閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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第二十一章 受け入れ難き現実

半蔵学院にて見事覇王光竜の再封印と力を手にした光牙と絶・秘伝忍法の習得の修行を終えた焔たちは

 

 

学園長から今、蛇女が道元によって支配され、生徒たち発売暴徒と化し、暴れまわっていることを聞かされた

 

 

自分の娘である雅緋やたくさんの生徒たちを救いたいと言う思いを告げ、光牙たちに協力を申し出た学園長の姿を見て

 

 

焔が口火を切り、生徒たちと母校を道元の魔の手から救い出すべく紅蓮竜隊は蛇女へと乗り込むことを決めた

 

 

蛇女についた光牙たちを待ち受けていたのは暴徒と化した生徒たち、狂った獣のごとく襲いくる彼女たちを前に

 

 

武器を手に真っ向から挑む光牙たち、今、蛇女を救わんとする光牙たちの戦いが幕を開ける

 

 

 

 

 

 

 

「いくぞ!」

 

 

『おー!』

 

 

その合図とともに光牙と未来が迫り来る生徒たちの頭上まで飛び上がる

 

 

「やるぞ、ついてこれるか未来?」

 

 

「当然よ!あたしだってやれるんだから!」

 

 

「そのいきだ。いくぞ!」

 

 

「うん!」

 

 

光牙と未来が同時に武器を構える

 

 

「射貫け!閃光龍雨!!」

 

 

「ぶっ飛ばす!ツェッペリン!!」

 

 

2人の広範囲の弾幕による攻撃によって次々と暴徒と化した生徒たちを蹴散らす

 

 

「どう?思い知ったかしら?」

 

 

「ウガァァァァ!!」

 

 

「し、しまっ!?」

 

 

蹴散らしたと思っていたが、残っていた雑兵が未来を背後から襲いかかる

 

 

「未来!伏せろ!!」

 

 

その声に従い、未来が伏せるとともに駆けつけた焔が六爪を構える

 

 

「ありゃあぁぁぁ!!!」

 

 

焔はその身を回転させ、高速の体当たりを繰り出す、その勢いによって雑兵たちが吹き飛んだ

 

 

「あ、ありがとう焔」

 

 

「なに、気にするな!」

 

 

「2人とも、楽しそうにしてるとこ悪いんだけど、今はそんな余裕はないわよ」

 

 

春花たちが見つめる先には

 

 

『ヴゥゥゥ〜!』

 

 

増援がこちらに向かっている光景だった

 

 

「たく、しつこい奴らだ!」

 

 

「今はお前たちに構ってる暇はないというにっ!」

 

 

悪態を垂れるも、そんなこと御構い無しにぞろぞろと押し寄せてくる

 

 

「っち!」

 

 

「父さん!」

 

 

そんな中、光牙は生徒たちに手こずる父の姿を見つけ、加勢しようする

 

 

「来るな光牙!」

 

 

「で、でも」

 

 

「私なら大丈夫だ!」

 

 

つばぜりを払いのけるとともに屋根に飛び移る

 

 

「さぁ生徒たちよ。私の首が押しくばついてこい!!」

 

 

『ウアアァァァァ!!』

 

 

兆発に乗った生徒たちが次々と学園長に向かっていく

 

 

うまくいったと言わんばかりにうなづくとともに駆け出した

 

 

「父さん!」

 

 

「光牙。そして紅蓮竜隊の諸君!ここは任せて君たちは先に行け!!」

 

 

そう言い残し生徒たちを引きつけながら消えていった

 

 

「…父さん」

 

 

「光牙、行くぞ!」

 

 

「…あぁ!」

 

 

父の思いに応えるべく先を急ぐ光牙達だった

 

 

 

 

 

先を急ぐ光牙たち、しかしそんな彼らの前にまた新たな新手が

 

 

「何度来ても同じです!わたくしが蹴散らします!」

 

 

すると詠が増援の雑兵を叩くべく駆け出した

 

 

「詠!上だ!」

 

 

「…っ!?」

 

 

突然光牙が叫びだしたことを不思議がりながら上に目を向けると、上空より詠に向かって巨大な影が落ちて来ていることに気づく

 

 

「逃げろ詠!早く逃げるんだ!」

 

 

逃げるよう促すも詠は突然の事態で反応ができずその場に立ち尽くしていた

 

 

「不味い!…っ!」

 

 

「きゃっ!」

 

 

危険を感じた春花がカラクリのアームをグイッと伸ばすとともにその腕で詠をつかむとともに全力で引いた

 

 

それが功を奏し、詠は影に押しつぶされる直前に助けられた

 

 

「大丈夫、詠ちゃん?」

 

 

「えっ、えぇ…あ、ありがとうございます。助かりました」

 

 

「よかったわ」

 

 

詠が無事だったことに安堵するとともに詠を潰そうとした影に目を向ける

 

 

土煙が舞う中、巨大な影がだんだんと小さくなり、同時に煙の中に人影が

 

 

そして人影がゆっくりと煙の中から出て来た

 

 

「お、お前はっ!」

 

 

「…」ユラリ

 

 

「忌夢!」

 

 

煙の中から出て来たのは光牙の幼馴染の忌夢であった

 

 

だが、光牙は忌夢が目の前に現れたことよりも別のことに驚いていた

 

 

「忌夢!俺だ、光牙だ!俺がわかるか?」

 

 

「……光牙」

 

 

その声に気づいたように忌夢が光牙を見た

 

 

「忌夢!なぜ俺たちに攻撃を仕掛けるんだ!」

 

 

「なぜ?…おかしな事を言うな~。だってお前は……"抜忍"じゃないか?」

 

 

「っ!?」

 

 

その時、光牙は背筋がぞっとするような思いだった

 

 

自分を見る忌夢の目は心が凍りついてしまいそうなほどの冷たさを感じた

 

 

「抜忍になったならまだしも、そいつらとともにここを攻めに来るなんて…お前はどこまでボクたちを裏切るつもりだ?」

 

 

「ちがっ…俺は」アセアセ

 

 

「何が違うって言うんだ?実際お前はボクたちよりもそいつらを選んでいるじゃないか」

 

 

忌夢の言っていることは全て事実であるがゆえに光牙は何も言い返せなかった

 

 

「信じていたのに君ならきっと雅緋を救ってくれるって」

 

 

「っ」アセアセ

 

 

「…でもこれではっきりしたよ。やっぱり君には雅緋は任せられない。雅緋は…ボクが守るんだぁぁぁぁ!!!」ギュオォォォ

 

 

その瞬間、忌夢の全身を不気味な靄が覆い尽くす

 

 

しばらくして靄が晴れ、現れた忌夢の姿を見て光牙たちは驚いた

 

 

何故なら忌夢の姿に光牙と焔は見覚えがあったからだ

 

 

蛇女を舞台に半蔵学院と戦い、現れた怨櫓血から飲み込まれた仲間たちを救うべく体内に入った時、怨櫓血の禍々しい力に我を忘れて操られていた詠たちの姿に告知していた

 

 

「い、忌夢!」

 

 

【「ふふふふ、すごい、すごいよ光牙。体の底から力が湧き出てくるのがわかるよ!この力さえあれば雅緋に近づく害虫どもを片っ端から駆除してやれるよ!」】

 

 

「くっ、…完全に精神を怨櫓血に乗っ取られている」

 

 

怨櫓血の負の感情に支配され、完全に我を見失っていた

 

 

「光牙さん、みんな、ここはわしに任せて先行けや」

 

 

「日影」

 

 

「いきなりなにを言いだすんだ日影?」

 

 

「こんなとこで足止めされ続けたら道元がなにするかわからん。さやから早う急ぎいや。……心配はいらへん、忌夢さんやこいつら倒したらすぐにいくわ」

 

 

日影はそう言って忌夢たちの元に向かおうとする

 

 

「…光牙さん、みなさん。ごめんなさい」

 

 

「っ?」

 

 

すると詠が日影の元に駆け出し、隣に立つ

 

 

「詠さん、何してはんの?」

 

 

「こんなにいたら忌夢さんとの戦いに集中できませんでしょう、他のみなさんはわたくしが引き受けますわ!」

 

 

そう言って大剣を身構える

 

 

「……ふっ、そんならお言葉に甘えさせてもらうわ」

 

 

「はい、ぜひ甘えてください」

 

 

詠の押しに負け、雑兵の相手を詠に任せて、自分は目の前の忌夢と戦う覚悟を決める

 

 

「さぁ、ぐずぐずせずに早く行ってください!」

 

 

「詠…」

 

 

「わしらを信じいや」

 

 

「日影…わかった。任せたぞ」

 

 

2人の思いを尊重し、光牙たちは先を急ぐのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

城内の中枢まで侵入することに成功した光牙たちは室内をかけていた

 

 

「ッ!」

 

 

そんな中、前方に人影が

 

 

「これ以上は行かさないわよ」

 

 

前方にいたのは自分たちを待ち構えていた両備だった

 

 

さらに後ろからも気配を感じ、振り向くと

 

 

「ここから先にはぜ〜ったい、通さないよ〜ん♪」

 

 

後ろには自分たちが入って来た部屋の入り口を塞ぐ両奈の姿が

 

 

「反逆者どもが随分と好き勝手してくれるじゃない?」

 

 

「うんうん。これには両奈ちゃんもプンプンだよ〜、そんな悪い子には〜……お仕置きしなくちゃね」

 

 

直後、両備と両備が負の感情に包まれ怨櫓血の力に支配される

 

 

「光牙くん焔ちゃん、ここは私と未来で十分よ。貴方たちは先に行きなさい」

 

 

「春花」

 

 

「怨櫓血の力に支配されている今のこいつらに負けるわけには行かない!」

 

 

「未来……光牙!」

 

 

「任せたぞ春花、未来!」

 

 

2人の思いに応え、光牙と焔は先を急ぐ

 

 

 

 

 

 

 

 

仲間たちのおかげで光牙たちは学園の中枢へと続く部屋の入り口にたどり着く

 

 

そして光牙と焔は扉を開き、中に入って行った

 

 

「っ!」

 

 

「どうした光牙!…あっ!」

 

 

部屋に入った光牙と焔が見たもの、それは部屋の中心に佇む見知った人物だった

 

 

「来たか…お前なら来てくれると信じていたぞ」

 

 

「………姉さん」

 

 

「雅緋!」

 

 

蛇女の選抜メンバー兼リーダーである雅緋、その人が

 

 

「待ち遠しかったんだぞ〜、さぁ、こっちに来てくれ、私の愛しい愛しい光牙〜」

 

 

両手を広げ、光牙を招き入れようとする雅緋だった

 

 

 


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