閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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第二十六章 内に秘められし絶望という名の希望 

蛇女子学園の運命をかけた対決が幕を開け、光牙と焔は蒼馬と対峙する

 

 

だが、蒼馬の力は光牙たちの想像を超えており、早くもピンチに陥ってしまった

 

 

しかし、そんな2人の危機を救うべく詠、日影、未来、春花が駆けつけた

 

 

焔紅蓮竜隊がここに集い、一丸となって蒼馬と戦った

 

 

6人の息の合ったコンビネーションが炸裂し、蒼馬を押していく

 

 

そしてこの戦いに終止符をうつべく、半蔵学院との修行で会得した絶・秘伝忍法を振るい蒼馬を高激していく

 

 

決め手を務める焔の斬撃が見事蒼馬を切り裂く

 

 

勝利を手にしたと浮かれる焔たちだったが

 

 

それをあざ笑うかのように道元が現れ、戦いはまだ終わっていないことを告げる

 

 

すると道元の言葉通り倒したはずの蒼馬が這い上がり、再び光牙達の前に立ちはだかるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ハァ~」プシュ~

 

 

怪しげな眼光を向け、口から白い煙を吐きながら蒼馬はその場に立ち尽くす

 

 

「う、嘘だろ?」

 

 

「わたくしたちの全力を尽くした絶・秘伝忍法を5回も浴びせましたと言うに」

 

 

「なんてことなの」

 

 

「あいつ、化けもんかいな」

 

 

蒼馬の恐るべき生命力を目の当たりにし、焔たちは思わず言葉をもらす

 

 

「ふふふ、驚いているようですがあまいですよ!本当の絶望を味わうのはこれからだ!」

 

 

すると道元が懐から何かを取り出した

 

 

それは見るからに悍ましく禍々しい気配を漂わせていた

 

 

なによりこの感じ、この学園に来てから今に至るまでずっと感じていた

 

 

「まさかその手にあるものは!」

 

 

「ふふふ、そう、…そうだとも光牙、これこそあの戦いで君たちが葬った怨櫓血の……心臓だ!」

 

 

『なっ!?』

 

 

「なんだと!?」

 

 

道元が手にしているものの正体がかつて自分たちが命をかけて倒した怨櫓血の心臓だと聞かされ、光牙たちは驚きを隠せなかった

 

 

「肉体滅び、このような姿に成り果てようとも、その恐るべき力は今も健在しているのだ」

 

 

「なるほど…だから選抜メンバーや生徒たちが怨櫓血の力に支配されていたのね」

 

 

怨櫓血に支配された生徒たちがいるにも関わらず、肝心の怨櫓血の姿がなかったことにずっと疑問を抱いていたが

 

 

これによってその謎は解かれた

 

 

心臓という変わり果てた姿になりながらもその邪な邪気で生徒たちの心と体を支配していたということに

 

 

「さて、永長と話しをするのもそろそろ飽きてきた。今から君たちに最高のエンターテイメントを見せてあげよう!」

 

 

「何をするつもりだ道元!」

 

 

「知りたいですか?いいでしょう。そこにいる蒼馬には、妖魔を喰らうことでその力を我が物とする能力がある……つまりそれが何を意味するのか、君たちならわかるはずですよね?」ニヤリ

 

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

 

道元の言う意味を察した光牙たちは戦慄する

 

 

「さぁ、蒼馬よ!凶悪なる悪魔の化身、怨櫓血の力を取り込み私に仇なすものを消しされ、ハアアァァァトバーニィィィィィング!」ピューー

 

 

「っ」ガシッ

 

 

そして道元が蒼馬に向かって心臓を投げつけ、蒼馬もそれを片手でキャッチする

 

 

「…~っ!」パカッ

 

 

心臓を受け取ると蒼馬はゆっくりとそれを口に運んでいき、同時に口を大きく開いた

 

 

「っ!!」ガジッ!

 

 

『っ!?』

 

 

光牙たちの見ている前で堂々と怨櫓血の心臓を貪り食う蒼馬

 

 

やがて蒼馬が心臓を全て平らげた

 

 

 

【「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」】ギュイィィィィィィィン

 

 

 

すると突然、蒼馬が叫びだすとともに体が不気味な光を放ち始めた

 

 

それとともにものすごい衝撃波が発生する

 

 

「っ!?」

 

 

「どうした未来!?」

 

 

「みんな見て!空が!」

 

 

未来が指さした先を見ると空が怪しげな雲に覆われていく

 

 

 

ギュオォォォォォォ!!!

 

 

 

「ぐっ、これはっ!!」

 

 

視界を遮らんばかりの凄まじい暴風の中、光が徐々に勢いを無くしていく

 

 

そして光が完全に消えた

 

 

「っ……っ!?」

 

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

 

光牙たちが目を向けた瞬間、その場の空気が一瞬で凍りついた

 

 

目の前にいるのはもはや人間とは言えない、一言で言うなれば異形の者。亜人だった

 

 

体の表面にはゴツゴツとした鱗のような外皮を身にまとい、手と足には鋭く尖った爪

 

 

そしてひときわ目立つのは背中を埋め尽くす鋭利なものをつけている4つの触手と肩についている怖しげな形相をした女性の顔だった

 

 

これこそが怨櫓血の血肉を喰らい、その力を取り込んだ蒼馬の悪しき姿なのである

 

 

「素晴らしい、素晴らしいぞ!ついに、ついに完成したのだ!そう、この蒼馬こそが私の追い求めていた最強の兵士なのだ!あははははははっあ~はっはっはっは~!!」

 

 

理想を実現させた道元は感極まったように笑いだした

 

 

「さぁ、蒼馬よ!今こそその最強の力を振るい、そこにいる愚かなものたちにお前の偉大さを見せつけてやるのだ!」

 

 

道元が蒼馬に光牙達を倒すように命じる

 

 

蒼馬はそれを聞くとゆっくりと光牙たちを見つめた

 

 

【「は、ハ、排除……する!」】ゴォォォォォォォォォォ

 

 

「っ!!気を付けろみんな!」

 

 

ただならぬ殺気を感じ取った光牙が焔たちに警戒するよう促す

 

 

【「ゆ、ユ…行くぞ!!」】

 

 

『っ!?』

 

 

【「グアアァァァァァ!!」】

 

 

 

ブォォォォォォォォ!!

 

 

 

「っ、速っ!!??」

 

 

【「デアアアアアアアァァァァァ!!!!!」】バキィィィィィン

 

 

「っつ!?…ゴハッ!?ぐあああぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

「「「「「光牙(さん)(くん)!!??」」」」」

 

 

 

ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!! ドガアァァァァァァァン!!

 

 

 

まったく反応出来ないまま気づいた時には既に遅く、光牙は学園のほうに壁を突き抜けながら吹き飛ばされていった

 

 

「くそっ!よくも光牙を!許さんぞ!!」

 

 

光牙の敵と焔が先走り蒼馬に攻撃を仕掛ける

 

 

「私たちもやるわよ!!」

 

 

「「「「おー!!」」」」

 

 

遅れを取るまいと春花の合図で詠たちも挑む

 

 

「はあぁぁぁぁ!!」

 

 

【「っ!」】グゴゴゴ

 

 

 

ガキィィン!

 

 

 

「なぁっ!?」

 

 

紅蓮の焔となり、炎月花を持てる渾身の力で振るったというのに

 

 

それは蒼馬の背中の触手の外骨格によって無残にも弾き返されてしまった

 

 

【「グオオォォォォン!!!」】

 

 

「うわあぁぁぁぁぁ!!」

 

 

すると反撃と言わんばかりに手の空いてる3本のうちの一本を焔の腹部にクリティカルヒットさせた

 

 

「焔!」

 

 

「未来、よそ見しちゃダメ!来るわよ!!」

 

 

「っ!?」

 

 

春花の言うとおり焔を吹き飛ばした蒼馬が今度は詠たちに襲いかかる

 

 

4人を同時に相手にしているにも関わらず戦況は五分、否、詠達の方が劣勢に立たされていた

 

 

「このっ!」

 

 

【「ッ!!」】シュルルル!

 

 

「っ!?ぎにゃあぁぁぁぁ!!!」

 

 

「未来!?」

 

 

蒼馬はまず最初に遠距離タイプである未来を優先して潰した

 

 

「よくも未来を!そんな悪い子にはお仕置きが必要みたいね!」

 

 

それを見た春花が再び試験管を取り出す

 

 

【「グウッ!」】シュルルル!

 

 

「まずい!きゃあっ!?」

 

 

「春花さん!」

 

 

次に蒼馬が狙ったのは春花だった。彼女の使う試験管は厄介だからだ

 

 

「これ以上好きには!!」

 

 

詠が忍具を蒼馬に向ける

 

 

【「ギュアアァァァ!!」】ブオン!

 

 

「しまっ!いやああぁぁぁぁ!!」

 

 

「詠さん!」

 

 

忍具を使わせまいと触手を鞭のようにしならせそれを詠に叩きつける

 

 

「…あんた、ちょっと、いねや!!」

 

 

仲間たちを傷つけられ日影が迫り来る触手を掻い潜りながら蒼馬の懐に入り込んだ

 

 

「コイツで!!」

 

 

急降下の勢いを乗せ、蒼馬の心臓めがけてナイフを突き出す

 

 

【「……ギュアアァァァ!!!」】ザシュン!

 

 

「な…なんやと……?」ポタポタ

 

 

とったと思った日影だったが逆に取られたのは日影の方だった

 

 

目を向けると蒼馬の鋭い爪が自分の腹部を貫き、そこから赤い血がドバドバと流れ落ちていた

 

 

【「ッ!」】ブン!

 

 

「がはっ!」

 

 

そして最期はガラクタを捨てるかのように彼女の体を地面に叩きつける

 

 

蒼馬の前に為すすべもなくのたうち回る焔たちの姿があった

 

 

「は~っはっはっは~!素晴らしい、圧倒的じゃないか!それでいい、それでこそだ!」

 

 

紅蓮竜隊を全員圧倒するほどの力を目にし、道元は誇らしげだった

 

 

「さぁ蒼馬よ。そこにいる小娘どもを消し去れ、そして残っている光牙も葬り去るのだ!」

 

 

【「…わ、ワ、わかりました……マスター」】

 

 

道元の命令を受けた蒼馬がゆっくりと一番近くで倒れている焔に向かって歩み寄ってくる

 

 

【「……っ!」】ガシッ

 

 

「あっ、ああっ…」グイッ

 

 

首根っこをつかみながら持ち上げた

 

 

もはや焔には抵抗する力も残ってはおらず、ただ自分を掴んでいる手を掴むことしかできなかった

 

 

「な、何をする気なの!!」

 

 

「やめて…やめてください!!」

 

 

「その手を…離して!」

 

 

「うっ…うう…」

 

 

傷つきながらも詠たちは焔の身を案じるのだった

 

 

「うっ…うぅ…こう、が…」

 

 

弱々しい声で焔は光牙の名を呟く

 

 

「…こう…が……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、蒼馬に吹き飛ばされた光牙は学園の反対側の庭で気を失っていた

 

 

『…うが…』

 

 

「うっ、うう…」

 

 

『…光牙』

 

 

「っ!?」

 

 

頭の中に響く声に導かれるかのように光牙は目を覚ます

 

 

「俺は…そうか、蒼馬の攻撃を受けて…っ!みんなは!?」

 

 

記憶を整理し終えた光牙があたりを見回していると

 

 

 

 

 

な、何をする気なの!!

 

 

やめて…やめてください!!

 

 

その手を…離して!

 

 

 

 

 

向こう側から仲間たちの悲痛の声が聞こえる

 

 

「みんな!」

 

 

仲間達の危機を察知した光牙が立ち上がる

 

 

「(今のままでは蒼馬には俺たちでは勝てる可能性はない……だが、俺にはまだあの手がある!)」

 

 

蒼馬の凶悪な力は熟知した

 

 

だからこそ光牙はついに覚悟を決める

 

 

精神を集中させ始めると同時に全身が光り輝きだした

 

 

全員からあふれだす光が徐々に光牙を包み込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………っ?」

 

 

光牙が目を覚ますとそこは彼の精神世界だった

 

 

「よう、久しぶりじゃの…お前様よ」

 

 

「…ドラ、ゴン」

 

 

目の前にあるのは封印が施された鉄の檻とそこに閉じ込められし幼女の姿

 

 

ここ何日もの間ふれることもなかった彼女と光牙は再会を果たす

 

 

「お前さまよ随分なやられようじゃの。このままじゃ全滅もありえそうじゃな?…そうなればあの小娘どもはどうなってしまうやら?」

 

 

「そんなことはさせない。俺はもう、なにも失わないために今できることを全力でするだけだ」

 

 

「ふふっ、大きくでたの?…じゃがお前さま、忘れたわけではあるまい。今お前さまが使おうとしてる力を使えば消費されるエネルギーは今までの比ではない、使い続ければその消費された力はわしに還元される。力を使えば使うほどお前さまは絶望へと近づいていく……あの時、わしに支配されて仲間を傷つけた時のようにの」

 

 

煽るような彼女の言葉を聞いた光牙の脳裏にあの忌まわしい出来事がフラッシュバックする

 

 

「お前さまはその覚悟があるのかえ?わしという名の絶望が待ち受ける茨の道を進んでいく勇気が」

 

 

光の竜が試錬を突きつける

 

 

「……ふっ、わかってないな」

 

 

「なに?」

 

 

「お前の力は俺の希望なんだよ」

 

 

「……っ?」

 

 

光牙の思わぬ台詞に思わず声を失った

 

 

「わしが…希望じゃと?」

 

 

「確かにお前がしたことを俺は今でも心良く思っているわけじゃない…だが、この状況を打破する唯一の希望はお前以外にいやしないんだ」

 

 

曇りのないまっすぐな思いを乗せた瞳が光の竜を写す

 

 

「……アハハハハハハハハハハ!面白い、ならばお前さまがどこまで耐えれるのか見極めてやろうではないか。思う存分わしから奪った力を使うがいい!」

 

 

その瞬間、光の竜が眩い光を放った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に目を開くと光牙の視界に写ったのは元の場所だった

 

 

「ありがとう、ドラゴン……待っていろみんな、今直ぐに行く、終わらない、終わらせるものか!」ゴォォォォォォォォォォ

 

 

その思いに好悪するかのように光牙の身体を包んでいた光が一層光を強めた

 

 

「俺たちはまだ歩み続けている。果てしなく険しい未来という名の道を……だから、故に!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギュイィィィィィィィン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「突き進み、切り開く!!」ブゥゥン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

光牙が右手を横に振りかぶった瞬間、背後の地面から天に上りあがる白き竜が現れた

 

 

猛々しき咆吼とともに竜が一直線に光牙に向かって落下し、光牙を飲み込んだ

 

 

すると光牙の全身がコーティングされていき、白をベースにしたパワードスーツと、それを覆うように防具が武装されていく

 

 

メッシュを帯びていた黒髪は完全に白に染まっていた

 

 

やがて変身が完了した光牙はゆっくりと一息つく

 

 

 

「待っていろ……みんな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「焔~!!!」

 

 

「お願いします!焔ちゃんを殺さないで!!」

 

 

詠たちは尚も蒼馬に苦しめられる焔を救いたい一心で必死に命乞いを続けた

 

 

「さぁ蒼馬よ!あまちゃんぞろいのこいつらに大切なものを失うことの恐怖を教えてやれ!!」

 

 

【「はい……マスター」】グッ!

 

 

その声を聞いた蒼馬が全力で締め上げる

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな……すま、ない」

 

 

 

 

 

 

 

 

「や、やめてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ボキッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

未来の叫びも虚しく鈍く、悍ましい焔の首の骨が折れる音が響き渡る

 

 

 

 

「終わったな」フッ

 

 

 

 

そして蒼馬が手を離すと焔の体がゆっくりと落ちていく

 

 

 

 

 

絶望のビジョンが詠たちの目に焼き付けられる

 

 

 

 

 

 

『焔(ちゃーーーーん)(さーーーーん)!!!』

 

 

 

 

 

詠たちの悲しみに満ちた呼び声が響き渡る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「秘伝忍法・タイム・ストリーム・リバース!!!!」ギュイィィィィィィィン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチカチカチカチカチカチカチカチカチ ギュイィィィィィィィン!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ蒼馬よ!あまちゃんぞろいのこいつらに大切なものを失うことの恐怖を教えてやれ!!」

 

 

【「はい……マスター」】

 

 

蒼馬が焔の首を締め上げる

 

 

「や、やめてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

「みんな…すま、ない…」

 

 

焔が死を悟った

 

 

【「っ!!」】グッ!

 

 

「っ!」ガシッ

 

 

【「っ!?」】

 

 

しかし、その直後、蒼馬は突然、何者かに腕を掴まれた

 

 

掴まれた法を見るとそこには

 

 

「こ、光牙…?」

 

 

そう光牙がいたのである

 

 

「焔から手を離せ」

 

 

光牙がつぶやいた瞬間

 

 

 

 

 

ブォォン! バキィィィィィン!!

 

 

 

 

ドゴォォォォォォォォォン!!!!

 

 

 

 

「な、なんだ!何が起こった!?」

 

 

気づいた時には蒼馬がいきなり吹き飛ばされていた

 

 

あわてふためく道元を他所に光牙が焔をお姫様抱っこしていた

 

 

「ゲホッ!ゲホッ!」

 

 

「大丈夫か焔…?」

 

 

「~…こ、光牙?」

 

 

「…間に合ってよかった」

 

 

ニッコリと笑みを浮かべた光牙を見て焔は頬を赤らめる

 

 

焔が無事なことに安堵するとともにそのまま彼女を詠たちのもとへ運んだ

 

 

「こ、光牙くん。あなたその姿は?」

 

 

「すまない、今は説明してる暇はない、みんなはここで待っていてくれ」

 

 

「こ、光牙!」

 

 

立ち上がり、単身一人で蒼馬に向かっていく光牙を焔が呼び止める

 

 

心配そうな目で自分を見つめる焔を見て光牙は面と向かって語りかける

 

 

「大丈夫、心配するな。すぐに終わらせるから…約束だ」

 

 

そう言うと光牙は再び彼女たちに背を向け、蒼馬のほうに歩み寄ってくる

 

 

「おのれ光牙!貴様!!!」

 

 

「道元、貴様の野望もここまでだ。貴様の腹の中に住まう邪悪を、この俺の白き闇で跡形もなく消し尽くしてやる!」

 

 

高らかに宣言するとともに光牙は道元と蒼馬との最終決戦に挑むのだった

 

 

 

 


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