紫苑は光牙たちに勝利し、月閃へと帰ってきた
月閃に戻った彼らを祝おうと王牌が茶会お膳立てし、紫苑は先に来てるであろう雪泉たちのもとに向かった
だが、その時、紫苑は偶然にも雪泉たちの会話を聞いてしまった
皆がせっかくの茶会も関わらず、素直に喜べないという顔をしていた
そして四季の言葉を口火に彼女たちは自分たちの今の思いを余すことなく打ち明けた
悪とは何か?自分たちの見てきたものとはなんなのか?
今まで積み重なったものが日に日に大きくなり、その心を大きく揺らした
それを聞いてしまった紫苑は多大なショックを受けた
そんな彼らのもとに王牌が現れ、悩み苦しむ紫苑たちにその答えを知りたくば半蔵学院と戦うことが一番であると教え諭した
紫苑たちは答えを見出すべく半蔵学院との決戦に臨むのだった
「……半蔵学院、再びここに足を踏み入れることになるとは、やはりこれもまた
学院を見つめながら紫苑はボソリと呟く
シュン!シュタッ!
「来ましたか紫苑さん」
「佐介さん」
そこに現れるは佐介たち半蔵学院の選抜メンバー達だった
「いよいよ貴方たち半蔵学院と我々月閃女学館との戦い決着をつける時が来たようですね。不思議なものです。ここに最初に学炎祭をしかけたのが数日前のはずなのに今はなぜか懐かしく思えてきたりもします」
「はい、僕もこの時が来ることを僕も待っていました。紫苑さんと戦いたい。そして勝ってみせるって」
「飛鳥さん。元々はあなたの祖父…半蔵と戦うために仕掛けた学炎祭でした。ですが今は違う。我が師にして祖父でる黒影の孫としてあなたとの勝負に全力で挑ませてもらいます、どちらが忍として強いか、どちらの正義が正しいのか、白黒はっきりさせましょう!」
「望むとこだよ雪泉ちゃん。でも私だって負けないよ!」
紫苑と佐介、雪泉と飛鳥がそれぞれの思いを告げる
「ではそろそろ始めるとしましょう。僕たちは先に行きます。"あの時"と同じ場所で待ってます!」
シュン!
そう言い残し佐介たちは先に決戦場に向かっていった
「さぁみんな、僕たちも…っ?」
佐介たちの後を追うべく向かおうとするも、ふと違和感を感じ振り返ると雪泉が思いつめた幼な顔をしていた
「どうしたの雪泉?」
「その…っ」
何かをいいたそうなのに口ごもる雪泉に紫苑は小首をかしげる
「…紫苑、お願いがあります。出来ることならこの戦いであの力を使うことはやめてください」
「えっ?」
雪泉が言った言葉に紫苑は驚く
「ど、どういうこと?」
「よくはわかりませんが。あの時の紫苑はすごく強かったです。…でも力を使っていた時のあなたはなんだか心ここにあらずと言った感じで、私たちの知っている紫苑ではないように感じたのです。次あの力を使ってしまったらあなたの身に何かが起こってしまうんじゃないかと思えて仕方ありません。ですからお願いします、あの力を使うことはやめてください」
「雪泉…」
紫苑のことが心配、雪泉の目はそう語っていた
不安そうな雪泉の目を見て紫苑の心は揺らぐ
「………雪泉、大丈夫だよ。僕のことなら心配いらないよ」
「でも」
「この力は僕たちの理想、悪のいない世界を作り上げるためには必要な力なんだ。どうしても」
この時、雪泉たちは気づいた。紫苑が無理をしているということに
「し、紫苑ちん。雪泉ちんの言うとおりだよ~」
「そうじゃ!無理はするものではないですよ!」
四季と夜桜も紫苑に説得を試みる
「……それでもやらなきゃならないんだ」
『っ?』
「この力があれば黒影さまが追い求めて居た理想の世界を作ることも夢じゃない、そのためなら僕はこの身がどうなろうと構わない!」
「そ、そんな…」
自分の身もいとわないと告げる紫苑に雪泉は動揺を隠せない
「で、でもしおんちゃん。みのりはむらさきちゃんやひかげちゃんが悪い人にはどうしても思えないよ。みのりと一緒に遊んでくれて、みのりも2人と遊ぶのとっても楽しかった。もし2人がみのりたちの思ってるような悪い人たちならそんなこと絶対しないもん!」
「今の我なら両備の言った言葉の意味がわかる気がする。我々は理念のみに囚われ、悪を根絶やす事のみに執着していた。だが、両備、そして詠のように悪の中にもまっすぐな志しを持つ者がいる。だからこそ我も美野里と同じ気持ちだ」
「わしもこれまでの戦いでいろんな経験をし、悲願を追い求めるだけじゃったわしは両奈の「悪がなぜ悪いのか」という問いや春花さんの「もっと自由になってみたら」という言葉を聞いて悪とは何かを改めて考えさせられました。彼女たちは悪事を働くために悪忍になったわけではありません、ただ己の自由な生き方に従ったのみ、それだけのことで彼女たちを悪として憎むことは…わしには出来ません」
「あたしも思うんだ。忌夢ちんは自分の身も顧みず大切なものを守ろうとしたり、未来ちんは自分の書いた小説で誰かを喜ばせようとしてた。それってさ、あたしたちのそれと変わらないんじゃないかな。悪忍にだって守りたいものがある。悪忍にだって人を笑顔にできる。…そんな人たちが本当にこの世に不必要な存在なの?」
美野里、叢、夜桜、四季は紫苑の言葉に意義を唱え、思いのままに自分の思いを告げる
「紫苑、私たちは悪という存在を知っているつもりでいた。ですがこれまでの出来事が私たちの考えが浅はかだったことを教えてくれた。だからこそ私たちは知りたい、私たちが今まで目指していた理想の世界が本当に正しいのか、その答えを知るために私はこの場にいるのだから」
そして雪泉もまた自分の思いをありのままに伝えた
「みんな、どうしてそんなことを言うのさ!僕らは間違ってない!間違ってなんかいないんだよ!」
「それは…」
「……もういい!僕はもう行く!!」
「あっ!紫苑!!?」
そう言い残すと紫苑は一人飛び去った
「(負けない。絶対に負けられない。勝って僕らの正義が正しいって言うことを雪泉たちに思い出させるためにも!)」
迷いを振り切るかのように紫苑は佐介の待つ場所へと向かうのだった