閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

129 / 605
月閃女学館編 第十一章 己が正義を果たさんがために

蒼馬たちを倒し、月閃に帰ってきた紫苑たち

 

 

しかし、戦いに勝利こそしたが

 

 

この戦いにより紫苑たちは学園や仲間を守ろうとし、その姿は自分たちのそれと何ら変わり無いものであった

 

 

それらを目の当たりにした紫苑たちは次々と自分たちの知る悪忍のイメージ像が崩れていき

 

 

自分たちがこれまでしたことはなんだったのかと心に迷いが生じ、自問自答を繰り返すばかりの日々を送っていた

 

 

そんな中、紫苑もまたこの戦いにより自身の信じていたものが崩れ、心が揺らいでいた

 

 

そこに追い打ちをかけるように雪泉の悲しむ顔を目にしたことで紫苑はついに一つの答えを見出した

 

 

真の平和な世界を作るべく、紫苑の新たな戦いが今、幕を開けてしまうのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蛇女との戦いからしばらく

 

 

学館から与えられた任務により、紫苑たちは

 

 

以前、半蔵に攻め入った時に自分たちの戦いに乱入した

 

 

元蛇女子学園の生徒である光牙たちの討伐を命じられ

 

 

情報部員が突き止めた彼らの隠れ家へと向かった

 

 

ついた場所は自然豊な綺麗な場所であった

 

 

あたりには木が生い茂り、滝がながれていたり、風流な雰囲気を醸し出していた

 

 

「ここに蛇女の抜忍たちの隠れ家があるのですね。…悪は善を惑わすもの。やはり見過ごすことはできません」

 

 

雪泉がまわりの風景を眺めながらそうつぶやいた

 

 

「野放しの悪忍ほど危険なものはない。今日ここで確実に始末して見せる」グッ

 

 

自分たちの歩んできた道が間違いでないことを証明するため、恩師の悲願を叶えるためにもこの任務は成し遂げねばならないと

 

 

そう確信する紫苑達であった

 

 

 

カサカサ…

 

 

 

「っ!何やつ!?」

 

 

草葉の陰から何者かの気配を感じ取った紫苑が身構える

 

 

それに合わせ他の面々も身構えた

 

 

 

シュン! スタッ!スタッ!!

 

 

すると草葉から複数の影が飛んできて紫苑立ちの前に降り立つ

 

 

「誰かと思ってきてみれば飛鳥たちにちょっかいをだした善忍じゃないか」

 

 

「お前たちがここに来たということはあれか?俺たちに学炎祭を申込みにきたのか?」

 

 

現れたのは佐介たちを自分たちの危機から救った光牙と焔だった

 

 

「私たち焔紅蓮竜隊は学校ではないが挑戦なら受けてたつぞ」

 

 

「ならばちょうどいいです。こちらとしてもはなっからそのつもりで来のですから」

 

 

焔の兆発的な発言に紫苑は冷静にそう告げた

 

 

「大した自信だな。だがな俺たちはあいつらとは違って、あまくはないぞ?」

 

 

「だからなんだというのですか?あなたたちが何であれ私たちには何の関係もありません。どうせあなたたちは今日ここで私たちに狩られる運命なのですから」

 

 

「……ほうっ、言うじゃないか」

 

 

光牙のこちらを威圧するような発言に対しても動じず、そのような言葉を吐き捨てる紫苑

 

 

それにより、紫苑と光牙は互いに鋭い眼差しで睨み合った

 

 

「やれるものならやってみろ。お前らにそれが出来るならな」

 

 

「その余裕に満ちた顔をすぐに敗北と屈辱の顔に染め上げて上げましょう」

 

 

「ふん。その言葉そっくりそのまま返してやるさ!」

 

 

「私たちは負けない。悪という害悪をこの世から1人残らず消し去り、正しいものたちが平和で居られる世界を作る。…そう、おじい様の望む、理想を叶える日まで」キリッ

 

 

焔と雪泉もまた、互いの思いを口走り火花を散らす

 

 

その時、それを聞いた未来が光牙たちより一歩前に出る

 

 

「みんな!ここはあたしに任せて!」

 

 

「未来?」

 

 

「あんたたち悪忍は悪いだの何だの言ってるけど、それがなんだってのさ!焔や光牙やみんなはひとりぼっちだったあたしに仲間の大切さを教えてくれた!今のあたしがあるのはみんなのおかげなんだ!みんなのことを侮辱したことを後悔させるためにも絶対に勝利を飾ってみせるわ!」

 

 

強気な態度で未来はそう言い放った

 

 

「紫苑ちん雪泉ちん。ここはあたしに任せてくんない?」

 

 

「四季?」

 

 

「何だかねーあたし未来ちんと戦いたくなっちゃってね…だからここはあたしに任せてほしいんだ〜」

 

 

そんな未来の姿を見た四季が未来の前に立ちはだかる

 

 

「さぁさぁ未来ちん。未来ちんの相手はあたしだよ~」

 

 

「誰が相手でも負けないんだから!」

 

 

二人は一言交わすと武器を構える

 

 

「わかった。ここは任せるぞ未来。…ここは未来に任せて俺たちは別々の場所でこいつらを迎え撃つぞ」シュン!

 

 

「おう!」シュン!

 

 

光牙の呼びかけに応えるように未来を残して焔たちはその場から移動する

 

 

「紫苑、私たちも!」

 

 

それを見て雪泉が光牙たちの追跡を促す

 

 

「うん。…油断しないでね四季」

 

 

「まっかせなさ~い、チョーアゲアゲで行っちゃうよ~!」

 

 

四季の気合い充分そうな姿に紫苑は安堵の表情を浮かべる

 

 

「じゃあ、行くよみんな!」

 

 

「「「「おー!」」」」

 

 

「全ては正義のために!」シュン!

 

 

気持ちを高め合い、紫苑たちは光牙たちを追って行くのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!悪忍さんみーっけ!」

 

 

「ちょ、美野里!?」

 

 

急に美野里が悪忍を見つけたといって地面に降り立ち

 

 

慌てて夜桜も後を追う

 

 

その先には

 

 

「おや?わしの相手はあんたかいな?」

 

 

自分たちを待ち構えていたであろう日影が立っていた

 

 

「光牙さんたちなら先に行ったで、ここにおるんはわし一人や」

 

 

日影は光牙たちは先に行き、ここで自分たちを待ち構えていたと言い放つ

 

 

「みなさん。下がって!ここはわしに任せて他の奴らをおってください!」

 

 

「夜桜?」

 

 

紫苑たちに先に行くよう促す

 

 

「ダメだよ夜桜ちゃん!ひかげちゃんはみのりが先に見つけたんだから」

 

 

「ちょ!美野里!?」

 

 

「ひかげちゃん。ひかげちゃんの相手はみのりだよ~」

 

 

しかし、それを良しとしない美野里が割り込む形で入った

 

 

「ええで、ほんならわしを捕まえてみいや」シュン!

 

 

「あははは、鬼ごっこなら負けないよ~まてまてひかげちゃ~ん!」タタタタタ

 

 

そう言うと美野里は日影を追って駆け出していってしまい、その光景に紫苑たちは苦笑いを

 

 

夜桜に至っては頭を抱えるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫苑たちが再び光牙たちを追っていると

 

 

「あら~?どこへ行こうとしてるのかしら~?」

 

 

今度は紫苑達の前に春花が立ちはだかる

 

 

「まぁまぁ、そんなに慌てないでもう少しリラックスしたら?」

 

 

「みなさん!今度こそここはわしの出番じゃ!この人はわしが倒してみせます!だから先に行ってください!」

 

 

春花の登場に夜桜は即座に篭手をはめて構える

 

 

「夜桜…わかった。負けないでね夜桜」

 

 

「承知!」

 

 

夜桜の思いを受け入れ紫苑たちは再び光牙たちを追った

 

 

「もう、せっかちな子ね~。まぁいいわ。楽しくやりましょう」ウフフ

 

 

「行きます!」

 

 

そう言うと春花に向かって仕掛ける夜桜だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

追跡の中、それぞれの相手に遭遇していく紫苑たち

 

 

そして次に待ち構えていたのは叢にとって縁のある人物だった

 

 

「叢ちゃん…」ソワソワ

 

 

待ち構えていたのは同じ場所。同じ時を過ごした間柄の詠だった

 

 

「…紫苑、雪泉。ここは我に任せて先を行け。詠の相手は我にしかできぬ」

 

 

「叢さん」

 

 

「雪泉。ここは叢を信じて進もう」

 

 

「…はい」

 

 

叢の思いを受け入れ、紫苑たちは先を急いだ

 

 

「叢ちゃん…私は」

 

 

「…言葉は不要。今はただ試合うのみ」シャキン!

 

 

「……わかりました」シャキン!

 

 

互いに同じ時を過ごした者同士として

 

 

その想いを言葉ではなく刃に託す二人だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四季、美野里、夜桜、叢がそれぞれの相手と相対し、次なるは当然雪泉だった

 

 

「ようやく追いついたようだな」

 

 

「「っ!」」

 

 

進み続ける紫苑たちの前に焔が立っていた

 

 

「詠たちもすでに相手を見つけたようだな」

 

 

「あなた一人ですか?もう一人はどこです?」

 

 

「光牙ならこの先の滝壺のところにいるだろうよ」

 

 

「っ!」

 

 

この先に光牙がいると聞いて紫苑は反応する

 

 

「紫苑。ここは私に任せてあなたは行ってください」

 

 

「雪泉」

 

 

「あなたの勝利を心から願います」

 

 

「…ありがとう雪泉。行ってくるね」

 

 

雪泉の励ましの言葉を受けて紫苑は光牙と戦うべく先を急ぐ

 

 

「ふん。光牙は強いぜ?そう簡単に勝てるとは思えないが?」

 

 

「舐めないでください。紫苑は私が心から信じる最強の忍なのですから」

 

 

「そうか。お前も私と同じなんだな……ならばもはや言葉は不要だな!」

 

 

「えぇ、今はただ。この戦いに身を投じるだけです」

 

 

二人は互いに武器を構え、ただ目の前の相手のことだけを見据えるのだった

 

 

 

 

 

 

「今ごろ焔たちもそれぞれの相手を迎え撃っている頃か?」

 

 

5人それぞれ散らばり、先んじて到着した光牙は

 

 

そこで自身の相手を迎え撃とうと待ち構える

 

 

 

シュタ!

 

 

「…来か?」

 

 

「…追いつきましたよ。さぁ、決着をつけましょう」

 

 

「あぁ、望むところだ」シャキン!

 

 

ようやく追いついた紫苑は光牙を睨み据えながらそうつぶやきながら身構え

 

 

光牙も同じように構えるのだった

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。