~アストラル・ライフ~『~天に召される瞬間、ガイコツ少女に異世界召喚されました~』   作:LUCIOLE

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終に40話です。

しおりもお気に入りも増えて、やる気に繋がってます、ありがとうございます。

ファニール編も残り10話となりました!

よろしくお願いします。


第四十話 『祭り2日目』

 

 祭り2日目。エリアは昨日の反省を生かして手伝いを増やしていた。

 

 ヴェルナとホロロは冒険者としての仕事、ザルザザは孤児院の子供達と祭りを回る約束が有った為、どうしようかと悩んでいた所に救いの手が現れたのだ。

 

 「ごめんねダリウスさん、ディレンさん」

 

 「いえ、大恩有るエリアさんが困ってるのならお手伝いするのは当然です!」

 

  アクフォロンからの使者として祭りに来ていたダリウスとディレン、そして領主の息子でアフィの弟子を名乗るゼリオス・ロローノとその母親モーリア・ロローノ夫人だ。

 

 「ゼリオス様とモーリア夫人は何をしているのですか?」

 

 「先生が困っていると父から聞いたので、微力ながら母共々手伝いに着ました」

 

 「夫からの頼みが無くても、命の恩人であるアフィ様のお役に立てるのなら喜んでお手伝いさせて貰います」

 

 モーリアは料理が得意でプロ並だ。戦力としては申し分ない。申し分ないのだが・・・。

 

 「流石に領主御家族に手伝わせるのは・・・ダリウス様、ディレン様もです。それに領民が気付いたら気後れしそうですし」

 

 「私達は裏方に徹しますし、この様な服を着ていれば誰にも分りませんわ」

 

 ロローノ親子は揃って自前の給仕服を着ていた。それはもう楽しそうに。

 

 「アクフォロンの次兄や末弟がベルタで出店を手伝ってるなど誰も思いませんよ」

 

 「はい!私は気にしません」

 

 こっちの2人もやる気満々である。

 

 「諦めなさい・・・」

 

 肩をポンと叩かれたエリアは助けを求める様にアフィの顔を見たが静かに首を横に振られて項垂れた。

 

 「分りました、ありがとうございます」

 

 深々と頭を下げた後、頬を叩いて気持ちを切り替え、気合を入れた。 

 

 「では皆さん、開店準備を始めましょう!」

 

 エリアの号令で、全員が仕事を開始する。昨日は昼を回った頃には用意した300食が売り切れてしまったので、今日は家に残して置いた材料と買い足した材料を全て使ってどうにか500食分のカレーを用意する事が出来た。 

 

 ただ、お米が調達出来なかったので、昨晩即興で作った味付けした小麦粉を薄く延ばして焼いた物、ナンもどきを作って対応する事になった。

 

 更にはより多くの人に食べて貰う為お一人様1食とし、食べたお客様には魔法でピンを打って印とする事にした。これはアフィの案で、ピンもアフィが打ってくれる。勿論、了承を得た者にだけピンを打ち食べて貰う旨を店先に出した看板で告知している。

 この看板はリリルルの2人が昨晩頑張った。

 

 「今日もお客さん、一杯だね~」

 

 ルルはピンを打つ旨を説明しながら、既に集まっている人の列に嬉しくなってニコニコが止まらない。

 

 「エリアのカレーは最高だから当然。其れより仕事」

 

 リリも淡々と説明しながら接客を頑張っている。

 

 昨日カレーを食べた人の噂が広まり、既に30人程の列が出来ている。そして、開店時間には約100人が並んでいて、その中には見知った顔も有った。

 

 「やぁ、お久しぶりですエリアさん」

 

 「え、シェフ!?」

 

 王都でごまドレッシングを教えたレストランのシェフが其処に居たのだ。

 

 「お久しぶりです。シェフもベルタに来てたんですね」 

 

 「ええ、姉弟子に誘われまして、妻と2人で来た次第です」

 

 頭を掻くシェフの横に立つ品の有る女性が頭を下げた。

 

 「ようこそ、ベルタへ。所で姉弟子さんがベルタに居るのですか?」

 

 「ええ、其処に」

 

 シェフが示した先にはナンを焼くロローノ夫人が笑顔で手を振っていた。

 

 「アルバウト、ちゃんとエリアさんの味を盗んで下さいね」

 

 微笑む夫人にシェフ、アルバウトは「勿論です」とにこやかに答えた。

 

 シェフはカレーライスを、奥様は甘口のナンを注文されその両方を真剣な眼差しで吟味し、味わっていた。

 

 そんな中、接客中のリリ達の前に冒険者風の女の子が2人現れた。

 

 「師匠~!」

 

 がば!とルルに抱き付く16歳くらいの女の子、見た目は魔法使いの様だ。

 

 「姐さん、お久しぶりです!」

 

 こちらはリリにやはり15歳くらいの剣士風の女の子が抱き付いている。

 

 「師匠じゃ無いって~!」

 

 「姐さんはやめて・・・」

 

 2人は迷惑そうな顔をして、抱き付く2人を振り解いた。 

 

 「リュラ!」「シャリー!」

 

 名前を呼ばれ、ビクリとする2人。

 

 「今は仕事中だから、邪魔しない」

 

 起こられた2人はシュンとするが、「良く来たわね」「元気そうで良かった」と声を掛けられて嬉しそうにしていた。

 

 リュラ、シャリーと呼ばれた2人は列に並んでカレーを食べて行ったので、食べ終わるタイミングでリリルルに休憩をして貰った。

 

 後から聞いた話だが、リュラとシャリーの2人はエリアが来る以前にリリルルが助け、その後冒険者としての基礎を叩き込んだらしい。その頃からリュラは2人を『師匠』と、シャリーは『姐さん』と呼んでいるのだそうだ。

 

 見た目通り姉のリュラが魔術師で、妹のシェリーが剣士なのだそうだ。

 

 デリフォスの冒険者なので今まで会う事が無かったが、Eランクに上がった報告序にお祭りに合わせて会いに来たらしい。

 

 2人に修行をして貰ったと聞いて、エリアは同情したがエリアの考えを読んだのか「エリアの時と違って、手加減はしたよ」と言われてしまった。

 

 2人は店が終るまで待つと言ったが、明日会う約束をして渋々帰って行った。

 

 そんな2人の遣り取りを見ながら、接客をしていたエリアの所に王都のレストランのシェフ、アルバウトが食べ終わった食器を持ってやって来た。

 

 「エリアさん、このカレーも素晴らしい味でした」

 

 「ありがとうございます。もしよろしかったら『何でも屋、シュウメイ』さんのお店で出してるパスタもお試し下さい」

 

 「パスタ、ですか?それはどんな・・・」

 

 「それは、見てのお楽しみです」

 

 悪戯っぽく笑うエリアの表情に期待を膨らませ目を輝かせるシェフ。

 

 「その料理もエリアさんの作った料理なのですか?」と、訊ねられたが「それは内緒です」とはぐらかした。

 

 アルバウトは調理中のロローノ夫人とアイコンタクトで何かを遣り取りすると「では、早速行って来ます」と、エリアにお辞儀をして奥様と2人歩いて行った。

 

 

 お昼過ぎ、多くの人間や亜人、獣人に魔人等多くの種族、人々がエリアのカレーを食べて笑顔になっていく。

 

 その光景にこの国の有り様を見た気がした。

 

 「エリア!カレーライス1つ」

 

 「はい!」

 

 ご飯を盛り付け、カレーをかけ、魔法で冷やした水と一緒にトレーに載せる。

 

 「お待たせしました」

 

 「どうも」

 

 そう言って、トレーを受け取ったのは隣の見世物小屋の団長だった。

 

 「見世物小屋の方はどうですか?私まだ見に行けて無いのですが・・・」

 

 「ええ、お嬢さん達のお蔭で大盛況ですよ」

 

 笑顔で返す男は燕尾服を着た、まるでサーカスの団長の様な格好をした太った中年の男だった。

 

 「最初はこんな街の端でお客が来てくれるか不安でしたが、お嬢さん方の店に来たお客が小屋の方にも寄ってくれるので大助かりですよ」

 

 団長は大きな御腹を叩いて、がっははと笑った。

 

 「それは良かったですね。私達も明日はお休みなので、見に行かせて貰いますね」

 

 「それは、それは、お嬢さん方なら大歓迎!お安くさせて貰いますね」

 

 最後は小声になって笑って見せた団長は笑いながらテーブルへと着いた。

 

 

 「エリア~、そろそろカレーが無くなるよ」

 

 「そうね」

 

 エリアは鍋の中を確認して、残り50食になった頃に、リリルルに伝えた。

 

 2人は並んでるお客さんに、残りの数を伝えて並んでいるお客の数を数えて行った。

 

 「残り3名様で、完売で~す!」

 

 ルルの掛け声に子供を抱えて走ってきた親子連れが最後のお客となって、この日も無事閉店となった。

 

 

 

 最後の親子連れのお客さんを皆で見送ろうと並んでいると、その小さなお子さんが駆け寄って来た。

 

 「お姉ちゃん、カレーライスとっても美味しかったの!」

 

 興奮気味に話す男の子。

 

 「ありがとう。辛くなかった?」

 

 エリアは屈んで目線を合わせて訊ねた。

 

 「ちょっと辛かったけど、でもでも凄く美味しかったの!」

 

 「そう、喜んで貰えて私も嬉しいわ」

 

 エリアは小さなお客さんの頭を撫でた。

 

 「またね~」

 

 手を振る子供に手を振り返し、笑顔で最後のお客さんを見送った。  

 

 「エリアちゃん、カレー屋でも始めます~?」

 

 隣で同じくにこにこと手を振っているララ。

 

 「ボクも手伝うよ!」

 

 「私も・・・」

 

 後ろから、両手に抱き付いたリリルルも笑って、エリアを見上げる。

 

 「それは無いかな、少なくとも数年はしないと思うよ」

 

 エリアは、葛城涼は何れ旅に出る。この世界を見て回るのは涼の中では決定事項なのだ。それが何年掛かるかは分らないがこの大陸だけでも大変な年月が掛かるだろう。だから自分でお店を出すという考えは今の所は無い。

 

 エリアはリリルルの頭を撫でると「さぁ、さっさと片付けて次の準備だよ」と、店に戻った。

 

 

 その日の夕方、エリア達はお店の道具一式を持って領主の屋敷に来ていた。

 

 人目の気にならない裏庭でパーティの準備がなされていた。

 

 キラファや子供達、そして女王やファム達にカレーを振舞う為だ。

 

 残して置いたカレーは約50食。

 

 女王ミリィとファムとモウラ、キラファに子供達10人。領主の家族3人にアーハート家の5人で総勢22名。しかもアフィは食べれないから余裕だと思っていた。

 

 思っていたのだがチラリと見ると其処には、他国の重鎮の方々と各都市の領主が鎮座していた。

 

 開会式で見た面々とその奥方、御子息、そして御付の方だ。

 

 デリフォス法国のヒュージ司祭が海洋都市国家エルトリアのデネバイトス外交官と談笑し。クオリオン王国のバズラー大使は地下迷宮王国グウェラルのドゥワス大公と酒を飲み交わしてた。

 

 エルフの森のエメロエ様は肉を食べないという事で、肉を煮込んだカレーは食べないそうだが御付の女性は興味深々で、肉そのものが入ってなければ食べるらしい。

 

 更にファニール王国、主要10都市の領主とその家族の方。勿論その中にはアクフォロンのロウレン・グロイド子爵とそのご子息のダリウスとディレンも居た。

 

 つまり予想を遥かに超える大人数となってしまったのだった。 

 




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