閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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月閃女学館編 第二十章 荒れ狂う魂に捧げる救済と鎮魂の宴

悪を憎む紫苑の怒りが引き金となり世界中に大異変が起こる今、この時

 

 

「行こう雪泉ちゃん!」

 

 

「はい!」

 

 

「我らも雪泉達に続くぞ!」

 

 

『おー!』

 

 

それを止めるべく先陣を切る雪泉と飛鳥に続くように叢達も紫苑に向かって行く

 

 

「…ふん!」

 

 

向かってくる雪泉たちを迎え撃つべく紫苑が光弾を放つ

 

 

しかしそれをかわした雪泉たちが一斉に飛びかかる

 

 

「紫苑、わしの拳で今目を覚ませてあげます!」

 

 

「アタイの蹴りも効くぜ!!」

 

 

夜桜と葛城が拳と蹴りで攻撃にでた

 

 

「ふん」ブォォォォォォォォ!

 

 

「「っ!?」」

 

 

だが、そんなものは無駄だと言わんばかりにプレッシャーを放ち、それに圧倒された2人の動きが鈍る

 

 

「蹴りとは…」

 

 

 

シュン!ドゴッ!

 

 

 

「ぐあっ!?」

 

 

「こういうものを言うんだよ」

 

 

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

紫苑の蹴りが炸裂するとともに葛城を地面に叩きつける

 

 

「葛城さん!?」

 

 

「っ!」ゴォォォォォォォ!!

 

 

「うっ、うああっ!!」

 

 

夜桜に対しては掌から衝撃波を放ち、吹き飛ばした

 

 

「紫苑!」

 

 

「紫苑ちん!」

 

 

「せい!!」

 

 

「ふぅん!」

 

 

次に挑むは叢、四季、斑鳩、柳生の4人だった

 

 

四人が一斉に手にした武器と持てる力の全てを使って紫苑を攻撃する

 

 

「…おそい!」

 

 

ギュイィィン!

 

 

『っ!?』

 

 

マテリアにエネルギーが集まった次の瞬間

 

 

 

 

ドガアァァァァン!

 

 

 

 

『うあああぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

 

壮絶な爆発が起き、それに巻き込まれた叢たちは夜桜達同様に崩れ去る

 

 

「みのりちゃん!しっかり捕まってて!」

 

 

「うん!」

 

 

「忍兎!」

 

 

「」ガッテン!

 

 

忍兎が操る雲に乗って飛んでくる美野里と雲雀

 

 

「いくよみのりちゃん!」

 

 

「うん。ひばりちゃん!」

 

 

「秘伝忍法・忍兎でブーン!」

 

 

「おっまけだよ~♪」

 

 

雲雀の技が発動した瞬間、美野里のリュックサックからたくさんのお菓子が現れ、彼女たちの周りを飛び回る

 

 

美野里との混合技「忍兎でブーン(お菓子パーティversion)」で紫苑に突進する

 

 

「」パッチン

 

 

 

ドバアァァァァァァァン!

 

 

ヒュウゥゥゥゥン ボトッ

 

 

 

だが、奮闘も虚しく二人に向けて指を鳴らした瞬間、突如爆発し、美野里たちは落下した

 

 

これまでで計8人を相手にほぼスタミナ切れも起こしておらず、さらにはノーダメージであった

 

 

「紫苑!!」

 

 

「っ?」

 

 

「やあぁぁぁぁぁ!!」

 

 

「てぇぇい!」

 

 

最後に残った飛鳥と雪泉が同時に仕掛ける

 

 

「…秘伝忍法・颶風のソナタ!!」

 

 

ビュウゥゥゥゥ!!

 

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

「あぁぁぁぁ!!!」

 

 

凄まじい竜巻が雪泉と飛鳥を飲み込み、さらにはその後ろにいた叢たちも巻き込んでしまう

 

 

竜巻が消えると共に傷ついた雪泉たちが次々と地面に落ちてきた

 

 

「つ、強い…っ!」

 

 

「佐介くんはこんなのを何度も喰らい続けてたんだね…」

 

 

今の紫苑の力を自身の身で体感した雪泉たちは改めてその恐ろしさを理解した

 

 

「これでわかっただろう?君たちがいくら束になろうと僕には勝てない。…無駄な抵抗はやめてよりよき世界の到来に身をゆだねて」

 

 

紫苑は倒れる彼女たちに向けてそう言い放つ

 

 

「うっ…ううっ…っ!」ズルズル

 

 

「っ?」

 

 

「まだ…まだですっ!」

 

 

「まだ。私たちは諦めてない!」

 

 

雪泉と飛鳥が立ち上がると共に他のみんなも立ち上がる

 

 

「雪泉、みんな。…なぜなんだ!」ゴォォォォ!

 

 

腕を空に伸ばし、雨を刃に変える

 

 

「秘伝忍法・水撃の波動!!」

 

 

 

チャププププ! バシャアァァァァン!

 

 

 

ドバアァァァァァァァン!!!

 

 

 

『きゃあぁぁぁぁぁ!!!』

 

 

『うわぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

 

集められた雨が巨大な水の塊と化し、落下と同時に爆発、それとともに叫び声が響き渡った

 

 

「はぁ…はぁ……うっ」グラッ

 

 

紫苑の体がぐらつく

 

 

「(そろそろ、気力もつきてきたようだ)」

 

 

大技を連発したことが災いし、紫苑の気力もわずかになり始めていた

 

 

「こ、今度こそ、そこでじっとしていてくれ。大丈夫、すぐに終わるから」

 

 

仕方なかった事とは言え、仲間達を自らの手で倒さなければならなかったことを紫苑は彼女達に複雑な思いを抱く

 

 

そして静まったことを確認すると再び、世界のリセットを再開する

 

 

「(正義だけの平和な世界を作り出す。そうすれば雪泉たちもきっと以前のように笑ってくれるばず……だから!)」

 

 

紫苑は己の信念を胸にリセットを急がせる

 

 

「……っ!」ハッ

 

 

だが、その時、紫苑は背後の気配に気づき、振り向くと、さっきの攻撃でやったと思っていた雪泉たちが

 

 

「紫苑!」

 

 

「雪泉、みんな!?なっ、なぜ!?」アセアセ

 

 

「…」

 

 

どうして立っているのか理解できず紫苑は焦る

 

 

すると雪泉はちらっと後ろに目を向ける

 

 

そこには飛鳥たちが倒れていた

 

 

 

 

 

 

 

 

『秘伝忍法・水撃の波動!!』

 

 

 

チャププププ! バシャアァァァァン!

 

 

 

水の塊が迫り来る最中

 

 

『雪泉ちゃん危ない!!』

 

 

『飛鳥さん!?』

 

 

雪泉を庇うかのように飛鳥が前に出る

 

 

さらにそれは飛鳥だけでなく他の半蔵学院のメンバーたちも自分たちをかばうように前にでる

 

 

 

ドバアァァァァァァァン!

 

 

 

『きゃあぁぁぁぁぁ!!!』

 

 

『うわぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

 

 

身を挺してダメージを代わりに受けた飛鳥たちは悲鳴をあげながら倒れ、そして今に至る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…まだやると言うのみんな?」

 

 

「もちろんです。私たちを身を挺して助けてくれた飛鳥さんたちの思いに報いるためにも、あなたの目を覚まさせます!」

 

 

「我らの手で必ず!」

 

 

「元のあなたを取り戻してみせます!」

 

 

「覚悟はいい?紫苑ちん」

 

 

「みのりたちはまだまだやれるよ!」

 

 

その言葉とともに雪泉達が紫苑に向かって走る

 

 

「なんで…なんでなんだぁぁぁ!」ギュイィィン

 

 

紫苑が両手を突き出すと、彼女達の走っている地面が次々と爆発していく

 

 

その中を駆け抜ける雪泉たちの姿が数発目の爆発で見えなくなった

 

 

すると煙が徐々に盛り上がっていく

 

 

ボワッ!

 

 

「はあぁぁぁぁ!!」

 

 

「やあぁぁぁぁぁ!!」

 

 

「っ!」

 

 

煙の中を突き破り、叢と四季が紫苑に攻撃をしかけ、紫苑がそれを両手で受け止める

 

 

「ぐっぐううう!!」グヌヌ

 

 

「いまだよみのりちん!」

 

 

「っ!?」

 

 

「は~い。いっくよ~!秘伝忍法!パンパンケーキ♪」

 

 

 

ポン! ヒュ~~! ボコォォォォ

 

 

 

「ぐっ!!」

 

 

当たる直前に叢と四季が回避し、紫苑はパンケーキに押しつぶされながら地面に落下する

 

 

 

ドスゥゥゥゥゥゥン!

 

 

 

 

「(どうして…どうして?)」

 

 

さっきまでとは明らかに違うことを紫苑は感じた

 

 

雪泉たちを見るたびに焦りは高まって行った

 

 

「次はわしの番じゃ!!」

 

 

「っ!?」

 

 

考える暇もなく夜桜が仕掛けてきた

 

 

「地獄極楽万手拳!!」

 

 

両手の籠手を巨大化させるとともに両手に黄色い球体状のエネルギーを生成し

 

 

それを勢いよく放つと圧力によって紫苑は立ったまま地面にめり込んだ

 

 

「決めてください雪泉!」

 

 

「はい!」

 

 

「っ!?」

 

 

紫苑の動きを止めた隙に雪泉が紫苑の目の前に現れた

 

 

「紫苑!目を覚ましてください!秘伝忍法・黒氷!」

 

 

雪泉の渾身の力を込めた巨大な氷塊が紫苑に向かって飛んでいった

 

 

 

バリィィィィィィィィィン! ピキキ

 

 

 

「っ!?」

 

 

黒氷が紫苑の胸の霊石に直撃し、数秒後霊石にひびが入る

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ……うっ」ドサッ

 

 

耐えきったはものの、これまでの連戦、エネルギーの消費によって紫苑はその場に跪いた

 

 

「よし!」

 

 

「あとちょっとだ!」

 

 

「あの石を壊せば紫苑ちんを元に戻せる!」

 

 

「うんうん!」

 

 

勝利を目前にメンバー全員の気持ちも高まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どうしてなんだぁぁぁぁぁぁ!!」ゴォォォォォォォォォォ

 

 

たまらず紫苑が発狂するとともに風圧が起き、雪泉たちは少し後ろまで押された

 

 

「どうして邪魔するの!!僕はただみんなに、みんなに笑顔で幸せになってもらいたいだけなのに!!」

 

 

「紫苑…」

 

 

「なのにどうして……ぐっ、ぐぅぅ!!!」キュイイイイィィィィィィィィィィン!

 

 

「紫苑!」

 

 

「ああぁぁ…があぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

紫苑の意志に反応し、マテリアが光り輝き、それと同時に紫苑が苦しみ出す

 

 

もはや一刻の猶予もないと雪泉は悟った

 

 

「みなさん。次の一撃で決めますよ!」

 

 

この戦いに終止符を打つべく、雪泉が叫ぶ

 

 

「みんな!全ての力を雪泉に!」

 

 

「あぁ!」

 

 

「OK」

 

 

「は~い!」

 

 

叢達が残りのパワーを雪泉に注ぐ

 

 

「紫苑!これが私たちの想い、あなたを救うという願いを込めた一撃です!行きます!絶・秘伝忍法!!」

 

 

雪泉の体が叢達から受け取ったパワーをうけて光り輝く

 

 

 

パキキキキキキキキキキ! キュピ~ン♪

 

 

 

そして雪泉が上空に通常の黒氷とは比べ物にならないほどの氷塊を作り出した

 

 

 

「いっけぇぇぇぇぇぇぇ!!!」ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!

 

 

全ての力と想いを込め、氷塊を紫苑めがけて投げつけた

 

 

「っ!?……ぬぇぇい!!」ピョォォン!

 

 

『なっ!?』

 

 

しかしそれをギリギリのところでかわされてしまった

 

 

せっかくここまで来というのに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰もがそう思ったときだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒュウゥン!ザザァァァァァ!

 

 

 

 

 

 

 

「はあぁぁぁぁああああああああああ!!!」

 

 

 

バキィィィィィン! ググググググ

 

 

 

「ぐううぅぅぅぅぅぅ!ぬぇぇぇぇい!!!」

 

 

 

バキュゥゥゥゥゥゥン!

 

 

 

「な、なに!?」

 

 

 

 

 

 

ヒュウゥゥゥゥン! バリィィィィン!

 

 

 

ピキキキキキキキキキキ! パキィィィィィィィィン!

 

 

 

 

 

 

「っ…?」アセアセ

 

 

 

 

 

 

避け切ったと思っていた氷塊が再び自分めがけて飛んできたことに驚きつつ、前方のほうに目を向けると

 

 

そこには息も絶えだえになりながらもその拳で突き飛ばしたであろう佐介の姿があった

 

 

 

 

 

 

 

「」ギュオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!

 

 

 

 

 

 

 

霊石が砕け散るとともにその中に秘められていた霊力が一気に抜け落ちた

 

 

そして倒れ込むとともに駆けつけた雪泉の腕に抱かれながら気を失うのだった

 


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