紫苑たち月閃女学館との激しい死闘を繰り広げる焔紅蓮竜隊
光牙は紫苑との戦いはまさに一進一退のもの
互いに引けを取らない激戦である
そんな中、戦いはクライマックスを迎えようとしていたのである
「(な、なんて力…純粋な力だけなら佐介くんのは比ではない…まさか彼にもこんな隠し玉が)」ｸﾞﾇﾇ
想像以上の破壊力を見せつけた光牙に紫苑は驚く
「はああぁぁぁぁぁ！！！」
「ぐっ！！ふぅん！！」
「はぁっ！！」
「なっ！？」
光牙が再び紫苑に向かって駆け出した
それを見て紫苑は阻止すべく気弾で抵抗するも
聖剣の手刀で次々と消し飛ばす光牙を止めることはできなかった
「クラウソラス！！」
ｼﾞｬｷｨｨｨｨｨｨﾝ！
「なっ！ぐああぁぁぁぁ！！」
手刀の斬撃波を喰らい、紫苑は吹き飛ばされた
「はぁ…はぁ…くそぉ！」
光牙の攻撃を止められず、圧倒的不利な状況まで追い込まれ、紫苑は歯がゆい思いだった
そんな紫苑を見ながら光牙は再び手刀を構える
「まだまだこの程度ではおわらな…っ！？」
ﾄﾞｯｸﾝ！
ﾄﾞｻｯ
「(…ぐっ！？ま、まさか…これはっ！？…)」ｸﾞﾇﾇ
その時、光牙はあの衝撃に襲われた
しかもそれは今までのものよりも激しいものだった
【ふふふ】
「っ！？」
その時、光牙の頭に不敵な笑い声が聞こえる
【ずいぶんと苦しそうじゃの〜、我が主さまよ。わしの施した仕掛けがようやく身を結んだようじゃの】
「（仕掛け？……貴様、何をした！？）」ｸﾞﾇﾇ
【ふふふ。簡単なことじゃ。わしがお前さまに呪いをかけたからじゃ】
「（呪い…だと？…いつの間に！？）」
自分に呪いをかけたと言う彼女を光牙が問いただす
【あったじゃろうて、わしがお前さまに呪いをかけることができる唯一の手段が】
「(……っ！？)」
その時、光牙は気づいた。彼女の言う通り、確かに自分に呪いをかけれるであろうチャンスが一度だけあったことを
「（この力か！？）」
【…その通りじゃ】
呪いの正体、それは今まさに使用している竜聖の姿そのものだった
「（しかし、この姿がの貴様の言う呪いとどう関係がある！？）」
【そもそもわしが施した呪いとはお前さまに一時的なパワーアップを促す代償と引き換えにお前さまが消費した気力やエネルギーなどをわしのものにすると言うものじゃ】
「（なんだと！？）」
今までの戦いで消費した気力や体力などを吸われ続けていたことを聞かされる
さらにその時、光牙は右手に違和感を感じた。先ほどまで宿っていたはずの力が消えていた
【気づいたようじゃの。そうじゃ、お前さまに渡したの力全てが擬い物じゃよ】
「(貴様っ、今までずっと騙していたのか！！)」
【そうじゃ、全ては我が望みを叶えんがためにしたこと…お前さまには感謝しておるぞよ、わしが与えた力を使い続けてくれて……おかげで】
次の瞬間、彼女の一言が選曲を大きく変える
【やっと自由になれる……】ﾎﾞｿｯ
不敵な笑みがこぼれた瞬間
ﾌﾞｵｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫ！！！
「ぐっ、…ぐあぁぁぁぁ！！」
光牙の体からとてつもない量の気が膨れ上がった
さらにそれとともに彼女を閉じ込めていた折がひしひしと音を立て、封印が解かれた瞬間
彼女は折を破った
【ふふふふ……かぁ〜っはははははは！ついにやったぞ！これでわしを縛るものはもはやない！わしは自由じゃ！】
長き間閉じ込められていた獣が己を縛るものから解放されたことに歓喜の声をあげた
【さて、やっと自由を得たわけだがなにをしようかの〜？…ふっ、決めた。まずはー】ｽｯ
そう白が手を上に伸ばした瞬間
「（ぐぅっ！？）」ﾄﾞｯｸﾝ
ｺﾞｫｫｫｫｫｫｫｫ！！！
光牙はさらなる苦しみに襲われるとともに溢れ出る白くも禍々しいオーラがさらに広がりを見せる
「こ、これはいったい？」
分けを知らないが、ただならぬ事態を感じた紫苑は冷や汗を垂らす
白いオーラの中を光牙の身体がゆっくりと浮かび上がる
そしてあらかた登ったところでピタッと止まる
【「………っ！！！」】ｷﾞｭｲｨｨﾝ
その刹那、光牙の目が不気味な光を放ったと思ったら
今度は光牙の身体に変化がおきる
「ッ！！」ｸﾞｸﾞｸﾞｸﾞｸﾞｸﾞｸﾞｸﾞｸﾞ
身体が徐々に巨大化するとともに背中の左右から二枚の羽根が生えて生きた
それに続き、手と足から鋭く尖った爪を生やし
尻からは太くて長い尻尾が生えた
そして最後に光牙の顔が変化し始め
変化が止まった頃には光牙の姿はもはや人間の面影はなかった
紫苑の目の前には白い体に尻尾をなびかせながらこちらを睨みつける1匹の竜の姿だった
「こ、これはいったい？」
突然の異常事態に紫苑は驚きを隠せなかった
【〜ッ】
「っ？」
【グオオォォォォォォォォ！！！！！！】
「っ！？」ｻﾞｻﾞｧｧｧｧｧ
そして竜は天に向かって高らかに雄叫びをあげた
「(～…なにがなんだかは知りませんが、危険な匂いがする…こいつは倒すべきですね！)」
状況から紫苑はこの竜が危険であると判断し、竜を倒すべく行動をおこした
「はっ！！」
【ッ？】
「秘伝忍法・聖火の
ﾎﾞｷｭｩｩｩｩﾝ！！
ﾎﾞﾊﾞｱｧｧｧｧﾝ！！
紫苑は右の手のひらから発生させた火球を全力で投げつけた
火球は見事竜の顔面に命中し、触れた瞬間に爆発した
「やったか？」ｽﾀｯ!
着地するとともに爆煙が立ち込めるほうを見た
数分の沈黙があたりを支配していた
【…】ｷﾞｭｨｨｨﾝ
「っ！？」ﾋﾞｸﾝ
その時、煙の中に怪しく光る二つの眼光が
ﾄﾞｽﾝ…ﾄﾞｽン…ﾄﾞスン…ドスン！
そして煙の中から聞こえる足音
徐々に大きくなるとともに煙の中から竜が出てきた
しかも、無傷で
「そ、そんな」ｱｾｱｾ
自分の攻撃で傷すらつけられていないことを知り、紫苑は驚く
【グアアァァァァァァ！！！】ﾌﾞｫﾝ！
「なっ、うあぁぁぁぁ！！！」ﾊﾞｼｨｨﾝ！
すると攻撃を受けて怒り狂ったかのごとく竜は自身の尻尾を鞭のようにしならせ攻撃してきた
突然の攻撃に対処が間に合わなかった紫苑は尻尾の一撃をもろに受けて大きく後方へと吹き飛ばされた
「ぐっ…ぐぅぅぅ！」ｸﾞﾇﾇ
想像を絶する竜のパワーに紫苑は騒然とする
【グオォォォォォォォ！！！】
再び竜が咆哮をあげ、全身を使った突進を仕掛ける
「っ！？～ぬあっ！！？？」ﾄﾞｶｧｧｧｧﾝ！
頭突きを仕掛ける寸前、紫苑はなんとかそれを回避した
「今度こそ、今度はもっと火力重視で！！」ｺﾞｫｫｫｫｫｫ!
構えをとりながら水と炎、二つの気を発動させ、高め始める
「炎と水の
両手から放たれた炎と水が同時に竜に向かって飛んでいく
【グオォォォォォォォ！！！】ﾌﾞｵｵｫｫｫｫｫ！！
「な、なに！？」
しかしその時、竜が先ほどの咆哮とは比べ物にならないくらいの大咆哮を上げるとともに空気弾を発射する
その威力に押し負け、炎と水は竜に到達することなく消滅してしまった
「うああぁぁぁぁぁぁぁ！！！」
さらにその勢いは止まらず、そのまま紫苑を直撃した
紫苑はそれにより地面に叩きつけられた
「ゆみ…くろかげ…さま～…っ」ﾎﾟﾄｯ
服も身体もボロボロになり、力尽きた紫苑は気を失ってしまった
【グオォォォォォォォ！！！！！】
勝利を喜ぶかのように竜が咆哮をあげるのだった