閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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月閃女学館編 第三章 僕と雪泉の出会い

紫苑たち月閃女学館のメンバーは恩師であり、雪泉の祖父、黒影のもとに彼の好物であるいちご大福をもって向かっている途中

 

 

彼のライバルと称された伝説の忍、半蔵と偶然にも出会い

 

 

出会いがしらに雪泉たちは半蔵からのセクハラを受けてしまい

 

 

応戦するもまったく歯が立たず

 

 

それどころか持ってきていたいちご大福を半蔵に全部食べられてしまったのである

 

 

怒りに震える紫苑たちだったが半蔵は小馬鹿にするような感じで

 

 

自分の孫たちと戦い、勝てば勝負をうけるとつげ、雪泉たちの元から消えた

 

 

そして悔しさを胸に秘めながらも月閃に戻った紫苑たちを待っていた自分たちの教師

 

 

王牌から学館からの指令として蛇女子学園に学炎祭を仕掛けることになったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月閃女学館にて校内に植え付けられている桜の木の下で縁台に座りながら茶と茶菓子である羊羮を食べる紫苑と雪泉は自分たちのなすべきことを考えていた

 

 

 

「……悪の存在しない世界を作ること、それがおじい様の悲願であり、私たちの悲願でもある」

 

 

「僕たちの手で、悪のいない善だけの世界を作ることが僕たちのなすべき使命だからね…」

 

 

「しかし、それは悪を倒しただけで済むような簡単な話しではないのもまた事実です」

 

 

「わかってる…半蔵学院のことだよね?僕も調べたよ」

 

 

紫苑と雪泉は半蔵と会ったその日の夜

 

 

互いに別々で半蔵学院のことを調べていた

 

 

「半蔵学院の忍学生たちは、善忍でありながら悪忍たちと付き合いがあるとききます」

 

 

「…正直、半蔵学院の人たちがなんでそんなことをするか理解に苦しむよ」

 

 

茶を啜りながら紫苑は続けた

 

 

「私は改めて思うのです。悪は善さえも蝕む恐ろしいものだと」

 

 

「悪はこの世界に害を撒き散らす異物。そんな悪をこの世界からなくすためにも僕たちはもっと強くならければならない」

 

 

「そうですね。紫苑の言うとおりです」

 

 

その時、上から桜の花びらがひらひらと落ちてきて茶の上に落ちる

 

 

「花…そう言えば覚えてますか紫苑」

 

 

「なにが?」

 

 

「あなたと私が初めて会った時のこと?」

 

 

「いきなりなにを言うかと思えば、忘れるわけないよ。あの時、もし雪泉や黒影さまに会わなかったら僕は今、ここにはいなかったろうからね…」

 

 

雪泉の言葉に紫苑は思い返す、自分と雪泉が初めてあった日のことを……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここからかなりタイム・タイラント!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫苑と雪泉が出会ったのはまだ黒影のもとに叢たちが来る前

 

 

この頃に暮らしていたのは雪泉と黒影だけだった

 

 

そしてそんな二人での生活の中迎えた秋の日

 

 

雪泉は黒影に連れられ、秋に咲くシオンの花を見に来ていた

 

 

今ではああも冷静な雪泉だが、やはりまだ幼く、子供故に好奇心もあっていろいろあたりを探検しているような年頃だった

 

 

そうして雪泉があたりを探検している時だった

 

 

雪泉の目に写ったのは自分と同い年くらいの綺麗な子がいた

 

 

不思議そうな感じがしたので雪泉は試しに近寄り声をかけてみた

 

 

「あなたはどこからきたんですか?」

 

 

「……おぼえてない」

 

 

「ごりょうしんはいっしょじゃないんですか?」

 

 

「りょう……しん?」

 

 

言っていることの意味がわからないと言いたげな顔で子供は小首をかしげる

 

 

困り果てているとそこになかなか戻ってこない雪泉を心配した黒影が歩み寄ってきた

 

 

雪泉は今までのことを話すと黒影は紫苑に尋ねる

 

 

「君、一人なのか?お父さんやお母さんはどうしたんだ?」

 

 

「……わかりません」

 

 

「ふむ……では君の名はなんというのだ?」

 

 

「……わかりません」

 

 

尋ねても尋ねても自分がここにいる事や、剰え名前すらわからないと言い続ける子供だが

 

 

どうにも喋りたくないからそう言ってるのではなく本当にわからないというような顔をしていることに黒影は感づき

 

 

捨てられたか、或いは病気で両親を失ってしまったのかと思った

 

 

「…では、質問を変えよう。君はなぜここにいるのだ?」

 

 

これ以上、暗くさせてはまずいと考えた黒影は別の質問に切り替えた

 

 

すると子供はゆっくりと目を辺り一面に咲くシオンの花を見てつぶやく

 

 

「きれいだったから」

 

 

「うん?」

 

 

「とっても…きれいだったから」

 

 

子供は咲いているシオンの花を見つめ、小さく笑みをこぼし、そうつぶやいた

 

 

その笑顔はとても美しいものだった

 

 

雪泉だけでなく自分でさえそう感じるほどに

 

 

その時だった

 

 

ふと子供が他の花とは別で蕾が開いていないシオンの蕾に歩み寄っていく

 

 

「悲しいものよ…ほかの花はあんなにも咲き誇っているのに、この花だけ仲間はずれとは…」

 

 

「おはなさんがかわいそうです」シクシク

 

 

仲間はずれのシオンの蕾を見た雪泉は目に涙を溜めると

 

 

黒影のもとに駆け寄る

 

 

そんな時だった

 

 

ふと目を離した隙に子供が蕾に手を添えていた

 

 

「さみしいの?…そっか…いっしょだね…でも、だいじょうぶ。もうさみしくないよ…うん。まかせて」

 

 

子供は何やら1人でに話し出すと、じっと目を閉じた

 

 

この時、黒影も雪泉もあの子が何をしようとしているのか分からず

 

 

その様子を見ながら立ち尽くしていたその刹那の出来ごとだった

 

 

「……」シュゥゥゥ…

 

 

「っ!?」

 

 

黒影の目には子供が蕾に生命エネルギーを分け与えているのがわかった

 

 

すると次の瞬間

 

 

パララ…パラララララ・・・

 

 

先ほどまで蕾だったシオンの花が開花したのだ

 

 

「わぁ~、おじいさま。みてください。おはなさんが元気になりましたよ~!」キラキラ

 

 

「あぁ…そうだな」

 

 

じゃれつく雪泉の頭を黒影は優しく撫でる

 

 

その後、見事、シオンの花の蕾を開花させた子供の凄さを目の当たりにし、驚いていた

 

 

あれは明らかに普通の人ができる芸当ではない

 

 

熟練された忍でもなかなかできるようなことではない

 

 

それをこの子供はやってのけたのだ

 

 

黒影は驚く心を落ち着かせると再び子供に尋ねる

 

 

「…君、これから行くあてはあるのか?」

 

 

「いくあて?……いいえ、わかりません。ぼくはどうしてここにいるのか?どこにいけばいいのか?……わからないんです」

 

 

子供は悲し気な表情を向けた

 

 

これを見た黒影は決心した

 

 

「君、よかったら俺たちのもとに来るか?」

 

 

「えっ?」

 

 

「行くあても、居場所もないのなら…俺がお前の居場所になってやろう」

 

 

そう優しく語りかける黒影は子供に手を差し伸べた

 

 

黒影のとった行動に子供はおどおどし始める

 

 

その時だった

 

 

「おじいさまのいうとおりです。ひとりぼっちなんてダメですよ」

 

 

雪泉は子供の手を引っ張り、そう囁いた

 

 

子供は恐る恐る黒影の方を向くと黒影は優しい笑みを浮かべながら頷いた

 

 

「……いいん、ですか?」

 

 

「あぁ…もちろんだ」

 

 

子供は少し沈黙し、不安気ではあったが

 

 

そっと黒影が差し伸べた手を繋いだ

 

 

雪泉もこれには嬉しそうな顔で喜んでいた

 

 

「そういえば君は名前が無いのだったな。それでは何かと不便だろう。俺が君に名を与えてやろう」

 

 

そう言うと黒影は子供につける名前を考え始めると

 

 

「蕾はどうだ?君のような可愛い女子に似合いそうな名だろう?」

 

 

「いいですわおじいさま」

 

 

名を提案し、雪泉も賛成するが子供は浮かない顔をする

 

 

「気に入らなかったか?」

 

 

「いえ、そうではなくて…ぼく、おとこです」

 

 

「……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!????」

 

 

それを聞いた瞬間、雪泉は声をあげ、黒影もまた目を見開きながら驚いていた

 

 

「そ、そうだったのか…すまぬ。まさか男とは…そうか。ならば…何がいいか?」

 

 

再び考える黒影の目にシオンの花が目に映る

 

 

「よし…お前の名は今日から紫苑だ」

 

 

「紫苑?」

 

 

「この花と同じ名だ」

 

 

そう囁くと

 

 

子供は与えられた名をぶつぶつと呟く

 

 

「ぼくの名前は…紫苑」

 

 

「そうだ。それが今日からお前の名となる」

 

 

「これが…ぼくの名前」

 

 

名を与えられ、子供は嬉しそうな顔をする

 

 

すると雪泉が子供の手をとる

 

 

「よろしくおねがいしますね、しおん。わたしのなまえはゆみです」

 

 

「…ゆみ」

 

 

「はい♪」

 

 

「さぁ、一緒にいこう。歓迎するぞ、紫苑」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが紫苑と雪泉たちの出会いであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「懐かしいね…あの出会いがなかったら僕は今もどこかを彷徨ってたんだろうね…」

 

 

「…紫苑と一緒に過ごした日々はどれも素敵な日々でした」

 

 

「それからしばらくして叢たちが来て、賑やかになったね。今も変わらず賑やかだけどね」

 

 

「…ふふ、そうですね」

 

 

そう言うと雪泉は紫苑の肩に静かに頭を寄りかける

 

 

「雪泉?」

 

 

「こんな幸せがずっと続けばいいですね」

 

 

「…うん。そうだね」

 

 

紫苑は雪泉の言葉に頷くと

 

 

彼女の頭を優しく撫でた

 

 

「そしてそのためにも僕たちは戦うんだ」

 

 

「えぇ、おじい様の理想、私たちの理想を実現させるために」

 

 

「悪のいない善だけの平和な世界を作るために…」

 

 

こうして自分たちのなすべきことを再確認した紫苑と雪泉だった

 

 

 

 

 

 

 

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