧力を掛けてつるつるにしたいと思います」

 

 両手で上下にプレスする様な仕草をして見せる。

 

 「なるほどな、様は平らな板で挟んで重石を載せれば良いんだろ?」

 

 「ええ、それで良いと思います」

 

 「分った。それなら頑丈で平らな板があれば直ぐにでも試す事は出来るな」

 

 何処の者ともしらない小娘の言葉に未だ疑念は拭えては居ないだろうが、興味も有るのだろうドムントは早速行動を開始した。

 

 「あとは、モウラしだいだね」

 

 「直ぐにでも研究者の選抜を始めます。取り敢えず2~3日後には・・・」と言っていたが、翌日には採取の為の部隊が編成されていた。

 

 「まさか昨日の今日とはね」

 

 アフィも呆れてる。

 

 「農林省のウロさんと、騎士団のアッカさんのお蔭です」

 

 モウラ自身も驚いている様だ。

 

 「ネリュートさんもありがとうございます」

 

 横に立つ植物の専門家でドライアドのネリュートに頭を下げる。彼女は専門家の代表らしい。

 

 「いえ、私も丁度森に出掛けたかったので」

 

 緑色の長髪が美しい、大人びた女性が御淑やかに微笑む。流石森の麗人と呼ばれる美しさだ。

 

 「そうそう、うちとしても新しい産業は大歓迎だからね。ましてや高品質の紙なんて大事業だよ」

 

 農林省のウロさんがにこにこ顔でやって来た。

 

 ウロさんは農相の部長さんで、モウラと同じ梟魔人である。冠羽が有るのでミミズクかな?

 

 「私達も丁度遠征訓練をしたいと思っていた所で、モウラさんの採取の話を聞きまして、同行を買って出た次第です」

 

 騎士団からやって来た鷹の頭を持つ魔人、アッカさんもなんだか嬉しそうにしている。

 

 「御二人共、御強力感謝します」

 

 モウラが頭を下げると、いやいやと恐縮し2人共照れた様に顔を赤くして視線を泳がせた。

 

 (なるほど、モウラも隅に置けない♪)

 

 

            ☆

 

 

 アッカ指揮する騎士団に護られ、ウロ農林省の伐採作業組と製紙工場から資材の見極めと運搬組が、他にモウラと今回の検証資材を提案した植物学の専門家、ドライアドのネリュートが素材を集める為王都を旅立った。

 

 モウラ達を見送ったエリアは背伸びをした後、振り返える。

 

 「さて、素材集めはモウラさん達に任せて私達はお話を考えないとね」

 

 城内のアフィの部屋に集まった一同の視線が一点に集中する。

 

 「何してるのママ?」

 

 全員の疑問を娘のファムが代弁してくれた。

 

 「お話作りが面白そうだったから♪」

 

 女王、ミリアス・グリーム・フォル・リンドバインはにこやかに娘に微笑む。

 

 頭を抱えてたアフィが、「仕事は?」と聞くと「私の部下達は優秀よ。それに一日二日女王が居ない程度でどうにかなる大臣達ではないわ」楽しそうに微笑むミリィを見て、大臣達に同情した。

 

 「で、どういう話にするか決まってるの?」

 

 アフィは気を取り直して話を進める事にした。

 

 「う~ん、基本的にはみんな仲良くしましょう。って話にしたいんだけどね」

 

 私はこの世界の常識とか知らないから。とは言わなかったが、そういう部分での意見やチェックは欲しいので「出来るだけ沢山の意見を聞きたい」とは言った。

 

 確かに言ったがまさか、女王様まで来るとは・・・。

 

 「この国らしく、誰かが困ってる時に色んな種族が手を貸してくれて皆で解決するって話を考えてるんだけど」

 

 「色々な種族?」

 

 「そう、この国の人口の多い種族は入れたいね。後、人間は絶対かな」

 

 「何故人間なんですか?」

 

 ファムの心情を考えると言葉が詰まる。どう答えようか悩んだが女王が其れを口にした。

 

 「人間至上主義者・・・」

 

 「まぁ、そう云う事です」

 

 なんとも言えない困った様な笑顔で答えた。

 

 ふむ、とその場に居た各々が今の条件で話を考える。

 

 「どんな種族を出すのか考えないと、全部出してたら大変だよね」と、ルル。

 

 「其々の種族としての特技と苦手を把握して、書き出したらどうかしら?」とはミリィ。

 

 「一人を皆で助けるって話は難しいわね」

 

 アフィの意見は正しい。複雑になると子供には分り辛くなる。 

 

 「エリアお姉ちゃん、獣人族と魔人族は種族が多いよ」

 

 「確かに、その辺はプロに話を聞かないとね」

 

 必死に参加しようとして、一生懸命考えてるファムも可愛い。

 

 「そうだ、この国の御伽噺を聞かせてよ、簡単にで良いから」

 

 少しでも参考になればと、ミリィとアフィから色々なお話を聞かせて貰った。

 

 ファムのリクエストから始まり、教会の聖典の様な物まで色々だ。お昼を跨いで、そのまま話を聞きながら浮かんだアイデアのメモを取る。

 

 

      ☆

 

 

 「流石に疲れたみたいね」

 

 ミリィの膝の上で船を漕ぐファムを抱き上げると「私達はこれで失礼するわね」と席を立ち最後に「お話楽しみにしてるわね」とウインクをして王女を抱いた女王は部屋を後にした。

 

 「で、お話はできそう?」

 

 ぽよん! 

 

 ルルはエリアの背中におぶさる用にくっ付いて、エリアの頬に自分の頬をくっ付けてメモを覗き込みながら聞いてくる。

 

 この娘は・・・「うん、大筋はね」と、メモを見ながら色々な種族の話を聞き話を詰めていく。

 

 「人間から始まって、助け、助けられる話にしようかと、いろんな種族の得手不得手を調べて、数珠繋ぎに話が進んで最後に人間が誰かを助けて終るの」

 

 「おもしろそう!」

 

 背中にくっ付いたまま、はしゃぐルルに限界を感じて、涼はエリアの体から抜け出し逃げる。

 

 「お互いの短所を長所で助け合う話ね・・・」

 

 「でも人間の長所って何?」

 

 ルルはエリアの体を支えながら疑問を投げかける。

 

 「それは、この世界の人間に聞いてみよう」

 

 エリアとルルの視線がアフィに集まる。この中にまともな人間は居ない。しかしアフィは元人間のリッチなのだ。

 

 「うぐ・・・」

 

 一瞬たじろぐが、咳払いを1つしてアフィは自分の見解を話した。

 

 「人間は神聖魔法、特に主神である光の神の信仰に厚く魔法が得意だ。あとこれは諸説あるが全ての人型の種族の雛形とも言われてる」

 

 「雛形ね・・・」

 

 この考えは分からなくもない。ないがこれは使えない話だ。

 

 「ところでさ」

 

 ルルがエリアの体に抱き付いたまま、涼に訊ねた。

 

 「絵はどうするの?」

 

 「うう~ん、それなんだよね~」

 

 大げさに項垂れる、人魂状態だけど。

 

 「お話は、皆の意見を聞いていけば完成すると思うけど、絵はな~」

 

 「涼は描けないの?」

 

 「描けなくは無いけど、人様にお見せ出来るレベルじゃ・・・そう言うルルはどうなんだい?」

 

 「え!ぼく!?」

 

 ルルは両手を振って、無理無理無理・・・と、後ずさった。

 

 「アフィは?・・・って無理か」と、さっさと視線をアフィから外した。

 

 「なんで最初から決め付けるのよ!」

 

 「いや、なんとなく似合わないというか」

 

 何せ見た目はガイコツなのだ。そのガイコツが絵本に載せる様な絵を描く様子を思い浮かべて複雑な表情になる。

 

 「勝手に決め付けないで」

 

 「でも、描けないんでしょ?」

 

 「簡単な絵ぐらい描けるわよ」

 

 身を乗り出して抗議するアフィをチラリと見て口元を緩める。

 

 「じゃあ、描いてみてよ」

 

 「え!?」と今度は大きく身を引いた。しまったと云う表情がありありと見て取れる。

 

 「其処まで言うんだ、ちゃんと絵本の絵を描けるって事だろ?」

 

 「そ、それは・・・」と冷や汗が頬を伝う。

 

 皮膚無いんだけど。

 

 「じゃあ、絵はアフィに任せて、俺は話を考えるよ」と言って、エリアの体に戻る。

 

 「あ、あのね・・・」

 

 「私は明日迄に大筋を考えておくから、アフィは色々な種族の人物の絵を描いてみてよ」

 

 「だ、だからね・・・」

 

 焦るアフィを見て、エリアはにっこりと笑った。

 

 「ごめん、冗談だよ。でも、もし少しでも描けるなら描いてみて欲しいな」

 

 「私も見たいです!」

 

 期待に満ちた目でルルも手を上げている。

 

 「・・・・・・分かったわよ」

 

 遂にアフィが折れた。もっと抵抗すると云うか絶対に拒否すると思ったが折れたという事は有る程度は描けるのかもしれない。

 

 「でも、笑ったら殺す!良いわね?」と凄むアフィに、笑わないよ、と笑顔で答えた。

 




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