閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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月閃女学館編 第五章 僕と君は相容れない

紫苑たち月閃女学館のメンバーたちは半蔵学院を訪れた

 

 

理由はいずれ、半蔵学院に自分たちが学炎祭を仕掛けるという宣戦布告をするためだった

 

 

そしてそれを聞き、驚く半蔵学院にそのことを告げ、この場を去ろうとした

 

 

しかしその時、半蔵の声が紫苑たちの耳に響きわたり

 

 

その憎き奴の声を聞いた紫苑たちは怒りを顕にする

 

 

だが、半蔵は自ら姿をみせようとせず

 

 

紫苑たちに兆発的ないい方をする

 

 

それにより、紫苑たちは帰郎としていた考えを捨て

 

 

今ここで半蔵学院との決着をつけることに決めたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風が吹く屋上にて紫苑と佐介は向かい合っていた

 

 

紫苑以外の他のメンバーたちもそれぞれの相手と向かい合い、戦いに備えていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、こんなに早く決着をつける日が来るとは思いませんでしたよ」

 

 

半蔵に乗せられてしまったとはいえ、これは紫苑たちには好都合でもあった

 

 

「紫苑さん。あなたたちはどうして学炎祭をしかけてきたんですか?どうして同じ善忍同士が戦わなければならないんですか?」

 

 

「私たちは…あの男が憎い」

 

 

「えっ?」

 

 

「なぜ、伝説の忍と呼ばれ、皆に憧れの眼差しを向けられているのに、やることといえば女の子へのセクハラ。そんな男に我らが師、黒影さまは表舞台での居場所を奪われ、影でひっそりと暮らす日々を強いられてしまった。私たちを受け入れ、育ててくださったお優しい黒影さまが…なんとお可哀相なことか」

 

 

紫苑は悔しさで握り拳を作る

 

 

「…」

 

 

それを見ていた佐介もまた、思うところあってか紫苑に同情しそうになった

 

 

「……だからこそ、私たちは証明しなければならない!」ゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

「っ?」

 

 

「真にこの世界に必要なもの、それは悪の存在しない、正しき心を持ったものたちが生きる世界、秩序のもと、怒りや悲しみ、争い、それらの存在しない完璧な世界を作る。黒影さまが望んだ世界こそがこの世界を平和へと導くのだというとを証明するために私たちは戦う!」

 

 

体からオーラを放ち、先ほどの悲しみに満ちた表情から一転し、紫苑は強い決意を孕んだ顔をしていた

 

 

「正しき心を持ったものだけの世界?」

 

 

「そうです。それこそがこの世界を平和へと導く最善の策なのです」

 

 

「そんな、…違う、ちがいます!」

 

 

「なに?」

 

 

だが、そんな紫苑の言葉に佐介は意義を唱えた

 

 

「一方的に決めつけるのはよくないです!ただ切り捨てるだけなんて間違ってます!」

 

 

「間違ってなどいません。私たちは知っている。嫌というほど。……悪はこの世界に害をなす存在だということをね」

 

 

「っ!?」

 

 

意義を唱えた佐介の言葉を紫苑は論破した

 

 

「奴らは罪もない人たちから金品や大切なもの、挙句は命まで奪おうとする。そんな奴らをのさばらせたままでこの世界に真に平和が訪れるとでも?」

 

 

「紫苑さん。悪の中にだっていい人はいます!僕はそのことを身を持って知ったんです!」

 

 

佐介はこれまで多くの悪忍と戦ってきた

 

 

その中で佐介は知った

 

 

悪忍とも心と心が繋がれば友情を結ぶことが出来るのだと

 

 

そう紫苑を説得し続けるも

 

 

「…あまい、じつにあまい」ボソッ

 

 

「えっ?」

 

 

それを聞いた紫苑はそっとつぶやいた

 

 

「悪の中にもいい人がいる?悪と心を通わせる?…あますぎる!!」

 

 

「っ!?」

 

 

「所詮善と悪は水と油、分かり合うことはありません。なのに友情を結んだと綺麗事をならべ、悪に毒されていることにすら気づかないなんて、哀れとしか言えませんね」

 

 

紫苑は呆れた表情を浮かべた

 

 

「……何も知らないくせに」ゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

「っ?」

 

 

「光牙くんや焔さんたちがどんな思いで生きてきたのかも知らずに悪だから悪いと決めつけるあなたを、僕は許せない!」

 

 

佐介は光牙たちがどういうものを背負ってきたかを知っている

 

 

だからこそ彼らの生き様さえも否定しようとする紫苑が許せなかった

 

 

「では答えはもう出ているはずです。相容れぬものが分かり合うことはない、永遠に争う宿命なのだから!」

 

 

「その宿命、ここで僕が終わらせてみせます!」

 

 

「ならば、終わらせてみせなさい!」

 

 

「言われなくても!!」

 

 

紫苑と佐介は互いに構え、叫ぶ

 

 

「「忍、転身!!」」

 

 

二人は忍装束を纏い、戦いに身を通じる

 

 

「行きます!!」

 

 

先にしかけたのは佐介だった

 

 

「ふっ!!」

 

 

「っ!?」

 

 

シュン!!

 

 

「はぁぁ!!」

 

 

「(速い…!?)」

 

 

「でやぁぁぁ!!!」

 

 

「っ、クリア・ウォール!!」

 

 

 

ヴゥゥゥゥゥゥゥゥン!!

 

 

ガキィィィン!!

 

 

 

「っちぃ!?」

 

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

 

「っ!?はっ!!」

 

 

紫苑は迫り来る佐介の正拳突きによる攻撃を間一髪のとこを防御技で防ぎ

 

 

隙を突いて反撃をするも、佐介も負けじと攻撃を弾きながら一旦距離をとった

 

 

「(速い、なかなかのスピードだ。」

 

 

佐介のスピードに紫苑は感心的な思いだった

 

 

「っ!!」

 

 

「っ?」

 

 

すると今度は瞬発力を生かし、ジグザグに動きながら佐介が紫苑に迫っていく

 

 

「…なるほど、素速い動きで僕を撹乱させようとしているのか…)」

 

 

紫苑はいち早く佐介の作に気づいた

 

 

ジグザグに動くことで紫苑の狙いを狂わせると同時に壁による自身の攻撃を防御させぬための策略なのだと

 

 

「だが、あまい!!」

 

 

すると紫苑は両手を床につくと静かに唱える

 

 

「生地の奏でし命の聖歌に誘われ……眠りなさい!」

 

 

「やぁぁぁぁ!!!」

 

 

それを見ていた佐介は紫苑が何かしでかすと感じ、それを阻止すべく紫苑にせまる

 

 

「大地の狂詩曲(ラプソディ)!!」

 

 

しかし、それよりも早く唱え終えるとともに必殺技を発動させる

 

 

すると…

 

 

「ぐっがぁぁ!?…なっ、なんですか…これは!?」ドスン

 

 

後一歩という時に突然、佐介は自身の体が急激に重くなったことに気づいた

 

 

「驚きましたか?今ここは私が発生させた超重力フィールドとなっております」

 

 

「超重力…フィー、ルド…!?」

 

 

床に浮かび上がる地の紋章とともに紫苑は屋上全体に超重力フィールドを生成させており

 

 

それにより使用者である紫苑を除く者たち、即ち佐介は超重力の影響下に置かれ、自身の体重の何十倍もの重さで倒れてしまったのである

 

 

「これでもう身動きはとれませんね。潔く負けを認めればこの苦しみからすぐにでも開放してあげます。…さぁ、降伏しなさい!」

 

 

佐介に降伏を促す紫苑だったが

 

 

「いや、です…みんなが、頑張ってるのに…僕だけ諦めるなんて…そんなことできるわけがありません!」

 

 

そういうと倒れていた佐介は全身に力を込めて立ち上がろうとする

 

 

「やめなさい!重力化の中でそんな無茶をしたら体がぐちゃぐちゃに壊れてしまうのですよ!?」

 

 

敵であるとはいえ紫苑は佐介を気づかい止めようとする

 

 

「うっ、ぐぅ…ぐうぅぅぅぅ!!!」

 

 

しかし佐介はそれを聞かず立ち上がろうとすることをやめない

 

 

「ああぁぁぁぁ……はあぁぁぁぁ!!!」

 

 

「っ!?」

 

 

なんと佐介は紫苑の予想を裏切り、超重力の中、力を振り絞りながら少しずつゆっくりと立ち上がっていく

 

 

「(まさか超重力の中で立ち上がることができるなんて!?)」

 

 

紫苑は佐介の底力に驚きを感じた

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!忍……超・(ソウル)転身!!!!!」

 

 

力をいれ、佐介が高らかに叫んだ瞬間

 

 

 

ブォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!

 

 

 

「なっ、フィールドを?」

 

 

重力フィールドを消し去るほどの凄まじいエネルギーが佐介から漏れ出した

 

 

さらにそれによって発生した煙で視界を遮られてしまう

 

 

そして煙がはれ、そこにいたのは少々、風貌と雰囲気が変わった佐介の姿があった

 

 

「…」

 

 

「変わった…?」

 

 

佐介は少し沈黙していたが、次の瞬間紫苑を見た

 

 


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