閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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第二十四章 たどり着いた先に待ち受ける者

道元に支配された蛇女を取り戻すべく戦いに身を投じる焔紅蓮竜隊

 

 

仲間たちが切り開いた道を進む光牙と焔はそこで自分たちを待ち構えていた雅緋と紫と対峙する

 

 

怨櫓血に支配され、負の感情によってパワーアップした2人に苦戦を強いられる光牙と焔だったが

 

 

彼女たちを救いたい、蛇女の生徒たちを救いたいと言う思いの強さが彼らを奮い立たせ

 

 

会心の一撃によって見事、雅緋と紫を怨櫓血の呪縛から解き放つことに成功する

 

 

2人との戦いに勝利した光牙たちはいよいよこの事件を引き起こし、雅緋たちや蛇女の生徒たち、母校である学園をめちゃくちゃにした元凶だある

 

 

道元を今度こそ討つべく再び学園内を走り出すのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学園内を駆けていく光牙と焔はとうとう道元がいるであろう学園長室にたどり着いた

 

 

だが、この時2人は部屋の外からでも感じられる悪意に満ちたプレッシャーを肌で感じていた

 

 

「……準備はいいか?」

 

 

「あぁっ」

 

 

意を決してドアノブに手をかける

 

 

「………いくぞ!」

 

 

その掛け声とともに光牙がドアを開き、瞬時に床を一回転するとともに弓矢を構え、焔も背中の炎月花をいつでも抜けるよう身構えながら部屋に入っていく

 

 

学園長室に入った2人の目の前には机と学園長が座る椅子が、しかし本来なら位置的にこちら側を向いているはずの椅子が背を向けていた

 

 

…いる。奴がそこにと光牙と焔の脳裏にその一言が浮かぶ

 

 

「ふふふふふふ、久しぶりだね光牙、それに焔」

 

 

「「っ!」」

 

 

2人にとってこれ程に耳障りで聞きたくもない声だと思わせるこの声、間違いないと怒りとともに得物を握る手を強める

 

 

すると椅子が動き出し、ゆっくりとこちらを向き始める

 

 

そしてついにその素顔がさらけ出された

 

 

「ぐっ……ぐぅぅぅ!!」

 

 

顔を見た瞬間、焔は今にも斬りかかりたいと言う思いを必死に堪える

 

 

焔ほどではないが光牙もまた今にも射抜きたい衝動に駆られた

 

 

忘れたくても忘れられないあの見れば見るほど憎しみがますような顔は自分たちの知る限り、奴しかいない

 

 

「しばらく見ないうちにずいぶんとたくましくなったね。抜忍の分際でよくここまで生きてきましたと褒めてあげたい程ですよ」

 

 

「お前が言えたことじゃないだろう。あのまま怨櫓血に下敷きになってくれてればよかったのにな」

 

 

「まったくもってしぶとい奴だな!」

 

 

「ふふふふふふ、私を見くびるなよ?あの程度で私がやられるとでも?私は不死身だ!この世界を私色に染め上げるまで死ぬはずがない」

 

 

道元が高らかに自分の凄さを自慢する

 

 

「そんな戯言もここまでだ。なぜならお前はここで俺たちに討ち取られるんだ…今度こそな!」

 

 

先制攻撃と光牙が矢を数発放った

 

 

放たれた矢が道元めがけてまっすぐに飛んでいく

 

 

しかし、危機が迫っているにも関わらず、道元は逃げる素振りをまったく見せない

 

 

「あまいぞ光牙よ」

 

 

さらに余裕の笑みを浮かべながらそう呟いた

 

 

一瞬それがどう言う意味かわからなかったが、それを理解するのにそう時間はかからなった

 

 

矢が道元を射抜こうとした瞬間

 

 

 

ピキキキ…ドゴォォン!

 

 

 

突如部屋の天井を突き破り、何者かが道元の前に立ちはだかる

 

 

 

パシッ、パシン!

 

 

 

現れるや否や道元を守護すべく飛んできた矢を全て弾き飛ばした

 

 

「…お、お前は」

 

 

その時、光牙は道元の前に立ちはだかる人物を見てハッとなる

 

 

「忘れてはいないかい?今の選抜メンバーは"6人"いると言うことをね」

 

 

道元を身を呈して守ったその人物の正体、それは現蛇女子学園選抜メンバーが1人にして光牙を苦しめた男、蒼馬だった

 

 

「学園に入って忌夢やあの双子、そして姉さんや紫と出くわしたにも関わらずお前には一度も出くわさなかったからおかしいとは思っていたが……なるほど、そう言うことだったのか」

 

 

ここに乗り込んだ時からずっと他の選抜メンバーの姿はあったのに彼の姿だけが見えなかったことに違和感を感じていたが、これで謎が解けたと光牙は納得した

 

 

「ふふふ、光牙よ。この蒼馬は私の忠実なる僕、他の生徒たちよりも優れた私の右腕さ」

 

 

「右腕だと?」

 

 

道元の物言いを聞いていた光牙はどうにも解せなかった

 

 

自分をあれほど苦戦させた蒼馬がこうも道元の下僕に成り下がっていることに

 

 

「光牙よ。なぜ蒼馬が私の言いなりになっているのか解せないと言う顔をしているね」

 

 

「っ!」

 

 

「いいだろう、特別に教えてあげよう。ここにいる蒼馬が妖魔の力を宿していることは知っているだろう?」

 

 

道元の言うとおり蒼馬の力、妖魔を宿したその力に光牙は苦しめられた

 

 

「蒼馬にこの力を与えたのは他でもない……この私なのだよ」

 

 

「なっ!?」

 

 

「なんだと!?」

 

 

衝撃の発言に光牙と焔は驚きを隠せなかった

 

 

「どういうことだ!道元、お前はそいつに何をしたんだ!」

 

 

焔が怒鳴るように道元を問い詰める

 

 

「君たちも知ってのとおりだろうが私の野望、それは妖魔を実用可能な兵器として各国に売ることで巨万の富を得ること……そして蒼馬はその私の計画に大きく貢献したのだよ」

 

 

「なるほど、繋がった。妖魔を人の体内に植え付け、その力を得た人間を兵士として国に売りつける。そう言うことだろう?」

 

 

「ご名答。従来の貧弱な兵士たちでは戦場に出ても弾丸を数発食らっただけで負傷し、一度毒ガスなどを浴びればすぐ使い物にならなくなってしまう。しかし妖魔を体内に宿すことによってそれは解決される。妖魔を宿すことによって身体能力は飛躍的に高まり、何発弾丸を浴びせたところで驚異的な再生能力の前には意味を成さず、どんなに毒兵器にも対応出来るほどの抗体を持つ。これほど理想的な兵士がほかにいるだろうか…そして蒼馬こそ、その計画を実現させる第一歩なのだよ」

 

 

道元は語り終えるとともに光牙と焔に告げた

 

 

「……一つだけ聞かせろ」

 

 

「何かな?」

 

 

「何人だ?何人使った?」

 

 

光牙は何かを悟ったとともに怒りのまま拳を強く握り締め、道元を睨みつけながら訪ねた

 

 

焔は光牙の言っている意味が今一理解できずにいた

 

 

「はぁ……君のような勘のいいガキは嫌いだよ」ギロ

 

 

「…悪魔がっ!」

 

 

「どういうことだ光牙?」

 

 

「こいつやりやがったんだよ。妖魔を埋め込まれたのはそこにいる蒼馬だけじゃない、こいつは自分の野望を果たすためにその他にも多くの罪もない人たちを利用してその体に妖魔を植え付けた。ここあいつしかいないのは他の実験に使われた者たちはみな死んでしまったからだ」

 

 

予想は的中し、光牙は道元を指さしながら怒りの理由を焔に教えた

 

 

「よく言うではないか、進歩に犠牲はつきものだ」

 

 

「ふざけるな!貴様の身勝手で好き放題人をいじくりまわしておいて何が進歩に犠牲はつきものだ!…やはり貴様はここで俺たちが殺す!」

 

 

「出来るかな?…蒼馬、そいつらを殺せ!」

 

 

「っ!」

 

 

道元の命令を受け、蒼馬が二人を抹殺すべく身構える

 

 

「行くぞ焔!」

 

 

「おう!」

 

 

学園を救う最終決戦が今幕を開けようとしていた

 

 

 

 


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