閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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第十六章 時を逆巻く竜と思わぬ新手

光牙は紫苑との戦いを終わらせるべく伝家の宝刀を出す。しかし直後彼の体に異変が生じる

 

 

それは彼に自身の力の一部を渡し自分が光牙と言う牢獄から解放されるための覇王光竜の作戦であり

 

 

案の定、彼女の思わく通りに事は運び、満を辞して彼女は今まで密かに吸収していた力を使って封印を解くことに成功し

 

 

自由を勝ち取った彼女によって光牙は体を器とされ、その姿は竜へと変わった

 

 

紫苑を蹴散らし、暴れまわる竜の元に駆けつけた焔たちは無事光牙を助け出すことができるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【グオォォォォォ!】

 

 

覇王光竜が高らかに雄叫びをあげる

 

 

「行くぜ!」

 

 

『おー!』

 

 

焔の号令で紅蓮竜隊が仕掛ける

 

 

「まずは私たちから攻めるわよ、遅れないでね未来!」

 

 

「はい、春花さま!」

 

 

「いっけぇ!春花、未来!」

 

 

カラクリとジェット機に跨りながら空を飛んいた春花と未来が覇王光竜の真上まで来た

 

 

「未来、追撃は任せたわよ」

 

 

春花が体のあちこちに隠していたカラフルな色をした試験管を取り出した

 

 

「行くわよ〜♪秘伝忍法・Scatters Love♪」

 

 

手にした試験管を覇王光竜に向けて投げつける

 

 

「今よ!」

 

 

「了解です!」

 

 

春花の合図と共に未来がジェット機から飛び降りる

 

 

「秘伝忍法・ツェッペリン!」

 

 

未来は降下するとともにスカートの裾の中から無数の重火器を展開し、それを先ほど春花が投げつけた試験管目掛けて射ちまくる

 

 

試験管が割れた瞬間、中に入っていた薬品同士が混ざり合い、科学反応を引き起こし、覇王光竜の顔面で大爆発を引き起こした

 

 

そして攻撃終了とともに未来が地面に着地する

 

 

「さすがね」

 

 

「えへへ」

 

 

春花に褒め言葉をもらえて未来は嬉しい気分になった

 

 

しかしその直後

 

 

 

【小賢シイワ!!】ブォン!

 

 

 

「「っ!?」」

 

 

2人に向かってドラゴンが鋭い爪を突きつけてきた

 

 

「危ない!」

 

 

 

ガキィィィィィン!

 

 

 

【小娘ガ!】

 

 

「詠ちゃん!」

 

 

「詠お姉ちゃん!」

 

 

それを間一髪のところで詠が大剣を盾にして防いだ

 

 

「光牙さん!正気に戻ってください!…やあぁぁぁ!」

 

 

【ッ!?】

 

 

呼びかけると共にドラゴンの腕を払いのけ、即座に大剣を空に掲げる

 

 

「はあぁぁぁ!!秘伝忍法・シグムンド!」

 

 

巨大化させた大剣をドラゴン目掛けて振り下ろす

 

 

【グッ!?】

 

 

「やあぁぁぁ!」

 

 

ドラゴンが振り下ろされた大剣を両手をクロスさせてガードし、負けじと詠も全身の力を振り絞りながら押していく

 

 

【コノ程度デ行キガルナ!「詠!そのまま押さえ込め!」ッ!】

 

 

「ここはわしらが!」

 

 

動きを封じている隙に焔と日影がドラゴンの懐に入る

 

 

「日影!」

 

 

「ほい!」

 

 

「こいつで!」ボォォォ!

 

 

「突破口を開いたる!」ギュィィィン!

 

 

焔が炎月花を抜くと共に髪が赤く染まり、紅蓮の焔となりて構える

 

 

そして日影もまた全身からオーラを纏い、自身を狂化させる狂乱モードを発動させ、同様に斬りかかる

 

 

「「秘伝忍法!!」」

 

 

2人が同時に秘伝忍法を発動させる

 

 

「おりゃあぁぁぁ!!」

 

 

「いくで!」

 

 

「はあぁぁぁ!!」

 

 

焔と日影、そして詠の3人の連携攻撃が覇王光竜に炸裂しようとしたその時

 

 

【ソレデワシヲ討チ取レルト思ッタラ、大間違イジャ!】

 

 

 

ガチャン!ジャキン! ガチャン!ジャキン!

 

 

 

直後、光の竜の翼がスライドする

 

 

【見ルガイイ!タイム・ストリーム・リバース!!】

 

 

 

ギュィィィィィィン!

 

 

カッチカッチカッチカッチ!

 

 

 

ドラゴンが叫んだ瞬間、世界の時が止まる

 

 

さらに技を発動させたドラゴン以外の全ての時間が巻き戻って行く

 

 

そして時は春花と未来が攻撃を仕掛ける時まで戻る

 

 

 

「行くわよ〜♪秘伝忍法・Scat【サセヌワ!】っ!?」

 

 

 

ブォン!

 

 

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

未来を見通したドラゴンは先手を打つべく空を飛ぶ春花を叩き伏せた

 

 

「春花さま!よくも!!」

 

 

それを見た未来がツェッペリンを発動しようとする

 

 

【グオォォォォォ!!】

 

 

「ぐああぁっ!?」

 

 

しかしそれは耳をつんざくほどの咆哮により、止められた

 

 

【グオン!】ブォン!

 

 

「きゃあぁぁ!!」

 

 

動きが止まった隙に尻尾ではたき落とす

 

 

「春花さん!未来さん!」

 

 

【グアァァァァ!!】

 

 

「ぐうっ!?」

 

 

ドラゴンが詠を踏みつぶそうとする

 

 

「大変だ!日影!詠を助けるぞ!」

 

 

「おう!」

 

 

紅蓮と狂乱を発動させた焔と日影が斬りかかる

 

 

【っ!】シュン! ガシッ!

 

 

「「なっ!?」」

 

 

しかし、これも既に知っていたドラゴンには効かず、逆にその腕に捕まえられてしまった

 

 

「ぐっ、ぬけられへん!?」

 

 

「くそっ!この!離せ!!」

 

 

【ソンナニ離シテホシイカ、ナラバ望ミ通リニシテヤル!】

 

 

ドラゴンが自身の腕に捕らえた焔と日影を地面に叩き伏せた

 

 

「「ぐあっ!!」」

 

 

「焔さん!日影さん!」

 

 

【ヨソ見ヲスル余裕ナドアリハセンゾ!】

 

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

詠も蹴り飛ばされてしまい、他の仲間谷同様、やられてしまった

 

 

【フフフフ、思ッタヨリハヤリオッタ。ジャガ、所詮ソノ程度デハワシヲ倒スコトハデキヌ!】

 

 

自分には何をしても無駄であると見せつけるとともに身構え、口を大きく開く

 

 

【ガアァァ…!】ギュイィィン

 

 

ドラゴンの口元に強力なエネルギー反応が

 

 

「まっ、まずい!みんな!急いで離れろ!」

 

 

危険を感じた焔たちが急いで距離を取ろうとする

 

 

【モウ、遅ワァァァ!】

 

 

 

 

 

 

ビュィィィィィィィーーーー!!!

 

 

 

 

 

 

ボバアァァァァァァァァァァン!!!

 

 

 

 

 

『うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

 

 

 

 

 

 

ドラゴンの放った光は瞬く間にその場の全てを焼き払い

 

 

惜しくも逃げきれず、灰となった大地に横たわる焔たちの姿があった

 

 

「つ、強すぎる…」

 

 

「光牙くんは、今までこんな化け物を押さえ込んでだっていうの?」

 

 

「さっ、さすがやな…」

 

 

「ど、どうすれば…もはやわたくしたちでは勝てないの?」

 

圧倒的な力と変わり果てた大地を目にし、もはや詠たちの闘志は消えかかっていた

 

 

「まだ…だっ!」

 

 

そんな中でも1人、炎月花を支えに立ち上がる焔の姿があった

 

 

彼女の瞳には尚も光牙を救うという決意の炎が止まっていた

 

 

「そうよね…私たちには諦めるなんて選択肢、はなっからないわよね!」

 

 

「はい、例えどんなに強かろうと!」

 

 

「決して仲間は見捨てへん」

 

 

「それがあたしたち焔紅蓮竜隊だもんね!」

 

 

立ち上がる焔の姿に他の4人も続き、全員が横一列に並ぶ

 

 

【フッ、貴様ラガドウ足掻コウト、コノ状況ハ変ラヌ、貴様ラ二待ツノハ己ノ死ダケ…ソレヲ身ヲ持ッテ味ワウガヨイ!】

 

 

ドラゴンが焔たちを灰燼に帰すべく再び光を貯める

 

 

それを見て焔たちも構える

 

 

【消エウセヨ!人間共!!】ギュイィィン

 

 

 

 

直後、ドラゴンから光線が放たれ、それが焔たちを消し去るべく迫りくる

 

 

 

 

 

 

「忍法……剛城!」

 

 

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴ!ドゴォォォォォン!

 

 

 

 

バシュゥゥゥゥゥン!

 

 

 

『っ!?』

 

 

【ナッ、コレハ!?】

 

 

突然現れた巨大な城壁が焔たちをドラゴンの攻撃から守った

 

 

「大丈夫かね?君たち」

 

 

そして背後から声が聞こえ、振り向いた先にいたのは

 

 

「うっ、うそ?…どうしてあなたが?」

 

 

「どういう…こと?」

 

 

「なんでここにいるんですか…"学園長"!?」

 

 

「久しぶりだな。元選抜メンバーの諸君」

 

 

焔たちを助けた人物とはなんと蛇女子学園の学園長であった

 

 

【貴様〜ッ!!】

 

 

「まさか、おまえと直に顔を合わせることになるとは思わなかったぞ」

 

 

自身の前に立つ学園長の姿を目にした途端、ドラゴンが激しい怒りを見せる

 

 

「学園長はあいつのことを知ってるんですか!?」

 

 

「すまないが今は質問に答えてやる時間はない、先ずは奴から息子を取り返す」

 

 

『…むっ、息子!?』

 

 

学園長の口から出た言葉を耳にした時、焔たちに衝撃がはしる

 

 

「行くぞ…」

 

 

瞑想するとともに力を高める

 

 

「呪縛忍法・闇の鎖!」

 

 

 

ドゴォォォ!シャリリリリリ!

 

 

 

【グッ、グアッ!?】ガッチャ!

 

 

地面を突き破るように出てきた無数の鎖がドラゴンを縛り上げる

 

 

【ヌゥゥッ!ナメルナ!!!】グヌヌ

 

 

「っ!?」

 

 

ドラゴンはその鎖を引きちぎろうと激しくもがく

 

 

「(くっ、これほど争う力を持っていたとは!?…このままではまずい、急がなくては!)」

 

 

鎖が引きちぎられるのは時間の問題、そう確信した学園長はドラゴンを抑え込むための行動に移る

 

 

「はっ!」

 

 

地面に両手をつけた瞬間、黒い線がドラゴンに向かって走り、ドラゴンの足元に到達するとそのまま大きな陣を描く

 

 

「封印忍法・封転移陣!」

 

 

すると陣が輝き出した

 

 

【グッ、グゥウウゥ!?】

 

 

それに影響されてか、ドラゴンが苦しそうな声をあげる

 

 

「はあぁぁぁ!!」

 

 

学園長がさらに力を注ぐと、陣の輝きがさらに強まる

 

 

【コ、コレシキノ封印術デ、ワシヲ封ジ込メタト思ワヌコトダナ!】

 

 

「心配はいらん。本番はここからだ」

 

 

怒りを孕んだ言葉を吐き捨てるドラゴンに学園長は意味深な言葉を呟いた

 

 

【グアァァァァ!!!!】

 

 

 

パアァン!

 

 

 

直後、ドラゴンが消え去り光牙へと戻った

 

 

「光牙!」

 

 

「光牙さん!」

 

 

焔たちが駆け足で光牙の元に向かうのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ…ううん?」

 

 

「光牙、目が覚めたか!」

 

 

「光牙くん。よかったわ」

 

 

「詠お姉ちゃん!光牙が目を覚ましたよ!わーい♪」

 

 

目を覚ました光牙が見たのは自分の身を安堵する仲間たち

 

 

「おまえたち、どうして?」

 

 

「何も覚えてないの?」

 

 

「……そうだ。俺は奴に!?」

 

 

記憶を遡り、自身の身に起きたことを思い出した

 

 

「目を覚ましたようだな光牙」

 

 

「とっ、父さん!?」

 

 

目の前に現れた学園長こと、父親に驚く

 

 

「父さん、なぜ父さんがここに?」

 

 

「光牙、おまえや彼女たちに私から話さなければならない事は沢山ある…しかし、それは後にしてほしい、今はお前の事が最優先だ」

 

「俺の?…どういうことだ?」

 

 

険しい表情を浮かべる父親に光牙はもちろん焔たちもただならぬものを感じる

 

 

「今回のことで奴がお前に施した封印を解いた以上、お前にはやらなければならない事がある」

 

 

「やらなければならない事?」

 

 

「そうだ、そしてそれは……お前自身の力で奴を完全に支配する事だ」

 

 

「っ!」

 

 

父から語られた事の内容に光牙は驚愕するのだった

 

 

 


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