己の内に潜む覇王光竜の力を得るべく精神世界にて彼女に戦いを挑む光牙
その圧倒的な力の前に危ういところまで陥った彼を救ったのは生前に魂の一部を封印していた母の思念体だった
思念体とは言え母との再会に光牙は歓喜し、母もまた息子の成長を嬉しく思った
母に勇気を貰い、光牙は再び立ち上がり覇王光竜に挑み
苦戦を強いられながらも、母の援護の元、ついに覇王光竜を破り
彼女の力をその身に取り込むことに成功する
力を奪われ、光牙に怒りをぶつけようとするも再度封印をかけられ覇王光竜は捨て台詞を吐きながら檻の闇の中に消えていった
役目を終え、消える母の姿を目に焼き付けると共に意識を取り戻した光牙を待っていたのは焔たち、紅蓮竜隊の仲間たちの安堵した顔だった
嬉し泣きをしながら自分にすがりつく彼女たちを見て改めて彼女たちが仲間であることを感謝するのだった
あれからしばらく経った時のことだった
修行の疲れを癒すべく休息を取っていた紅蓮竜隊の全員を学園長が大事な話しがあると言い、呼びよせる
そして半蔵から許可を得ていた部屋につくと奥の方で無言のまま座っている学園長がいた
「来か。修行したばかりで疲れているところ悪かったな」
「それはいいんだが、どうしたんだ父さん。急に俺たちを呼んで?」
「なにか大切な話しがあると聞いてますが?」
「あぁ、では単刀直入に言わせてもらう……実は」
学園長は語り出す。大事な話しとは何かを
「な、なんだって蛇女の生徒たちが暴徒化!?」
「私たちのいない間に蛇女がそんなことに…」アセアセ
「どういうことなんですか学園長!?」
「みんながどうしてそんなことになってしまったんですか!!」アセアセ
学園長から聞かされた蛇女の状況を聞いた光牙たちは驚きを隠せなかった
自分たちの知らぬ間にいつの間にかとんでもないことになっていたからだ
「……やつの仕業だ」グヌヌ
「っ…」ハッ
光牙は学園長の奴という言葉と反応を見た時、その事態を巻き起こしたであろう人物を思い浮かべる
「もしやその人物とは…?」
「そう………道元だ」
『っ!?』
その名を聞いた瞬間、光牙たちは背筋が凍りつく
冷酷麻痺にして毛の先程度の情けも持ち合わせず
己が野望を成就しようと妖魔である怨櫓血の復活を目論み、そのために多くの生徒たちや自分たちを利用した最低最悪の男
そんな奴の名が学園長から語られ、光牙たちは言葉を失う
「学園を占拠するや否や生徒達を暴徒化させてしまった…やつの意に従わない者たちは次々と操られた生徒達に襲われた。私もまたその一人だ」
「姉さんたちが……道元めぇ!」グヌヌ
生徒達が暴徒化ということは当然雅緋たちもそうなっているはず、そう思うと光牙は道元に対して腸が煮え返る思いだった
「今、私は自分をこれほど恨んだことはない。子供を守るべき父としても生徒たちを守るべき学園長としても何もしてやれなかった…」
家族を奪われ、生徒たちも奪われてしまい、不甲斐ない自分が許せないと言わんばかりに学園長はズボンをぎゅーっと握りしめる
「…光牙、紅蓮竜隊の諸君。私からの一生の頼みだ!蛇女を、生徒たちを助けるために君たちの力を貸してくれ!」ドン
学園長はそう言うと土下座し、光牙たちに深々と頭を下げた
いつも忍としても誇り高かった父が雅緋や生徒達を救いたいというその一心で床に頭を付け頼んでいた
「……父さん」
「光牙!」
「っ?」
その時、焔が光牙に声をかける
「行こう蛇女に!私は抜忍である前に蛇女で忍としての多くを学んだ。そんな母校と仲間たちが道元の奴に好き勝手されるのは我慢ならん!」
「あたしも焔と同じ気持ちだよ!みんなが苦しんでいるって時に黙ってられないよ!!」
「わたくしもですわ。生徒達を暴徒化させて手駒にするなんて、許せません!」
「わしには感情がないんやけど…なんや胸の中がすんごいざわつくんや…わしも焔さんたちと同じなんやろな」
「光牙くん。私もみんなも…"やる気"十分よ~」
焔たち5人は生徒達を救いたいという思いで、蛇女に乗り込もうと光牙に申し出る
「お前ら……わかった。全員で蛇女に乗り込むぞ!そして道元に操られた姉さんたちやみんなを救ってやるんだ!」
『おー!』
母校と仲間たちを救いたい、それによりみんなの思いが一つになった
「…ありがとうみんな」うぅぅ…
自分の頼みを聞き入れ、学園と生徒たちを救わんと張り切る光牙たちに涙を流しながら心のそこから感謝を述べた学園長だった
「半蔵殿、何から何まで世話になりました」
「な~に構わんよ。あやつらには飛鳥たちも良くしてもらっとる。それに……これから始まる大戦。準備するに越したことはないからの」
「……その慈悲深さに感服する」
蛇女に乗り込むことが決まり、光牙たちは半蔵学院の援助を受けたことによって、必要な忍具や得物の調整を済ますことができた
「光牙くん」
「佐介か?」
学園長が半蔵と話しをしている中、佐介が光牙に話しかけてきた
同じく焔たちのほうもそれぞれの相手と会話をしていた
「気をつけてくださいね。道元の事です。何かを企んでいるのは明らかです」
「あぁ、わかっている。だが、たとえやつが何を企んでいようとも必ず俺たちがそれを阻止してみせる」グッ
「さすが光牙くんですね」
その決意とともに光牙は拳をギュッと握り締める
佐介はそんな光牙の覚悟を目にし、感動する
「…そういえばお前たちも月閃と学炎祭をするそうだな?」
「はい。蛇女の人たちに負けてから勝つために目一杯修行しましたから!」
「ふん。俺たちが駆けつけた時、泣きべそをかいていたやつが大きく出たな」
「なっ!泣きべそなんてかいてませんよ!!」プク~
からかわれた佐介が怒るとともにまるで風船のように頬を膨らませた
それを見て光牙も自然と笑みをこぼす
「さて、ではみんなそろそろ行くとしよう」
「あぁ、わかった」
「光牙くん。必ず帰ってきてくださいね!」
「当たり前だ。お前との決着を付けるまでは死んでも死にきれないからな。…お前ももう二度と俺以外のやつにやられるなよ…」
互いに言葉を交わすとともに拳と拳をぶつけ合った
友としてライバルとして、これから始める戦いに"勝利する"ことを誓い合うように
「ここに来るのはいつ以来か」
「すっかり見違えちまったがな」
「仕方あるまい。怨櫓血の復活の騒動で城は跡形もないほど崩れてしまったのだ。ここまで復旧させただけでも頑張ったほうさ」
佐介たちや怨櫓血との戦いによって城は無くなってしまったことに少し寂しさを感じた
「…ここに来るとあの時のことを鮮明に思い出すな」
「あぁ、道元によって怨櫓血に吸収されたみんなを助けるために奴の体内に潜り込んだんだったな」
怨櫓血復活のための生贄にされた詠たちを救い出さんとわざと飲み込まれ、邪悪な意思に支配された詠たちを救った時のことは今尚2人の心に鮮明に残っていた
懐かしさに思いを馳せていた時だった
「っ…周囲から無数の気配を感じる」
光牙が周囲にいくつもの気配が集まってきていることに気づくと
『ウゥ~…ウゥゥ~』
そこらじゅうからまるでゾンビにでもなったかのように生徒達が現れた
「さっそくお出ましか」
「みんな、ぜったい元に戻すからね」
「…やるぞ」シャキン
『おう!』シャキン
合図とともに全員が一斉に武器を構える
『ウアアァァァァァァ!!!』ドドドドド
すると暴徒化した生徒達もまた光牙達めがけて一斉に襲いかかるのだった