閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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第十五章 竜へと挑む乙女たち

紫苑との戦いに終始を打つべく竜剣士モードへと転身する光牙

 

 

しかしその時、光牙の身に異変が生じる

 

 

その原因は満を持して動き出した覇王光竜の仕業だった

 

 

実は今までのことは全て彼女のしかけた罠であり

 

 

今までの彼の力の象徴とも言える聖剣もまた彼女が作りあげた偽りの剣だった

 

 

罠であることを知らず、今までの戦闘などで消耗したエネルギーなどが全て彼女に吸収されており

 

 

十分に力を蓄えた彼女は次なる行動を起こした

 

 

封印を解くとともに光牙の身体を乗っ取るとともにその身体を媒体に

 

 

真の姿であるドラゴンへと変貌を遂げ、目の前の紫苑を手始めとして攻撃し

 

 

紫苑も負けじと立ち向かうも全て無に帰され、挙句たった一撃で地に伏した

 

 

ドラゴンは紫苑を蹴散らすとともに巨大で怖しげな咆哮をあげるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

【グルルルル!】

 

 

 

ドスン…ドスン…!

 

 

勝利の雄叫びを止め、ドラゴンが完全に息の根を止めるべく紫苑に近づく

 

 

その時だった

 

 

 

ヒュゥゥゥゥゥン!

 

 

 

【ッ?】

 

 

ボババババババババババババン!!!

 

 

 

突如ドラゴンの頭上から爆弾などが雨のごとく振り落ち、一斉に爆発した

 

 

「ありがとうございます春花さん」

 

 

「お安い御用よ♪」

 

 

爆弾を投下したのは春花とともに彼女のカラクリで空からやってきた詠だった

 

 

「詠お姉ちゃん、春花さま、あれはなんなんだろう?」

 

 

同じく飛行機に跨り空を飛ぶ未来がドラゴンを見て驚く

 

 

「詳しくはわからないけどまずはあの子を助けるわよ」

 

 

「はい(うん)!」

 

 

春花の指示のもと未来と詠が紫苑の救出に向かう

 

 

【グルアァァァァ!!!】ギュイィィン!

 

 

それを見たドラゴンは詠達もろとも消し去るべく口から超高出力のエネルギーを発生させる

 

 

「させるか!いくぞ日影!!」

 

 

「ほいさぁ~!」

 

 

すると再び上空から二つの影が

 

 

「うぉぉぉ!秘伝忍法・魁!!」

 

 

 

ザシュザシュザシュザシュ!ザシュゥゥゥン!!

 

 

 

【グウゥゥ!】グヌヌ

 

 

焔の攻撃にドラゴンが怯んだ

 

 

「ほんならわしも…行くでぇ!!」

 

 

日影もそれに続いてドラゴンに怒濤の連撃を繰り出した

 

 

「やるじゃねぇか日影」

 

 

「焔さんもな~」

 

 

「これでこのデカ物も…っ!?」

 

 

「な、…なんやと!?」

 

 

焔と日影が見た先には

 

 

【……グォォォォォォォ!!!!!】

 

 

巨大な咆哮をあげるドラゴンのピンピンとした姿が

 

 

あれだけの攻撃に対してドラゴンはまったくといっていいほどダメージを受けていなかったのだ

 

 

「くそっ!」

 

 

「こんなんありか…」

 

 

予想だにしない現実に愕然とする

 

 

【グオォォォォォォォ!!!】

 

 

「まずい!日影逃げろ!!」

 

 

 

バキィィィィィン!

 

 

 

ドラゴンの繰り出した拳が激突した瞬間、ものすごい衝撃波が襲い来る

 

 

「「うわあぁぁぁぁ!!」」

 

 

間一髪、焔たちはその攻撃から逃げられた

 

 

しかし、直後に発生した衝撃波により吹き飛ばされた

 

 

「大丈夫!焔、日影!?」

 

 

「あぁ、大丈夫だ」グヌヌ

 

 

未来が慌てて二人に駆け寄る

 

 

「強いわね」

 

 

「いったいなんなのでしょう?」

 

 

ドラゴンの想像を絶する力を目の当たりにした詠たちは騒然としていた

 

 

その時だった

 

 

「うっ……ううっ」

 

 

気を失っていた紫苑が唸り声をあげる

 

 

「ねぇ、大丈夫?」

 

 

「しっかりしてください」

 

 

春花と詠が紫苑に語りかける

 

 

「に…にげ、て…」

 

 

「えっ?」

 

 

「人が…ドラゴンに…」ガクッ

 

 

「ねぇ?…ねぇっ?……人がドラゴンに…っ?」

 

 

再び気を失った紫苑のつぶやく言葉の意味を考えながら春花はドラゴンをまじまじと見た

 

 

「っ!」

 

 

そしてかつてこれほどではないが同じような状況を見たことを思い出し。あのドラゴンが誰なのかを連想させた結果

 

 

「…あのドラゴンは光牙くんかも知れない」

 

 

「えっ?光牙さん!?」

 

 

「おそらく間違いないわ。覚えてるでしょ?以前私たちが半蔵学院を攻めた時、光牙くんが暴走したことを」

 

 

春花の指摘に紅蓮竜隊の仲間たちが驚きの顔を浮かべる

 

 

確かに以前半蔵学院を攻めた時、光牙が暴走し、敵味方問わず見境なく攻撃してきた

 

 

もしあのドラゴンが光牙だとすればこの場に彼の姿がないのも

 

 

紫苑がボロボロになって倒れているのも

 

 

彼が言った人がドラゴンにと言った意味も全て辻褄があう

 

 

「でもあれって」

 

 

「えぇ、あの時よりもさらにやばい状況っていうことだけは確かね」

 

 

「どうするんですか?あの時は鈴音先生が止めてくださったからなんとかなりましたが、今ここに鈴音先生はいないんですよ」

 

 

「…厄介なことになったわね」

 

 

詠の言う通りだと内心思う春花だったが

 

 

「弱音を吐くな!」

 

 

「焔…ちゃん?」

 

 

それを焔が一喝する

 

 

「確かにあの時は凛が来てくれなければやられていただろう…しかし私たちはあの頃よりも強くなれた。もう昔の私たちじゃない、それに何より光牙は苦しんでいるに違いない、ならばそれを助けるのが真の仲間というものだ!」

 

 

「そうですね。光牙さんは私たちの大切な仲間、ならば全力でお助けするのが私たちの務めですわ!」

 

 

「あたしだってやってやるわ!」

 

 

「つーわけやから、今度はさっきよりもキツイのいくで〜光牙さん」

 

 

焔を筆頭に次々と前に出る4人

 

 

「…ふふ、そうね。じゃあ私たちの手でおイタをする光牙くんをオ・シ・オ・キしちゃいましょうか」

 

 

「じゃあさ、元に戻ったら罰として光牙にニンジン料理のフルコースを食べさせてやろうよ」

 

 

「賛成ですわ!腕がなりますわ!」

 

 

「へへっ、よし!やるぞみんな!」

 

 

仲間を救わんと焔たちが武器を手に身構える

 

 

しかし、その時だった

 

 

【…フ、随分ト言ウデハナイカ、ワッパ風情ガ】

 

 

『っ!?』

 

 

唸り声をあげていただけのドラゴンが突然人の言葉を話しだしたことに焔達は驚きを隠せなかった

 

 

【張リ切ッタトコロデ無駄ナコトジャ。オ前タチガ助ケヨウトシテイル主様ハ既ニ、ワシガコノ世界ニ具現スルタメノ贄トナッタ。モハヤ貴様ラガ幾ラ呼ボウトモソノ声ハ届キハセンゾ】

 

 

焔たちの光牙を助けたいという思いと意識を嘲笑うドラゴンに焔は怒りを露にする

 

 

「勝手なこと言ってんじゃねえよ!光牙は私たちの仲間だ!お前がなんと言おうと絶対に助けて見せる!」

 

 

【ホウ、威勢ガイイノォ。シカシ忘レテハオラヌカ。貴様ラノ攻撃デハワシノ身体ニ傷一ツ付ケルコトスラ叶ワナカッタ事ヲ】

 

 

確かに先ほどの連携攻撃ではドラゴンの身体にダメージを与えることはできなかった

 

 

「それがどうした!さっきのでダメだったんならそれを越えるような技を使ってお前を倒す。そして光牙を助ける、それだけのことじゃねぇか!」

 

 

それを焔が強い意識を示しながら反論する

 

 

【…愚カナ、ヤハリ人間ナド幾千モノ時ヲ過ゴソウトモソノ愚シイサハ変ワラヌ生物ニ過ギンノヨ、ナラバモハヤ言葉ハ不要。コノ世界ヲ破滅ノ光デ満タス全座トシテ先ズハ貴様ラヲ消シ去ッテクレルワ!!】ギュォォォォォ!!

 

 

言葉をやめ、再び咆哮をあげるドラゴン

 

 

「みんな、いくぞ!」

 

 

焔が先陣を切り、六爪を手にドラゴンに挑む

 

 

果たして彼女たちの力で光牙を助け出せるのか?

 

 


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