Hellshire Gang -The Man Called the Deathslinger- 作:誠龍
カレブが何人かの仲間と共にロナルド所長の計らいでヘルシャー刑務所を出所してから一ヶ月。わずかこの一ヶ月の間にカレブ率いるヘルシャーギャングはネブラスカ州の四人ものお尋ね者を捕まえた。
哀れな四人を檻へとブチ込み、所長からもらった報酬金でカレブはギャングの装備をさらに整える。さらに送った指名手配犯の数に応じてロナルド所長は刑務所に収監されているアイルランド系囚人をヘルシャーギャングとして解放していくことを約束した。十人近くまで増えたところで金に少し余裕ができたカレブはギャングを率いて北に向かった。急な長旅とあってビルは首を傾げる。
「おいカレブ。どこへ行くんだ?」
「ちょっと行きたいところがあってな」
「なんだぁ?女か?」
「ま、そんな所だ」
カレブが馬を向かわせた先はノースダコタ州。そう、あのダンプタウンがあった場所だ。寂れた場所だが賑わっていたあの店。まだジェシカはあそこで店を営んでいるのだろうか。カレブの脳裏にあの日の夜の、そしてジェシカの笑顔が蘇る。どうか叶うのならばまた彼女に会いたいとカレブは胸に思いを秘め、ダンプタウンがあった場所へと馬を進める。
野営を繰り返す長旅の末、ダンプタウンのある場所へと近づくたびにカレブは不安を覚えた。15年前よりもあちこちが荒廃しているのだ。
木は枯れ、牧場の家畜は痩せ細り、農地は干ばつでひび割れ、小さな集落では疫病の蔓延と貧困により死者が多発していた。胸の中で不安が大きくなり、最悪のシナリオが頭に浮かぶ。そんな考えを払拭するようにカレブは馬を急がせ、ビルや部下達も後についていく。
長旅の果てにようやくダンプタウンのある場所に辿り着くとカレブは町の名前が変わっていることに気付いた。
「グレン……ベール……?」
“掃き溜めの町"は改められ、“グレンベール"という名前に改称されていた。15年前よりも寂れてしまったその町の中心。そこにまだあの酒場はあった。ボロボロになり掠れた文字が掲げられた看板は風化してはいるがあの日のままだ。カレブは急いで馬を降りると店の中へと入っていく。
「おい!誰かいるか!?」
そこには店内でテーブルを拭く一人の女性の後ろ姿があった。カレブの声に反応し、彼女はゆっくりとこちらを振り向く。
「いらっしゃ…………あっ……!あんたは……!」
「ジェシカ……!」
紛れもない彼女だった。グラマラスな肉体に金髪。そして何よりあの美しく青い眼はあの日のままだ。あれから15年も経っている以上、顔はそれなりに年を取ってしまってはいるが……それでもあの美しさはあの日以来変わっていない。確かに彼女……ジェシカだった。
「カレブさん……!」
ジェシカは作業を投げ出してカレブに駆け寄り、彼を抱きしめた。カレブもそんな彼女の肩を優しく抱いた。
「久しぶりだなジェシカ……少し老けたか?」
「それが15年ぶりに会ったレディに対する言葉かい……このバカ……!」
けなす言葉とは裏腹に彼女の目には涙が浮かぶ。15年ぶりの再会。肉親を失ったカレブが唯一安らぎを得られる場所と人。たとえ寂れていてもそこは変わらないままであることにカレブは安堵を覚えた。
「そうだ、ジェシカ。外に仲間がいるんだ。連れてきてもいいか?」
「いいに決まってるだろ。早く連れておいで!積もる話もあるしね。大したものはないけど飯と酒を用意してくるから適当に座って待ってなよ」
ジェシカが店の奥に引っ込んだのと同時にカレブは外にいるビル達を呼びにいく。そうして静かだった酒場にひと時の喧騒が戻ってきたのだった。
「……ヘルシャーギャング……?」
軽食とウイスキーを用意したジェシカはカウンターに座るカレブからヘルシャーギャング結成の話を聞き、目を丸くした。
「ああ、そうだ。俺達は指名手配犯専門のギャングでな。お尋ね者どもを捕えてヘルシャー刑務所にブチ込むことになってる」
「おうよ、嬢ちゃん。カレブの野郎は凄いんだぜぇ?もう100人は生け捕りにしたからなぁ」
「バカ、四人だろうが。いくら俺でもそこまで捕まえちゃいねぇよ。話を盛るな話を。お前はちょっと黙ってろビル」
「へいへい」
酒とスープを飲み食いするビルを制止して黙らせるとビルは再び食事に集中し始めた。うるさいのがまた口を開かないうちに話を進めよう。
「それで久々にここに立ち寄ったわけだが……町の名前は変わってるし、以前よりもやけに荒れた土地になっちまったな……」
「ああ……七年くらい前にここはグレンベールって名前に改められてね……その後くらいだったかな。干ばつが続いて食料や家畜の餌になる作物が育たなくなっちまった。その一年後に疫病が流行り始めてさ……」
ジェシカの話によるとそれ以前には徐々にではあるが人口が増え始め、この町も活気付いて来たという。だがある時を境に干ばつによる不作が続き、飢餓により餓死者が増え始めた。大地は荒れ、家畜は痩せ細り、グレンベールとその周辺地域には死が蔓延するようになってきた。
それでも何とか細々と経営を続けてきたが、そこへさらなる追い打ちをかける事態が。
「カレブさん、あんた『メイソン・ケリーギャング』って知ってるかい?」
「メイソン・ケリー……ギャング?そういや昔、一部で幅を利かせてたあの連中か?」
その名前はグレンベールがダンプタウンだった頃の時代に何度か耳にしたことがある。確かピンカートン探偵社ですら手に余る厄介なギャングだとか。しかしいくら強いギャングとはいえ15年も経ってまだ息があるというのか?
「そのメイソン・ケリーギャングがこの15年でアメリカのあちこちで暴れまくってて大変なんだよ。このグレンベール近辺だって例外じゃない。奴等は少しでも金や食糧さえあれば根こそぎ奪っていく。この町の住人も何度も被害に遭ったんだ」
「そんなに前から暴れ回ってて保安官や政府は何をしている?いくらギャングといえどそんなにアメリカ各地で暴れていたら国から目をつけられそうなものだが」
実際カレブがまだ若かった頃にも凶悪とされるデカいギャング組織が無かったわけではない。だがアメリカの開拓と発展と共にならず者達は淘汰されていき、その日暮らしが当たり前なギャングが15年も生き残るなど不可能に近い。一体どんなカラクリがあるというのか。
「もちろん国だって動いてないわけじゃないさ。何度も腕利きの保安官や軍人が組織のトップを逮捕したり時には殺したりした。だけどね……」
「……?」
「次から次に出てくるんだよ。『メイソン・ケリー』という男がね」
「……どういうことだ……!?」
ジェシカは一枚の手配書を取り出す。そこには『メイソン・ケリー』という男の人相書きが描かれており、生捕りにした者には3000ドルという破格の懸賞金がかけられていた。
「いくら捕まえても殺しても各地で『メイソン・ケリー』という男が名乗りをあげて出てくるんだ。だからこのギャングはいつまで経っても無くならない。むしろ国や賞金稼ぎを嘲笑うかのように勢力を増している。今じゃメイソン・ケリーって男がいるのかすら疑わしくなってきたよ」
ジェシカの意見は実際正しかった。狡猾でギャングに似つかわしくない慎重さを兼ね備えたティム・ケリーは相棒のロバートの苗字と自分の苗字を取って『存在しない男、メイソン・ケリー』を作り上げた。
これによりただの荒くれ者の一人をメイソン・ケリーギャングのボスを仕立て上げることにより捜査を撹乱していたのである。だがそのような事実に人々が気付くはずもなく、勢力の拡大を抑えられないままメイソン・ケリーギャングの横暴は日を増す事に酷くなっていったのだ。
「こないだもこのグレンベールでケリーギャングの連中に住民が一人撃たれたんだ。幸い一命は取り留めたけど「もうこの町にはいられない」って出ていっちゃったよ。ただでさえ食糧事情が厳しい中でギャングの脅威に晒され続ける町なんか確かにいたくないだろうさ」
ジェシカはハァ、とため息をつきながら椅子に腰を下ろした。飢餓と疫病が蔓延する中、さらにはギャングの恐怖に怯える毎日。日ごとに住民はこの地を去っていき、15年前よりもさらにさびれた町へと変化してしまった。
「あたしも正直もう店を畳んでどっかに引っ越そうと思ってたんだ。でもその度にカレブさん、あんたの顔が浮かんでね……いつかあんたがここを目指して戻って来てくれるんじゃないかって……それを考えたらここを去るなんて出来なくてさ……そしてやっと戻ってきてくれた……ほんと店を続けててよかったよ……」
「ジェシカ……」
目に涙を浮かべ、ジェシカは「ガラじゃないねぇ」と苦笑しながら涙を拭う。カレブはたまらず近寄ってジェシカを抱きしめた。
15年。15年も待たせてしまった。あの時怒りに任せてベイショアに手を出してなければ、もっと自分が感情をコントロールできていたら。こんなにも時間を無駄にすることはなかったかもしれない。
過ぎていった時間は戻らない。しかしこうしてようやくかつての思い出の場所に戻ってこれた。大きく時間を失いはしたが、遅すぎるということはないはずだ。
取り戻そう。失われた時間の分だけ。大切な人や仲間との思い出を。これからのこの旅で。カレブはそう決意を胸に秘める。
そんなカレブを尻目にビルは仲間の一人であるクレイグをはじめ、酒を飲んでいる仲間達を引き連れてそそくさと店の外へと出ていく。クレイグは「なんだよ?」と言っていたがビルは彼の頭をぺしりと叩いた。
「バカ!どう見てもカレブのやついい雰囲気だろうが!15年ぶりの好きな女との再会なんだ。今は二人きりにしてやろうじゃねぇか」
ビルは自他共に学が無いことを認める人間だが、空気は読める男であった。クレイグほか、ヘルシャーギャングのメンバーを連れて外に出るとテラスに腰掛けて煙草に火を付ける。
シャバの空気の下で吸う煙草は美味い。あの牢獄から解放され、こうして再び外の世界にいられるのも全てはカレブのおかげなのだ。そんな彼が唯一会いたがっていたであろう人との再会。そこへ自分達が居合わせるのは野暮というものだ。ビルはクレイグ達と他愛ない話をしながら煙草と酒を楽しんだ。
しかしそんなひと時は突如として破られる。複数の銃声が響くと向こうから突如、馬に乗った集団が現れたのだ。空へと向かって次々に銃声を響かせながら近づく無法者達。店の入り口に立つビル達に気が付くと彼等はバンダナで覆い隠した顔から覗かせる目を細めながら有無を言わさず銃口を向けて発砲した。
「うわっ!!」
「危ねえ!!クレイグ、店の中へ隠れろ!!」
飛び交う銃弾を避け、ビル達は慌てて店の中へと駆け込む。表の銃声に気付いたカレブはジェシカを庇うようにして傍に抱きかかえながら片手で銃を抜いて臨戦態勢を取る。
「なんだなんだ!一体何の騒ぎだ!」
「カレブ、大変だ!どこぞのギャングが町へ攻めてきやがった!奴等いきなり撃ってきやがった!相手が誰だろうとお構いなしだ!」
「ちぃっ!お前ら、頭を低くしろ!窓には近づくな!」
ビル達ヘルシャーギャングのメンバーはカレブの言う通り姿勢を低くして各々の銃を構えて様子を伺う。相変わらず外では銃を乱射する音が響き、カレブはジェシカを守るためにカウンターの内側へ隠れるように指示した。
「奴等だ……!」
「何?」
「メイソン・ケリーギャングの連中だよ!また来やがったんだ!ちくしょう、こんな時に……!」
歯軋りをしながらジェシカも銃を抜いて万が一に備えつつ、カウンターに隠れる。どうやら招かれざる客のようだ。カレブは愛用のリボルバーを引き抜き、カウンター越しに様子を伺う。
……ここから見える入り口と窓だけでは外の様子はわからない。だが馬の蹄の音が遠ざかってないあたり、奴等はここをグルグルと回っているのは間違いない。
「ビル!クレイグ!お前らは店の入り口を死守しろ!俺は裏口から出て奴等に奇襲をかける!」
「わかった!死ぬなよ、カレブ!」
そういうと注意を引きつけるようにビルはクレイグと共に威嚇射撃を開始した。それと同時に引き返してきたギャングメンバー達が店の窓や入り口目掛けて銃弾の雨を浴びせてくる。カレブは彼等の陽動を尻目に背中にスピアガンを背負い、リボルバーを握り締めるとジェシカの案内で店の裏口から外に出た。
裏口から出て建物の裏側に回ると二階のテラスへ登る階段がある。ジェシカは二階へ、カレブは地上から建物をそのまま迂回して物陰から近づく。
店の入口の対面する建物からギャング達は銃撃戦を行なっており、全員馬は降りているようだ。仕留めるとすれば今がチャンスだが、ビル達もそう長くは持たないだろう。早めに決着をつける必要がある。
ギャング達が店に引きつけられている隙にカレブは大通り反対側の建物の隙間に忍び込み、そこからさらに建物の間を縫ってギャング達に近づく。そして──
「うらぁ!!」
響き渡る二発の銃声。カレブの放ったリボルバーの弾丸が二人のギャングに風穴を開け、さらに続けざま三発の弾丸を放つ。装填されていた五発を撃ち尽くすと素早くもう一つのホルスターからリボルバーを新たに取り出して掃討を開始した。二人が銃弾に倒れたが三発は外してしまった。カレブは木箱の陰に隠れて再装填を試みる。
しかしギャング達も馬鹿ではない。カレブの存在に気付くとそちら側にも射撃を開始し、徐々に距離を詰めていく。
カレブの使っているタイプのリボルバーは
ズドン、と鳴り響く一発の銃声によりギャングの一人が脳天を撃ち抜かれる。高所からの狙撃。カレブがチラリと上を見るとテラスからジェシカがレバーアクションライフルを構えて立っていた。その銃口からは硝煙が立ち上っている。
「クソッタレのケリーギャングどもめ!!あたしの店をメチャクチャにしやがって!!全員ブッ殺してやるよ!!」
ジェシカの怒りの援護射撃により次々とギャング達が倒れていく。しかし弾が尽き、そのタイミングで反撃を受けるが銃撃戦において高所は圧倒的に有利だ。彼女は弾が当たらない位置へと下がり、再度ライフルへ装填する。そしてこの援護はカレブが再装填を行うには充分すぎる猶予だった。
「覚悟しろ、ボンクラども!!」
六発ずつ装填されたリボルバーが火を噴き、弾丸の雨がギャング達に襲い掛かる。鮮血を散らしながら彼等は物言わぬ屍となり次々とカレブに狩られていく。
そんな中、ギャング達の中に一人、馬に乗って逃げようとする男がいた。カレブは奴が親玉だと見抜き、後を追おうとするが、周囲の仲間の銃撃を受けて近づけない。
「クソッタレが!!」
カレブは悪態を突きながら応戦する。と、そこへ敵戦力が減ったことで店の中から飛び出してきたビルとクレイグ、さらに仲間達が援護に駆けつけ、再装填が終わったジェシカも二階から狙撃で援護する。
「カレブ!!ヤツを逃がすな!!」
「カレブさん!!ここはあたし達に任せて、あんたはヤツを追って!!」
「……わかった!!後を頼むぞ!!」
カレブは隙を突いて駆け抜け、敵の馬を奪うと逃げた親玉を追う。背後からカレブを追撃しようとする者も現れるが、ビル達やジェシカの援護によってカレブは背中に鉛玉を受けることなく馬を走らせる事ができた。
親玉の後ろに張り付いたカレブ。この距離ならば揺れる馬上からでも頭を撃ち抜くことは難しくないが、ここは『コイツ』の出番だろう。カレブは背中に背負っていたスピアガンを構えると狙いを定めて発射した。
轟音と共に撃ち出された銛と鎖が音を立ててまっすぐ伸び、親玉の脇腹に突き刺さる。
「ぐわぁっ!!」
親玉は銛が刺さったまま後ろに引っ張られて落馬した。手応えを感じた瞬間、カレブも馬から飛び降りて鎖を巻き取る。無理矢理銛を引っ張って肉を引き裂き、血の滴る刃を拭ってスピアガンを背負い直すと、男にリボルバーを突きつけながら殺意のこもった声で問う。
「テメェがメイソン・ケリーか?」
「ぐ……ぐうう……!」
「さっさと答えろ。でないと頭に風穴を開けるぞ」
「……う……!ああ……そうだ……!俺が『メイソン・ケリー』だ……!」
自分はメイソン・ケリーだ、彼はそう言った。だがカレブも薄々気付いていた。こいつが本物の『メイソン・ケリー』ではないことに。
しかしあのチームを率いていたのは確かだ。何か『黒幕』に繋がる重要な手掛かりはあるかもしれない。カレブはこの『メイソン・ケリー』が持つ情報を引き出すため、彼に一応の止血を施して応急処置を済ませると、馬に乗せてグレンベールへと連れ帰った。
メイソン・ケリーギャングによる襲撃の後日。ギャング達を一部残して掃討し、メイソン・ケリーを自称する親玉を拷問にかけてカレブは情報を引き出した。
結論から言うとヤツは(当たり前だが)メイソン・ケリー本人ではなかった。ただのしがない、多少銃の腕に自信があるチンピラだったのだ。だが有益な情報を得ることもできた。
ヤツが『メイソン・ケリー』を名乗っている以上、それを命じた黒幕との接触があるはずだ。カレブがそれを問いただすと元々彼はモンタナ州のロッキー山脈付近で活動していた小規模なギャングであった。そこでメイソン・ケリーギャングの幹部を名乗る『二人の男』に声をかけられたのだ。
強大になったメイソン・ケリーギャングのボスの影武者を演じてほしいと。リスクは高かったが破格の金額を渡された彼は交渉の末に了承したのである。そしてモンタナ州である程度悪事を働くと更なる獲物を求めて隣州であるノースダコタ州へとやってきたのだ。
さらにその話を聞いているところにジェシカが新聞を持ってきた。ロッキー山脈の東にあるモンタナ州の街で複数のお尋ね者が暴れているとのことだ。どうやら次の行き先は決まったようだ。
「明日、グレンベールを発つぞお前ら。次の行き先はモンタナ州だ」
「急だな、カレブ。だが腕がなるってもんよ、なあクレイグ?」
「おうよ、ちゃっちゃと世直しを済ませて自由になろうぜ!」
煙草を吸いつつ新たな目的地を告げたカレブは新聞を置き、傍らのビルやクレイグも銃の手入れをしながらやる気を見せた。どちらにせよ近隣の州のお尋ね者はひっ捕える必要がある。それにロッキー山脈付近の連中ならばメイソン・ケリーギャングの『黒幕』の手がかりが得られるかもしれない。
『二人の男』の名前までは先ほど捕まえたヤツも知らないらしいが、ひとつ有力な情報があった。それは二人のうち一人は『アイルランド訛りの英語を話していた』というもの。
本来相性が悪いはずのアメリカ人とコンビを組んでいるアイルランド人ギャングなどそういないはずだ。情報を追えばいつかきっと連中に辿り着くはず。そうすればジェシカとこのグレンベールの地がメイソン・ケリーギャングに脅かされることもなく、自分達もベイショアへの復讐ならびに本当の自由を手にすることができる。
この日はヘルシャーギャングのメンバー達と共にささやかな祝杯を上げ、カレブ達は泥のように眠った。ちなみに捕まえた影武者は牢屋に入れられ、後日別の町の保安官らによってネブラスカ州のヘルシャー刑務所へ移送される予定だ。
果たして次なる目的地・モンタナ州でヘルシャーギャングを待ち受ける戦いとは。カレブ達ヘルシャーギャングの復讐と自由を求める長い旅はまだ始まったばかりである。