閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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第九章 あなたはいったい?

忍学生寮 夕方

 

「それじゃ、僕はランニング行ってきます」

 

佐介はこの日の修行の最後にランニングするため、ジャージに着替えていた

 

「分かりました」

 

「じゃあ買い物終わった連絡するね」

 

飛鳥と斑鳩は夕飯の買い物に行くため、佐介とは逆方向の商店街へ向かうことに

 

「うん。わかった。じゃ、行ってきます!」

 

「「いってらっしゃい」」

 

二人に見送られ佐介はランニングに、飛鳥と斑鳩は商店街へと向かう

 

だが、この時3人は気づいていなかった

 

遠くから自分たちを見つめていた二つの影を

 

影の1人が佐介を見つめると

 

「手はず通りにあの二人の足止めは任せたぞ?」

 

「えぇ、ご安心ください…しかし、あれが春花さんの言っていた半蔵のもう1人のメンバーですか。なかなかに可愛らしい顔をしてますのね。それにお強いとか」

 

「問題ない、いかに春花が奴が強いと言っても俺には勝てん。その実力、しかと調査させてもらう」

 

ふっと余裕からなのか悪い笑みを浮かべる

 

「ではお任せ致しますわ。わたくし、個人的にあのお嬢さまと戦おうと思ってましたし」

 

「…そうか」

 

「贅沢は…お嬢さまは…金持ちは敵ですわ」

 

握り拳をつくりぐぐぐっと力を込める

 

「頼もしい限りだな。ではそろそろ、行くとしよう」

 

「承知」シュン!

 

その言葉とともに一つの影が消え、もう一つの影は再度、佐介を見つめる

 

そして先ほどの相方と同じく影はその場から消えた

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そろそろ折り返し地点だ。早く帰ってお料理のお手伝いをしないと」

 

そろそろ二人が帰るであろうと思い、寮へと戻るため道をかける佐介

 

その刹那

 

「ん?」

 

突然、その場の空間が変貌し、忍結界らしき殺風景な空間へと変貌した

 

「これは…もしや敵?」

 

構える佐介、そして神経を研ぎ澄まし、何者かの気配を感じる

 

しかも以前に佐介はこれに酷似した気配を感じていた

 

「!?」

 

見つけた先には忍装束を纏い顔を仮面で隠した男の姿がいた

 

「…あなたは?」

 

佐介は問いかけるも男は無言のまま、両手を広げると

 

彼の手に光が集まる。そしてそれは徐徐に形を成していき、やがて弓と矢へと変わった

 

すると男はそのまま弓を構えると、引っ張っていた矢を佐介に向けて放った

 

「なっ!?…っ!!」

 

驚きながらも矢をかわす佐介だが

 

シュンシュンシュン!!

 

それは想定内と言わんばかりに第二発の矢を連射で放つ男

 

迫りくるかわしきれないほどの無数の矢が佐介に襲いかかる

 

「…それなら!はあ!!!」

 

佐介は素早くかわせる矢はかわし、かわせない矢は手刀で矢をはねとばしていく

 

一本のはねとばされた矢は男の隣を通りすがり後ろの木にぶつかり消滅する

 

それを見た男は仮面ごしでにやっと笑う

 

「ほ~う、やるな。そうでなくては歯ごたえがない」

 

「あなたはいったい?」

 

「答えず…。粒子変化(フォトランス)

 

男は粒子の弓を柄しかないような武器から粒子を放出させ1メートル程の光刃を生成する

 

「ふっ!!」

 

「っ!?忍転身!」

 

佐介は忍装束を纏うと男の攻撃に備える

 

だが、2本の光刃を巧みに操り、素速い攻撃をしかけてくる男はその猛攻で佐介を追い詰めていく

 

佐介は篭手でそれを防ぐも防戦一歩だった

 

「どうした?防ぐだけではなにもできんぞ?」

 

「くっ!」

 

だが、佐介とてやられたままではなかった

 

「ふっ!」

 

「なに!?」

 

男のわずかな隙をつき、攻撃が当たる瞬間に佐介は屈んで攻撃をかわす

 

そして拳を強く握り締め突き上げる

 

「はあぁぁぁ!!!天轟拳!!」

 

「ぐっ、ぐうぅぅぅぅぅぅ!!!!!」

 

「はあぁぁぁぁ!!!!!」

 

男は天轟拳をダガーをクロスさせ、攻撃を防ごうとするも

 

 

ピキキキキキ

 

パリーーーーン!!!!

 

光刃が天轟拳の威力に耐え切れず砕け散り

 

佐介の拳が空へと突き上がると同時に

 

男の体は勢いよく夕日の赤い空へ舞い上がり地面に落下した

 

地面に倒れ込む男を見つめる佐介

 

「…」スッ

 

すると男は少しずつゆっくりと起き上がる

 

「やっぱり…当たる寸前に体を少しずらし、勢いを流してましたか」

 

「っふ…いやはや、さすがだ。直撃していればやばいところだった」

 

男は立ち上がると、仮面に罅が入っており、そのひび割れは尚も続き、ついにパリンっと言う音とともに仮面が地面に落ちる

 

そして男は素顔を露にする

 

その素顔は一言で言えばイケメンと言う言葉が似合うようなでかっこいい容姿だった

 

「ふふ。」

 

「何がおかしいんです?」

 

急に笑いだす男に佐介は訪ねた

 

「失礼…悪かったな。正直俺は貴様を舐めてたんだ。だが想像以上にできるようなのでな。少しばかり実力を見せてやろうと思ってな」

 

「…そうですか。それは光栄ですね」

 

「…では、いくぞ」

 

弓矢を生成すると

 

「ふっ!!」

 

男が矢を上空に放つ

 

「秘伝忍法・閃光龍雨!!」

 

上空で拡散した粒子が龍の姿を模ったエネルギーとなり、佐介を襲う

 

「くっ、それなら!!」

 

佐介は構えると両手に気を溜めていく

 

「はあぁぁぁ!!秘伝忍法・連 獣波拳!!」

 

「あっ!?」

 

ガオオオ!!!

 

突き出した両手から放たれたライガーを模様したエネルギー波たちは龍のエネルギー波とぶつかり、相殺された

 

「…ふん、やるな」

 

「えぇあなたこそ、あんなすごい術、僕見たことがありません」

 

「そうか…なら」

 

弓を構え、佐介に狙いを定める

 

「これならどうだ」

 

そう言って男が再び矢を放つ

 

粒子変化(フォトランス)!」

 

すると突然矢が形を失っていき、拡散し6つの浮遊する砲台を生み出す

 

「これは?」

 

ビュン!

 

「!?」

 

佐介めがけビームが放たれていく

 

ビームを避けたり篭手で防ぎいでいくも砲台の攻撃は止まる気配がない

 

「…ならば!」

 

佐介は手裏剣を砲台にむけて投げていく

 

「手裏剣影分身の術!」

 

すると手裏剣が分身し、砲台に向かっていく

 

数が数であり、よけきれず移動砲台は消えさる

 

「よし次は…!?」

 

その刹那、矢が目の前に迫っていた

 

「はっ!」

 

佐介は慌てず右手で弾き返す

 

…だが

 

「なっ!?」

 

「いい目をしている。…だが!!」

 

 

ザシュン!

 

 

「あ…」

 

「その目のよさが時に命取りだ」

 

わずかな隙、その隙を見事に突かれてしまった

 

胸元にはナイフが突き刺さっており、そこから血がドロドロとながれていた

 

「うぶ…ぐふぉ!?」

 

口から沢山の血を吹き出しながらも男に拳を振るうが男に直ぐ様反転され距離を取られてしまった

 

刺さった粒子のナイフを強引に抜き、右の胸を押さえ地べたに跪く佐介に

 

「っ!?」

 

「…ふっ!!」

 

「がはっ!」

 

膝蹴りが顎に炸裂し、佐介の身体が宙に浮く

 

すかさず男が回し蹴りをかます

 

「ぐあっ!!」

 

その勢いで吹き飛ばされ佐介は岩の壁へ激突する

 

土煙が舞う

 

「どうした?その程度ではないだろ?もっと見せてみろお前の本気を」

 

煙が晴れるとそこには苦しそうに息をしながらも尚戦う意思を折らない佐介の姿があった

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

「そうだ。そうでなくてはな…ならば」

 

男は全身から力をあふれださせ弓矢を引っ張る

 

佐介も負けじと両手に気を溜め始める

 

「くらえ!秘伝忍法・輝迅!」

 

高濃度に圧縮された粒子を帯びた矢が放たれた

 

「はあぁぁぁぁ!!!秘伝忍法・真 獣波拳!!」

 

ガオオオオオオ!!!!

 

佐介は気弾で迎え撃った

 

互いの技がぶつかりあい、凄じい爆発がおこる

 

「うわぁぁぁ!!!」

 

「ぐっ、ぐぉぉぉ!!」

 

それにより発生した爆風で二人は吹き飛ばされる

 

「楽しませてくれる」

 

「くっ…ん!」

 

構えをとってはみせるも状況は圧倒的に佐介の不利だった。相手は殆どスタミナ切れを起こしてないにも関わらず、自分は先ほどの傷で怪我をしている状態、この状況で長期戦になれば自分の敗北は揺るがない

 

「(おそらく、この人は今まで僕が戦ってきた中でも屈しの人だ)」

 

彼が本気をだせば自分よりはるかに上だろうとこの戦闘を通して佐介は察した

 

「(でも、ここで逃げる訳には行かない!)」

 

佐介は決意し、相手の攻撃に備える

 

「さぁ、続きと…ん?」

 

すると男が突然立ち止まる

 

どうやら誰かと連絡をとっているようだ

 

「そうか、わかった…今日はここまでだ」

 

「えっ?」

 

「終わりだといったんだ。この勝負あづける。次の戦いまで腕を磨いておけ」

 

そう言うと男は結界から出ようとする

 

「まって!」

 

それを佐介は呼び止める

 

「なんだ?」

 

「最後に教えてほしい。あなたの名前を」

 

名前を尋ねる佐介に男は少し沈黙する

 

「……ふん。いいだろう。俺の名は光牙だ」

 

「光牙くん…僕の名前は佐介だよ」

 

「そうか、ならその名、しばし覚えておいてやろう…俺が狩り終えるまではな」

 

そう言うと光牙は結界から消えると、結界が消滅し、元の場所の風景に戻る

 

「光牙くん、か…まったく敵わなかった」

 

さっきの戦いで自分は光牙に決定打を与えられないどころか自分は手痛いダメージを食らった

 

その悔しさで唇を噛み締める

 

「このままじゃだめだ。もっともっと強くならなきゃ」

 

佐介はこの戦いを経て再び強くなるという目標を改めて決意するのだった

 




ちなみに。この戦いの間にアニメと同じく斑鳩さんたちも襲われていた

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