閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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月閃女学館編 第六章 乱入者ですって!?

紫苑たちは半蔵学院を訪れた際に半蔵の兆発にのり

 

 

半蔵を倒すため、その障害となりうる佐介や飛鳥を倒すために

 

 

この場で決着をつけることに決めた

 

 

そして雪泉たちはそれぞれの相手との戦いを始め

 

 

同じく紫苑もまた佐介と戦いを始めた

 

 

互いに自分の信じる正義を胸に戦いを繰り広げる

 

 

一方は悪を否定するが故に、一方は善も悪もどちらも否定せんが故に

 

 

正義といえど一枚岩ではないのだ

 

 

そして戦いが続く中、紫苑が佐介を追い詰めたかに見えたが

 

 

その時、佐介は力を開放し、パワーアップするのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

変身した佐介は全身からとてつもない気を放っていた

 

 

「(あれが…佐介くん。先ほどとはまるで雰囲気が違う!?)」

 

 

佐介の姿を見た紫苑はその凄まじさに息を飲んだ

 

 

「紫苑さん。覚悟してください、この姿になったからには本気で行かせていただきます!」

 

 

そう言うと佐介はさらに凄まじい気を放出し、構えをとる

 

 

「(なるほど、あれが佐介くんの全力という訳ですね……なら僕も本気を出さねばならないかもしれない)」

 

 

あの姿の佐介に下手な小細工は効かない、自身も本気を出していかなければやられると紫苑は直感的に感じとった

 

 

「そうですか、ならば私も全身全霊で受けてたちましょう」

 

 

沈黙とともに構えをとる

 

 

そして

 

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

佐介の先手をとり、火ぶたは切られた

 

 

紫苑は即座に防御の体勢をとりながら衝撃に備えるも

 

 

 

ドゴォォォォォォォォォォォォン!!!!!

 

 

 

「ぐぁぁ!?」

 

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

ぶつかるとともに想像をはるかに超えるとてつもない衝撃が紫苑を襲う

 

 

そして正拳突きの体勢のまま佐介が紫苑を吹き飛ばした

 

 

紫苑はそれにより壁にめり込むほどに叩きつけられた

 

 

意識が飛びそうなほどのダメージを受けた紫苑だったが

 

 

なんとか意識を保ちつつ、壁から抜け出し

 

 

地面に手をつき、四つん這いの状態で荒々しい息を吐いていた

 

 

「(なっ、なんという力、ここまでのパワーとは僕の想定外だった…!?)」

 

 

パワーアップした佐介の力を全身で感じ取った紫苑は焦りながらもなんとか立ち上がる

 

 

「どうですか、これが僕の奥の手にして全力の極限魂(オーバーソウル)です。先ほどまでと同じではないことは御理解いただけたでしょうか?」

 

 

「……えぇ、確かにとても厄介な感じですね。少々あなたの認識を改める必要がありそうですね」

 

 

「そう言っていただけると素直に嬉しいです」

 

 

「ですが、だからといって私も諦める気はありません」

 

 

佐介と向かい合いながら紫苑はそうつぶやいた

 

 

「あなたに敬意を称し、見せてあげましょう。私の全力を!」

 

 

そうでもしなければ勝てないほど彼が強いということは先ほどの攻撃でわかった

 

 

「行きます!」

 

 

紫苑は合唱するかのように手を合わせ、力を高める

 

 

それを見た佐介は警戒心を強める

 

 

「吹きすさぶ疾風!!」

 

 

 

ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!

 

 

 

強烈な風が吹き荒れる

 

 

「ぐっ!?」

 

 

普通の人なら吹き飛ばされるほどの風圧にもなんとか耐えている佐介だったが

 

 

勢いで徐々に最初の位置から後退し始める

 

 

「まだまだ!」

 

 

こんなものではないと言わんばかりに佐介への追撃の技を発動する

 

 

「すべてのもの、我が美しき風の調べによりて、去りゆきなさい! 烈風のソナタ!!」

 

 

「っ!?うぁあぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

紫苑が風の砲弾を放ち

 

 

風により動きを鈍らされた佐介はよけられずそれをくらい

 

 

それにより吹き飛ばされる

 

 

「な、なんの!!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

佐介は負けじと紫苑の起こす風向きとは逆向きに体を回転させる

 

 

凄まじい勢いで回転すると、風がどんどん相殺されていき

 

 

回転を止める時には風は消え去っていた

 

 

「やりますね。では今度はこれです!!」

 

 

紫苑が再び力を込め、右手を天にかざす

 

 

すると右手から青い紋章が浮かび上がるとともに水が湧き出す

 

 

そしてそれにより徐々に広がり足元に水溜りができていく

 

 

「っ?」

 

 

その光景を見た佐介は少々驚いたという顔をする

 

 

水をあらかた出した紫苑は生成をやめると

 

 

右手をあげ、そのまま何かを振るうかのような動きをし始める

 

 

まるで演奏を指揮する指揮者が指揮棒を振るうかのごとく

 

 

すると紫苑がそのように動くのに合わせ、まるで水が意思をもつかのように無数の触手のようなものを作り出した

 

 

「はっ!」

 

 

水が紫苑の意識に反応し、水の触手は佐介目掛けて飛んでいく

 

 

「はあぁぁ!!せいぃ!やぁぁ!!」

 

 

迎え撃とうと触手を攻撃するも、触手は元々水で出来ているため

 

 

弾いても弾いてもすぐに再生し、襲いかかってくる

 

 

「くぅ!!」

 

 

苦戦を強いられている中

 

 

 

シュルルルルルルルルルル

 

 

ガシッ!ガシッ!ガシッ!ガシッ!

 

 

 

「なっ!?」

 

 

触手は佐介の両手両足を縛り上げる

 

 

「捕まえました…!」

 

 

「ぬぁ!?」

 

 

「麗しの水曲に抱かれて、眠りなさい…」

 

 

唱えた瞬間、足元に水の紋章が浮かび上がる

 

 

そして残った水の触手が合わさり形を変え、三つ叉の矛へと形を変えた

 

 

「っ!?」

 

 

「…水伯の前奏曲(プレリュード)!」

 

 

まるで演奏のフィナーレを告げるかのように右手を振るうと

 

 

三つ叉の矛はまっすぐ佐介に向かっていき

 

 

 

ザシュゥゥゥゥン!!!

 

 

 

「なっ…あぁ…!?」

 

 

見事に佐介の体を貫いた

 

 

触手が消えるとともに佐介は地面に落下し、痛みに悶えていた

 

 

「もう、やめなさい。諦めて負けを認めなさい。そうすればもうこれ以上苦しむことはないのだから」

 

 

敵とはいえ同じ善忍である佐介にせめてもの慈悲を込めて紫苑はそう語りかけるも

 

 

「負けられない…僕は…負けるわけにはいかないんです…ぐぅぅ」

 

 

佐介は飛鳥たちを守りたいという思いから立ち上がろうとする

 

 

その姿を見て少々躊躇いそうになった紫苑だが

 

 

「………ならば仕方ありません。これで止めをさしてあげましょう。超秘伝忍法!!」

 

 

「っ!?」

 

 

憐れみは侮辱と感じ、紫苑は最大奥義で止めをさそうと力を込め

 

 

佐介もやられる…そう感じ取った

 

 

 

 

 

 

その刹那

 

 

 

 

 

 

 

ブロロロロロロロロロロ…ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!

 

 

 

 

 

 

「「っ!?」」

 

 

突如として紫苑たちのいる屋上に舞い上がるかのように一台のバイクらしきものが飛んできた

 

 

二人がそれに驚いていると

 

 

「クラウソラス!!」

 

 

 

ジャキィィィィィィィィィン!!!

 

 

 

「っ!?」

 

 

突然バイクにに乗っている何者かが飛ぶ斬撃を繰り出し

 

 

紫苑は瞬時に回避する

 

 

 

キキィィィィィィィィ!

 

 

 

攻撃を回避されている間にバイクは屋上に着地するとともに止まる

 

 

「何やつ!?」

 

 

紫苑が警戒する中

 

 

バイクに乗っている者はかぶっていたヘルメットを取り外す、顔をあらわにする

 

 

その顔を見た佐介は驚きの表情を浮かべた

 

 

「こ、光牙くん!?」

 

 

「久しぶりだな。佐介」

 

 

現れたのはかつて佐介と死闘を繰り広げ、その後行方をくらませていた光牙だった

 

 

「まさか…悪忍がなぜここに?」

 

 

光牙の登場に紫苑は驚きを隠せなかった

 

 

「光牙くん。どうして?」

 

 

「…情けないぞ佐介」

 

 

「えっ?」

 

 

「学炎祭が開かれるという噂を聞いて来てみれば……俺とあれほどの戦いを繰り広げたお前が何だそのざまは?」

 

 

どうやら光牙は佐介が一方的にボロボロになっているのが気に入らなかったようである

 

 

それもそうである。何しろ佐介は自分を打ち負かした男なのだから

 

 

「お前は俺が唯一ライバルと認めた男、お前を倒すのはこの俺だというに、その俺を落胆させようというのか貴様は?」

 

 

「っ……ごめんなさい」ショボーン

 

 

「落ち込む暇があるなら少しでも態度で示せ」

 

 

「はっ、はい!」

 

 

光牙の一喝に佐介は焦りながらも返事を返す

 

 

「随分と仲がいいようですね」

 

 

「ふぅん…勘違いするな、こいつは俺が認めた忍だ。そしてこいつを倒すのは他の誰でもない、俺だけだ」

 

 

「ならばなぜ助けたのです?」

 

 

「いったはずだ。こいつを倒すのは俺だけだ。それ以外のやつにやられたら俺が困る。それだけだ」

 

 

紫苑の問いに光牙はそう答えた

 

 

「どんなに御宅を並べても善と悪が混じり合っているというのは変わりない事実。なんと忌々しきものでしょうか」

 

 

佐介と光牙の馴れ合いを見た紫苑はため息を吐きながらそうつぶやいた

 

 

「ふん。お前、随分と悪を憎んでいるようだな」

 

 

「当然、汚れた存在であるあなたたちをこの世界から一掃する。それが私たちの悲願なのですから」

 

 

「汚れた存在とは言ってくれるな小娘が」

 

 

「なんですって…?」ピキ

 

 

光牙の小娘という言葉に紫苑はカチンときた

 

 

「悪のいない世界か……だが悪の居ない世界に善が存在するわけがなかろう。それすらわからないならば所詮お前たちの言う世界などなんの価値もないな」

 

 

「…汚れた存在の分際でよくも」ゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

「なんだ?今ここで俺とやろうというのか?やるなら受けてたってやるぞ?」

 

 

「……いいえ、そうしたいのは山々ですが、どうやら仲間たちが予想外にダメージを受けすぎたようです。邪魔が入りました、ここは引くとしましょう。佐介さん次戦う時は邪魔はいれさせません。真の決着は学炎祭の本番にて、では」シュン!

 

 

そう言うと紫苑は二人の前から姿を消し。雪泉達とともに月閃女学館へと戻っていくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 


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