ここは国立半蔵学院
伝説の忍、半蔵からその名をとったマンモス校である
その半蔵へと紫苑たちは訪れた
もちろん忍んで…
「ここが半蔵学院ですか。半蔵の孫たちがいると聞いて訪れてみたものの…」
「こうもあっさりと侵入を許すなんて、忍としてセキュリティーがあまあまのようだね」
半蔵学院にやってきた紫苑と雪泉は学院を見渡し、学院の警備の甘さに呆れていた
「残念、そんなことありません!」
するとそこに二人の忍が現れた
「あなたたちが侵入してきたことは既に気づいておりました」
警備が甘いわけではないと少女がいい
自分たちが侵入していたのを気づいていたと少年は言い張る
「威張って言えることではないですよ」
「べつに私たちは気配を消していたわけではありません。あなたたちが私たちの存在にいつ気づくのか確かめたかっただけです」
「えっ?」
紫苑が言うには自分たちは半蔵の生徒達に自分たちの存在を感知させるために
わざと気配を消さなかったという
「しかし、ここに来るまでに時間をかけすぎです。忍たるもの常に状況に応じて即座に行動をしなければならない…あなたたちはそれが全く出来ていない」
呆れながら紫苑は二人にそう告げた
「ところで、あなたたちは忍みたいだけど半蔵学院になんのようなの?」
「私の名は雪泉、こちらは紫苑、私たちの学校である死塾月閃女学館を束ねております」
「以後、お見知りおきを」ペコ
両手でスカートを軽くつまんで少しあげながら丁寧にお辞儀をする
「私は飛鳥、そしてこっちが佐介くん。私たち二人とも半蔵学院の一員だよ」
「よろしくお願いします」ペコ
飛鳥と佐介も二人に挨拶をする
「さて、挨拶はここまでにして本題に移りましょう。飛鳥さんに佐介さん。私が今日ここにきた目的はただ一つ。あなたたち半蔵学院に学炎祭を申込みに来のです」
「なっ、学炎祭を!?」
紫苑が学炎祭を申込んだことに佐介は驚く
「驚く心配はありませんよ佐介さん」
「えっ?どういう意味なの雪泉ちゃん?」
雪泉の言ったことの意味が分からずキョトンとする飛鳥に雪泉にかわり紫苑が説明する
「今日はあくまでご挨拶に伺ったまで、学炎祭につきましてはいずれ正式に申込みにますので、では私たちはこれで」
そう言って紫苑たちが帰ろうとした時だった
「な~んじゃつまらんのぅ!出し惜しみはいかんぞ出し惜しみは!」
「「っ!?」」
雪泉と紫苑にとっては不愉快な
飛鳥と佐介にとっては聴き慣れた声が
「この、声は…!」ピキ
「じっ、じっちゃん!?」
「半蔵さま!?」
しかし声がするも姿は見えない
「とうとう始まるんじゃな。史上初の善忍対善忍の戦いがのぅ。面白くなりそうじゃわい」
「なにをひとごとのように、全ての元凶はあなたではありませんか!」
「隠れてないで姿を見せなさいこの変態老人!」
敵意をむき出しにしてあたりを見回す紫苑と雪泉
「ど、どういうことですか二人とも?」
変態老人という単語を聞いた佐介が二人に問うた
「どうもこうもありません。私たちの前に突然現れ、あろう事か雪泉たちに無理やりセクハラをしてきたのです」
「なっ、なんですって!?」
「だからこそ私たちは半蔵を許さない。さぁ、そろそろ出てきたらどうですか!?隠れてこそこそするなんてみっともないですよ!!」
紫苑や雪泉たちの怒りは相当のものだった
「うぅ…ひどい言われようだけど事実だから返す言葉がないな…ねぇ佐介くん…佐介くん?」
同意を求めようと佐介のほうを向くとなぜか俯いていたので飛鳥は声をかけた
「……先ほどの話し本当ですかおじいさま?」イラ
「さっ、佐介くん!?」ガクガクブルブル
顔をあげた佐介の顔はまるでどこぞの逆鱗状態のトマトのような感じで目が妖しくひかり
体からは黒いオーラを漂わせていた
そして飛鳥は知っていた
いつもは半蔵のことを「半蔵さま」という彼が「おじいさま」という時は
一つは真剣な時や死中に身を置く前
そしてもう一つが半蔵を叱る時だった
「おじいさま、あなたという方は…!」ゴゴゴゴゴゴゴ
「さ、佐介、ななななにを怒っとるんじゃ!?」ガクガクブルブル
佐介の怒りに満ちた表情は伝説の忍すらも震え上がらせるほど恐ろしいものである
「小百合様と言う奥様が居ると言うに、いつもいつも懲りずに罪もない女の子たちにセクシャルハラスメント…これはあとでO・HA・NA・SHIが必要ですね」ゴゴゴゴゴゴゴ
「ひっ、ひぃぃぃぃぃ~~~、まままままままつんじゃ佐介、わわわわわわしが悪かった。だから頼む頼みます。O・HA・NA・SHIだけは勘弁してください!!??」ガクガクブルブル
伝説の忍が敬語を使うほどに怯えながら慌てる様子を見た紫苑たちは少し引いた
「……仕方ありませんね。今回は見逃してあげますが、次にそのようなことをなさったら「小百合直伝半蔵お仕置き術」のフルコースですからねおじいさま♪」ニコ
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!」ガクガクブルブル
佐介の言ったお仕置き術という単語を聞いた瞬間、半蔵はとてつもなく怯えた声を上げたのだった
「と、とりあえず気を取り直して、いくら吠えても無駄じゃよ。わしはあの時言ったぞい、わしが紫苑ちゃんに雪泉ちゃんたちのまえに現れるのはこの前の決着をつけた時じゃ。そのほうがドラマチックでいいじゃろ?」
半蔵が紫苑と雪泉にそう語りかける
「なるほど。そう言うことならばぐずぐずしてる暇はありませんね。雪泉」
「えぇ、みなさん!半蔵学院とは今ここで白黒つけることにします!」
雪泉が呼びかけると
「ふん。承知した」
「わしらの力を半蔵にしらしめてやります!」
「テンション、アゲアゲでいくよー♪」
「わ~い。美野里もがんばっちゃお~っと♪」
全員が集まり、月閃の選抜メンバーが集った
「悪ぃが、そう簡単に逝かせるわけにはいかねぇな!」
「この声は」
「かつ姉!」
すると月閃メンバーが集うと同時に半蔵学院の選抜メンバーたちもこの場に駆けつけてきた
「わたくしたちの学院を燃やさせはしませんわ!」
「アタイたちが全力で迎え撃ってやるぜ!」
「俺たちを相手に簡単に勝てるだなどと思うなよ」
「ひばりたちはすんごい強いんだから!」
それぞれの駆けつけてきた仲間たちが相対する相手とにらみ合う
「こうなったら私たちも頑張ろう佐介くん!半蔵学院は私たちの手で守りぬいてみせる!」
「うん。紫苑さん、雪泉さん。僕たち半蔵学院はあなたたちの学炎祭の申込みに応じます。僕たちの学校は絶対に守り抜いてみせます!」
半蔵学院選抜メンバーたちは紫苑たちとの学炎祭を承諾し、戦うことを決めた
「向こうもやる気満々のようで安心しました。これで心行くまでやれます」
「さぁ、では始めましょうか、私たち月閃女学館とあなたたち半蔵学院、どちらの掲げる正義が正しいか、それを証明するための戦いを!」
雪泉と飛鳥、紫苑と佐介もまた互いににらみ合い
今ここに己の正義をかけた善対善の戦いが幕を開けるのだった