閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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月閃女学館編 第十五章 自然の驚異

戦いの最中、紫苑が霊石を使い、自らの潜在能力を解放した時

 

 

彼を中心に突然、天変地異が巻き起こる

 

 

同じく戦いに身を投じていた雪泉たちもその異変に気付く

 

 

一時休止とし、異常が起こる場所に駆けつけた雪泉たちが見たのは

 

 

凄まじい力を全身から放っている紫苑の姿だった

 

 

 

 

 

 

 

「(どうなっている?奴の力が高まった瞬間、立て続けに異変が起こるなど…まさかこれが奴の本来の力?地水火風の四大元素を操る者の真の力ということなのか?)」

 

 

冷静にこの状況を分析した光牙はそう結論付ける

 

 

すると紫苑のほうに動きが

 

 

「…はぁぁぁ〜」ギュォォォォォ~

 

 

ゆっくりと力むとともに紫苑が片手を天にかざす

 

 

すると降りしきる雨の水滴がまるで時が止まったかのようにピタリと動かなくなる

 

 

その光景に唖然としていると

 

 

「天上から溢れし無数の雫よ。我が名のもとに悪しきものに裁きを与えよ」ボソッ

 

 

紫苑がボソリと呪文らしきものを唱えた時だった

 

 

先ほどから動きが止まった雫が徐々にその形を鋭く、鋭利なものに変わっていく、その雫の矛先にいるは光牙だった

 

 

「降り注げ、…斬時雨(きりしぐれ)

 

 

紫苑が天にかざす片手をすっと振り落とした瞬間

 

 

 

シュンシュシュシュシュン!

 

 

 

「っ!?」

 

 

鋭く尖った雫が一斉に光牙に向かっていく

 

 

「くっ!クラウソラス!」

 

 

 

ジャキィィィィィィン!

 

 

 

光牙もそれに対抗してクラウソラスから放たれる斬撃波を連続で飛ばしそれを防いでいく

 

 

その様子を近くで観戦していた雪泉たちもまた紫苑の力を目の当たりし、騒然としていた

 

 

「凄まじい衝撃波じゃ!?」

 

 

「ちょ、これマジヤバくね!!?」

 

 

「みのり飛ばされちゃいそう~!?」

 

 

「ぐっ!?『ビュゥゥン!』あっ!お面がお面が飛んで行ってしまいました!?まっ、待ってぇぇぇ〜!!」アタフタ

 

 

強風でお面が吹っ飛んで行ったため、慌てふためきながらお面の後を追う叢だった

 

 

「これが、紫苑の力…」

 

 

紫苑の力の片鱗を目の当たりにした雪泉は感じていた

 

 

一つはその力の凄さに、そしてもう一つは言い知れぬ不安を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人の技はほぼ互角、しかし無尽蔵に降る雨を操るだけの紫苑に対してそれを薙ぎ払う光牙のほうは悪戯に徐々にエネルギーが減っていく

 

 

「くっ、さっきよりも弱まってる!!!??」

 

 

長引けば長引くほど放たれる斬撃波が威力を失っていく

 

 

 

シュン!

 

 

 

「〜〜っ!?」ズシュッ!

 

 

ついに消しきれなかった雫が光牙目掛けて飛んでいき、左肩を掠める

 

 

それが引き金となり、すぐさま次々と雫が光牙の体に命中していく

 

 

「ぐっ、ぐあぁぁぁぁ!!」グサグサグサグサ

 

 

身体を貫かれる痛みと苦しみが止めどなく襲いくる地獄のような光景

 

 

「ぐっ…っ!」クラッ

 

 

攻撃が止むと光牙はかろうじて立っていた

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」ゼーハー

 

 

荒々しい息を吐きながらも必死に立ち続ける

 

 

「うおぉぉぉ!!!」

 

 

そして傷だらけの体で尚、紫苑に向かって飛んでいく

 

 

「はあっ!!」

 

 

「…っ!」スッ

 

 

間合いに入ってきた光牙が右手の手刀を振るう

 

 

それを見て紫苑も構える

 

 

「っ!!」シュン!

 

 

「っ?」

 

 

だが、直後光牙が紫苑の視界から消える

 

 

「こっちだ!」シュン!

 

 

「っ!?」

 

 

「はあぁぁぁ!!!」ブォン!

 

 

一瞬で紫苑の後ろを取った光牙が手刀を振り落とし、紫苑を地面に叩きつけた

 

 

防戦一方だった光牙がようやく攻撃を当てられた瞬間だった

 

 

「はぁ…はぁ…、少しは…答えたか?」ゼーハー

 

 

地面に倒れ込む紫苑を見つめながら光牙はそういった

 

 

「……っ!」パチッ

 

 

すると倒れていた紫苑がふわりふわりと浮かび上がり、何事もなかったように立ち上がる

 

 

「…なんだよ。何ジロジロ見てんだよ?」

 

 

平然とした顔で先ほどからじーっと自分を見つめたまま動かずにいる紫苑に不気味さを感じていると

 

 

「っ!」ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!

 

 

「っ!?」

 

 

突如、浮遊しながら光牙に猛接近してきた

 

 

そしてそこから華麗なほどの蹴りの応秀を仕掛ける

 

 

「ぐうっ!」

 

 

止まらない猛攻

 

 

「っ!!」

 

 

「ぐあっ!!」

 

 

一発の蹴りが決まり、光牙の身体は大きく後方へと下がっていく

 

 

「…さっきのでダメなら!」ゴォォォォォォ!

 

 

光牙は残された力を右手に注ぎ込む

 

 

「これで、決める!秘伝忍法・螺旋粒子波(スパイラル・フォトン・ストリーム)!!」

 

 

勢いよく突き出した右手から螺旋状の粒子のエネルギー波が迫り来る

 

 

「っ!!」

 

 

紫苑は風を操り風の防御壁を作る

 

 

 

ジュィィィィィン!!!

 

 

 

ドガアァァァァァン!!!

 

 

 

しかし、光牙の最後の切り札はそんなことでは防げず、風の防御壁は消し飛ばされ、守る手段を失った紫苑にそれは直撃した

 

 

「はぁ…はぁ……や、やったか?」

 

 

力の限りを使い果たした光牙はその場に膝まづく

 

 

「はぁ…はぁ……っ!?」

 

 

疲れ果てていた光牙はふと自分の足に違和感を感じ、見てみると

 

 

「なっ、これは!?」パキキキキ

 

 

自分の足がみるみるうちに石化していく

 

 

「あ、足が!?」グヌヌ

 

 

足が石化したため身動きがとれなくなった

 

 

さらに煙の中から紫苑が再び空に舞い上がる

 

 

雲が覆う空に向かって両手で払うように大きく左右に広げる

 

 

すると一部の雲が晴れ、そこからは太陽が顔をみせていた

 

 

そして紫苑は再び両手を広げると透明なレンズを生成する

 

 

太陽光線をレンズに吸収させ

 

 

 

ビイイイィィィィィィィーーーーー!!

 

 

 

「っぬああぁぁぁぁぁ!!!!!」ボバアァァァァン

 

 

吸収させた太陽光線を発射する

 

 

体力も限界な上に、足を固められ、身動きの取れない光牙には回避する術もなく

 

 

太陽光線が直撃したとともに大爆発した

 

 

そして段々と煙が晴れていき、次に映ったものは

 

 

『っ!?』

 

 

大ダメージを受けて転身も解けてその場に倒れている光牙の姿だった

 

 

「こ、光牙!!」

 

 

焔たちは慌てて光牙のもとに駆けつけて行った

 

 

それとともに紫苑が空から降りてきた

 

 

着々と同時に変身が解ける

 

 

「紫苑っ!」

 

 

「おーい紫苑ち~ん」

 

 

雪泉たちもまた紫苑のほうに駆け寄った

 

 

「すごかったですよ紫苑!」

 

 

「うんうん、紫苑ちゃんすんごく強かったね!」

 

 

「見事なものだったぞ」

 

 

みんなが紫苑を褒め称えるも、すぐに異変に気づいた

 

 

「紫苑?」

 

 

どうにも先ほどから俯き、無言のままであった

 

 

「ちょっと紫苑ちんてば~無視されるとちょ~傷つくんですけど~?」

 

 

四季が無視をする紫苑をゆすってみる

 

 

「…」ドサッ

 

 

『っ!?』

 

 

突然、紫苑がその場に倒れ込む

 

 

「紫苑!紫苑、しっかりしてください!」

 

 

「大丈夫ですか紫苑!」

 

 

「ちょ、これヤバくね!?」

 

 

倒れて意識を失っている紫苑に雪泉たちは何度も何度も彼を呼び続けるのだった

 


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